---宗方一弥---
失踪事件の方が解決したので、宝石強奪の現場に、人員を増やせそうだ。
「探、どんな塩梅だ?」
現場で警備計画を立てている探の元を訪れた。
「コナン君と快斗に、侵入経路を潰してもらっている。問題は、ニセキッドが何者かだな」
快斗の敵は重火器を躊躇無く使う輩だそうだ。
「推理要員は十分だから、戦闘要員を補強するか?バズーカなんか撃ち込まれたら、真純では防御出来無いしなぁ」
「そうだな。手荒な相手だと、僕達ではきついと思う」
どの程度の攻撃をしてくるかが問題だ。琴美と深雪だけだと防御に不安があるし。う~ん…
「予告では公開初日である、あさっての0時に参上ってあったから、今夜中に策を練り上げないとなぁ」
探の表情は硬い。相手が不明な分、手立てが浮かばないのだろう。侵入経路を潰しても、重火器で経路を新たに作られてしまう可能性もある。極端なことを言えば、展示室以外は壊滅させる手だって…俺ならそうするし。
◇
家に戻り、忍を尋問した。
「なんでじゃ?なんで、尋問するのに、全裸にされて、大の字拘束なのじゃ?」
「幼女姿の場合の実況検分もしたいからだよ」
見た目、幼女だよな。蕾は開花の気配すらないし。
「あのルビーの中身はなんだ?お前は、アレに引き寄せられて来たんだろ?」
「あれは仲間じゃ。儂よりも、お主の好みかもしれんな」
まさか、また幼女か?
「誰に封印されたんだ?」
「先代の王にじゃ。儂も彼女も、王に刃向かったのじゃ」
吸血鬼の王様か?封印術の使える吸血鬼って、厄介かも。
「彼女は石に封印され、儂は北極の氷の中に封印されたのじゃ」
地球温暖化の影響で、復活したのかな。
「世の中は暖かくなったもんじゃな。氷が溶けて、最近出られたのじゃ」
ドヤ顔の忍。かわいいことは、かわいいと思うが…
「で、その王様はどうした?」
「儂も彼女もディウォーカーでな。昼間に行って、灰にしてやったわい」
ディウォーカーなのか。昼間も平気なのか。
「なぁ、取引をせぬか?」
「どんな?」
「彼女を助け、儂と同じ身分にしてくれたら、先代の王の城をやる。どうじゃ?」
吸血鬼の城か…興味あるなぁ。
「わかった。下僕の頼みだ。約束をしよう」
『おい!吸血鬼と取引って、何だ?』
巨大胃袋から念話だ。だって、興味あるじゃん。吸血鬼の王の城だぞ。
『お前というやつは…相手を考えろよ~。ブツブツ…』
教会サイドの者にとって、吸血鬼は宿敵のようだ。まぁ、俺は中立でありたい。
---目暮十三---
眉唾な案件であるが、我々の目の前で、高木の遺体は灰になってしまった。検死をする際のライトの光を浴びてしまって…
「吸血鬼って、実際にいるんですね」
沈着冷静な白鳥君でさえ、顔面蒼白な事態であった。
「被疑者死亡で送検だが、犯人をどうするかだな」
高木も被害者である。精神薄弱状態だったはずだ。だが、首謀者が吸血鬼って、どう検察に説明すれば良いんだ?
