※ハロウィンネタ(ただのコスプレネタでもあるよ)でやまもおちもいみもなく、キスはあるけどエロはない
あと三日もすればハロウィンだ。お菓子をくれなきゃうんぬんなんて面倒だから、俺はやらないけど。
しかし、可愛い可愛い比呂ちゃんには楽しんでほしいと思う。だから――というわけでもないが、俺はセーラー服を身に纏い、ネコミミを着けてみた。
自室の姿見に映る俺は、完璧すぎるほどに女だった。いやまぁ、完璧にしているから完璧なだけだけど。
あ、ネコミミがちょっと傾いてんな。すぐにちょいと直して部屋を出る。
リビングに入れば、比呂ちゃんはソファーに寝転がりながらマンガを読んでいた。最近は寒いからか、ボーダー柄の長袖にスウェットを着こんだ姿だ。それだけなのに色気があるのは、比呂ちゃんだからだろう。マジで魔性。マジで天使。
傍に寄っても気づかかないぐらいに、比呂ちゃんはマンガに夢中だった。気づかせるように声を張る。
「比呂ちゃん、見て見てっ」
なんだというように、徐に単行本から視線を移す比呂ちゃんは、俺を見てポカンと口を開けた。
「似合う?」
にゃんと可愛らしくポーズを決めれば、目を瞬いた。不思議なんだろうな。つか、ハロウィンってこと、忘れてんだ。可愛いなぁもう。
「似合う、けど……なにしてんだよ?」
比呂ちゃんの言葉に座りこんで、身を乗り出しながら片手を伸ばす。
「なにって――」
比呂ちゃんの手から単行本を取り上げてテーブルに置けば、すぐにまた体勢を戻した。なぜって、比呂ちゃんの瞳に俺を映してほしいからで、比呂ちゃんを瞳に映したいからだ。胸元から頭に視線を遣る比呂ちゃんは、そこでなにかに気づいたように、「あ」と声を出す。
「もうすぐハロウィンだろ?」
「それ……オレが買ったやつじゃん」
そう。このネコミミは比呂ちゃんが買ったものだ。去年のハロウィン前に、との声が聞こえ、口端を上げる。
「そ。リサイクルリサイクル。けどさ」
やっとハロウィンだと気がついた比呂ちゃんの頭を撫でて、ネコミミカチューシャを取った。似合うけど、俺は柄じゃないしな。比呂ちゃんが一番似合うんだよね。去年なんかヤバかったし。
頭に被せてネコミミに触れてから、耳朶に触れる。柔らかいそれは、やはり触り心地がいい。
「やっぱり比呂ちゃんの方が似合うな。可愛い」
「似合わないし、可愛くないよ」
「可愛い」
可愛いったら可愛い。なんでそんなに頑固なんだ。いや、頑固なところも可愛いんだけど!
ネコミミを取ろうとするその手を取って、唇を落とす。瞬間、比呂ちゃんの躯が固まるのが解った。
「皐月さんっ」
「んー?」
「な、なにしてんだ!?」
「なにって、手の甲にキスしてますが」
繰り返し唇を寄せる手の甲は、肌のキメが細かく滑らかだ。俺は男だろうがなんだろうが、比呂ちゃんが比呂ちゃんであればいっこうに構わないが、男にしとくのがもったいない肌をしている。まぁ、俺も似たようなもんだけど。滑らかな肌は、見目がいいんだよな。――て、そんなことはどうでもいいか。
「なんでキスするのかって聞いてんの!」
「したいから。他に理由がいるの?」
比呂ちゃんの言葉に思わず首を傾げてしまう。つか、理由なんていらねぇし。触れる理由がほしいのなら、いくらでも作るけど。
「ば、バカ……っ、なんでそんなことさらりと言うんだよ……」
顔が朱に染まる比呂ちゃんは、もごもごと口を動かす。あーもう。
「可愛い」
「可愛くないから! もういいから着替えろよっ」
今度は叫んで、俺を眺めた。早くと急かすようなその瞳は、誘っているようにしかみえない。
もうダメだ。俺の残る理性が崩れる。どうしてこうも煽るんだ。
顔を近づかせて、唇に触れる。触れたらもう止まらない。もちろん、一度で終わらなかった。
「比呂ちゃんごめん」
やっちまったよ。でも反省はしない。けど、一応は謝るのが筋だ。嫌われたら堪らないからな。
唇に触れた左手の親指で比呂ちゃんのそこを柔く押す。触れていたいから。
「謝る意味が解らないんだけど」
「止まらなかった」
「皐月さんだからな。しょうがないよ」
だって変態だし。そう言う比呂ちゃんに、片手を上げる。
許してくれるのか、それとも本当に変態だと思っているのか。どちらにしても、参ったな、本当に。
「比呂ちゃんには敵わないな。口が達者だ」
「そうでもねぇよ」
比呂ちゃんの手が髪に触れ、額に唇を落とされた。
え、いまなにを――。
「だって、好きだから触れたくなるんだろ? なら、オレだって皐月さんに触れたい」
比呂ちゃんにデコチューされたし!
「――っ、ひひひっ比呂ちゃんっ」
俺は顔を熱くさせながら目を丸めた。まさか比呂ちゃんにデコチューされるなんて夢にも思わなかったから。
俺はなんて幸福者だろうか。そして、なんて可愛いことをするんだろうか、この子は。俺を骨抜きにさせるつもりか。いやもう虜だけどな。
勢いよく比呂ちゃんを抱きしめる。
「ああもう、可愛い! 可愛い可愛いっ! 大好きだっ」
「解ってるよ」
だからもう一度キスしてほしい。
比呂ちゃんのその呟きにすぐに反応して、ふたたび触れるだけのキスをした。
end
【 あとがき 】
攻め視点はあまり書いたことがないので、至らない点があるかもしれません。
でも楽しかったです。
因みに、03はないです。
(公開 : 2012.10.31)
---2019.01.27 ハーメルンでのみの追記---
ちなみに、この話の後にふたつほど『キミ×スキ』の小話がありますが、(前書き、後書きを含めた)本文の文字数が投稿最低文字数の1000文字にも満たないので、投稿を断念しました。
ふたつの小話は大した話ではないのですが、個人サイトかムーンライトノベルズさんでお楽しみください。