---宗方一弥---
目覚めると、パンダ娘のかえでと知らない女が添い寝をしていた。誰だっけ、この娘は…かえでを起こさない様にして、ベッドから脱出して、シャワールームへと向かった。
昨晩、どうしたんだっけ?
『金田一の女を調教して寝たんだろ?』
土御門の声が脳裏に響いた。あぁ、そんな事もあったっけ。シャワーを浴び終わり、部屋に戻ると、
「お兄ちゃん、おはようございます」
かえでの元気な声が出迎えてくれた。
「あぁ、おはよう。シャワーを浴びておいで」
「はぁ~い」
元気よくシャワールームへ向かうかえで。
◇
案件が二つある。どちらも金にはならないと思うのだが。
「探は大神佐助に関して調べあげてくれ。土御門は、信州宗方神社を頼む。ご神体がどうなっているかの確認と、多岐の両親についてを頼む」
「わかった」
「まかせろ」
二人が部屋を出て行った。
「美和子と真純は、蘭と和葉を連れて、七里ヶ浜海岸の方を頼む。かえで、ドザ2名のデータを収集してきてくれ」
「了解!蘭ちゃん、後部シートでいい?」
「うん」
「じゃ、和葉ちゃんは、助手席ね」
「はい」
4名が部屋から出て行った。
「なぁ、俺達は?」
残ったのは、コナンと服部かぁ。
「じゃ、長野県警で聞き込みを頼む。コナン、知り合いがいたよな?」
「あぁ、いるぜ」
「服部はコナンのアシストを頼む。聞き込む内容は、大神佐助と大麻の件だぞ」
「あぁ、まかせろよ。それと別件なんだが、女を悦ばすテクニックって、どこで学んだんだ?」
服部も聞き耳を立てている。二人共淡泊だと言われたのか?
「あぁ言うのは、学ぶものじゃない。場数と経験だよ」
「場数かぁ~」
「経験なぁ~」
「風俗には嵌まるなよ。余計に嫌われると思うからな」
「「あぁ」」
がっくりとした表情の二人が部屋から出て言った。大丈夫か?あのコンビは…今回の件が終わったら、リョウの処に留学に出すかな?
◇
金田一耕助の孫である一と面談中である。
「なぁ、入社か死ぬかって、選択はおかしくないか?」
「2択って、そういうものだろ?入社すれば、仲間だ。入社を拒めば敵だろ?それは死んで貰わないと困る」
俺の股間に顔を埋めている美雪。一心不乱に俺のアレを咥えこみ、舌で奉仕してくれている。
「で、なんで美雪がお前に惚れているんだ?」
「知らない。本人に訊いてくれ」
「いや、訊いたんだけど、バカ!って言われたんだよ」
巻き込んだ金田一が悪いだろう。どうして、探偵は彼女を大事にしないかな?何故、欲しい物を与えずに、放置をするのだろうか?
「で、どうするんだ?俺、忙しいんだよ」
快斗とイリュージョンの打ち合わせをしたい。
「納得は出来ないが、入社するよ」
やっと、契約書に署名をしてくれた。
「じゃ、二人の学費と生活費は厚生費で出す。お前の最初の仕事は、お前と美雪の両親の署名を貰ってくることだ」
一応、親の許諾書という念書を取り交わすようにしている。後ろ盾に鈴木次郎吉が居るので、大抵はサインしてくれている。コナンと工藤君の両親は、更に色紙へのサインとサイン本、サイン入りブロマイドまで送りつけてきた。
「あぁ、わかった。あ、そうそう、若林弁護士には断ってくるよ」
金田一が部屋を出て行った。アイツの視線は、終始、美雪の股間をロックオンしていたのだが…見るのが好きなのか?
---槇村香---
う~ん。久しぶりの仕事が舞い込んだのだが、これは断った方が良いかな?
