※この作品はR-18です。

その男、粗暴につき   作:もっち~!

81 / 87
山内一弥編
新しい生活の始まり


 

---山内 一弥---

 

『YX MO 1412』

 

そんな文字列が脳裏に浮かんだ。はて?封印されていた記憶が脳内へのアップロ

ードがされていく。

 

「お兄ちゃん、朝だよ」

 

義妹の起床の合図と共に、腹に衝撃が…義妹のやつ、フライング・ボディープ

レスをかましたようだ。

 

スパッツにTシャツで、ノーパンノーブラで接する義妹の茜。スタイルは良

い。なので、こいつを抱き枕にして、二度寝に移行する俺。うなじの香りを嗅

ぎながら、もう一眠り…狸眠りをして記憶を整理していく。

 

俺は山内一弥。捨て子だったが、義母である上杉悠に拾われ、養子となり上杉

家の長男となった。義姉妹は長女が蓮で、次女が茜である。

 

義母は神の手を持つ天才外科医であるが、俺のヒール能力を使用したなんちゃ

て天才外科医である。

 

「おい!起きろよ」

 

殺気を感じ、迫り来る正拳突きを手首を掴みねじ伏せた。記憶が戻った俺は、

最強の戦士である。こんなへなちょこな正拳突きなど問題はない。

 

「痛っ」

 

長女の蓮の声。腕をたぐり寄せ、身体を堪能する。

 

「お姉ちゃん、ずるい」

 

蓮は『おはよう』の口づけをしてきた。

 

「馬鹿やっていないで、学校に遅れるわよ」

 

義母の声。そうだ、学校に行かないと。

 

◇

 

学校では蓮は麗人として女子に人気があり、茜はアイドルとして男子に人気が

ある。俺はモブとして空気である。

 

蘇った記憶を整理して、これからのことを考える。散らばった仲間を集めない

と。活動資金をどうするか。探偵たちの対策、これは目立たなければ良いか。

など…

 

そして、放課後。俺は帰宅部、家に直帰して悠の手伝い。悠の助手に入り、手

術でヒーラーとして活躍する。医師免許を持たぬ俺は、手をかざすだけなら医

事法違反にはならない。癌などの異物は『強奪』すれば問題ないし。

 

「本当は神の手を持つのはお前なのに」

 

と、悠が苦笑いしている。悠しかいない医院だから出来ることである。大病院

だと、俺は手伝えない。

 

夜、悠から重大発表があった。再婚するらしい。俺たちは祝った。めでたいこ

とである。が、相手はデカい病院の経営者の上、連れ子として娘が五人いると

いう。

 

「彼が言うには息子はいらないって。まして私の養子だしね」

 

将来、優秀な医師を婿として入れるらしい。娘達を駒として…

 

「それって、私たちは病院のコマなの?」

 

蓮が反発した。それはそうだ。自由恋愛は禁止ということである。

 

「ねぇ、お兄ちゃんを捨てるの?」

 

ブラコン気味の茜も反発してくれている。

 

「ごめん。これは決定事項なのよ」

 

って、何かの書類を俺に手渡してきた悠。書類に目を通すと、弁護士の紹介状

である。そこには『妃英理』と記されていた。

 

◇

 

避けて通りたい道なのだが、探偵に近づきそうだ。翌日、弁護士の事務所に向

かう。よく知った道である。事務所に着くと、よく知った顔と身体がいた。

 

「山内一弥くんね。入って」

 

と、よく知った声が聞こえる。弁護士の英理に悠から受け取った書類を手渡し

た。

「君のDNAを検査した結果、本当の親が見つかったわ」

 

俺のDNAで、行方不明者のDNAと照合してくれたようだ。悠の指示だろうか。

 

俺の両親は資産家だったらしく、俺は幼い時に誘拐され、行方不明だったらし

い。その両親、祖父母も既に亡くなっており、遺産が宙に浮いているそうだ。

 

「受け継げるものは、土地と建物よ。お金は親類筋で分配済みで、取り返せな

いかもしれない。土地も相続人ではない親戚筋により売却済みだって言う」

 

