---司波達也---
転入生のことが気になり、家に帰るなり、叔母へ連絡を取った。叔母は現代魔法師協会日本支部の理事であり、この国の魔法使い事情に詳しいので、今日、学校で体験したことを話した。
『あのダンブルドアの隠し球ですね。あやつは、達也、お前でも勝て無いですから、注意しなさい』
俺自体、イレギュラーな現代魔法師であるのだが、その俺ですら勝て無いのか。
「あいつの能力は何ですか?」
『「幻想殺し」と「幻想使い」ですよ。あらゆる幻想を消すことが出来るの。簡単に言えば、魔法使いを一般人にしてしまう能力なのよ』
それは怖いなぁ。
『幻想には魔法や異能力だけでなく、夢や願望、野望も入るらしいの。言うなれば、簡単に人間を廃人に出来る危険な能力なのですよ』
夢や願望を抱かない者は絶望しか抱かないが、もしかすると絶望すらも消せるのかもしれない。思い描く未来が無い場合、精神が崩壊して、廃人になるってことか。
『敵にしちゃダメよ。後、彼に望まれたら、妹を差し出しなさいね。廃人になりたくないでしょ?』
モニタ画面に映る最強の魔法師である叔母の表情が強ばっているようだ。
---宗方一弥---
学校…遠いなぁ。渋滞も考えて片道2時間は見ている。9時に授業開始として、7時には家を出ないといけない。帰宅時は片道3時間くらいか。どこかに転移するポイントを作る必要は有るなぁ。せめて、八王子市内にだな。でも、あの学園都市の少女が気になる。その場合、学園都市内に拠点が欲しい。どうするかな。
教室に入ると、ホームルームが始まっていた。
「すいません、渋滞にはまりました」
と、先生に理由を話しておく。実際は五和と話していて、出る時間が遅くなっただけだ。俺の席を目指す。赤毛の女子の隣である。まぁ、そこそこかわいいかな。琴美には負けるけどな。なんで、琴美は義妹でないんだって、そんな不埒なことを考えて居たら、放課後になっていた。授業内容がよくわからない。現代魔法ってなんだ?
「お前、この学校へ通う意味はあるのか?」
赤毛の女子に訊かれた。
「どうなんだろうね。恩師の決めた道だ。なんか意味があるんだろうよ」
帰る支度をする為に、男子更衣室へと向かった。何故か、一緒に入る赤毛の女子。
「ここ、男子更衣室なんだけど」
「見られたら、困るのか?」
見たいのか?脳裏で『マリオネット・プレイ』と念じた。これは対象者を操る術である。相手の理性、思考に関係なく、相手の身体の制御を奪うのだ。
「うっ!貴様…何をしたんだ…」
服を脱ぎ始める赤毛の女子。更衣室のドアの鍵は閉めておく。誰も入って来ないようにね。
「止めて…お願い…」
全裸になり、自慰を始めた赤毛の女子。ソレをガン見する俺。なんか、根暗だな~。記憶を読み取っておくか。俺のアレを舌で舐めさせて、彼女の頭の上に手をかさざした。名前は千葉エリカ。千葉道場の娘さんのようだ。口に頬張って貰う。口の中で舌を駆使して貰い、自慰は続行させている。
涙目であるが上目遣いで俺を見ているエリカ。敢えて彼女の思考は読まない。どう思っているか知ってしまうと、同情心が芽生え、厄介だからだ。
「さてと、準備の出来たアソコで頼む」
立ち上がり、俺に抱きつき、自ら身体の中に俺を誘う。唇同士を重ね、言葉を発せないようにした。お尻を揉みくしゃにして、胸を掴み、乳首をはじく。あれ?白目を剥いている。どうしよう。どこかへしまわないと…「司波達也」と名前の書かれたロッカーの中に、ここでの記憶を消した彼女と彼女の衣服を入れ、カギを締めた。
時計を見ると、予定よりも30分ほど遅い。早く帰らないと、夕食に間に合わない。
---司波達也---
閉門時間が近いと言うのに、エリカが正門にやってこない。まさか、アイツに何かを仕掛けたのか?俺達は、エリカを探しに校内へと戻った。教室を見て回る。トイレは妹や女子に頼み、見回ってもらった。後、更衣室もだ。
「達也、どこにもいないぞ。もう帰ったんじゃないのか?」
レオンハルトに言われた。
「下駄箱に、靴が残っているんだ。学校内のどこかにいるはずだ」
エリカの気配を探る。何?!男子更衣室にエリカの気配を感じた。俺と妹の深雪だけで向かった。レオンハルトに見られても良い姿では無い可能性もあるからだ。
更衣室内でエリカの気配を探った。俺のロッカーから感じる。ここに閉じ込められているのか。カギを開け、俺の視界に入らないようにして、深雪に扉を開けて貰った。
「エリカさん!大丈夫ですかぁぁぁ!」
深雪の声。緊迫感がある。
「お兄様、治癒術を…」
下腹部から流血がある。だけど、これは…
「深雪、これは治癒術では治らない。つまり、そういうことだ」
エリカはアイツにやられたようだ。何か、気に障る行為をしたのだろうか?
