---宗方一弥---
朝目覚めると、かえでとミサカが添い寝をしていた。この二人、意外に仲が良いらしい。見た目、同い年くらいに見えるしなぁ。二人を起こさない様にして、ベッドを抜け、シャワーを浴びる。今日こそは、イリュージョンの設計をしたいなぁ。何か良い案を考え無いとなぁ。
魔石とDNAの鑑定結果を訊きに、インデックスの元へと向かった。
「もう少し、鑑識要員を増やして欲しいなぁ」
現状インデックスとシスターズしかいない。確かに、荷が重いか。
「わかった。考えておくよ。で、鑑定の結果は?」
「他人だよ」
野々村と多岐の間に、血縁関係は無いらしい。そうなると、佐助はご神体を返す相手がいなかったのか。いや、現在の神主にはどうだ?ダメか…盗んだことがばれるか。って、ことは、返す気は無いってことなのか。
問題は宗方家の秘宝だな。それは何だ?あと、若林弁護士に依頼をした人物は誰だろうか?金田一は何を見つけたんだ?疑問が山積みである。
「魔石の方は?」
「まだ、解呪方法が見つからないんだよ」
そうか…
「メドゥーサ系か?」
「違うな。あれは、その者の姿のまま石化だし」
なるほど。
「あぁ、海の小屋の処女は目覚めたよ」
インデックスに目覚めた処女、いや少女の元へ連れて行ってもらった。少女の名は双葉里央。かえで同様、裏の人格が実体化した物であった。
「どうする?もう消えたいか?」
「消えたく無い」
まぁ、そうだろうな。消えたく無いから実体化して、消えるのを防いだのだから。
「ならば、ここで暮らせ。ここ以外だと、保護しきれないから」
頷く里央。五和が彼女の現在の状況を説明してくれたようで、境遇に納得してくれているようだ。
「化学の知識があるらしいなぁ。ここで鑑識要員になってくれないか?」
「ここって、何?」
「探偵事務所だよ」
「はぁ?」
今いる場所は、病院ぽいしなぁ。まぁ、おいおい全体像を見せていくか。
「なんで、かえでちゃんが居るの?麻衣さんも…」
五和はそこまで説明をしていなかったようだ。彼女達の来た経緯を説明する。
「そんな…何がいけなかったのかな?」
何かが起きて、人間関係のバランスを欠いたのであろう。存在を危うくする程の何かだ。
「調査中だよ。何かが起きて居るのは確かだ」
何が起きたんだ?
◇
コナン君から、金田一が隠し持っていた証拠が送られて来た。
『ダイイングメッセージらしい。アイツ、咄嗟にメモ帳から抜き取ったそうだぞ』
受信した画像には『タト』と書かれたメモが映っていた。警察にも知らせず、一人で調べていたそうだ。チームワークは出来無いのか?
「で、ここから何か見つかったのか?」
『いや…死体ばかりしか見つからないようだ』
佐助の娘の死体を3体見つけたそうだ。
「なぁ、これって、『タキ』って書こうとしたんじゃ無いのか?」
『あぁ、俺も服部も、その結論に達している。で、どう動けばいい?』
「多岐について調べてもらえるか?」
『了解だ』
問題は、宗方家の秘宝だよな。それって、なんだ?祖父より前の所有なのか?祖父はお宝を持っていた記憶は無いし、両親は海外生活者だしなぁ。う~ん…
---安室透---
コナン君から情報を得たのだが、特に危険人物では無さそうだ。
「性癖以外は真面だよ」
って…性癖は問題あるらしい。
「野望持ちでは無いのかな?」
「野望?あぁ、ヒモ生活が出来るくらいに、平和な世の中にしたいそうだよ。女性関係以外は、問題は少ないんじゃ無いかな?」
女性関係は大いに問題有るらしいが、それ以外は問題は無いようだ。そんな彼が、危険なブツを保有しているとは思われない。むしろ、あの女の方が問題があるだろうに。捜査は難航していた。得たい情報がまるで掴めないのだ。こんな案件は珍しい。本当にジョーカーを持っているのか?そんな疑いすら持ってしまう。一高校生が簡単に手に入る物なのか?
