「G発進」
タウラスの叫び声と共に砂煙の中から巨大な足が一歩踏み出される。
徐々に薄くなっていく砂煙から見えるシルエットは50m級。
「核動力炉動作安定」
「よし」
動力炉担当のレディーの声にタウラスが応える。
「ミネルヴァ級此方に船首を回り込んできます」
「荷電粒子砲準備、砂煙を払うと同時に攻撃する」
「了解」
「ゾンゲル中将、爆炎が上がった箇所に高エネルギー反応です」
「なんだと」
ミネルヴァ級ペガサスの艦橋、戦況解析担当の声が響く。
「ナチュラル共め、何か最後の足掻きを見せる気か。そんなことはさせない。
近くにいるケルピーに陽電子砲を撃たせろ」
都市と配置された兵力がマッピングされた状況分析モニターを見てゾンゲルが指示する。
ケルピーは今回投入されたミネルヴァ級戦艦の一隻である。
「地上に向かって撃つのですか?
地上には民間人もいますが」
地上に向かって陽電子砲なんて撃ったら地上に残っている民間人に多大な被害が出る、オペレーターが戸惑うのも無理は無い。
「ここで躊躇って多くの同胞が死んだら、君は責任が取れるのかな」
「分かりました。要請します」
通信士が不承不承に従いケルピーに命令を通達。
直ちにケルピーは陽電子砲の発射態勢に入った。
「照準 正面ミネルヴァ級艦艇」
「エネルギーチャージ 80%」
「敵艦に高エネルギー反応」
G内部の巨大コクピットでは美女達が忙しげにコンソールを動かしている。
「荷電粒子砲発射だ」
「ですが、エネルギーチャージがまだ終わってません」
「十分だ。先制の一撃を噛ます。丁度良く敵艦は正面に回り込んできてくれている、好機を逃すな」
「了解です」
「ターゲットロック、トリガー解除」
美女の声に従いタウラスの席の前にあったスイッチのカバーが開く。
「これぞナチュラル反撃の狼煙。
ナチュラル同盟、GF、ばんざーーーーーーーい」
叫びと共にタウラスが発射ボタンを叩き壊すかのように拳を叩きつける。
何かに砂煙は振り払われ、全容を表したGの口から辺り一面を真っ白に染める光が迸った。
荷電粒子砲が放たれたのだ。
輝きが収まった時にはケルピーが爆炎を上げて地上に落下していた。
「なっ何が起きた?」
ゾンゲルが腰を抜かしたような格好で解析班に訪ねる。
「MS、いや巨大MAです。爆発のあったところから50m級の巨大MAが表れました。今の攻撃はこのMAからの荷電粒子砲だと思われます」
砂煙が収まり、そこには巨大な兵器があった。
全長50m、その巨体はもはや人型ではなかった。
巨大で振り回せばMSなど振り払えそうな巨大な尻尾、そしてMSすら噛み砕きそうな口。ご丁寧に背びれまである。
これではまるで前世紀に流行った怪獣では無いか。
これぞゾディアック タウラスが導き出した答え。
もはや個人のMS操縦技術がコーディネイターに及ぶことはないと諦め、昔の戦隊物のロボットの複数の人間が心を一つにして動かすことにしたコクピットシステム。
そして巨体を支えるに人型は棄て、昔地上を支配していた巨大生物を模倣。
巨大兵器を動かすために搭載された核動力。
まさにこれぞ新時代のMAなのであった。