---工藤新一---
俺に化けて、京極さんに接触とは、大胆なヤツだ。その素顔は、まったく知らないヤツだったのには、驚いた。一弥が生きていたんでは無いのか?
「工藤新一君が何のようだね?」
声も違う。一弥とは別人のようだ。
「お前は何者だ?!」
「そういう君は何者なんだい?名探偵君」
う~ん、隙が無い。武術をしているのか?顔はポーカーフェースか?表情が無表情に近い。
「俺のことを知っているようだな」
「あぁ、よく知っているよ。毛利蘭のことを好きでたまらないのに、彼女の感情を逆なでるかの如く、彼女を飼い殺しにしている悪いガキだな」
なんだと…
「なぁ、蘭の性感帯を知っているかね?名探偵君になら、この謎は簡単過ぎるかな?」
蘭の性感帯だと…コイツ、蘭に何をしてやがるんだ?!
「あれあれ?知らないのかな?そんなことだから、彼女に逃げられたんだよ。俺は奪ったんじゃ無い。乗り換えられただけだ。逆恨みはするなよ」
う~ん、言い返せない。確かに、放置しすぎたかもな。
「あぁ言う場合、傍に寄り添ってあげるのが、正解だと思うよ。君たち、探偵の悪い習性だよ。大切な者より、真実の究明の方が大事なんだろ?」
反論出来無い。くそっ!
「で、お前は何者なんだ?」
アイツの背後に、キッドが舞い降りた。
「ほぉ~、一人で来た訳では無いのか。烏合の衆が集っても、烏合の衆だけどな」
切り札はまだ隠してある。
「後、隠れているのは、泥棒と掃除屋か?」
「ふん!ばれているのかよ」
「節穴ではなさそうだな」
ルパンとリョウが現れた。
「似た者同士が集まったのか?ムダなことを」
「なんだとぉぉぉぉ~!」
ルパンが銃を手にした。
「まぁ、楽しく余生は生きろよ。あばよ!」
何?目の前から、アイツの姿が消えた。
---佐藤一弥---
逃げられないって幻想を殺してみた。一瞬で、ガレージの前にいた。逃げる先を指定出来無いのは不便ではあるが、チートな手なので、しょうがないか。ガレージに入り、作業を始めた。今日はボディの溶接だっけ?
「一弥、強度を上げる為にロールバーを入れると、重量が重くなりすぎるけど、どうする?」
キャーリサがロールバーの総重量を計算してくれた。
「だけど、安全策をしておかないと、車検通らないし」
ボディはこれ以上軽くならないような…後は電装品か。いや、エンジンパワーを上げるのが正解かな?
「エンジンルームには空き地はあるか?」
「あるといえば、あるけど…」
キャーリサが図面をチェックしてくれている。
「スーパーチャージャーも載せられるか?」
「ターボが付いているのに?」
「重さが気になるのは、発進時とか低速からの加速時だろ?ターボが反応するまでをカバーできれば、多少の重さも気にならないと思う」
「燃費が悪くなるわよ」
ガソリンダンクをでかくするか。リアトランクを潰せば、場所は確保出来るかな?