「目暮警部、真実をありのまま、調書に書くしかないですよ。目撃者は多数いるんですから」
高木の灰化は、鑑識さんも監察医も、皆見ている前で起きていた。
「そうだ。まだ佐藤君の遺体があるはずだ。一弥君に連絡をしてみよう」
◇
一弥君に連絡をして、更に驚愕な事実に突き当たってしまった。オフレコを条件に教えてくれたのだが、佐藤君は生きているそうだ。既に人間では無い状態で…信じられない。私だけって条件で、佐藤君に会ったのだが、彼女の脈は全く触れていなかった。血圧もゼロだし…
「どういうことだね、一弥君」
「警部、世の中には知らない事の方が多いんですよ」
異常事態を前に、平然と答える一弥君。そんな彼に寄り添うように抱きついている佐藤君。
「こういう事は知らないでも生きられますよ」
「だがなぁ、送検するのに、信じられる説明が無いと、警察の機能は麻痺をするんだよ」
「ならば、権威のある機関の鑑定書を渡します。検察と裁判所で、ICPOにて確認してもらってください」
一弥君がどこかへ連絡をしてくれた。
「どこへ連絡をしてくれたんだ?」
「十字教の副教皇です。教皇の署名入りで、吸血鬼の存在証明書をお願いしました」
世界最大の宗教のトップの見解だと…確かに、権威はあるが。
「また、問題が発生したら、ベルツリー探偵社に、ご用命をお伝えください。どんな事件でも、協力いたしますからね」
う~ん…
---遠山和葉---
平次と共に東京へ…アタシと平次に招待状が来たのだった。
『ベルツリー探偵社で、一緒に働きませんか?』
って、アタシには蘭ちゃんから、平次にはコナン君と工藤君の連名でね。
「胡散臭い、探偵社やな」
平次はワナか何かと疑てる。
羽田空港からリムジンバスで、最寄り駅まで行き、お迎えの車を待っている。
「和葉ちゃぁぁぁ~ん!」
蘭ちゃんの声や~。
「蘭ちゃん、お招き、ありがとうね」
笑顔の蘭ちゃん。
「詳しい話は、社の方でね。さぁ、乗って」
白いベンツでお迎えであった。
「スゴイ、蘭ちゃんの車?」
「まだ、免許を取れる年齢で無いわよ」
あぁ、そうやな。後部シートに平次と乗り込むと、蘭ちゃんは助手席に乗り込み、ベンツが走り出した。
ベルツリー探偵社…蘭ちゃんも、工藤君も、コナン君も在籍している探偵社だそうや。蘭ちゃんは通いだけど、工藤君達は住み込みだそうで、個室を与えられてるそうや。皆、学生探偵なので、福利厚生として、近くのベルツリー高校への通学ならば、学費、教材費を支給してくれるんやて。う~ん、魅力的やな。
「工藤とボウズは?」
「明日、怪盗キッドの予告日なんで、対策会議中なの。私は探偵で無いから、小間使いからボディガードまでこなせる雑用要員なのよ」
そうなると、アタシも雑用要員なのか。う~ん、蘭ちゃんと一緒に通学もバイトも出来るなんて、良い話や。
「ここよ」
真新しい建物を指す蘭ちゃん。社屋は広そうや。
「あっちが、住居棟よ」
住居棟はマンションのようだ。個室って、マンションのワンルームが与えられるのか?ベンツは車庫に滑り込み、建物の前に立ったアタシ達。蘭ちゃんを先頭に、いざ社屋の中に…
◇
社長室と書かれた部屋。
「お二人をお連れしました」
声を掛けてから、部屋に入る蘭ちゃん。
「あぁ、お疲れ」
見た事の無い青年が、何かの本を読んでいた。
「遠い処、お疲れ様です。一応、社長をしている宗方一弥です」
手の平と甲を見せて、空中から何かを取り出して、アタシは名刺を手渡された。
「一弥は探偵で無くて、手品師なんだよ」
嬉しそうに話す蘭ちゃん。あれ?彼氏は彼なのか?工藤君の立場は?
「なぁ、工藤はどこや?」
平次がいきなり、問いただすように訊いた。
「コナンなら、そこにいるぞ」
あれ?さっきまで誰もいなかった場所にコナン君が立っていた。
---服部平次---
「ちょっと、この小僧とサシで話があるんだが」
「なら、あの商談室を使っていいよ」
エラそうな社長やな。俺は小僧をつまみ上げて、その部屋に入った。
「おい!どういうことや、工藤!」
「どうもこうも無い。手紙に書いただろ?」
コナン姿から、工藤姿に変身できるようになったと書かれていたが、
「変身って、なんだ?」
「言葉通りだよ。状況に応じて、どちらの姿でも動けるようになったんだよ」
「薬で元の姿に戻れないのか?」
「まだ解毒剤は無い。だけどな、仮にあったとしても、使わない。アイツに言われたんだよ。突然、コナンが居なくなったら蘭はどうなると思うってな」
不審がるか…いや、精神がマズイか?
