---宗方一弥---
補習…琴美と共に、国語の補習を受けた。読めるので不自由は無いのだが。報告書の類いは、蘭や美雪に丸投げだし。
「なぁ!いつになったら、中学生レベルにいけるんだ?!」
鬼の児嶋の顔が近い。う~ん。確かに高校で小学校の国語の授業は、高校教師にはつらいのだろう。
「まぁ、そのうち…」
「考えたのだが、毎晩。ベッドの中で補習なんて、どうだ!」
現実的では無い提案である。
「考えて置きます」
と返答して、帰路に着く。通学にはバイクを使っている。俺も琴美も、蘭達もだ。まだ4輪の免許は、年齢的に取れないみたいだ。大型2種もだな。そんなこんなを考えながら、駐輪場へ向かうと、うちの学校では無い制服の女子がいた。目つきがなんか怪しい。琴美が臨戦態勢をとる。
「お兄ちゃん!コイツ、川神百代だよ」
って、琴美が叫んだ。武神と呼ばれる最強のJKか?なんで、ここにいるんだっ!って、一人はヤリを持っていて、琴美に襲い掛かった。銃刀法違反では無いのか?ヤリの先端には刃物が付いているし。
そうなると、俺の相手は武神か?咄嗟に特製下着をギフトした。だけど、コイツ、ひるまない。感じ無いようだぞ。不感症か?
『一弥!逃げて!ソイツは人形よ!』
インデックスの悲痛な声の念話。それは、俺では勝て無い相手ってことか?
『人形は無痛なの。命令を遂行する為には、身体の損傷もいとわない』
「うっ!」
琴美のうめき声。電磁砲がフルカウンターされたようだ。マズイ。琴美をお姫様抱っこをし、空へと逃げる。だけど、身体に銃弾がめり込んでいく。読まれていて、狙撃されたようだ。どうするかな?
---王龍---
ようやく、宗方一弥の身体を手に入れた。川神百代、一子姉妹を人形にして正解だったわ。最強JKのツートップ相手では、さすがの一弥も逃げざる負えないわよね。逃げた瞬間を逃さず、狙撃した。一弥の右腕、右胸、右足にヒットをし、地面に転がる一弥を、川神姉妹に攫わせた。
「ワンロンよ、これで宗方家の秘宝は手に入るのね?」
大神佐助の隠し子である野々宮多岐が訊いて来た。
「えぇ、そうなるわ。宗方一弥を人形にしたし、これで秘宝庫に入れるのね」
「楽しみだわ。宗方大社の秘宝かぁ~」
車で宗方大社にやってきた私と多岐、そして人形となった一弥と川神姉妹。一弥を先頭に、秘宝庫へと向かう。宗方大社の秘宝庫の存在は、野々村が修行している時に見つけたそうだ。但し、中に入るには、宗方家直系男子が必要であるそうだ。実際、私や多岐では、扉を開くことが出来無かった。
本殿の本尊をどかし、地下へ降りる階段を進む。手にした懐中電灯の明かりを頼りに進んでいく。
「ここよ!」
大きな門が見えた。ここがそうか。用済みになった多岐に、人形化の術を施す。麻酔薬を首筋に注入して、左の肩甲骨辺りに、術式を書き込んだ魔方陣の羊皮紙を置き、呪文を唱え術を行使した。
「さぁ、一弥よ!扉を開けろ!」
一弥に命じたのだが、一弥は動かない。どうして?
「簡単なことだよ。俺はここからの入り方を知らないからだ」
一弥のいる場所とは違う場所から、一弥の声が聞こえた。どういこと?
「お前が術を掛けた俺は、俺のホムンクルスだよ。狙撃されると思った瞬間、身代わりの術で、あらかじめ作っていた自分の分身体と入れ替わったんだよ」
「アンタは何者?」
「これでも俺はイリュージョニストなものでね。イリュージョンは得意なんだよ」
一弥の声は聞こえるが、一弥の気配を感じ取れない。
「おい!人形共よ!敵を捕まえろ!」
私の命令を聞いたはずの人形達は、ピクリとも動かない。
「仲間の術で、凍結してあるんだよ。お前だけだよ、動けるのは」
なんだとぉぉぉぉぉ~!
