[ひまり]
「あ…お洗濯、終わりましたね。」
[あおい]
「みたいだな…とと…っ!?」
シーツを取りに行こうと、あおいは立ち上がろうとしたが、足が思うように動かない。
あやうく、転倒しそうになった。
[あおい]
「やっべ…足が…!?」
あおいの足が、細かく痙攣していた。
[あおい]
「まだ…体が回復してないみたいだな…★」
[ひまり]
「じゃ、わたしが…。」
と、ひまりが、洗い終わったシーツを洗濯機から取り出し、乾燥機に入れた。
[あおい]
「なぁ、ひまり。
雑巾か何か、ないか?」
[ひまり]
「見たところ、無さそうですが…。
どうしたんですか?」
[あおい]
「その…床…拭こうと思って…★」
と、顔を赤らめるあおい。
床には、あおいの潮や精液でいっぱいだった。
雑巾が無いので、ひまりは、トイレから持ち出したトイレットペーパーを使って、あおいと一緒に、床に広がる潮と精液を拭いた―。
シーツが乾くまでの間、ベンチに座って語り合う二人。
[あおい]
「しっかし、ホント、誰も来なくてよかったな…★」
[ひまり]
「そうですね…★
わたしも、ちょっと、調子に乗りすぎました…★」
と微笑むひまりの肩を抱くあおい。
「今日…あたしん家に、泊まりに来ないか…?」
という、あおいの提案に
「はい♪」
と、ひまりは満面の笑みで答えた。
そして、乾燥機が停止した。
乾いたシーツをキラパティに持って帰ったあと、二人は、立神邸に向かう。
あおいの部屋で、あおいとひまりは、朝まで、熱く、愛し合った…☆
☆
後日、あおいとひまりは、いちか達に、付き合い始めたことをカミングアウトした。
しかし、それについて、誰も驚く者はいなかった。
むしろ『今更、それを言うか?』みたいな感じで、若干、呆れつつも、あおいとひまりを祝福した。
それから、だいたい2ヶ月くらい経った、ある日―
キラパティで―
[ゆかり]
「どういうことか、説明しなさい!!」
[あおい]
「はい…。」
あおいは、怒られていた―。
メッチャクチャ、怒られていた―。
なぜか、ゆかりに怒られていた―。
なぜ、あおいは、ゆかりに怒られているのか―?
あおいとひまりが愛し合い続けた結果―
ひまりが妊娠したのだ―!!
[水嶌]
「この不始末、どうするおつもりなのですか?」
[あおい]
「何で、水嶌がここにいるんだよ!?」
[水嶌]
「立神家始まって以来の大事件の現場に、私がいなくて、どうします?」
と、水嶌は眼鏡の縁を上げる。
[リオ]
「あきらさん…人間って、女性同士でも、妊娠するものなんですか?」
と、リオが、あきらに小声で訊く。
[あきら]
「いや…そんなことない…んだけど…★」
と、リオの質問に小声で答え、ひまりの方を見た。
多少の医学知識のあるあきらからすれば、いや、あきらじゃなくても、女性同士が愛し合って、妊娠するなんて、現実にはあり得ない事だ。
しかし、現実に、ひまりは、妊娠したのだ。
[ビブリー]
「でも、何であんなに、ゆかりは怒っているのよ?」
と、ビブリーが首をかしげる。
[あきら]
「そりゃ…まぁ…私達はまだ、学生なわけだし…。
それで妊娠とかしたら、それはそれで問題だからね…。
ゆかりも、年長者として、そのへんのことを、あおいに注意しているんじゃないかな?」
と、あきらがビブリーに説明した。
[ゆかり]
「ひまりは、どうするつもりなの?」
[ひまり]
「この子…産みます!!」
と、きっぱりと答えた。
[ひまり]
「この子は、わたしとあおいちゃんの子供です!!
中絶なんてしません!!
そんなお金もありません!!」
ひまりの言葉を聞いたゆかりの顔が緩んだ。
[あおい]
「ひまりぃ~☆」
あおいは、笑顔とも泣き顔ともつかない顔だ。
[ゆかり]
「ひまりは、ああ言っているのだけれども、立神家としては、どうなの?」
と、ゆかりは水嶌に訊いた。
[水嶌]
「もちろん、お嬢様には、ひまりさんを妊娠させたことに対しての、責任をとってもらいます。」
[あおい]
「水嶌に言われるまでもないよ!!
責任は、ちゃんととる!!」
あおいは、ひまりの手を握り
「ごめんな、ひまり…。
お前の人生、メチャメチャにしちまって…。」
と、謝罪した。
「いいんです☆
私は、とっても幸せです♪」
ひまりは、満面の笑みで、あおいを赦した。
そんな二人に対し、水嶌が
「何を言っているんですか。
貴女達、学生に、何が出来るというんですか?」
と、言い放った。
[あおい]
「何て事言うんだよ、水嶌ッ!!」
とキレるあおい。
[水嶌]
「では、お嬢様。
まだ職に就くことの出来ない学生の身であるお嬢様は、どのようにして、ひまりさんを養っていくつもりなのですか?
まさか、路上ライブで稼ぐとでもいうつもりですか?」
[あおい]
「う…★」
絶句するあおい。
そう-。
あおいも、ひまりも、まだ、職に就けない年齢-。
ひまりが子供を産んでも、あおいには、二人を養っていくことなど、出来ないのだ。
[あおい]
「じゃ…あたしは、どうすれば…?」
無力感に苛まれていくあおい。
[水嶌]
「まずは、お二人とも、学業を修めてください。
ひまりさんの出産については、我が立神コンツェルンが全面的に支援するつもりです。
ただし、これは、あくまでも理想論です。
私から一応、ご主人様にはお話を通してはおきますが、いずれ、お嬢様ご自身が、ご主人様にご説明なさってください。」
[あおい]
「わかった☆」
「あおいちゃん☆」
あおいに抱きつくひまり。
「ひまり☆」
ひまりを抱きしめるあおい。
そんな二人を見て
「キラッと、ひらめいた♪」
いちか。
[いちか]
「シエル、ウエディングケーキ作ろう♪」
「
と、ノリノリで厨房に行くシエルといちか。
[ゆかり]
「おもしろそうね☆」
「手伝うよ☆」
と、あきらとリオ。
「べつに、まだ、あおいとひまりが結婚したわけじゃないでしょうに…★」
と、ビブリーは呆れ顔で、しかし、それでも厨房に行く。
あおいとひまりも、厨房に行く。
結局、みんなで
『あおいとひまりの結婚前祝い』
として、ウエディングケーキを作った。
そして、結婚前祝いパーティーを、夜遅くまで楽しんだのだった―。
[ひまり]
「大好き、あおいちゃん☆」
[あおい]
「愛してるよ、ひまり☆」
まだ、先の事だけど―
永遠の愛を誓いあった。