そんな俺にベルモットから連絡が入った。お呼び出しのようだ。待ち合わせ場所へ急ぐ。
待ち合わせ場所は廃ビルの一室だった。その部屋に入ると、女性の喘ぎ声が響いていた。
「止めて…お願い…あぁぁぁぁ~!」
ベルモットが、珠代を責めているのか?声のする方へ向かうと、ベルモットが一弥の妹に調教されていた。全裸にされ、四つん這いになっているベルモットのアナルにピンヒールを突き立てている少女。
「バーボン…助けて…」
俺に命乞いをするベルモット。どうして、こうなったんだ?高校生の少女に、こんな目に遭わせられるほど、ヤワでは無いだろうない?
「何を探っているんだ?」
俺の目の前に、宗方一弥が現れた。咄嗟に胸元から銃を取り出し構えた俺。
「水鉄砲では威嚇にならないぞ」
何を言っているんだ?手にした得物を見て愕然とする。確かに水鉄砲である。コイツ…いや、コイツ自体がジョーカーなのか?
「ジョーカー探しをしているのか?まぁ、いいや。今後、お前達は俺の傘下に入って貰うよ」
傘下に?
「あの方に何かしたのか?」
まだ見ぬボスのことを訊いた。
「あぁ。不老不死の身体にしてやって、組織を譲って貰ったんだよ」
不老不死にした?
「不老不死薬を持っているからね。まぁ、彼の望みとは言え、きっと後悔しているだろうな。だって、人間では無くなったからね」
人間では無いだと?
「限るある寿命を持っているから人間なんだよ。理を曲げて、不老不死になれば、人間失格だよ」
目の前の少年は無表情である。
「さて、知っていることは、総て吐いてもらおうか」
俺の身体は闇に溶け込んでいった。
◇
闇から解放されると、目の間にはジン、ウォッカ達の死体が転がっていた。ベルモットは恍惚な表情を浮かべ、余韻に酔い知れるようにして果てていた。
「珠代って、捜査員は、殺人犯だよ。まぁ、公安の捜査上の行為にすれば、罪は問えないんだろうけど」
ここはあの組織の隠れアジトのようだ。俺とベルモット、後正体の掴めないラム以外は粛正されたようだ。
「今後は、二人とも、ベルツリー探偵社の捜査員って扱いだからね」
逆らえば、簡単に殺されてしまうのだろう。ジン達の額には釘が刺さっていた。釘を打ち込んだのか…生きたまま…
「感電死がいいのか?」
「いや、指示に従う。俺はまだ生きたい。護りたい者がいるからな」
「賢明な選択だな。この女も護りたい者がいるようだから、助けたよ」
目の前が真っ暗になり、暗転すると、違う場所にいた。どこかの病院の病室のようだ。
「降谷さん…大丈夫ですか?」
心配そうに俺を見つめている部下の風見。
「ここは?」
「警察病院です。降谷さんが誰かに狙われていると、セキュリティーの固い病室に入れるように、上層部に進言した者がいたようですよ」
一弥かぁ…アイツ、何者だ?警察の上層部と繋がっているのか?
「そうか。俺の相棒はどうしている?」
「えっ?誰のことですか?」
風見が困惑している。
「今度の案件で、俺の相棒になった多岐川珠代と言う女性捜査官だよ」
「なんの話ですか?降谷さんに相棒はついていませんよ」
おい…アイツ、公安の捜査官ですら無いのか?
「すまないが、多岐川珠代という女を洗ってくれ。公安の身分証を確認したが、本物だったんだ」
「わかりました。すぐに、手配します」
風見が部屋を出て行った。誰が、敵なんだ?