---宗方一弥---
大漢の工作員、王龍も凍結させて、公安へ引き渡した。人形化した多岐は処分して、それ以外の人形はラボへと運んだ。仕組みを研究する為と、川神姉妹をどうするか検討する為だ。
「これが秘宝だったのか」
そこの正しい入り口は、今は閉鎖中である祖父の住んでいた家の蔵だ。蔵の真ん中にある太い柱がダミーで、表面の組み木細工を解くと、内部のはしごが使えるようになる。そこから地下へ降りると、秘宝庫と呼ばれていた、我が家の倉庫に入れるのだ。
「からくり関係の書物か?」
一緒に来た土御門が声を上げた。
「そうだよ。からくり関係の資料しか無いよ」
「元々あったのは?」
同じく一緒に来た火織に訊かれた。
「俺がここにいたのは、小学校に上がる前だから、わからないよ。古そうな書物が、そうなんじゃない?」
本棚に入っている古そうな書物を取り出し、二人に手渡した。
「からくり本だよな~」
「そうね」
後は…そう言えば、エロ本のようなものがあったなぁ。本棚の前に積み重なっている書物から、俺が興味を抱いていたヤツを手に取り、土御門に渡した。
「これは…おまえ、これの価値分かっているのか?!」
なんか、妙に興奮している土御門。エロい絵本だぞ、それ…
「えっ!これって…う~ん、歴史的な資料よね」
エロ本を火織がガン見している。
「エロ本に興味あるのか?」
「これ、エロ本じゃないわよ。女神や救世主達の裸体像を描いたものよ」
「不謹慎だと思われていた時代があり、この手の書物は、ほとんど焼かれたのよ。こんなに傷の無い状態で残っているなんて…」
火織が感動しているようだ。ならば、俺がエロ本認定した書物の山へ、二人を案内した。
「まぁ、知識の無いガキがみたら、エロい絵本だよな」
男女の営みが描かれている。聖人達の人には言えない様子らしい。
「なぁ、ここの本尊って、なんだ?」
土御門に訊かれた。
「確か、ヘスティア、アルテミス、アテナだったかな…」
「三大処神が本尊なのかぁ…この国の神を奉っている訳では無いのにも驚きだが…」
「なんか、清い心身の神として奉ったのが、始まりとか…」
「だから、神主達は女性としないのか…」
あぁ、だから野々村は…なるほど…
「だから、代々分家が神事を取り仕切っていたのかな?分家の子供って養子しかいないとか」
宗方大社の斜め上に向く信仰心が明らかになったような。
◇
家に戻り、ラボへ向かった。そこでは、里央とインデックスとシスターズが、俺の分身を解析していた。因みに川神姉妹は、凍結したままである。
「どう?」
「多分、人間には戻せないよ」
インデックスの出した結論。分身から取り出し、ホルマリン漬けにしてある、俺の分身体の心臓を見せてくれた。心臓の表明に文字が浮き上がっていた。
「呪文の入れ墨を入れられたって感じだよ。これはを解除するには、心臓の表皮を剥ぐかな。でも、強度が落ちるから、長く生きられないかも」
いや、心臓を一皮剥くって、技術的に問題があるような。
「術で無効化出来無いのか?」
「大漢系の術は、私は知らないの。だから、無理」
「そうなると、どうするんだ?」
「ホムンクルスを作って、ソウルトランスさせる」
魂の移植かぁ…もう、人間として生きられないのか。一応、彼女達の親族の了承を取ってくるかな。
翌日、俺と琴美の二人で、川神姉妹の実家を訪れた。今度、どうするかの話し合いをする為である。俺の資料を交えた説明に絶句する百代の祖父。まぁ、普通は驚くよな。あの心臓は驚きの産物だし。
「百代と一子は、人間として生きられないのか?」
頷く俺。
「まぁ、このまま、荼毘に付すか、人間じゃない人造人間として生を重ねるかの2択です」
「う~ん…」
「荼毘に付す場合、こちらで葬儀の手配をします。死体ではあるのですが、ゾンビ状態ですので、知識の無い者が扱うと危険ですから」
凍結を解除すると、どうなるかわからない。戦闘に特化した琴美が怪我をする相手である。蘭や真純でも制圧は難しいだろう。
「そうですか…孫達には、どんな形であれ、生きて欲しい」
結論は出た。では、そういうことで…ラボに戻り、インデックスに二人のことを頼んだ。
◇
長野出張組が戻って来た。
「お疲れ」
「あぁ、疲れたよ」
コナンはぐったりしている。
「アイツ、どうにかならんか?」
服部は金田一に文句があるようだ。その金田一は、まだ長野県警の宿泊施設にいる。証拠隠滅の件で、取り調べを受けているそうだ。
「まぁ、死体を発見するスキルは見事だよ」
死の臭いを嗅ぎ取れるのでは無いのか?
