※この作品はR-18です。

その男、粗暴につき   作:もっち~!

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佐藤一弥編
死んでも直らないこと


---工藤新一---

 

この事件、構造が分からない。何故、一弥は死なないといけないんだ?

 

権力の集中が見られた。一弥の元に、分不相応な権力が次々に集まっていた。何故、一弥の元に権力が集中してんだ?

 

この2点が構造を解く鍵になるのか?

 

「調べて来たでぇ~」

 

服部がやってきた。和葉は傍にいても、服部を認識出来無いらしい。なので、フィールドワークし放題だって言っていたけど、心配だろうに。俺もそうだし。

 

「和葉をあんな風にしたヤツラを許さんでぇえ~。何も一弥を死刑にすることは無いやろ。事故死って線は無かったんか?」

 

事故死の方が、蘭もそうだが、ショックはあれほどではなかっただろう。

 

「そこなんだよ、服部。なんで、一弥は死なないといけないんだ?それも死刑と言う形で…」

 

死体は検死されていなかった。それは不審死では無いからだと思う。死因を特定する必要が無いってことだ。

 

「検死の件やけど、あちらの国から検死は必要無しって言われたそうや。死因は感電死以外考えられないからだそうや」

 

電気椅子かぁ。でもなぁ、電気椅子にしてはきれいな死体だったなぁ。もっと血管とかが破裂して、内出血が多数出来るはずである。血液が沸騰して、血管が硬くなり、体内で出血しまくはずだし。

 

「アイツの遺体は、通夜の後直ぐに運び出して、アチラの国のエージェント達だけで、火葬したそうや。なんか、見られたらアカン物が出たのかもな」

 

家族の立ち会いも無しって、異常だな。同居人、家族限定での通夜だったし。俺はまだしも、おっちゃんも立ち会えなかったそうだ。

 

「何が出たかだな」

 

「そこや!それが、アイツが死なないといけない原因なんやろ」

 

「遺灰はどうなったんだ?」

 

「大きめな骨だけ壺に入れて、残りは返却不可だったそうや。で、壺の中は特殊樹脂で固められていて、骨は見えるが触れない状態らしいやで」

 

何にかが混入していたのか?大きめな骨は、付着物が無いか、確認したんだろうな。いや、そもそも骨が入っているのか?触れないのでは、骨が入っているかも怪しい。

 

「で、墓はどこだ?」

 

「墓は無い。そのまま、遺族は船に乗せられて、壺ごと海の中に捨てたそうや。なぁ、異常な事態やろ、これって」

 

「あぁ」

 

異常過ぎる。一弥は何かをインプラントされていたのか?それを回収して、回収した痕跡を見せない為に、処分されたのだろうか。

 

「工藤君、調べて来たよ」

 

安室さんが来てくれた。安室さんに、服部が調べて来た情報を話した。

 

「まぁ、そんな感じだよ。ひどく厳戒態勢を敷いていたそうだよ。海葬の際、半径10キロ圏内は、他のいかなる船も立ち入り禁止だったそうだ」

 

それは、投棄場所を特定されないようにか?

 

「空域は、半径50キロ圏内の飛行の禁止だった。高度は無制限だ」

 

人工衛星もアウトなのか。なんだ、その厳戒ぶりは…

 

「おかしいことだらけだよ。逆に言えば、何か遭ったってことだが、コチラの国に情報は一切無い」

 

国益絡みか。

 

「今となっては手遅れだけど、彼は何者だったんだろうな」

 

安室さんでえすら、わからないのか。

 

◇

 

身近かにいた人から情報を、訊き出すことにした。俺は警視庁を訪れた。だが、遅かったようだ。

 

「佐藤君か?それがなぁ、行方不明なんだよ」

 

あの通夜の日に行方不明になったらしい。部屋を調べた結果、喪服を脱いだ形跡、シャワーを浴びた形跡はあったが、彼女の姿はどこにも無かったそうだ。攫われたのか…

 

「佐藤刑事から、何か訊いていませんか?一弥についてなんですが」

 

「傍にいてあげないと、危なっかしいって言っていたな」

 

高木刑事が思い出しながら、そう教えてくれた。

 

「身体に関する情報は無いですか?」

 

「う~ん…そういえば、一度大けがをしたって言っていたな。無茶をしすぎるけど、人助けをするとき、無意識で行動しちゃうのが難点って」

 

大けが?そういえば、アイツ右腕を怪我したことがあったなぁ。何をして怪我をしたんだ?