「リョウ!暗殺の仕事が入ったんだけど…」
「久しぶりだな。で、ターゲットは?」
「一弥だよ」
「はぁ?また、アイツか?断れ、香。生活費は、工面してくるから」
だよな。一弥を暗殺出来無いよね。恩人と言えば言え無くも無いし。
「誰が頼んだんだ?」
「大神財閥の当主だよ。ジャマだって」
「あそこの当主は死んだだろ?まだ、後継は決まっていないはずだぞ」
「代理の女性が、そう言っていたんだけど…」
何かを考え込むリョウ。
「ちょっと、出かけてくるよ」
「遊行費は無いぞ!」
「一弥に生活費を借りてくる」
そう言い残し、リョウは部屋を出て行った。貸してくれるのか?一弥も金欠だって、ボヤいていたけど…
---金田一一---
俺の両親と美雪の両親が、快くサインと捺印をしてくれた。事前に、電話で説明があったそうだ。鈴木財閥が経営する探偵社故、赤字は鈴木財閥で補填してくれるそうだ。元々、怪盗キッド対策での、自前の探偵社だったらしいのだが、社長のアイツが、次々に依頼をこなし、確実に信用を得ているそうだ。まぁ、誰に訊いても、『信頼と信用はしているけど、女にだらしない手癖の悪いド変態』って、なんだ?『一種の病気だから、温かい目で見てあげて』とも言われた。大物なのか、アイツは…
帰りに若林弁護士の事務所へ向かった。住所は名刺に書かれていたし。新橋のオフィス街のワンルームマンションぽい場所だった。玄関ドアには『若林弁護士事務所』と掲げられていた。インターフォンを押すが、反応は無い。電気メーターは…動いている。水道メーターは動いていない。水仕事はしていないようだ。ドアのノブに手を掛けると、カギがかかっていないようで…探偵あるあるだな。こういう場合、室内には死体が…
---宗方一弥---
金田一が若林弁護士の死体を見つけたそうだ。目暮警部から連絡があった。容疑は掛けられていないらしいが、2,3日宿泊させてと頼んでおいた。けっこう、あの宿泊施設は安全だからな。
『死因は薬物中毒のようだ』
電話で警部とヤリトリ中である。探偵は全員出払っているので、俺が状況を訊き出し、メモを取っていく。
「女性のいた痕跡ってありますか?」
『いや、無いなぁ』
証拠品は持ち逃げか?そうだ!
「金の置物が入った大きなツヅラは有りましたか?」
『そんな物があったのかね?見当たらないが…犯人の狙いはそれか?一弥君、それは何だったんだね?』
「弁護士によると、宗方家のお宝って言うんですが、真っ赤な偽物です。だけど、純金製の置物のようでしたから、換金性は高いかな」
溶かして金塊に戻せば、アシは着かないしねぇ。
『じゃ、工藤君と白馬君が戻ったら、見解を訊かせて欲しいと伝えてくれたまえ』
「了解です」
警視庁目暮班と中森班は、ベルツリー探偵社の得意客である。我が社の2枚看板プラスコナンが、信頼を勝ち取っているし。
「どういう状況だ?」
俺の暗殺の仕事が舞い込んだリョウに訊かれた。俺の暗殺の仕事は、リョウだけで無く、ファルコン、ゴルゴ、ルパンにも舞い込んだそうだが、リョウ同様に皆断ったそうだ。
「接点の1つが消されたそうだ。あの弁護士は何かポカをしたのか?それとも、敵対勢力によって消されたのかな?」
遺産相続問題だものな。相続人4名とも敵同士だろうし。
「俺への依頼は女性だったようだぞ」
リョウが似顔絵を持って来てくれた。受付役の香、美樹の二人が描いたそうだ。2枚に描かれている女性は、似ている感じなので、同一人物なのだろう。
「で、生活費の件なんだが…」
酒と女で2ヶ月分を使い込んだらしいリョウ。
「調査費名目で100万でどうだ。返さないでいいけど、生活費に回せよな、リョウ」
「あぁ、香に栄養を与えないとな」
受精後1ヶ月の身体の香。リョウも気にしているようだ。
◇
インデックスから、初めに持ち込まれたドザが蘇生完了と、知らせが届いた。なので、医療棟へと出向いた。医療棟は本邸の北側にあり、1階に処置室、2階3階に入院用個室と大部屋、4階に実験室がある。で、4階に来ている俺。
インデックスの作ったホムンクルムに少女の魂が固定されたそうだ。二人目のドザの子はまだ定着していないらしい。
「で、君の名前は?」
目覚めたばかりの少女に、事情聴取を始めた俺。
「桜島…麻衣…あなたは、私が見えるの?」
嬉しそうな顔の麻衣。空気同然の存在だった為かな?
「どうして、自殺したんだ?バニーの衣装でさぁ」
「彼が好きだったの。バニー姿の私のことを。でも、あの日、遂に彼の目にも見えなくなったの。で…海へ…」
絶望しての入水自殺か。
「わかった。もう一度生きる機会を与えるが、ここで暮らして貰うよ」
「どうして、ここなの?」
死んだ記憶は無いんだろうな。
「君は一度死んでいる。死体は身元不明者として、警察に保管されているそうだ。今の君の身体はホムンクルムという、特製の身体であって、もう人間では無いんだよ」
「えっ!じゃ…私は…死んだの?」
頷く俺。
「なんで生き返らせたの?見世物にでもするの?!」
「見世物にはしない。俺の玩具にするだけだ。だって、そんな良い身体で処女って、勿体ないだろ?」
きょとんとして俺を見ている麻衣。
「へっ?それだけの理由で生き返らせたの?」
「そうだよ。なんか、問題でもあるのか?」
真っ赤になって俯いた麻衣。
「お兄ちゃん!クレープが木に実っていました!」
かえでがクレープを抱えて入って来た。おいおい、食い物の持ち込み禁止なんだけど…
「あれ?麻衣さん…どうして、ここに?」
はぁ?かえでの知り合いなのか?