◇
翌朝、エリカは欠席をした。相変わらず、、アイツは遅刻してきた。そんなアイツに、レオンハルトがいきなり殴りかかった。よけずに、壁まで飛ばされたアイツ。
「おい!これで終わりじゃねぇ。お前!エリカに何をしたんだ!」
怒りにまかせたレオンハルトの連打。アイツの顔がみるみる腫れていく。
バキッ!バキッ!ドスッ!
床に投げ捨てるように、叩きつけたレオンハルト。担任の教師は、目の前で行われている惨状を見ているだけである。誰も止めに入らない。
「痛いなぁ。この学校では、公開でリンチが行われているんですね」
笑みを絶やさないアイツ。レオンハルトが、アイツの胸ぐらを掴み、殴り続けた。腫れた顔は、裂けて流血をしていく。顔面血みどろになるアイツ。だけど、笑みを絶やさない。
「これで気が済みましたか?」
「ヘラヘラ笑っているんじゃねぇ!」
ケリとパンチを乱打するレオンハルト。アイツは避けずに総て受けていく。全身がボロ雑巾のようになっていく。だけど、笑顔を絶やさないアイツ。何をする気だ?
「そろそろ身体が現界ですので、この幻想をあなたに贈ります」
次の瞬間、床に倒れるレオンハルト。全身がボロ雑巾のようになっていて、アイツは無傷で立っていた。あれが幻想使いの能力なのか。受けたダメージをそっくり返却出来るのか…
何事も無かったように、自分の席へ向かい、椅子に座ったあいつ。最強な能力は伊達では無いようだ。
◇
「なぁ、妹さんを紹介してくれないか」
放課後、アイツから話し掛けて来た。今日は深雪を襲うつもりか?
「身構えるなよ。今ここに呼び出すから、紹介を頼むよ」
次の瞬間、アイツの隣に妹である深雪が現れた。強制転移術か?いや、深雪の居場所が把握出来無い限り、転移させることは不可能である。後、考えられるのは、深雪を下僕にしての召喚術か…コイツ、いつの間に…
「司波君、妹さんを紹介してくれないかな?」
深雪を舐める様な視線で見ている。それに気づき、深雪が狼狽えている。朝のレオンハルトのことを知っているクラスメイト達は、誰も助けようとしない。
「どうしたんだ?紹介しれくれないのか?じゃ、昨日、千葉エリカが何をしたのかを、再現してやるよ」
再現…させてはいけない。
「待て!紹介をする。俺の妹の深雪だ」
「それでいいんだよ、司波君。じゃ、なぁ。夕食までに帰らないと五月蠅いんだよ」
深雪に何もせずに出て行くアイツ。
---宗方一弥---
美しい女性だったな。イリュージョンの時にアシスタントをしてくれると嬉しいんだけど。そんなことを考えながら学園都市内を走行している。また、迷ったようだ。美琴にあった場所まで行けば、ゲートに出られるかな?出会った場所を探す俺。そんな時、美琴らしき少女が、シマシャツを着た男にリンチを受けていた。おいおい…少女にそれは無いだろうに。少女の受けたダメージをすべて、相手に贈呈した。
「何…」
その場で血反吐を吐いて、倒れる男。
「美琴、大丈夫か?」
「お姉様の知り合いですか?」
美琴の妹のようだ。そういえば、どことなく違うような。
「まぁ、そんな関係だよ」
男を放置して、美琴の妹を後部シートに載せて、ゲートの近くまで誘導してもらった。
「サンキュウな。美琴にもよろしくって、言っておいてくれるか?俺は宗方一弥だ」
「はい。ミサカは、お姉様に伝えます。絶対に…」
彼女と別れて、ゲートをくぐり、やっと学園都市を脱出出来た。この学園都市って、バイクに搭載しているナビにマップが載っていないようだ。新しい街ってことかな?最新版のマップにアップデートしたのに…
---江戸川コナン---
蘭からガラケーに着信だ。変声機を使い工藤新一の声にして、通話を開始した。
「どうしたんだ?」
『ねぇねぇ、訊いてよ、新一』
なんか、困惑しているような声だが、なんか事件か?