 

「原因は訊いていませんか?」

 

「それは美和子さんも知らなかったようだよ」

 

「工藤君、佐藤刑事はどこにいると思うのかね?」

 

目暮警部に訊かれた。

 

「一弥に関する情報を隠したい勢力に拉致された可能性があります。一弥の死に裏の事情が絡んでいるようで…それを今調査中です」

 

「なんだって、一弥君の死に、事情があるかね」

 

「えぇ。そもそも、何も罪を犯していない段階で、死刑ってあり得ないでしょ?」

 

「う~ん…」

 

「おかしいですよ。裁判もせずに死刑って…まさか、美和子さんも共犯で死刑ってことは…」

 

無いとは言え無い。

 

「よし!佐藤刑事を探し出すぞ。彼女の部屋とマンション、近隣の防犯カメラを調べろ!」

 

「はい!」

 

たぶん、防犯カメラに映像は残さないだろう。向こうはプロだしなぁ。

 

◇

 

ダメ元で蘭の元へ。焦点の合わないのか視点が定まらないようだ。

 

「蘭、思い出してくれ。一弥の身体に異常は無かったか?」

 

「うん?一弥の右手…義手だよ」

 

何?義手だと。そうなると、その義手狙いか?

 

「どこのメーカーか分かるか?」

 

「開発途中の物…最先端技術だって…痛かっただろうな、一弥。右手が肩口から無くなったらしいのよ」

 

肩口から無い?それって、斬り落とされたのか?誰にだ?近接戦で勝てるヤツっていたのかよ?

 

「でも、一弥らしい。人助けだったから、片腕くらい安いモンだって、笑っていたのよ」

 

一弥のことを話す蘭の表情は柔らかくなっていく。

 

「ねぇ、新一…一弥はいつ帰ってくるの?」

 

「どこかで人助けでもしているんじゃ無いのか?」

 

「そうだよね。あぁ、また大英帝国に拉致されたかな」

 

うん?大英帝国に拉致?まただと…それは、何度も拉致されているのか。

 

◇

 

家に戻り、集めた情報から推理を始めた。英国への拉致は、たぶん、婚礼の為だろうな。嫌がるアイツを拉致して、連れて行ったんだろう。何で、嫌がるアイツを王女と結婚させる必要があるんだ?それは疑問であるが…全米民主国絡みか?昂さんに訊いてみるか。

 

「うん?坂本一弥の情報か?」

 

「アイツの身体に何があるんだ?」

 

「なぁ、新一君。君はおかしいと思わなかったかい?長男が一弥ってことに、疑問は無いのかい?」

 

どういう意味だ?キッドのメールもYXMOだったなぁ。

 

「ヒントを上げるよ。一弥の祖父は静馬だ。父親は冬馬だよ。じゃ、その息子は?」

 

数馬…まさか…

 

「その表情はわかったようだね。坂本家の後取りは数馬だよ。そうなると、一弥は何者かってことにならないか?」

 

「あぁ、そうなるが…あいつら、三つ子だろ?」

 

「君は生まれた瞬間に立ち会ったのかな?」

 

あっ…出生届けの改ざんか…アイツ、坂本家の血を紡いでいないのか。

 

「小さい頃から、過度の期待を背負うと、精神が壊れやすいよね?数馬も例外では無い。小さい時から頭のキレる子だったらしい。だけど、彼は1つの願望を持っていた。それは、お金で叶える事の出来無い願望だよ。君なら、どうする?」

 

お金で買えない願望…

 

「神様に願う?非科学的だけどね」

 

「そう、それしか結論は無い。数馬の願望は、数馬と宇佐美にのしかかる重責を、総て代わりに背負い、弟と妹に優しい兄が欲しいことだったらしい」

 

それは神様でも無理なんじゃないか?

