探偵の喜憂*
---宗方一弥---
シスターズ達は働き者である。それ故、仕事が不足気味というか…元々戦闘用途に作られているので、見た目は美琴でも、タフで忍耐力がありすぎる上、幸せ感はミサカ、美琴、琴美と共有する為、休みの日が要らないらしい。むしろ、休みの日に、することが無いと不満を言われたり…何か彼女達の生きがいを、新規ビジネスを考え無いとダメかな?
閃くモノはある。だが、俺には先立つ物が無い。園子という財布以外には…園子に事業計画書を作成して、直接手渡した。
「新規事業?何するの?」
計画書に目を通す園子。その間、俺は園子から溜まっている物を抜いていく。
「探偵事務所の新設と、イベントホールの運営?」
「知り合いに探偵がいるから、事務所があった方がいいかなってね。イベントホールは俺のイリュージョンなどのイベント用だよ」
意外そうな顔で俺を見つめている園子。
「ド変態のくせに、まっとうな事を考えて居るんだ…」
そこか?意外性って…
「場所の候補地は?」
「緊急車両用の通路の脇の平地に探偵社、森の中の教会をイベントホールにしようかと…」
「まぁ、両方ともうちの敷地だから、好きにして良いわよ。それよりも、彼ともっとスキンシップがしたいのよ!どうにかしなさいよね!!」
清いお付き合いじゃ無いのか?
「わかった。肉体関係以外は出来る様にしてやる」
「高校を卒業したら、それも解除しなさいよ。お金の問題は、どうにかするから…」
そろそろ園子以外に財布を用意するかな。
◇
森の中の教会は、ツタが絡まるチャペル状態であった。まぁ、ソレが功を奏して、耐震性がアップしているようだ。内部は音響効果がなかなか良い。パイプオルガンがあったので、少し改修を施した。
「どうかな?」
「いいんじゃないか?」
専門家の火織に最終チェックをして貰っている。ここを十字教の教会に認定してもらう作戦である。
「常駐の司祭は?」
「うちの巨大胃袋…」
「アイツは、司祭の資格が無いんだが…」
シスターでは司祭はダメらしい。
「じゃ、火織は?」
「私か?う~ん…分かった。名義貸しをしよう」
常駐なのに、名義貸しでどうにかなるのか?
「森の音響はどうなっているんだ?」
土御門に訊かれた。
「木々の枝より上の空間に半ドームタイプの結界を張ってあって、空気振動を利用して、空間自体が3Dスピーカーになっているんだ」
試しに、パイプオルガンの音を流した。
「確かに、森の木々から聞こえる感じだな。神秘的でアリな演出だな」
火織に褒められた。
「で、金ヅルは、あの建物か?」
土御門に訊いた。俺達の隣家に越してきた大英帝国大使館。その大使は第二王女だという。俺の眷属になった土御門はマルチフェース、要するに多重スパイであり、大英帝国の暗部組織にも属しているそうだ。
「そうにゃ。お前を取り込む為に、女王が送り込んだんだよ」
「じゃ、取り込んでしまえば、多少財政が安定するかな?」
「あぁ、お前の野望が一歩前進するはずだ」
俺の野望…この世界から戦争を無くし、幸せなヒモライフをまったりと送ることである。その為に必要な物は3つ、経済を統べる者、宗教を統べる者、武力を統べる者だと考えて居る。それぞれが敵対しているように演じれば、睨み合いだけで、済むのではと思うのだ。その3つを裏から演じさせる組織を作れば、俺のヒモライフプランに近づくはずだ。土御門、火織には話してある。呆れながらも反論はしてこなかった。
「大英帝国を引き込めば、問題は少ないだろう」
と、土御門。
「私のヒモになってくれるなら、賛成しよう」
女教皇のヒモって何?俺は何を搾り取ればいいんだ?信仰心なんか、要らないぞ!
---江戸川コナン--
珍しく、アイツから連絡があった。俺は蘭に連れられて、アイツの家に向かっている。
「いい?一弥さんの事を悪く言うようなら、今後、容赦はしないからね」
ベタ惚れ状態にされているんだが…まぁ、俺はこの身体では、どうにもならないし。変な虫が着くよりも、アイツに預けておけば、問題は少ないか?
