---坂本一弥---
目覚めると、インデックスとミサカが添い寝していた。それは、いつものことだが、何故か知らない部屋にいた。ここはどこ?
「おはようございます」
久しぶりに見る五和だ。それも大精霊チラメイド服だし。何故?問題はそこか?いや、違う。知らない部屋に五和がいる…ってことは…つちみかどぉぉぉぉぉ~!あのヤロー、また拉致して海外か?
「五和、ここって、まさか、おふらんす?」
「そうですよ」
笑顔の五和。怒るに怒れない俺。土御門の作戦勝ちか?
「今回は、ホームシック対策で、納豆とかぬか床とか、持ち込んであります。お水も富士山麓の水を持ち込みました」
「で、この作戦の立案者はグラサンシスコン男か?」
「他にいますか?」
いないだろうな…
◇
和食な朝食を摂り、別室に向かうと、土御門がいた。
「どうだ?ベルサイユ宮殿の寝心地は?」
「おい!説明無しに、海外に連れ出すな!」
「あ?五和に会いたかっただろ?あと、ねーちんも」
「そうだけど…、連れ戻ればいいだろ?何も俺を連れ出さないでも…」
「最後にする調印って、一番上の者がしないとダメだ」
「キャーリサとかヴァーリがいるだろ?次期国家元首がいるんだから」
頭を横に振る土御門。
「それらを束ねるお前の出番なんだにゃ」
「俺はエラくないぞ」
「お前がそう思うのは勝手だし、お前の意志は尊重はするが、事実上のトップはお前だ。ちょっとの間、自覚してくれ」
なんか、理不尽…土御門がすればいいだろうに…ぶつぶつ
「俺やねーちんじゃ、ヴァーリとキャーリサを纏められないんだ。まして、ミサカとインデックスは、お前にしか懐いていないし」
「旨い飯を作れば、懐くだろ?」
「五和には懐いていないぞ。お前よりも料理の腕が上の五和になぁ」
そういえば、そうだな。なんで、俺の料理が好きなんだ?ライスオンチキンライスを残さず喰うしなぁ。
「まぁ、そんな訳だ。ちっとだけ、トップを演じてくれ」
演じればいいのか…今度、麻衣に演技指導して貰わないと。
◇
調印式…バベルと呼ばれる5階建てのビルで行われた。調印内容は…う~ん、読めない字だよ。何が書いてあるんだ?
インデックスに目配せをすると、本当か、ハッタリか分からないが、通訳してくれた。多少の荒くれ事には目を瞑るが、今後、人身売買は禁止にする。勿論、陵辱行為、調教行為も、キング以外は認められないって感じらしい。
「キングって誰?」
みんなの視線が俺に集まる。なんで?面倒事は丸投げするけど…ここって、フランスの自治区扱いで、この地区の長は君臨はするが、統治せずで、治外法権エリアとして悪名が高かったらしい。統治はそれぞれのギルドと呼ばれる組織が行っていたが、多数有るそれらは、それぞれのルールで統治していたそうだ。なんか、変。だから、誰も取り締まることが出来ないに等しく、自分達のルールで取り締まると、反発して抗争へと発展していたそうだ。
「今後は、俺達が統治する。ルールはキングの国の法律を適用する。フランス政府の許可は取って有るから、その辺を理解するようにな」
土御門が演説をしている。俺も君臨するだけで良いらしい。
---リヴェリア---
一弥のガードをアイズとヴァイオレットがしている。私は通訳扱いだ。まぁ、一弥が襲われたら、戦う覚悟はあるけど。
「リヴェリア、元気そうだな」
フィンが話し掛けてきた。私とアイズが属していたギルドの団長である。
「まぁ、日常生活に支障は無いよ」
「で、どうなんだ。あの一弥ってキングは?」
探りたいようだ。一弥について…
「どうって?問題は少ないと思うが」
「問題は有るのか?」
コイツ、ポーカーフェイスなので、真意を掴みにくい。敵になるのか?味方になるのか?
