「どうした」
ライブラが直ぐにパネルを使い外部と連絡を取る。
『ザフトです。ザフトの陸戦隊が正面ゲートのセキュリティーを突破して乗り込んできました』
この会議が行われている超高層ビルの正面にはドローンなどが配備された厳重なセキュリティーがある。それを問答無用で物理的に爆破して乗り込んできたのである。先程の揺れはその時の衝撃である。
『更にですがこの都市の上空に大気圏外から突入してくる艦を確認。少なくても三隻』
「なんだと。陸戦隊だけならまだしも戦艦を三隻だと、そんな情報全く察知できなかった。地上国家に対する事前通達もネゴも無しか。
おのれラクス、早速スーパーテロ法を使ってきたか」
他国の領土に無断で陸戦隊や戦艦を侵入させるなど宣戦布告に等しいが、先程設立したスーパーテロ法によりこれはプラントにおいて合法。それに異議を唱え迎撃態勢を取れる力は地上国家に残されていなかった。寧ろ上層部に食い込んだコーディネイターにより積極的に歓迎される雰囲気すらある。
「いやそれだと時間的に可笑しい。この突入の為にスーパーテロ法を設立させたと言った方がいいだろう」
ここゾディアック会議が行われているのは北アメリカ大陸の大都市に聳え立つ超高層ビルの地下。このビルをナチュラル同盟の同志が購入し秘密裏に地下を改造し利用していたが、ビルにいるナチュラル全てがナチュラル同盟に所属しているわけでは無い。寧ろ地上部分はごくまっとうな企業が入っている。それに対して、いやこの都市にいる万単位のナチュラルに対して、一切の避難勧告が為されていない。
正義を歌うラクスにしては思い切った手。ナチュラル同盟をここで潰せれば都市一つ潰してもお釣りが来ると冷酷に為政者として計算したか。それとも部下の暴走か。
どっちにしろ、プラントは一線を越えてきた。並々ならぬ決意を感じる。
「GF様。確かに設立してからこの強襲では時間的に用意が間に合わない。つまり・・・」
幾らプラントとはいえ大気圏外から強襲する戦艦は兎も角、予め地上部隊を配置しておくことは時間が掛かる。
「この会議の情報が漏れていたということだ。嘆かわしいことだが裏切り者がいるようだな。だが今は詮索している場合では無い。この危機を乗り切らなくてはならない」
「その通りです」
「突入してきた陸戦部隊については俺が連れてきた部隊が当たろう」
この会議に生身で参加していたゾディアックの一人、カプリコーンが名乗りを上げる。
細身の男ながら刀のような凄みを感じさせる。
「やってくれるのか」
「造作も無い。元よりラクスの暗殺を命じてくれれば直ぐにでもGFの御前に飾って見せましょう」
カプリコーンは中世の騎士のように美しくGFに跪いて言う。
「それはならん。我等の理念はコーディネイターを倒しナチュラルに未来を見せること。ラクスと男妾だけは決戦において倒す必要がある」
「GFの御心は分かっています。我がカプリコーン来たるべきラグナロクにおいて見事ラクスの首を上げて見せましょう。
ですがそれもこの危機をの乗り越えてこそ」
「うむ。サイボーグ部隊期待している。侵入して生きたコーディネイター共を一掃した後は各自の判断で脱出しろ。私の身を案じる必要は無い」
「はっ」
カプリコーンの部隊は、旧エクステンデッドの流れを汲む改造人間達。ただエクステンデッドと違い薬物だけで無く機械による能力強化も行った陸戦部隊。MSの操縦こそ凡庸だがこと白兵戦においてはコーディネイターを圧倒する能力を秘めている。
「閣下。降下してきた三隻に関しては我がGで迎撃させて下さい」
今度はタウラスが提案する。
「完成していたのか?」
「ジェミニに後れを取りましたが後は実戦テストのみです」
「そうか。なら任せた。
残りの者は自爆装置を作動後、ハイパーキューブを使い我と共に脱出する。
ナチュラルの希望なんとしても絶やしてはならぬ」
「「「はっ」」」
今ここにナチュラル同盟の存亡を懸けた戦いが始まる。