---宗方一弥---
翌日、目が覚めると、巨乳な少女が目の前で怯えていた。パンダなかえでと、バニーな麻衣に問い詰められているようだ。どういう状況だ?
「ミサカ19365号です。と、ミサカはお兄様にご報告を致します。七里ヶ浜海岸での清掃作業中に、閉鎖中の海の家で寝ていた処女を捕獲しました」
19365号は処女ハンターになったのか?って、この子も、人間では無さそうだ。かえでの場合に似ているような。インデックスを呼び出して、ホムンクルム送りにしてもらった。
「一弥の推察通り、かえでちゃんと同様の別人格の実体化のようだね」
なるほど…
「で、麻衣とかえでは、何を問い詰めていたんだ?」
「お兄ちゃんと添い寝していた件です!私の寝床なのに…」
俺はかえでの抱き枕なのか?
「彼女は咲太の数少ないガールフレンドの一人なのよ。だから、あの子の投身自殺の件を訊いていたのよ」
って、麻衣。警察の見解は他殺っぽいからなぁ。訊かれた方も戸惑うよな。
◇
数日ぶりに土御門が帰ってきた。
「色々調べてきたぞ」
お土産がたくさんあった。家系図のコピーとか、写真とか…
「まず、ご神体だが、箱だけで中身は空だった。これには現神主も驚いていた」
まぁ、有るはずの物が無いんだからな。
「箱はたぶん本物だと思う。まぁ、中身だけ盗んだんだろう」
箱に価値がある場合が有るのだが…盗んだのは、神社関係者では無いなぁ。そうなると佐助が臭い。
「野々村家の人々の写真をコピーしてきたぞ」
テーブルに写真をぶちまける土御門。多岐って娘はかわいい。多岐の両親の写真は無いようだ。
「なぁ、多岐の両親の写真は?」
「それが1枚も無いんだよ。おかしいだろ?野々村夫妻の娘の結婚前の写真は、多岐にそっくりな1枚だけだよ」
そっくりだな。って、同一人物の可能性は無いか?
「今の神主は、野々村夫妻の事を知らないみたいなんだよ。それらは、遺品として残されていたそうだ」
野々村夫妻は、年の差カップルのようで、旦那よりも奥様が若く見える。
「なぁ、宗方大社に行って来てくれないか?」
土御門に住所を渡した。
「お前が行けば良いのでは?」
「宗方の分家筋が継いだんだ。俺が行けば波風が立つ。後継問題に巻き込まれるのは、ゴメンだな」
妙な能力を持っている為、俺が生き神様にされそうになり、祖父は俺を連れて、大社を出たのだ。両親はマジシャンとして世界を渡り歩いていたらしく、俺は祖父に育てられていたらしい。小学校に上がる歳には、ダンブルドア校長の元へ送られたので、あまり幼い頃のことは覚えていないけど。
「そういうことか。わかった。で、何を調べて来れば良い?」
「野々村の旦那の性癖とか、諸々だよ」
「性癖?あぁ、そういうことか。妻が若すぎる件というか、佐助と年齢が近い件だな?って、いうか、多岐のDNAを調べれば一発で無いのか?」
「そうだけど、それだと、多岐って女に接触しないとダメだろ?」
「避けたいのか。わかった。調べてくるよ」
土御門が部屋を出て行った。
◇
翌朝、また違う事件が起きた。俺は犯人の元へ向かった。
「なぁ、これは、どういうことだ?」
大手新聞の一面に、怪盗キッドへの挑戦状を次郎吉が掲載していた。
「あ?いや、最近キッドの動きがないと思うてな。こちらから仕掛けてみた」
俺の努力で、キッドを引退させたのに、この爺は…
「今2件の案件を抱えて、探偵社に探偵がいないんだ。引き下がってくれないか?」
現状でフリーなのは金田一だけだし。アイツ、怪盗向きじゃ無いよな?
「何?あの小童もいないのか?」
キッドキラーのコナンのことか?
「いないよ。今長野に服部と情報収集に行かせている。アイツ、長野県警にコネがあるからな」
「う~ん、そうなのか…困ったのぅ~」
「ニセキッドに襲撃されたら、ベルツリー美術館の二の舞になるぞ」
戦車の砲撃により、半壊した美術館。
「戦車対策はしたぞ」
「バンカーバスター対策は?」
「お主がおるだろ?」
えっ!また俺を爆心地に置くのか?