「当面の問題は、私やアイズの全裸を見ても、何もしないってことだな」
「はぁ?」
フィンの表情が崩れた。問題の中身に意表をつかれたようだ。
「怪我人に発情はしないって言うんだよ。健康体で無いと無茶できないってねぇ」
「それが問題なのか?」
「あぁ、問題だろ?こんな美女達を前にして、全裸にひんむいて、治療をするだけなんだよ。変わり者だよ、一弥はね」
「…」
実際問題として、異性の前で全裸になるのは、今でも嫌であるが、一弥なら許せてしまう。その気になら無い限り、私達に性欲を現すことは無いからだ。
土御門によれば、一弥の興味を女体に持たせるのは、側近にいる女性の務めと言うが、これがなかなか難しい。普通ならば、肌を見せるだけで凝視されるのだが、一弥にそんな手は通用しない。
「変態なのか?」
「フィン、それは違う。一弥はど変態だよ」
私の応対に戸惑っているフィン。
---坂本一弥---
調印も終わったし、帰れるのかと思ったのに…
「ここまで来たし、バッキンガム宮殿へ行くぞ」
って、土御門…
「なんでだよ?調印だけだろ?」
「なぁ、ドーバー海峡を電車で渡るんだぞ。興味ないのか?」
海峡を電車で渡る?そんなに長い橋があるのか?見たい…って、期待していたのに、海底トンネルって何だよ…帰りたい…
「一弥様、五和がお傍にいます、だから、機嫌を治して下さい」
大精霊プチエロメイド姿の五和は、かわいい。だけど…バドスーツに身をくるんだ火織の姿に釘付けになっている俺。
「そんなに見ないで…はずかしいですよ」
その恥ずかしそうな表情がかわいいんですけど…そんなこんなで、宮殿にいる老婆の元に連行された俺。
「どうなんだい?キャーリサとの仲は進展したか?」
「いや…」
身体は悪くないし、性格もまろやかになってきているが、進展するほど、時間は無い。美和子、蘭、麻衣で手一杯である。
「キャーリサは、なびいているようだが…」
「すまん、忙しいので、よくわからん」
「まったく、お前は欲がなさすぎだろ?」
欲の皮の厚そうな老婆に言われても…比較対象がダメだろうに。
「まぁ、良い。明日の宴には参加しな」
それは、まだ帰国出来ないってことか…
---工藤優作---
妻に、あのDVDを見せた。
「これは…」
驚愕な表情をしている有希子。
「どういうことかな?」
「…」
「彼に強要されたのか?」
俯いた有希子。
「どうして強要されたんだ?」
「私の軽はずみな行為で…彼女達を怒らせてしまったから…」
「それは新一の為の行動だろ?」
「それは…えぇ、そうよ。彼が蘭ちゃん達を捨てれば、新ちゃんがチャンスを得ると思って…だけど、彼は私を嘘吐きだって…」
泣き叫び始めた有希子を優しく抱き締めた。自分の子供がかわいいと思う、親バカな行為である。他人から見れば、非難される行為かもしれないが…
「クリスも元々彼の…だけど、新ちゃんが奪ったらしいの」
う~ん…新一は、そこまで女性に対して強欲になっているのか。コナンくん状態が長く続いた反動か?
「ならば、彼女達も奪うか?」
「優作さん、それはダメ。彼女達の意志を尊重してあげないと」
「悪いが、俺も息子かわいしの親バカなんだよ」
親とは、つくづく罪作りな生き物だ。
◇
翌日、行動を早速起こした。蘭ちゃんと麻衣という女優を攫ってきた。二人ともスタンガンで意識を狩り取った後、薬を少しずつ投与して、意識を朦朧とさせてある。
「父さん…これは…」
新一を地下室で飼い始めたペット達に引き合わせた。
「お前の愛人達だ。本妻はクリスだろ?」
「何しているんだ、父さん…」
「奪われたら倍返しだよ。蘭ちゃんを奪われた分、アイツの彼女も攫ってきたんだ」
もう後戻りは出来ない。
「新一の好きにしろ。但し、放流はするな」
「だけど、父さん…」
「新一、蘭ちゃんを愛しているんだろ?ならば、ここでお前の愛で染め上げろ!」
---坂本一弥---
宴の日…日本から連絡があった。蘭と麻衣、和葉と紅葉が行方不明になったそうだ。どういうことだ?
「土御門!どういうことだ!」
「すまん。ガードが手薄だった。お前の留守中を、狙われたのかもしれない」
敵対組織の犯行かもしれないそうだ。敵対組織って、どこだ?国際電話で、美和子に捜索を依頼した。4人も消えるのは犯罪絡みに思えたからだ。
「土御門、宴の参加はキャンセルだ。俺は帰る」
「一弥!飛行機の準備は出来ているわ」
キャーリサが準備をしておいてくれた。
「ありがとう、キャーリサ」
俺達は帰国の途に就いた。空の上から情報を収集する。ミカサがネットワークの膨大な情報から、関連する事項、人物を割り出していく。
「マズい相手だ、一弥」
土御門が集めた情報を分析していたのが、何かを見つけた。
「誰?」
「シティハンターって言うトップクラスのスイーパーが浮かんできた」
スイーパー?殺し屋か?
「殺し屋が誘拐?」
「スイーパーは殺しもするが、裏の便利屋だ。金さえだせば、何でもするんだ」
「ヤラレたら、やり返すまでだ。関係者を割り出してくれ」
「わかった」
「ふふふ、プロ相手のケンカかぁ。愉しめそうだな」
アクセラレーターが嬉しそうだ。ケンカは愉しめるが、まずは麻衣達の安全を確保だ。
---服部平次---
工藤から粋な贈り物が届いた。和葉と紅葉を奪還してくれ、大阪に送ってくれた。一緒に届いた洗脳除去薬を毎日、決められた用法で2週間投与すれば、元に戻るらしい。おとん、とおかんに話し、家で秘密裏に治療することにした。
が…
「平次、本当に工藤新一から、送られて来たのか?」
おとんが妙なことを言い出した。治療開始して2日目のことだ。
「何いっとん?そうに決まっているだろ?他に誰が和葉を奪還してくれるんや?」
「この薬を分析した。逆の効果だ。洗脳をしやすくする薬のようだぞ」
「何?」
「更に媚薬成分も検出された。裏の世界で出回っている調教用の薬と判明したんや!」
「そ、そ、そんな…」
和葉と紅葉は病院へ緊急搬送されていく。どういうことや?工藤!
