※ハロウィンネタ(ただのコスプレネタでもあるよ)でやまもおちもいみもなく、キスはあるけどエロはない
「比呂ちゃん、見て見てっ」
ソファーで寝転がりながらマンガを読むオレに、皐月さんは早くと急かす。徐に単行本から視線を移せば、そこにはネコミミカチューシャを着けた皐月さんが立っていた。セーラー服姿でネコミミとは、これ如何に。
「似合う?」
「似合う、けど……なにしてんだよ?」
にゃん、とポーズをとる皐月さんのその姿は可憐だが、唐突だ。コスプレにでも目覚めたのだろうか。
不思議と目を瞬くオレに、皐月さんは座りこんで身を乗り出した。
「なにって――」
オレの手から単行本を取り上げてテーブルに置くと、すぐにまた身を乗り出す。胸元が見えそうで見えないアングルに戸惑い、視線を頭に遣る。そこにあるネコミミには見覚えがあり、「あ」と声を出していた。
「もうすぐハロウィンだろ?」
「それ……オレが買ったやつじゃん」
去年のハロウィン前にと口を開けば、皐月さんは口端を上げる。
「そ。リサイクルリサイクル。けどさ」
オレの頭を撫でた皐月さんは、ネコミミカチューシャを取ってそこに被せた。ネコミミに触れてから耳朶に触れてくる。
「やっぱり比呂ちゃんの方が似合うな。可愛い」
「似合わないし、可愛くないよ」
「可愛い」
ネコミミを取ろうとすれば、その手を取られて口づけられた。いきなりのことに躯が固まる。
「皐月さんっ」
「んー?」
「な、なにしてんだ!?」
「なにって、手の甲にキスしてますが」
「なんでキスするのかって聞いてんの!」
「したいから。他に理由がいるの?」
「ば、バカ……っ、なんでそんなことさらりと言うんだよ……」
首を傾げる皐月さんから漏らされた言葉に、顔が熱くなる。
「可愛い」
「可愛くないから! もういいから着替えろよっ」
その見た目だと変な気分になりそうだ。
皐月さんを睨めば、皐月さんの顔が近づいた。啄むようなキスは、一度では終わらない。
「比呂ちゃんごめん」
唇に触れた左手の親指は、ふにふにとそこを柔く押す。
「謝る意味が解らないんだけど」
「止まらなかった」
「皐月さんだからな。しょうがないよ」
だって変態だし。そう紡げば、皐月さんは参ったというように片手を上げる。
「比呂ちゃんには敵わないな。口が達者だ」
「そうでもねぇよ」
皐月さんの髪に触れ、額に唇を落とした。
「だって、好きだから触れたくなるんだろ? なら、オレだって皐月さんに触れたい」
「――っ、ひひひっ比呂ちゃんっ」
顔を真っ赤にさせながら目を丸めた皐月さんは、がばりとオレを抱きしめる。
「ああもう、可愛い! 可愛い可愛いっ! 大好きだっ」
「解ってるよ」
だからもう一度――。
皐月さんはオレの呟きにすぐに反応して、ふたたび優しいキスをしてくれた。
end
【 あとがき 】
ハロウィン関係ねぇえぇ!! ただのコスプレネタになっちゃったけどまぁいいか。
(公開 : 2012.10.28)