「もう、ワガママ言うなよ。おや?」
今回、展示するビックジュエルが目に入った。だけど、これって…
「どうしたのじゃ?」
「これ、展示するのか?」
「そうじゃ。珍しい真っ白な宝石なのじゃよ」
「これ、有る意味お宝じゃないか。宝石じゃ無いけど」
「はぁ?なんじゃと…これは宝石では無いのか?」
真っ白な大きな玉状の石ではあるが…
「これ海泡石だと思うよ。この大きさで、この形状に加工するには、原石はとてつも無く大きかったんだろうな。これの鑑定書はあるのか?」
「鑑定書?いや、特に無い。まだ、見つかって間もないところ、オークションで落としたのじゃからな」
宝のような石だから、宝石で間違いは無いけど…表面は加工されており、一見海泡石とは分からない細工をされている。象牙の代わりか?
「少なくてもキッドの狙う石では無いな。違うヤツが狙いそうだけどな」
持って見ると、何かが入っているようだ。海泡石にしては重すぎるし。『強奪』してみると、ラピスラズリの玉が出てきた。金色のラインが何本も入っていて、すごく綺麗である。
「こんなのが入っていたぞ」
「お主…何をしたんだじゃ…」
ラピスラズリの玉を見て固まる次郎吉。これって、魔石ぽいんだけど…
「あの白い玉は、コイツを隠す為のケースだな。海泡石って多孔構造だから、湿気を吸うからな」
多分、この蒼い玉を保護するタメの処置だろうな。
「軽くなってしまったぞ」
「中身がなくなったからだよ。それはそれで価値有るものだ。展示すべき宝だよ」
製法が不明である。表面のコートの素材も分からないし。
「この蒼い玉で、キッドは呼べるのか?」
「透明の石じゃないと無理だ。って、いうか、これ魔石だぞ。預かっていいか?」
「後で、返してくれるのか?」
「難しいなぁ。何かを石化させたのかもしれない」
空間にしまい込んだ俺。
「で、本題だけど、キッドは引退させた。だから、もう呼ぶな!」
「い、い、引退じゃとぉぉぉぉ~!」
「あぁ、そうだ。だから、寝た子を起こすなよ。事件を未然に防ぐって、そういうことだろ?」
犯罪をする者を更生させれば、ソイツの犯罪はもう起き無いはずである。
「一弥!お主…」
「キッドで遊ぶなよ。それよりも、そっちの白いのを展示前に鑑定してくれないか?」
「これか?何か気づいたのか?」
「加工方法がまるで分からないんだよ。表面コートの方法もなぁ」
「一弥でも分からないのか…う~む、わかった。鑑定に回して、結果次第で、展示をする。新聞の方は、撤回しておく。キッドを引退させた話を載せてええかの?」
「あぁ。以後、予告が来たら、ニセモノだよ」
俺は家に戻り、蒼い玉をインデックスに任せた。
---安室透---
公安から仕事が舞い込んだ。宗方一弥というヤツの調査だと言う。
「降谷さんと仕事が出来るって、光栄です」
今回のパートナーだという多岐川珠代と言う女性捜査官が、ポアロにやってきた。
「俺の名前は安室透だ。そっちの名前で呼ぶな!」
「了解です!」
なんか、ノリの軽い女性である。歳は20代前半か?そうなると新人ってことか?
「場所を変えよう。21時に、拝戸公園に来てくれ。今、勤務中なんだよ」
「わかりました」
女性は店を出て行った。
◇
ポアロの勤務を追え、拝戸公園で珠代を拾い、二人でホテルの一室にチェックインした。そこで、珠代の持って来た資料に目を通していく。
宗方一弥…高校生。ベルツリー探偵社の代表。ベルツリー探偵社だと?コナン君や蘭ちゃん、工藤君が在籍しているところだな。情報は得やすいか。
「彼はどうして調査対象者になったんだ?」
国家に害を為すとは思えない。あの鈴木次郎吉氏が後ろ盾になっているし。
「裏の顔があるからじゃないですか?それを、上層部が危惧しているとか」
目の前の珠代は、先ほどの印象とは違い、30代前半に見える。コイツ、食わせ者か?