途中で世良、白馬、なぜか快斗と青子、それに紅子が合流した。このメンバーを集めて何をするんだ?快斗がいるのが解せない。単なる青子の連れなら問題は無いと思うんだが…
「今日は、一弥から重大発表があるらしんだよ」
って、白馬。
「新作のイリュージョンかな?」
青子が楽しそうだが、快斗の顔は浮かない。
「おい、お前はどう思う?」
小声で俺に訊いてきた快斗。コイツの正体を知らないのは、この中では蘭と青子だけだと思う。
「お前を青子の前でタイホかもな~」
「それは、避けたい」
「なら、なんで来たんだ?」
「青子が心配だからだよ。お前の女と同じで、アイツにベタ惚れしているようなんだよ」
蘭の場合は魔具のせいだと思うが、青子の方は素でそうらしい為、重症のようだ。世良もそうだが、ペチャパイ系には魔具を使わない主義のようだし。ド変態のすることは、よく分からねぇな。
◇
なんだ、この家は…個人宅でこの規模って有るのか?
「コナン君ですら驚くのか。ボクも最初驚いたよ」
世良は何回か来ているらしい。
「破綻した高級リゾートを、居抜きで手に入れたそうだよ」
って、白馬。離れは3階建て、本邸は4階建てのマンションのような建物。ヘリを収納出来るガレージがあり、ヘリポートは2基分有るって…これ、プールか?25メーターが8コースもあるじゃねえか…
「ようこそ」
アイツが空中からゆっくり降下して現れた。青子と蘭以外がネタの有無を調べる。手品を前にした、探偵と怪盗の哀しいサガかな。
「さぁ、こちらへ」
ワイヤーをたぐり寄せるような動作をして、本邸の方へ案内する一弥。たぶん、ワイヤーなんか無いのだろう。
「これは、浮遊術のようね」
紅子がつぶやいた。魔法ってことか…だんだん分かって来たのだが、魔法と手品を組み合わせている一弥。ネタがあると思うわせる余地を残しているようだ。魔法使いが手品をするのは、反則手であるって、理解はしているように見える。
通されたのは食堂であった。既に俺達の席が用意されていて、皿などが置かれている。
「遅かったわね」
って、園子と次郎吉がいるし。マジで、何をするんだ?このエセ手品師は…ははは。
「まずは食事会からスタートしましょうか」
見た目が同じ顔のメイドがたくさんいる。既にマジックはスタートしているのか?
「まず、軽く胃袋を温めください。コーンクリームポタージュです」
うっ!めぇ~。なんだ、これ…旨すぎる。
「今日は一弥の料理を楽しみにしているんじゃよ」
次郎吉がご満悦である。もしかして、次郎吉がスポンサーなのか?それなら、この規模の邸宅も納得出来るなぁ。
「二品目は、サラダにしようと思ったのすが、冷や奴にしました。薬味として、ミョウガ、ショウガ、キュウリなどのぬか漬けの微塵切りを乗せてあります」
うっ…これも旨い…
「一弥、イリュージョニストとして成功しなかったら、レストランでもしないか?」
「相談役、シャレにならないですって」
次郎吉が楽しそうにアイツと会話している。あの小難しい爺さんの人心も得ているのか?
「三品目はメインです。園子のリクエストでビーフシチューを用意いたしました」
「あの料理を作ってくれたんだ~」
園子のテンションが上がった。どんな料理だ?白馬と世良が嬉しそうだし。あの二人も食べたことがあるのか?目の前の皿には、ソースを纏っている1枚肉がドンと置かれていた。俺の知っているビーフシチューと違うんだけど…白馬、世良、園子はスプーンを手にして、残りの者はナイフとフォークである。えっ?
「スプーンが正解なのね」
って、蘭が園子を睨んでいる。間違った選択をしたのが悔しいようだ。よく煮込まれている肉。1枚肉の形状でいるのが奇跡な位、ホロホロに崩れていく。
「う~ん、満足だよ。園子には訊いていたんだが、こうして食べてみると、また食べたいぞ」
次郎吉はご満悦である。
「準備に時間が掛かるので、頻繁には無理ですけど、またお誘いしますよ。相談役とは長いお付き合いになりそうですし」
「資金援助の件は任せてくれ。無理の無い範囲で援助してやるぞ」
なるほど、鈴木財閥の援助を受けているのか。
「じゃ、コーヒーでも飲みながら、女性にはケーキをお出しします。で…そうそう本題ですね」
女性では無いんだが、俺の前にもケーキが置かれた。皿の上にプチケーキが8種が円周上に置かれ、中心にはアイスが置かれていた。蘭たちが嬉しそうに食べている。俺も一口…うっめぇ~!なんだ、これは…
「本題なんですが、鈴木家の援助を受け、ベルツリー探偵社を立ち上げます。所属する探偵は、白馬探、世良真純、江戸川コナン。意向を確認予定なのは、服部平次、工藤新一などです。サポート要員は、黒羽快斗、毛利蘭、遠山和葉、小泉紅子を予定しております」
はぁい?なんか、俺の名前が2回出てきたようなんだが…
「怪盗キッド対策じゃよ。自前で探偵団を持てば、最強じゃろ」
次郎吉がご満悦だ。快斗は…青い顔である。この場で参加を渋れば、青子の前でのタイホは確実だしなぁ。どうするんだ?