『クラスメイトの菊池くんって、覚えている?』
菊池?なんか、いたなぁ。そんなガリ勉男が…
「あぁ…確か、牛乳瓶の底のような眼鏡のガリ勉男だったよな?」
『そうだよね?』
俺に確認を求めているような。なんでだ?
「菊池がどうしたんだ?」
『いないのよ!』
いない?
「失踪事件か?」
『違うのよ。クラス名簿に名前が無かったの』
はぁ?クラス名簿に名前が無い?そんなはずは…クラス名簿のリストを探し出し、目で名前を追っていくと…なんだってぇぇぇ~!マジに、ねぇじゃん…どういうことだ?
『なかったでしょ?どういうことかな?』
「確かにねぇなぁ。あれ?なんでだ?」
ふと、何かが引っかかった。確かに俺は、『きくち』って呼んだ記憶はあるんだが…あれって、名字でなくて、名前だったような…
「なぁ、いつからいねぇんだ?」
『先週のテストの返却の時に、1位として、先生が名前を呼ばなかったんだよ』
「1位が取れなかったってオチか?」
『うぅん、違うのよ。名前がまったく呼ばれなかったの。その上、菊池君がいないのに、教室内に空席が無かったんだよ~』
なんか涙声のような蘭。これって、ミステリーか?なんか、引っかかるものがある。
「なぁ、『きくち』って名前で無かったか?そんな気がするんだけど…」
『新一、何をバカ言っているの?!菊池って名前が有るっていうのか?!』
うっ!そう言われると、そうなんだけど…名簿リストに視線を落とし、ある名前を探した。あった!コイツじゃないのか?
「なぁ、宗方菊次郎って、どんなヤツだ?」
『うん?むなかた きくじろう?誰、それ?』
「名簿リストにあるんだけど…」
しばし無言の蘭。「えっ!」って、小さい声が聞こえた。
「もしかして、「きくじろう」の愛称が「きくじ」で、俺達はそれを「菊池」と勘違いしたんじゃねぇかな?」
『あ…そういうことか…じゃ、なんで、その宗方君って人の席が教室に無いの?』
「考えられることは、転校したとか、退学したとか、除籍…」
まさか、学校が生徒に知らせずに、こっそりと処分する理由…それは、虐めによる自殺だ!まさかなぁ…
「なぁ、蘭。そいつはいじめられていたか?」
『う~ん、わからないよ。テストの時しか存在感が無いから。普段はいるのか、いないのか、分からないって言うか』
モブってことか。それは虐めの対象になりうるな。蘭に知らせた方がいいのかな、これって。
『まさか、彼は虐めにあって…ウソっ…』
俺が伝える前に、蘭が気づいてしまった。マズぃ~な。
「蘭…大丈夫か?」
俺の声は蘭の耳に届かなかったようで、通話が切断された。俺は、蘭の部屋の前に急いだ。
ガチャッ!