「で、次の案件は?」
コナンが意欲的だ。
「七里ヶ浜の案件が、難航しているが、お前らには向かないだろ?」
このコンビ、眉唾物よりも、犯罪臭のする案件に向いている気がする。
「そういや、快斗はどうしているんだ?」
「開かずの金庫を開ける仕事を楽しくこなしているよ」
開け方が分からなくなった金庫を開けて欲しいという依頼が殺到している。その案件を楽しそうにこなしている快斗。金庫を破っても、捕まらないのが良いのか?
「次郎吉は納得しているのか?」
キッドの正体は明かしていない。
「キッドは引退したと伝えてある。快斗がキッドとは思って居ないだろう」
「そうか…で、俺達は、どうすればいいんだ?」
「そうだ。新宿へ行って来い。女性の扱い方の勉強だ」
コナンにリョウの住所を渡した。
「相手に話しは付いている」
リョウには生活費という受講料を前払いしているし。
◇
目立った案件は七里ヶ浜だけになった頃、次郎吉がまた事件を起こしてくれた。
「これ、どういうこと?」
俺の知らない間に、俺の本名が鈴木一弥になっていた。次郎吉の養子にされたらしい。
「はぁ?後継者にお主を指名したってことだ」
にこやかな顔で言われても…
「通り名は今まで通り、宗方一弥で問題は無いぞ」
なんて、一方的なんだ?
「ほれ、これはお主のブラックカードじゃ。必要だと思う物を自由に買うと良い」
なんか、俺はこの爺の玩具になった気分だ。怪盗キッドを引退に追い込んだ俺を、キッドの代わりに遊び相手にしたいらしい。
「斜め上に進む人物になれ。お主は、儂の後を継いでくれるものだと思う」
道楽爺を目指せと言うのか?
「それから、お前に見合いの話が来ている」
はぁい?
「鈴木一弥としてじゃ。おいおい、もっと喜べ。金ヅルを増やす機会と思えば良いじゃろ」
ヒモになりたいとは言ったが、それは結婚詐欺にならねぇか?
「まぁ、お主の腕の見せ所じゃな」
高笑いしている次郎吉。養子になった途端に、お見合いだと?
◇
米花ホテルのスィートルームでお見合い…逃げ場は無い。俺が逃げないように探と真純が両脇にいるし。
「オーナー命令だよ。一弥、会うだけで役目は果たせるはずだよ」
探が笑顔で俺を諭す。お前、他人事だと思って、そんな気楽なことを…
「一弥のお見合い相手かぁ~。興味あるなぁ」
興味本位確定の真純。
指定された部屋に入ると、既に相手が待っていた。幼い女子が一人、中性な者が一人。どちらが相手だ?真純と探が俺の後ろに回った。そんな二人を従えたようにみえる俺は椅子に座った。
「初めまして、坂本数馬です」
「私は坂本宇佐美です」
目の前の二人が俺に挨拶をしてきた。姉妹ってことか?
「鈴木一弥だ」
気の乗らない俺は、ぶっきらぼうに返答した。
「一弥君は、鈴木財閥相談役の次郎吉氏の養子ではあるが、後継者指名をされています」
何故か、仲人席にいる園子が詳細な説明を始めた。
「高校1年生でありますが、ベルツリー探偵社の代表を務め、大英帝国内において…えっ?いいの、これ?」
あぁ、俺、結婚しているんじゃないのか?既に…
「問題無いです。大英帝国内において有効であると、確認してあります」
何故か、蘭の母親である妃弁護士が園子の隣にいるし…
「あっ、失礼しました。大英帝国内において、王女3名と婚約をしており、十字教の…はぁ?何よ、これ?」
「気にしちゃダメよ」
園子の疑問をサポートする妃弁護士。何を言われるんだ?
「失礼しました。十字教においては、次期、教皇候補であります。一方、坂本家は、坂本龍馬の子孫であり、この度、双子の姉妹である数馬さん、宇佐美さんのお二人を、お見合いに臨ませたそうです…」
お見合い相手が二人?それも、おかしくないか?なんか、良くない結果に終わりそうな…
少年探偵団絡みの事件が、なかなか浮かばない(^^;