「い、い、いきなり言われても…」
「うん?快斗は、反対なの?私は呼ばれなかったのに、うらやましい立場なんだよ」
青子にあぁ言われて、逃げられる快斗では無いだろう。一弥の作戦勝ちだな。
「来週には社屋は完成する。場所は崖の下の平地部分にある。住宅も用意してあるので、ここに越して、近所の高校へ通うことも可能だよ。ちなみに、探と真純は越してくるそうだ」
おい!納得済みなのか、あの二人は。快斗は撃沈して、書類にサインをしていた。紅子は保留のようだ。
「食後は音楽会を用意しております。こちらへ、どうぞ」
あれ?俺には確認して来ない。なんでだ?ふと、何かの視線を感じ、振り返ると、蘭の殺気の籠もった視線のようだ。この場で書類にサインしなかったからか?俺のことは蘭に丸投げか?おいおい…
◇
裏門から出ると森に出た。木々から音楽が聞こえて来た。不思議な空間である。
「木々に3Dスピーカーを埋め込んで、音を立体的に表現しています」
いや、木々に埋め込まれていない。木の表面に振動が無いし、アンテナ、コードの類いも無い。これは魔法か?
「演奏は、あそこにある教会でしています」
森の奥にはツタの絡まる教会が鎮座していた。見るからに、魔女の館に見えなくもない。紅子が身構えているし。だが、内部は、厳かな空間であった。心が癒やされる感覚に陥る。これも魔法か?
「ここの司祭は、十字教の女教皇が就任しています」
女教皇?十字教のナンバー2だっけ?そんなに高位な教会なのか?どうやって、十字教に近寄ったんだ?
---黒羽快斗---
一弥にやられた。サインした上に、血判を…くそっ!俺が警備陣にいたら、怪盗キッドは現れない。最強の警備では無いか…
「お前にもメリットをやるよ。お前の父親をはめた黒幕を見つけ次第、お前に引き渡す。それで、チャラにしてくれ」
一弥は俺の事情を知っているようだ。
「後…お前の父親の死は確認されていない」
うん?
「生きている可能性があるのか?」
「可能性はある。だが、あくまで可能性だよ。確定するまで、喜ぶなよ」
コイツ、調査をしてくれていたのか。
「青子の為に、青子のことを考えてやれよ」
そうそう、
「なんで、青子の名前は無かったんだ?」
「青子は戦闘能力が皆無だ。前線には出せない。意味はわかるだろ?」
自分の身を守れないってことか。
「あんな良い女を無駄死にはしたくない。それだけだ」
「だが、俺は…」
「世の中、バレ無きゃ良いこともあるんだよ。難しく考えるなよ」
そうかもしれないが…
---キャーリサ---
日本の地に降り立ち、空港からヘリで大使館へ向かった。上空から、敵陣を見る。塀1枚で隔てられているだけのようだ。大きさは、我が大使館より広い土地では無いか…
「どうして、あっちの方が広いのよ!」
「後ろ盾に鈴木財閥がいるようです。あれらの土地の登記は鈴木財閥です」
金策は、世界有数の金持ちである鈴木財閥にさせるのか。大使館に入り、設備をチェックしていく。庭に出ると、かすかに賛美歌が聞こえて来た。この音色はパイプオルガンか?
「近所に教会があるの?」
「宗方一弥邸の庭に、十字教の教会が…」
はぁ?個人宅の庭に、教会ですって?どういう成金趣味なのよ!
「司祭はいるの?ニセ教会なんじゃないの?」
「プリエステスでございます」
何?十字教のナンバー2が司祭に名乗りを上げたのか?!
「洗脳されたの?」
「まさか…あり得ません。プリエステスは現代の聖人です。いかなる悪意にも負けませんよ」
「では、どうして!」
自室に籠もり、母である女王へのホットラインを手にした瞬間、身体に異変を感じた。受話器を置き、違和感の原因を確かめる。全裸になり、姿見で見たが問題は無い。だが、異変は続いている。何者かに、舐められている感触が乳首から伝わってきている。下腹部が濡れていく。その湿り気を吸う感覚を感じ始めた。
「うっ、うぅぅぅぅ~。どうしたのだ。何かの呪いを受けたのか?」
えっ!