 

「この古文書を見てくれ。写本だよ。オリジナルは全米の大統領府で厳重に保管されている」

 

『幻想記』という書物を、手渡して来た昂さん。その書物に目を通していく。これって、どこの国の言葉だ?読めない。

 

「それは古代ヘブライ語で書かれた、十字教の古文書だ。先の大戦の折に、或る場所から奪い去ってきたそうだ」

 

十字教の?原典に近いのか。

 

「そこには、『幻想殺し』と言う秘宝のことが書かれているんだ。総ての幻想をぶち壊し、真なる姿を人々に見せるって感じだよ。坂本数馬は、それに目を付けたんだ」

 

目を付けた。一弥は幻想なのか?

 

「自分の置かれた境遇は幻想で、自分の願っている境遇が真なる姿だとね…その為に、『幻想殺し』について調べあげ、その恩恵を受けたのだろう。その恩恵が坂本一弥だ」

 

アイツ、人間では無いのか?何者だ?!

 

「昂さん、アイツは何者なんだ?」

 

「俺の推理でいいか?」

 

頷く俺。

 

「ヒントは名前と性格だ。一弥って文字を見て、ある言葉が浮かんだんだよ。『弥勒』って言葉だよ」

 

弥勒って、菩薩だよな。十字教とは真逆の仏教じゃ無いか?

 

「弥勒の語源は『慈しみ』だよ。なんとなく、坂本一弥を連想出来無いか?粗野で粗暴を演じているが、実際は…」

 

あぁ、そんな言葉が合うヤツなのかもしれない。素のアイツは…だから、アイツに色々なヤツが集うのかもな。

 

「そして、慈しみという言葉から、ある人物が浮かんだんだよ」

 

慈しみ…深く…ともなる…エスは…そんな言葉が脳裏に浮かんできた。

 

「新一君の脳裏にも浮かんだだろ?賛美歌312番だよ」

 

ここで十字教へ繋がるのか?

 

「一弥君は、歌詞にあるような人物だと思ったんだよ」

 

そうなるとアイツの正体は…そうだ、その方も死刑で亡くなっている。裁判を受けずに…歴史は繰り返すのか…

 

「わかったようだね。これは定められたことなんだよ。俺達がいくらあがいても、変わらないんだ」

 

おい…蘭はどうなるんだ?一弥…

 

 

 

---弥勒---

 

元の姿に戻ったのは良いのだが、俺を俺と認識してもらえない。火織、五和だけでなく、アーシア、ダメシスターまでも跪くし。俺はそんな偉い存在では無く、もっと俗物である。女体が大好きなド変態でありたい。そもそも、前職仏の入滅後約57億年後に悟りを開き、仏になるらしいのだが、この星はまだ46億年しか産まれてから経過していない。このスケジュールを立てた者はおかしいと思わなかったのか?

 

「今日は、私がお相手をします」

 

って、ダメシスターが服を脱いでいる。寸胴ボディーにどう立ち向かえと言うのだ?腰回りがまだ子供だし。

 

「そんな目で見ないでください。恥ずかしいです」

 

って、俺の方が恥ずかしいんだけどな…

 

「じゃ、私が相手をするわ」

 

って、美琴が脱いでいる。まだ、成長途中では無いか。幼女体型から逃げ回る日々…昔は良かったなぁって、思いをかみしめる日々である。

 

「で、次の一手はどうするんだ?」

 

土御門に訊かれた。

 

「そうだな。記録書物を総て消すか。二度と使われないように」

 

「分かった」

 

土御門が祭儀場に消えた。じゃ、俺も仕事をするか

 

『理を読み解く 原爆なる幻想を取り除き戦争の無い世界を望む』

 

と、詠い、大地に向かって、力を解放した。1日1回、力を解放することにしている。働かざる者、女体と交わるべからずと、土御門に念を押されたというか。

 

◇

 

「おい!下界へ降りるときは、坂本一弥で行けよ」

 

って、土御門。死んだ事になっているんだけど…

 

「弥勒姿の方が狙われるだろ?!おい、わかっているのか?このド変態風情が…」

 

そこまで酷く言われる謂われは無い、と思いたい。

 

「お世話になった者達への心のケアを大切だと思わないか?」

 

「はぁぁぁ~?お前がヤリたいだけだろうがっ!」

 

まぁ、概ね正解だと思う。だって、溜まっているんだもん。

 