---毛利蘭---
紅葉ちゃんも整備士になるそうだ。で、一弥は和葉ちゃんを迎えにいく準備をしていた。あのビートルで迎えに行くらしい。
「問題はルートだよな。大阪府警を敵に回すからな」
帰路のルートを考えている。検問に遭遇しないようにする為らしい。
「美和子、他県への検問って、すぐに出来るのか?」
「現場判断では無理、上の了承は必要だよ」
現役刑事である美和子さんが、協力しているので、多少は裏がかけるらしいけど…
「たぶん、京都府警も敵だろうな」
大阪、京都っていうと名阪道路は無理のようだ。
「神戸に向かってフェリーに乗るか?」
「海の上だと逃げ場は無いぞ」
「そうだよな。俺一人ならいいけど、和葉がいるしなぁ。そうなると、福井経由して、日本海沿いから関越か?」
「峠を越えて、中央狙いも手だぞ」
「峠か…ビートル向きじゃ無いなぁ」
「なんでだ?あのビートルなら峠でもいい走り出来るだろう?」
「和葉がリバースすると思う。ジェットコースター感が半端ないし、俺もリバースしそうだし」
なんか、やらかした仕様らしい。
「貰いリバースが強敵だな…美和子、試して見る?」
って、ことでサーキットへとやってきた。ちょうど真子さんがフリー走行の日だったらしいのだ。
「よぉ!真子」
「あぁ、一弥君…美和子さんも?」
真子さんが後ろめたそうな顔である。一弥とそういう関係なんだろう。
「あれ?真子、一弥に調教でもされているのかな?」
「え…そんなことは…で、今日は大勢でどうしました?」
サーキットの見学も兼ねて、整備士予備軍である私達も同伴したのだった。
「ビートルの試乗会だよ。真子も載ってもらよ」
カートレーラーからビートルを降ろす。公道で走れるのだが、誰もドライバーを名乗り出なかったのだ。美和子さんは愛車で来ているし。
「じゃ、まず私が乗る」
美和子さんが、ビートルに乗り込み、走り出した。
「何?あのビートルは…一弥君、今度は何をやらかしたの?」
真子さんが驚きの声を上げた。
「あれは…」
言いずらそうな一弥。やらかしているのは確実のようだ。
「ビートルの皮を被ったポルシェ930ターボだよ。ターボは3連装に換装してあるけど…」
「おいおい…」
真子さんの顔が引きつっている。
そして、美和子さんが1周で戻って来た。
「うっ!すまない、トイレ…」
リバースのようだ。
「美和子さんが平地でリバースって、あり得ない」
そういいながら、真子さんがスタートし、やはり1周目で戻り、トイレへ…
「どうするかな。違う車を用意した方が早いかな」
「一弥、アレは危険だ」
美和子さんが戻って来た。涙目である。よほど怖い目に遭ったのだろう。
「でも、ドリフトなしで曲がれるでしょ?」
「いや4輪操舵システムは切ったよ。なんか、違う乗り物に乗っている気分がしたからな。うっ!ダメだ…」
再びトイレに走り込む美和子さん。
「そんなに悪い車で無いはずだけど…」
一弥がスタートした。
◇
無事にガレージに帰ってこられた。美和子さんはぐったりしている。帰路は一弥がFD3Sのハンドルを握っていた。
「そうなると、和葉には無理だな。違う車を用意するか」
キャーリサさんの顔が強ばっていく。また、やらかすことが目に見えているからか?
数日後、ガレージに1台の車が運び込まれた。ヤケに古そうな車である。
「こいつは、デ・トマソ・パンテーラっていうイタリア車だよ」
何をやらかすのだ?みんなが身構える。
「とりあえず、足回りを強化して、乗り心地を優先する。キャーリサ、設計を頼む」
「乗り心地だけでいいのよね?」
「とりあえずな」
とりあえず…やらかす内容は伏せるようだ。
数日後、ガレージに見慣れない車が置かれていた。整備したパンテーラは消えていた。
「ねぇ、一弥。パンテーラは?」
「あぁ、アレを売って、これを買って来た」