一瞬宙に浮く私の身体、投げ捨てられてベッドの上へ、背中から叩きつけられた。すると直ぐに誰かに馬乗りされた感触がある。クリトリスをこねられている。頭の中がマッしろになっていき、何も考えられず、どうしたら良いのかが浮かばない。
◇
ベッドに両手を着き、後ろから誰かにやられている。王女なのに、ケダモノに犯されている。だけど、助けを呼べずに、刺激を愉しんでいる私がいた。
部屋の隅には、先遣隊でここに来た妹が果てているようにみえるが、全裸で蹲り、自ら慰めている。
「ねぇ、誰?何が欲しいの?」
何も答えずに、私から抜けた何か。何かのドロドロとした液体が、私の身体から流れ落ちていく。その刺激を愉しんでいると、お尻の穴に何かを塗られ、何かが入って来た。
「ダメ!そこはやめて…いやぁぁぁあ~!」
足腰の力が抜けていく。次は何をされるんだろうか。
「思ったより骨が無いんだな」
もうダメだと諦めた瞬間、相手の声が聞こえてきた。誰の声だ?後ろを振り返ろうとするが、お尻に固い棒のような物が挿入されていて、動けなかった。
「なぁ、膣とお尻、どっちが気持ち良かった?」
「お尻…」
お尻から何かが抜けた。そのせいで、ベッドに前のめりになり、倒れた。
---エリザード---
英国の女王である私に最大の試練が迫っていた。目の前では、女王直属部隊の騎士団が全滅した。たった一人のガキに…
「ケンカをしに来た訳では無いのに、この歓迎はどういうことですか?」
涼しい顔をしたガキ。ソイツからは悪意をまるで感じ無い。しかし、やっていることは悪意そのものである。長女である第一王女のリメエアを背後から抱きしめ、唇を奪い、胸を揉み、股間に指を這わせている。
騎士団長は、床に転がっていた。この宮中最高の魔法使いである近衛侍女すら、全裸にされ、弄ばれた末に、床に捨てられている。
「まだ、何か、歓迎式典ってあるんですか?」
その悪意の両脇には首輪を嵌められ、全裸で待てのポーズをしているキャーリサとヴィリアンがいた。
「貴様…ここをどこだと思っているんだい!」
危険である。コイツには魔法がまるで効かない。コイツ…幻想殺しか?玉座の後ろから、カーテナ・セカンドという剣の霊装を取り出して構えた。
「お前の好き勝手にはさせないよ!こちらにもプライドがあるんでね」
え…目の前でリメエアがやられていた。両腕をだらしなく垂らして、目は死んでいるような。口元からヨダレが垂れている。
「貴様!娘達を…許さん!」
剣を振り上げて、振り下ろした。
「天使の力か?『ドレイン』」
何?力を奪われ霊装がボロボロと崩れていく。幻想殺しではなく、魔法使いなのか?呆気に捕らわれている私の前で、リメエアの首に首輪が嵌められていた。
「で、次の出し物はなんだ?」
その時、目の前の扉が開き、待ち人達がやってきた。
「遅くなりました」
玉間に現れた援軍達。これで、形成は逆転だな。
「プリエステスよ、この不埒な輩を排除をし。土御門、お前も協力をせぇ!」
「婆さん、降参した方がいいぞ。この城は、俺達で制圧したからにゃ」
土御門の口から信じられない言葉が…
「お前!裏切ったのか?」
「裏切ったというには語弊があります。私達は制圧されたんですよ、陛下」
プリエステスは目の前にいる輩にすり寄り、頬を重ねていた。つまりは、そういうことのようだ。
「はっきり言って、大英帝国では、コイツには勝て無いぜぇ。遠隔霊装で護られているからにゃ」
遠隔霊装だと…まさか、あのわがままな小娘を手に入れたのか?
「なぁ、ババア!手に入れたって、うちの巨大胃袋を物のように言うのは止めろ!あれでも一応人間なんだよ」
目の前の輩が怒りを一瞬纏った。それだけで、空気が鳴動し、石組の壁が揺れていた。
「じゃ、早いとこ調印をしてくれるか?」
「調印だと?」
土御門が書類を持って来た。友好条約じゃと!ここまで痛めつけておいて…ふざけるなよ、小僧よ!
「いやなら、ババアは引退だな。リメエアが後を継ぎ、女王になれ」
「はい!ご主人様」
アレは魔具の『奴隷の首輪』か…貴様!
「ババァ!猶予を24時間やる。よく考えて、サインするか破棄するかを考えろよ」
目の前から彼奴が消えた。そして…玉間に静寂が戻った。