「何が溜まっているんだもんですか?ならば、この五和が身を挺して、お世話いたします」

 

って、ことで都会の片隅で五和のヒモとして暮らすことにした。坂本一弥と名乗るのは、問題外として、佐藤一弥と名乗ることにしたのだ。佐藤美和子の弟って身分にして、五和と三人で暮らす事に…

 

 

 

---佐藤美和子---

 

久しぶりの職場である。

 

「おはようございます」

 

と笑顔で、職場へ行くと、みんなが幽霊でも見るような顔で、私を見ていた。

 

「どうしましたか?」

 

「いや…佐藤君だよな?」

 

「ですが…目暮警部、どうしましたか?」

 

「誘拐されたんじゃ無いのか?」

 

誘拐?あぁ、一弥にされたなぁ。どう言えばいいかな…

 

「駆け落ちしてましたぁ~」

 

「はぁ?誰とだね?」

 

誰と…う~ん…

 

「まぁ、隠していた彼と…どうにか落ち着いて、生活出来る様になってきたので、出勤しました」

 

「その彼の名前は?」

 

「佐藤一弥ですけど…」

 

あっ!弟って設定だったっけ?まぁ、いいか。

 

「何?一弥君…だと…う~ん…そうか、訳ありなんだな。わかった。口裏を合わせる。だが、事情は話して貰えるかね?」

 

あぁ~、どうしよう。出勤初日にポカをしてしまったよ。

 

『目暮警部だけ、連れ帰って』

 

って、一弥の声が脳裏に響いた。

 

「わかりました。目暮警部だけ、今夜一緒に来てください」

 

これで、乗り切れるのかな?

 

 

 

---児嶋加奈---

 

復職した。一弥に背中を押されたのだ。なりたかった教師の道を進めって…挫折したら、その時は一緒にいるって…約束してくれたし。

 

「鬼の児嶋…復活かよ」

 

「他校へ引き抜かれたんじゃ無いのか?」

 

なんか、随分なことを言われているような。

 

「おい!生徒が教師を鬼とか言うんじゃ無い!」

 

一喝すると、鬼でもみたような顔をする生徒達。あれ?どうして?まぁ、いいか。この仕事、舐められたらダメである。それに、私を舐めていいのは、一弥だけだからね!

 

仕事が終わり、一人とぼとぼ帰る。以前、仲の良かった教師達も、今の私に引いているような。久しぶりの教師で、熱を入れすぎたかな?

 

「今、終わりか?」

 

車から声を掛けてきた一弥。迎えに来てくれたようだ。

 

「うん…乗っていいの?」

 

「いいけど、乗り心地は保証できないよ」

 

ドアを開けて乗り込むと…なんだ、このシートは?

 

「アルミで出来たシートだよ。乗り心地よりも、軽さと丈夫さを優先っていうか…」

 

峠仕様ってこと?

 

「今度の休み、美和子と峠に行くんだよ。その為に、車を用意したんだ」

 

そうなんだ…って、免許有るのか?

 

「あ?!あぁ、免許か?国際免許だよ。大英帝国発行のね」

 

産まれ代わっても、王女3名との婚礼は破棄されなかったらしい。

 

「えっ!」

 

何これ?軽く発車したのに、Gの掛かり具合がスゴイ。改造車か?

 

「シートベルトはしてね。違反切符は切られたく無いから」

 

6点式なのか

 

「ちょっと、止まって!閉め方が分からないよ~」

 

路肩に止めて、シートベルトをしてくれる一弥。なんか、卑猥な絵面になっているような…

 

「あ!いいところに気づいたねぇ。これ、助手席のは見た目、亀甲縛りされている気分になれる、6点式なんだよ」

 

このド変態男…なんて物を開発したんだ。恥ずかしさを怒りに変えてぶつけたいが、身動きができない。強烈なGが私の身体を押さえつけ、なんとも言え無い感覚に引き込んでいく。まるで見えない誰かに襲われている気分に…

 

「濡れても大丈夫だよ。アルミの削り出しだから、シミにならないし」

 

なんてことを楽しそうに言うんだ、このド変態男は…既に、イキそうなんですけど…あぁぁぁぁ~!プチ昇天を繰り返す私。これは、家ではナニもしてくれないかもなぁ…

 

 

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