「蘭の精神状態は最悪だったらしい。それをアイツが…まぁ、方法には問題が有ったが、蘭を救ってくれた。その上で俺に提案をしてくれたんだ。工藤新一と江戸川コナンの両方を演じてみないかってな」
なるほど…あの社長の考えには一理あるんか。
「後なぁ、アイツを侮るなよ。あぁ見えて、最強の魔法使いらしいからな」
魔法使い?手品師じゃないのか。
「手品師って…」
「イリュージョニストになることを夢見る、リアルウィザードだぞ、アイツは」
真剣な顔の工藤。
「マジか?」
「あぁ。後、アイツの前でウソは通用しない。アイツは相手の心を読める能力を持っている」
「おいおい…」
「お前が疑っていることは、読まれている。今後の行動には注意しろよな」
「アイツ、信用出来るのか?」
「女性問題を除けば、信用に値する人物だ。問題は、自称ド変態だと言う性癖だけだな。ははは」
工藤の乾いた笑い。呆れるレベルの手癖の悪さかよ。
「俺達の仕事は真相究明だ。アイツの仕事じゃねぇ」
なんか、ようわからんなぁ~。
---毛利蘭---
二人の採用は決定した。ご両親の許可が出れば、一緒の学校へ通えるようだ。
「早速で悪いが、服部はコナンと共に、現場に向かって欲しい。お前用のバイクを用意してある」
服部君にバイクの鍵を渡す一弥。
「バイクとヘルメットの置き場は、コナンが知っている。勿論、現場の位置もだ。たぶん、今夜襲撃されるかもしれない。想定される侵入経路を総てあぶりだしてくれ」
「わかったぜ。任せろって。行くぞ、ボウズ」
二人が部屋から出て行った。
「で、和葉には、実力を見せてもらおうか。蘭の推薦だから、問題は無いレベルだと思うが」
三人で、模擬戦闘エリアに向かった。ここでは想定されるシチュエーションで、戦闘を訓練出来るらしい。私も初めて足を踏み入れた。既に訓練をしていた琴美ちゃんと世良ちゃん。
「真純、下がれ!和葉、見せてくれ」
「はい」
世良ちゃんが戻って来た。
「琴美のやつに勝て無いのが悔しいなぁ」
全身擦り傷だらけである。ヒーラーの人が近づき、傷を治していく。戦闘に視線を移すと、和葉ちゃんは甚振られていた。手首を極められ、胸を弄られていた。
「どうした。女性だと、こういうこともされるんだ。いいか?これは試合じゃなくて、実戦なんだよ。ルールなんかねぇんだよ」
胸を露わにされ、一弥の前でその全貌を見せつけている。
「ねぇ、浮気はしないでよ」
一弥に近寄り、腕に抱きついた。
「蘭と美和子と深雪がいればいいかな。ラフタリアが問題であるけど」
ラフタリアちゃんは、狸系の亜人らしく、アレの作りが違うらしい。まぁ、狸って、太くて短いよね。置物だと。
「いや、まさにそんな感じなんだよ。緩い上に、直ぐに奥なんだ。俺が愉しめないことで、アイツは凹んでいるんだよ」
一弥の頭の中では、和葉ちゃんよりラフタリアちゃんの問題の方が重要なようだ。
「私みたいに出来無いんですか?」
「人間と同じにか…出来無くはないが…ラフタリアの考えを聞いてみるよ。琴美、戻れ。蘭とチェンジだ」
ボロボロな和葉ちゃんを相手に戦えと?まさか、甚振れってことか?気が引けるけど…やらないと。きっと、相手に同情しないように戦う訓練なのかもしれない。
---マーリン---
メルダと共に、国際魔法使い協会の会議室におる。この度のシンの行いに対する罰と、今後のことを話あっている。
「悪いことしたら、罰は必要じゃと思う」
賢者のアルバスの意見。ワシらも同意しておるが、孫同然のシンへの罰は避けたい。
「まして、確信犯だしなぁ。減刑理由が見つからぬ」
減刑は無さそうじゃな。
「あの国はどうなるんじゃ?」
ワシら二人を除いて、凍結されてしまった国民達。
「今後のルールが出来たら、解放をする。まず、王と王子だけ解放し、国際ルールに準じた法律を制定して貰う」
他国で犯したことが問題のようじゃ。まして、魔法が皆無な国でじゃ。