わらしべ長者か?この車は何?見かけたことの無い車である
「これ?これはトヨタスポーツ800だよ。800ccの車だよ。コイツの足回りを強化して、スーパーチャージャを載せる」
「これで迎えに行くの?」
「そうだよ。小回りがきくし、乗り心地も悪くないし。整備のしやすい車だし、蘭たちの練習用にもなるし。やっと、良い中古を見つけたんだよ」
---佐藤一弥---
計画を実行した。だけど、和葉は和葉の家にいなかった。どこにいるんだ?和葉と会えない幻想をぶっ殺してみると、目の前に和葉が現れた。
「誰や?」
答えずに、和葉のオナニー姿の画像を数枚見せた。
「なんで?これもっとんの?一弥にだけしか見せておらんのに…お前…一弥か?」
「話は後や、はよ載れ!」
助手席に和葉を乗せ、一路、舞鶴を目指す。そこから日本海沿いを走って行く。そして糸魚川まで行き、今度は川沿いに走り、安曇野に向かった。安曇野にはカートレーラーが待機しており、そこに車ごと乗りこんだ。
「オープンカーでのドライブ、最高や!」
喜んでいる和葉。リバースすることなく走破出来たのは良かった。
「どうします?どこかで一泊しますか?」
五和が訊いて来た。
---服部平次---
家に帰ると、和葉が消えていた。
「おかん、和葉はどないしたんや?」
「部屋におらんのか?」
「おらんから、訊いておるんや!」
攫われたのか?座敷牢に匿っていたんのに、どうやって攫ったんや?!直ぐに、おとんへ連絡をして緊急配備をして貰った。大阪からださへんで。
「名阪の入り口、空港に人員を配置させた。取り戻すのも時間の問題だ、平次」
短時間で緊急配備を敷けるように、あらかじめ許可を取ってあるんや。工藤の女、キッドの女を攫ったヤツのツラを拝むのも時間の問題やな。ふふふ…
しかし、検問に引っかからなかった。京都府警には早い段階で、検問を設置してもらたんだが…どこへ消えたんや?まさか、逆方向か?九州や四国って可能性は無いか?レンタカーで移動して…そうなると羽田かぁ!
「おとん、羽田やっ!」
---佐藤一弥---
あれは、糸魚川まで後少しって時である。美和子から連絡があった。大阪府警から、羽田空港に遠山和葉を攫った人物が向かった可能性が高いって、捜査依頼があった。攫った者と一緒に飛行機なんか搭乗する誘拐犯って居るのか?相当テンパっているらしい。まさか迷わずに、京都府を縦断しての北上とは想わなかったようだ。
和葉は俺の上で踊っている。軟禁状態で溜まっていたようだ。服部は、何もしてやらなかったのか?
「ニュー一弥の方が男前やなぁ。惚れ直したでぇ」
なんか、なんだかなぁだけど、褒められたことにしておこう。
「こっちは相変わらずやな。ほんま、サカリの付いた種馬やねぇ」
いや、サカリが付かないと種馬って失格では無いのか?性欲の無い種馬って居るのかな?
『一弥!メシは?ねぇ、私のメシはぁぁぁぁ~!』
ダメシスターから連絡があった。しまった。俺と五和が一緒にいる。厨房にはシルと蘭しかいないようだ。
『今、帰って来て…お願いだよぉぉぉぉぉ!』
食う速さに料理が追いつかないらしい。紅葉もいるはずだけど…厨房要員を増やさないとダメか?これでは、おちおち五和と旅行へ出られないじゃないか。
『待っているからって、ミサカはミサカは…寂しいよ。早く帰って来てよぉぉぉぉぉ!』
半べそのミサカ。メシ以外にも問題があるのか。子守要員もいるのかな。散らばっている仲間を、早く救出しないとダメだな。
---世良真澄---
蘭ちゃん、青子ちゃんが消えた上、和葉ちゃんまでもが消えたそうだ。どこへ消えたんだ?工藤君に呼び出されて、待ち合わせ場所へと急いでいた。待ち合わせ場所は、ちょいと胡散臭い場所であった。路地裏の呑み屋って、未成年だろうに。そこに何かがあるとでも言うのであろうか?