「かえでちゃん…あなたこそ、どうして?」
かえでがここに来た経緯を麻衣に話した。
「じゃ、私はかえでちゃんと同じ身体なの?」
頷く俺。かえではインデックスと共に、クレープを食べていた。って、飲食禁止なエリアなんだが…
「でねぇ、お兄ちゃん!このクレープ、もの凄く美味しいです。なんで、木に実っているんですか?」
「あれはクレープの木って言う、クレープが実る木なんだよ。これ、秘密だよ」
「うん。麻衣さんにも上げるね」
麻衣がクレープを受け取り、口に運んだ。
「おいしい…これ、毎日食べられるの?」
「収穫量による。まぁ、予約順だから、毎日予約すれば、もしかすればなぁ」
「そうか…じゃ、ここで生きてみようかな。かえでちゃんとクレープの木と一緒にね」
「はい」
嬉しそうに返事をするかえで。
◇
探が戻って来た。若林弁護士の件を伝え、メモを見せた。
「弁護士は消されたのか。多岐の両親は行方不明だそうだ。多分、消されたんだろうな」
神器を佐助が返したとして、その後で、佐助の親族に消されて、神器を奪還されたか?
「死体は見つかっていないのか?」
「あぁ。なので、行方不明事件だそうだ。その為、多岐は、佐助が養女にしたそうだ」
だから、相続人に名が連なっているのか?
「祖父と祖母は?」
「そこまでは、わからない」
養女にされたのであれば、両親がいなくなった時点で、既に居なかったのだろう。探とディスカッションが終わり、探は目暮警部の元へと出向き、入れ替わるようにして、七里ヶ浜海岸組が戻って来た。
「2番目の少女の告別式が行われていたわよ。名前は古賀朋絵、峰ヶ原高校の1年だそうよ」
って、美和子。
「怪しい素振りのヤツいたか?」
「えぇ、数名の男子がね」
デジカメのデータをプリントアウトして、テーブルにぶちまけた真純。
「恋愛トラブルが、あったらしいよ」
トラブルになる程、可愛いとは思えないけど…なんで、麻衣が空気同然で、コイツはモテモテなんだ?俺的には麻衣の方が好みである。
「現状処女って話だったけど、させ子って噂が流れていたそうだよ」
「振られた男が流したんじゃないのか?報復として…」
で、思い悩んで自殺か?
「で、警察の見解は?」
「死因は崖からの転落で、死亡推定時間のアリバイから、一人容疑者は浮かんだようだけど」
死亡推定時間間際に、彼女と会っていた男子がいたそうだ。
「別れ話をして、彼女を置いて、その場から離れたそうだよ」
「そのアリバイは?」
「崖の上には監視カメラが無いので、立証は出来無いって」
「その男子は拘束されているのか?」
「いや、拘束されているのは、させ子だと言いふらしていた男子。振られた腹いせにって、線らしい」
あれって、自殺なんだけど…死体にはもみ合った形跡は無かった。たぶん、警察が発見した時には、遺体の傷みが激しかったのだろう。
◇
拘束されていない男子の写真を持って、麻衣とかえでがいる部屋を訪れた。
「なぁ、コイツを知っているか?」
「お兄ちゃん…」
かえでが寂しそうな顔をした。そうか、コイツの妹の別人格だったのか。
「咲太…彼氏よ」
麻衣は哀しそうな顔をしている。コイツが麻衣の存在を認識出来無くなったのか。悲しみのシーンは伝搬するのだろうか?
「古賀朋絵って知っているか?」
「知っているわよ。期間限定で咲太の恋人になった子よ」
麻衣によると、告白トラブルの収束の為に、麻衣の彼氏が、ニセの恋人を演じていたらしい。
「その彼女がどうしたの?」
「投身自殺をして死んだんだ。彼女の魂は、麻衣と同様の方法で蘇生中だけどね」
「えっ!どうして…まさか…」
麻衣は原因に心当たりがあるようだ。麻衣の心を読むと、ニセの恋人にマジ惚れして、告り、玉砕か?って。でも…
「麻衣が、その咲太って、ヤツに認識されなくなったのは、いつだ?」
「あっ!そうか…彼女の訃報を知らない。彼女が身投げする前に、私が入水したのね」
「その咲太には、他に女がいたのか?ニセの恋人ってことは、マジな恋人がいるはずだよな?」
麻衣がアレコレ考えて居る。いや、思い出しているのか?
「かえでは、誰か、思い当たらないか?」
「う~ん…お兄ちゃんの周囲にいる女の子は、里央さんと花楓さん。後、翔子さんかな?」
「そうよ。翔子さんだわ、きっと。初恋の相手だし…」
妹を除く、その二人のどちらかが、何かをしたのだろう。その結果、かえでは居場所を無くし、麻衣は存在を無くし、朋絵は支えを無くした気がする。二人のフルネームを訊き出し、内線電話で美和子に伝えた。
「明日、牧之原翔子と梓川咲太について、調べて来て欲しい」
『わかったわ』
これで、前進しそうだな。