憤慨してくれる英理。

 

相続手続きをしてもらい、受け継いだ場所を見に行くと…あの場所だった。円

墳状の墓のある墓地、ここが始まりの土地である。ここの地下にはアレがある

はず。隣接した土地は、ヘリポート付きの破綻したホテルがあった。その周囲

には公園、マンションなどがあり、多分売却された土地だろうな。

 

「この墓地と、破綻したホテルの残骸が、あなたの相続した土地よ」

 

これだけあれば、とりあえずは十分かな。取られた分は取り返すだけだ。

 

こうして、竹ノ内一弥は独立した。

 

◇

 

相続すると、すぐに相続税を払えという。溜まっている十年分の税金と共に。

無一文の俺に迫る国税局。払えないと物納で、墓以外を差し出せという。この

国は敵認定でいいかな?

 

俺は異なる世界線で知り合った数馬を『強奪』した。いきなり知らない場所に

現れて戸惑う数馬の耳元で、記憶を呼び覚ます合い言葉を口にした。

 

 

「兄さん…ゴメンナサイ。あのときは…」

 

俺をあの国に売ったことだろうか?

 

「それはいい。お金が欲しいんだ。取り敢えず、この土地を買ってくれない

か?」

 

お金をただ用意するだけでは良くない。どこから手に入れたかの証拠は残さな

いと。

 

「この廃ホテルの土地ですか?どの位、必要ですか?」

 

国税局からの請求書を見せた。請求書に書かれた住所と面積から算出していく

数馬。

 

「これ位ですね」

 

必要額を上回る額である。

 

「これを元で増やして返す、だから、居住権をつけてくれ。後、俺の口座を作

り、そこに振り込んでくれるか?」

 

「了解です」

 

これで一安心だ。

 

◇

 

翌日、数馬が越してきた。宇佐美と共に…

 

「今度こそ兄さんを守り切ります」

 

と…

 

坂本不動産の下請けの建築業者が、ホテルを住める状態にしてくれる。

 

「兄さんと住めるなら、これ位はサービスですよ」

 

って、良い笑顔の数馬。

 

税金の支払いは宇佐美がしてくれたようだ。

 

取り敢えず、敵認定済みの国家に転移して、カジノの金庫から、1万ドルほど

拝借した。そして、数馬への支払いにする。1年ほどでかえせるだろう。

 

「ドルでなくて、敵認定の鈴木家から持ってくれば良いのに。」

 

そうか。それもアリだな。

 

さて、取り立てに向かうか。俺から遺産を奪った奴らへ。

 

◇

 

まずは、俺の受け取るべき遺産を奪った奴らを確定し、奪ったという幻想をぶ

っ壊す。登記簿の所有者欄には、俺の名前が現れる。これで、所有権が俺に確

定した。それから坂本家のお抱え弁護士たちに、丸投げである。英理には荷が

重すぎる訴訟である。

 

訴訟とは別に、個人相手にも攻撃を仕掛ける。まず、家や会社に保管している

札束を『強奪』していく。これって、裏金の類いだろうし。ふつうの家庭には

札束は無い。銀行へ預けるだろう。これだけの行動で、数馬への支払いは全額

返済できた。どんだけため込んでいたのだか?

 

裁判所からの呼び出し要請を無視する強奪犯たち。弁護団が民事では無く、刑

事として訴える。警察からの呼び出し要請すら無視をする強奪犯たち。

 

売り払った先の末端は、鈴木不動産である。そこへ立ち退き要求を出してい

く。

 

 

 

---鈴木次郎吉---

 

財閥傘下の鈴木不動産がポカをやったらしい。所有者の許可無く、物件を買い

取り、開発をしてしまったという。相手は山内財閥の現当主だという。幼い頃

に誘拐され、最近見つかったそうだ。

 

売主は、遠い親戚筋という怪しげな人物。調査すると、本当の親類だったり、

赤の他人だったそうだ。

 

「どうして、調査を徹底しなかった?」

 

誘拐にあった家系である。傷物の物件だ。もっと買叩けるか。

 

「山内旧財閥の土地に固執したのは相談役でしょ?」

 