「どういう裏の顔だ?」
「先輩はジョーカーの存在を知っていますか?」
ジョーカー?世界に影響力のある切り札的存在か?
「あぁ、世界に数名いると聞いているが」
「そのジョーカーを一人で集めたらしいんです。これって、危険でしょ?一高校生レベルの持つ存在では無い。それこそ、国家レベルで管理し、運営すべき存在だと思いませんか?」
珠代の瞳が怪しく輝いた気がした。こいつ、まさか、横取りする気か?
「公安で管理、運営するべきだと思うんです。そうすれば、国連の安保理国も、制御できるはずですよ」
「本当に、公安からの依頼か?」
「先輩、私と世界を牛耳りませんか?」
公安からの依頼では無いようだな。コイツを含む、一部の過激思想な工作員達からの依頼の気がする。
「牛耳ってどうするんだ?」
「我が国が、世界を支配するんですよ」
「悪いが、手は貸せない」
「いいんですか?組織に降谷さんのことをバラしても…」
何?コイツ、俺を強請る気か?
「ダブルは、あなただけでは無いのですよ。手助けをしてくれますよね?」
この俺を脅迫だと…俺をベッドに押し倒す珠代。コイツ…
---宗方一弥---
金田一が釈放され、指示をしていないのに、大神家を探り始め、また死体を見つけたそうだ。アイツ、何をしているんだ?
「ごめんなさい、ハジメちゃんがご迷惑を掛けて…」
美雪が俺に謝っている。俺は、コナンに金田一を長野県警の牢から出すなと指示を出した。
「まぁ、いい」
どうも、若林弁護士の現場で何かを見つけ、警察や俺達にも内緒にしているらしいのだ。手柄の独り占めか?うちの社の方針には合わないが、探偵ってそんな物なのかな。
コナンに工藤新一に変身してもらい、金田一から情報を訊き出すことを指示した。コナン姿だと、舐められるからなぁ。
「一弥、ようやく多岐の所在を掴んだよ」
探が情報を探り当ててくれた。
「どこにいた?」
「公安調査室だそうだ。騙っている名前は不明だけど、DNAを手に入れてきたよ」
潜入捜査中の事故により、身元不明遺体として発見されるケースを想定して、潜入捜査員達はDNAを保存しているそうだ。そのDNAを佐助のDNAと照合すると、親子関係である可能性が浮かんできた。
「一弥の推理通りか?」
「まぁ、概ねだけどね。土御門の捜査結果にもよるが」
佐助と野々村妻の関係が分からないと断言は出来ない。その二人に血縁関係があると、ややこしいことになりそうだ。野々村家の関係者でDNAが採取出来るのは多岐だけだからだ。
「野々村家の墓は、どこにあるかわからないそうだ」
墓があっても、骨が無ければ、鑑定は出来無い。
「おお、探もいるのか」
都合良く土御門が帰ってきた。
「野々村の断髪した髪の毛を入手したぞ」
神主であって、坊主では無いのだが、入門した時に、断髪して髪の毛を奉納したそうだ。それを鑑定に回した。
「で、どうだった?」
「お前の読み通りだ。野々村は薔薇だ。多分、佐助とはそういう関係だった可能性がある」
そうなると、野々村の妻は佐助と…その娘が多岐か?たぶん、野々村の死後に受精させたんだろうな。
「人工授精の可能性もあるなぁ。いや、代理出産か?」
「わかった。調べてくるよ」
探が出て行った。アイツ、本当に調べるのが好きだな。
「後、なんか、あるか?」
「今度、一弥を連れて来てくれってさぁ。生き神様を奉りたいそうだぞ」
「ミイラにされちゃうよ」
即身仏ならぬ即身神にされそうだ。
「お前なら、生き埋めにされても、脱出出来るだろ?」
「出来るけどさぁ…生き埋めは嫌だよ」
「大丈夫だよ。そんなことは、ねーちんのとこが許さないから」
天草式十字教か?あそこの信者は苦手だぞ。五和を除いて。