---宗方一弥---
美和子達が戻って来た。謎の少女が浮かび上がったそうだ。牧之原翔子…咲太の彼女は大学生の牧之原翔子である。だけど、咲太の家に度々現れる彼女は中学生の牧之原翔子だと言う。
「同姓同名って、オチ?」
「聞き込みとか、リスト屋で調べたんだけど、大学生の牧之原翔子の所在が見つけられなかったの」
中学生の方は、住んで居る家、通っている学校を突き止めたそうだ。
「通っている大学、住んで居る家、違法捜査だけど、住基ネットで検索したんだけど、ヒットしないのよ」
実在しない人物かぁ。ソイツがカギになるのか?
「どう思う?」
不可思議物件の専門家であるシスターに訊いた。
「考えられるのは、その大学生も裏人格の実体化とか」
あぁ、そういう解釈もあるなぁ。保護している里央もかえでも、住基ネットではヒットしないだろうし。
「美和子、中学生の方を調べもらえるかな?別に人格を作るほどの悩みがあるかどうか」
「わかったわ。明日、調べて来るわね」
美和子が部屋を出て行き、入れ替わるように、探が入って来た。
「弁護士殺害の件だけど、押収した品が消えたそうだよ」
「公安絡みみたいだから、持ち出されたんじゃないか?」
「なるほど」
俺の意見に納得する探。
「公安が絡んでいるのか。それならば、納得だよ。捜査の進展がないからね」
きっと、圧力でも掛かったんだろう。政治家、法曹界などのシガラミからの圧力とか。多岐の立ち位置が分からない上、秘宝って何だ?
「秘宝が分からないんだよ」
「物とは限らないんじゃないかな?」
何かに気づいたような探。
「物じゃない?」
「探しても見つからないんだろ?そうなると、見つからない場所にあるんじゃないかってね」
見つからない場所?記憶…かな?俺のか?
「俺は何も訊いていないぞ」
「存在自体かもしれないよ」
存在?そうなると、指紋とか掌紋…生体認証のカギってことか?
「まぁ、色々可能性はあると思う。ただ、手がかりが無さ過ぎるんだよ。手がかりがないと、探偵は動けない」
謎解きは行動しなくても、安楽椅子で出来るもんなぁ。
「多岐を捕まえるか…」
---安室透---
あの女の正体、立ち位置が未だに不明である。公安の力を借りても、まるで分からない。どこの組織の者なんだ?上司に訊いたが、そのような捜査員はいないらしい。
調べ方を変えてみるか。あの女は、世界征服を目論んでいるようだった。そっち系の組織を調べて行く。すると、怪しい組織を見つけた。大漢連合と言う組織である。
かって中国大陸にあった国家である大漢。大戦中に他の国に取り込まれて以来、国土を持たない国家として、過激な活動をしている組織らしい。大陸に伝わる怪しげ術を使い、証拠の残らない犯罪を繰り返しているらしい。あの女は、そこの工作員ぽい。
「あぁ、あの組織ね。あの方と、そこの上層部のヤツが知り合いなのよ」
ベルモットから、確信に近づく情報を得た。
「あの組織とは関わらないようにね。危険な術を使うことで有名なのよ」
「そのようですね」
催眠術のような感じで、他人を操ることが出来るらしい。公安の身分証は、捜査員から奪い、なりすましたのかもしれない。いや、あの女自体が操り人形の可能性もある。
「対抗できる勢力はあるんですか?」
「ある…あいつらのターゲットである宗方一弥の組織だよ」
狙いはそこか。ジョーカーを奪うだけでなく、対抗組織を潰す為か。
「だけど、あいつらの誤算は、宗方一弥の実力を見誤ったことだ。あの子、相当にキレ者だわ。ジョーカーを道具として使うのでは無く、仲間として護って貰っているしねぇ」
ジョーカーの一人に電磁砲使いがいるらしい。その者は、金属を音速で飛ばす事が出来るそうだ。ジン達を襲った5寸釘は、その者が撃ったのだろう。
1話に1事件って現実的では無いですよね(^^;