---坂本一弥---
ようやく帰国出来た。土御門の指示の元、みんなが行動を開始した。反撃だ…ミサカに、麻衣達の居る場所を探して貰う。だけど、コチラの手の内を知っている奴らの犯行らしく、ネットに情報は無かったようだ。
「そうなると、昔ながらの紙ベースでの連絡かぁ。厄介だな」
土御門が唸っている。行方不明になって3日かぁ。回されて売りに出される前に、助けたい。
「おい!どこへ行くんだ?」
土御門が声を掛けてきた。
「関係者に話を訊いてくる」
「おい…相手はプロだぞ!」
「誰が相手でも、俺は戦う」
一人で行くつもりだったが、ガードにミーちゃんと五和が付いて来た。顔写真を見ながら、ターゲットを探し、人目に付かない場所で、意識を狩り取った。そして、お話をする場所へと持ち帰った。
---槇村香---
たまのオフで、買い物に出たのが、何者かに誘拐された。全裸で大の字拘束されている。
「発信機の類いは処分した。お前の仲間はここに来る事は無い。ゆっくりと話をしよう」
頭に黒い袋を被せられている。相手が誰かわからない。声からして若い男性のような気がする。
「なぁ、俺の仲間をどこに監禁したんだ?!」
「痛っ!」
乳首を指で潰してきた。いきなりの拷問か…
「あれ?濡れてきているぞ。お前はエムか?」
「違うわい!」
「どこに監禁したか白状して、無事に仲間を救い出せれば、解放してやる」
「監禁した覚えは無い!」
うっ!股間に何かを入れられた。なんだ、この感覚は…ダメな感覚だ。全身の筋肉が緩んでいく上、悶悶としていく。
「早く答えた方が良いぞ」
「だって…知らない…」
答えたくても、答えを持っていない。誰かと勘違いしているのか?
「槇村香さんだよね?シティハンターの一員のさぁ」
間違っていない。私だと特定しているのか。でも答えを持っていない。
「助けて…知らないって…身に覚えが無い」
再び股間に何かを入れられた。意識が朦朧としている。考えられるのに…
---坂本一弥---
朦朧とした意識の中で、正直の答えていく槇村香。どうも、コイツが犯人では無いようだ。
「最近、どんな依頼を受けたんだ?」
「工藤優作氏から…奥様…工藤有希子の…浮気の…捜査…はぁ…はぁ…相手は…坂本一弥…高校生…」
「その依頼はどうした?」
「断った…危険だから…」
なるほど。そうなると、工藤優作が自ら動いたのか?ミーちゃんがミサカネットワークを通じて、情報を流していく。ターゲットは工藤優作。まさか、隣家に監禁か?
「彼女はどうします?」
五和に訊かれた。
「用済みだ。この薬、抜けが良いから、放置しておけば、明日の朝にはけろりとしているだろう」
俺達は痕跡を消して、彼女だけ残し、家に帰宅した。
---槇村香---
なんで、ラブホに一人で寝ているんだ?新品のシャツとジーパンと、封筒がある。封筒の中身は10万円…股間をチェックするが、ヤラれた形跡は無い。下着が無い。って、ことは10万円で使用済みの下着を買った相手がいたのか。う~ん…記憶が曖昧だ。家に帰るか。
家に帰ると、ちょうど朝帰りしたリョウと玄関でばったり会った。
「あれ?香も朝帰り?」
「そうなんだけど…」
部屋に戻り、リョウに昨晩体験した不思議体験を話した。
「そうなると、工藤優作が何かしたのかもな」
真顔で話すリョウ。
「何かって?」
「坂本一弥の関係者を報復で、誘拐して監禁しているのだろう。香は2回、工藤優作に接触しただろ?だから、実行犯と疑われたのかもしれない」
じゃ…拷問されたのか…
「お金はたぶん、無罪放免の上の迷惑料だったんだろう」
「仕返しはする?」
「しないよ。だって、ヤラれていないんだろ?結構、紳士的だと思う。聞き出せないと分かれば、何もしないで放置って。普通は、口封じで殺されてもおかしくないぞ」
そうかもしれない。迷惑料まで払ってて貰えるのは、嬉しいかな。
「まっ、いずれ、坂本一弥には挨拶しに行かないとな。敵対する意志は無いと伝えないと、危険が一杯だよ」
そうだな。悶悶とさせておいて、放置って…どんなヤツか興味があるなぁ。