ドアが開き、つぶらな瞳から涙をポロポロと流している蘭が、部屋から出てきた。
「コナン君、どうしよ~!」
いきなり、コナン姿の俺に抱きつく蘭。まさか、虐めていたのは蘭なのか…
「ど、ど、どうしたの?ねぇ、蘭姉ちゃん…」
蘭の言葉は続かずに、嗚咽だけが聞こえる。マジか…蘭が虐めたのか?おいおい…
「思いだしたの…私、彼に告白されたの…なのに、気づかなくて、どこのクラスの人かなって…」
おいおい…勇気を出して、クラスメイトに告白した挙げ句に、誰って訊いたのか。それは、それでショックだろうな。
「まさか、それを苦にして…どうしよう…コナン君…」
告白絡みだから、工藤新一には相談は出来ないよなって、俺に言われてもなぁ…
「まだ、そうだと決まった訳では無いよ」
苦し紛れの返答をする俺。なんか、ものすごく嫌な予感がするんだが…
「蘭姉ちゃん…僕が新一兄ちゃんに依頼して、真相を調べてもらうよ。それでいいよね?」
「うん、ありがとう…コナン君…」
なんかヤバい案件に手を出したような…
---宗方一弥--
琴美に連れ出され、近所を散歩している。久しぶりの祖国の変貌ぶりを見なさいって。なんか、エラそうなことを俺に言う琴美。琴美のくせして生意気だ。今日の琴美は通学では無いので、素の琴美である。休日はダサ少女に変身はしないそうだ。
歩いて散歩のはずが、電車に乗り米花町に来た。B級グルメな俺の為に、今は亡き菊次郎が、昭和レトロな喫茶店を発掘してくれていたらしい。
「う~ん、この辺なんだけどなぁ」
琴美が菊次郎の書き残した手書きの地図を手にして、目的地を探している。俺の視線は、3人連れの女子の集団をロックオンしていた。アイツ、まさか…まさかなぁ…
気配を消して、背後に迫り、胸に手を…おっ!この感触は間違いない。
「誰だ!路上で堂々と痴漢だとぉぉぉぉ~!」
振り向いた知り合い。
「よぉ!真純、奇遇だな」
「か、か、一弥か?お前なあ~、胸で判断するのは、やめろ~!」
おや、真純のくせに、連れている女子が、かわいいのは何故?
「あれ?真純って、百合だったのか…」
「百合じゃないよ~!ボクだって、男子が好きだぁぁぁ~!」
見た目男子の世良真純。留学中に知り合った友人の一人である。
「世良ちゃんの知り合い?」
「あぁ、ボクの知り合いの宗方一弥だよ」
「むなかた…」
黒髪ロングの女子が、小さな声でリピートした。まさか、こいつ…
「お兄ちゃん!妹とデート中に、陸釣りって、どういうこと?!」
あぁ、琴美がいたんだな。
「留学時代の友人だよ、このボク娘はさぁ」
お尻をなで回し、サクランボを指で押す。
「貴様…ボクを愚弄するのか…」
肩を抱き、真純の唇を奪った。その瞬間、真純の記憶を読み込んだ。ほぉ~、奇遇だな。獲物2匹が一緒とは…真純の連れは、探そうと思っていた毛利蘭と鈴木園子であった。では…5人で転移をした。ジャマの入らない場所へと…
「ここは?一弥!何をやらかすんだ?」
俺から離れ、二人の前に立ち、臨戦態勢になった真純。
「真純には用は無い。俺の用は、後ろの二人だよ」
「lこの二人が兄さんを、死に追いやったのね」
琴美が状況を理解したようだ。
「どういうことだ、一弥!」
だけど、毛利蘭は罪の重さを感じているようだ。膝が笑っている。顔からは血の気が失せていく。
「この二人からの虐めに遭い、俺の弟は死を選んだんだよ。まぁ、しょうも無い理由で、死を選んだ弟はバカだと思うが、お前達、あれは無いだろう?あの局面であれは、酷く無いか?死ぬ程とは思わないが、悪意なき、悪をひしひしと感じだよ」
もう術は発動してある。コイツらに恐怖を刻み込んでやる。真純はとばっちりだけどな。
「ご、ご、ごめんなさい…」
毛利蘭から、謝罪の言葉が投げつけられた。