店内に入ると客はまばらに座っていた。カウンター席に座ると、工藤君が隣に座った。
「マスター、いつものを頼む。彼女にも同じ物をだ」
工藤君の前には琥珀色の液体が置かれ、私の前にはカクテルが置かれた。未成年だよ。これはダメだろうに…横目で見ると工藤君は一気に飲み干していた。
「俺からのカクテルは飲めないのか?」
目が据わっている工藤君。何かがおかしい。何かが…うっ!後ろから胸をわしづかみにされ、後方に引き抜かれた。そのまま、リフトアップされている。胸が痛い。千切れそうだ。
「ほら、飲めよ」
えっ!顔を上に向けられ、鼻をつままれ、息をする為に口を開くと、そこへカクテルを注ぎ込まれた。飲み込まないと、息が出来無いのか…注ぎ込まれたカクテルを飲み干し、息をした。すると異変は直ぐに起きた。身体の芯が熱い。千切れそうな痛みが気持ちが良い。催淫剤か?太ももが震える。床に落とされて、ビリヤード台の上に載せられた。
「世良、どうしたんだ?ふふふ」
こいつ、工藤君では無いのだな。台から飛び降り、身構えた。
「ほぉ~、俺と戦うのか?いいよ。戦ってやる」
「あぁぁぁぁぁ~」
また、背後から誰かに胸を鷲掴みにされて、どこかへ運ばれていく。
「ここは地下の格闘場だよ。四方を金網に囲まれて、逃げ場は無いからな」
金網デスマッチってことか?ゲージ内には私とアイツだけである。身体が重い…えっ!いきなり一歩背負いで投げられ、背中から金網に激突した。
バチッ!
「うがぁ!」
この金網、電流が流れているようだ。背中に火花が舞っている。間髪を入れずに、顔から金網に…
バチッ!
「あぁぁぁぁぁ、顔がぁぁぁぁぁ~」
バチバチッ!
「うわぁぁぁぁぁ~」
乳首だけ金網に接触だと…股間から流れ出る液体。殺される…
◇
目が覚めると手首に鎖が巻かれ、天井から吊り下げられていた。
「殺すなら殺せ…」
死を覚悟したよ。全身が火傷しているようで、痛い。
「簡単には殺さないよ。蘭、塩でも塗って消毒してやれ」
えっ!蘭ちゃん?
「うがぁぁぁぁ~!」
躊躇せずに蘭ちゃんが、傷に塩を塗り込んでいる。激痛が全身を駆け巡る。
「この状況で濡れるのか?コイツ、マゾなのか?」
「マゾは嫌いだよね、一弥」
アイツに寄り添う蘭ちゃん。一弥だと…死んだ筈だ。生きているのか…
「苦しむ姿は好きだよ。なぁ、もっと唄ってくれよ、真澄」
殺される…死にたく無いよ…
◇
あれからどの位経ったのか。火傷は治っている。だけど、一弥の玩具にされていた。四方八方がコンクリートの打ちっぱなしの部屋。コンクリートの冷たさが気持ちが良い。舌で舐め上げて、下腹部の中で出す。その繰り返しである。愛撫なんかせずに、いきなり来て、そのルーチンをして出て行く毎日だ。食事は1日1回栄養点滴1本だし。逃げるにしても体力は無いに等しい。
「蘭ちゃん…助けて…」
「一弥の敵対勢力なんだよね?助けない。苦しめばいいのよ」
意識が遠くなっていく。ここはどこだ…コンクリートの冷たさを感じる。あそこにいるのか。
「大丈夫?助けに来たわ」
救いに来てくれた。助かったようだ。
「秀一の妹さんよね?」
シュウ兄を知っているようだ。私を背負い、部屋を出て行く。だけど…見つかり、折檻を受ける女性。私達は殺されるのかな…女性は調教され…舌を使い、体内に誘っている…私と同じ。その女性が動かなくなると、
「お前達はリリースしてやるよ。また元気になったら、捕まえてやる」
と、言われ、意識が闇へと沈んでいった。
◇
病院のベッドの上で目覚めた。助かったのか?全身に包帯を巻かれている。口元には酸素吸入マスク…点滴もされている。隣には、私を助けてくれた女性が横たわっていた。
「目覚めたのか、世良」
工藤君がいた。本物か?
「もう関わるな。次は殺されるぞ、お前…」
「あぁ、そうだな」
でも、たぶん、殺さないと思う。動けるようになれば、また遊ばれるのだろう。身体が治るまでが、私の休息時間なのだろう。