そうだったかのう。記憶が定かでは無いが。お宝が眠っているといわれている

土地である。手を出さない訳にいかな。開発の折、深く掘ったが何も出てこな

かった。

 

そうか、あのホテルの下か、墓地の下だったのか。

 

「買い戻せ。あの墓地を含めてじゃぁ。いいか、買い叩くんじゃぞ」

 

 

 

---山内一弥---

 

二束三文の価格で、ホテルと墓地を買いたいと鈴木不動産が言ってきた。なに

を言っているのだろうか?既にあちらこちらを掘り返した上、墓地までも掘り

返すつもりなのか?アレは古墳に近いんだぞ。掘り返すなんて、もってのほか

である。古墳の頭しか、見えていない。アレをピラミッドとした場合、ピラミ

ッドの発掘を見えた箇所から切り崩すのだろうか。宝に目がくらんだ愚か者で

ある。

 

まだ調査前だが、墓地が隣接した法面には、すでにトンネルのような手彫りの

横穴が多数見つかっている。あの金の亡者はトレジャーハントしようとしてい

た証拠である。信用できそうな警視庁捜査一課に、墓地荒らしとして摘発して

もらうか。

 

この国を代表する財閥筆頭のお金持ちが、他人の家の墓地を荒らすとはな。

 

◇

 

そうだ。学校へ行かないと。山内家を預かる当主補佐の人物から、頼むから最

低、大卒になってくれと言われた。高校中退では箔がつかんらしい。

 

数馬たちと同じ高校へ行くかな。

 

戸籍が確定し、住民票を得て、高校への転入を考え始めた。そんな折、英理か

ら連絡があった。

 

「一弥くん、高校はどうするの」と。知らない間に、俺の後見人になっていた

英理。

 

「娘が、この近くの高校にかよっているのよ。そこはどうかな」

 

そこはベルツリー学園。中学高校の一貫校で、鈴木次郎吉が理事長である。そ

んな学校はパスである。

 

「クロス学院へ行こうと思っています」

 

十字教が後ろ盾の宗教色が濃い学校だが、数馬、宇佐美が通っている。

 

「幼い頃の記憶が戻り、幼なじみを思い出しました。連絡を取ると、そこに通

っているらしいんです」

 

数馬、宇佐美を幼なじみとした。まさか、以前の世界線では兄弟だったと言え

ないしねぇ。

 

そもそも、坂本家と山内家は主従の間柄だったし。問題は少ないだろう。

 

「蓮ちゃん、茜ちゃんもかよっているのよ」

 

この世界線の英理は、鈴木家寄りか?人質に蓮たちを取っていると言いたいの

か?

 

「それが、なにか?今は、誘拐される前の記憶を呼び覚ますのが先決だと思い

まして」

 

「あぁ、そうそう。刑事訴訟を他の弁護士に、どうして頼んだのよ」

 

まだ刑事にしていない。民事訴訟である。刑事訴訟にするには。まだ証拠が足

りない。

 

「山内家を知る、山内家の弁護士に頼んでいます。妃先生は、刑事事件の担当

が多いですよね?刑事事件に発展したら、依頼します」

 

と、お茶を濁しておく。英理がどこサイドなのか、はっきりするまで、お茶を

濁すか。

 

◇

 

クロス学院…昔の伝手を頼り、転入してみた。それと同時に、彼奴らに知られ

てしまい、巨大胃袋たちが越してきた。

 

「ようやく一弥の料理を口にできるのねぇ~」

 

と、インデックスが俺に抱きついてきた。俺としては、五和か火織に抱かれた

いのだが…人生そんなに甘くないのだろう。

 

救いはラストオーダーことミサカが、シスターズを引き連れてきてくれたこと

と、土御門が、メイド学校に通っている義妹を連れ込んだことだな。これで人

材不足が解消するかな。ここなら、シスターズをすべて、住み込みで、働いて

もらえる。

 

「琴美ことワーストは、この世界線では美琴の姉で、来週あたりに合流だに

ゃ」

 

面倒事は土御門に任せるかな。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。