婚活オーク(仮) 作:大久保オーク
・オクダ
主人公オーク。元人間の転生者。転生する際に『
料理するぞと思うと意識がなくなって、勝手に作ってくれる。チート。
バフもりもり、食べまくると身体強化。
うますぎる。
独身だが、最近結婚について改めて考えだした。
・シュルツ
社長オーク。ヨミハラへのゲートに向かう際、主人公と他3人と遭遇し意気投合。
ノマド傘下の企業『㈱大久保人材派遣』の社長。
嫁は4人いる。
・ギドー
副社長オーク。業務は主に社長の補佐。ロリコンでケモナー。
魔族の嫁が二人いる。
・ドラコ
経理担当オーク。意外と武闘派。
簿記一級を持っている。独身。
最近とある鬼神乙女に狙われている。
・ミハイ
営業部長オーク。嫁は一人。
部長とあるが、特に部門が分かれているわけではないので実質現場での頭。
めちゃめちゃ大変。
嫁さんのことを愛しているが、嫁さんは少し病み気味。
・株式会社大久保人材派遣
何でも屋。なんでもできるようにOJTや社内研修に力を入れている。
ノマドが約90%株を持っている。
社員は100名くらい。入れ替わりとかあるため正確な数字はわからない。
シュルツのカリスマとオクダの料理で会社が動いている。
眠らない街、東京。
その中でもひときわ光を放つ街、ヨミハラ。
際限なき人の欲望と、魑魅魍魎とが跋扈するこの街で、5人の男が机を囲んでいた。
カラリと氷が入ったグラスをあおぎ、アツい液体を口の中に含んでいく。
旨い酒であった。
「それで、話とはなんだ?」
各々が注文したつまみを肴に、グラスを傾けていたところを、一人の男が口火をきった。
彼は従業員100人程度の中手企業『㈱大久保人材派遣』の頭。つまりは社長である。
名をシュルツといった。
偽名である。
こちら側で生活する上では、何かと戸籍がないと不便であるから作ったのだ。
国籍は日本である。日本人ではない。
そして、人間でもない。
彼らの皮膚は青い色をしている。
口元から伸び出る発達した犬歯、下あご。
闇の中でも赤く光る両目。
オークと呼ばれる、異界からの訪問者であった。
5人が5人ともオーク。
副社長のギドー。経理担当のドラコ。営業部長のミハイ。料理長のオクダ。
この4人にシュルツを加えた5人で、会社を立ち上げたのだった。
何かあった時にはこうして机を囲み、話し合う。
何かなくても机を囲み、騒ぎあう。
そうして10年間、底辺からのし上がってきたのである。
「オクダ」
社長であり、友人のシュルツの言葉で、机の全員の視線がオクダに集まる。
オクダは傾けていたグラスを机の上に置くと、両指を絡ませて一言。
「俺、婚活することにしたわ」
◆
わがはいは転生者である。
名前はオクダ。正確な年はわからない。
魔界の奥地にある島で生まれ、長い間そこで生きてきた。
魑魅魍魎が己の存在をかけて喰らいあう、弱肉強食の檻。蟲毒の壺。
外界から隔離されていた島から抜け出した際に、今のシュルツたちに出会う。
そのままヨミハラの下っ端稼業で生計を立てていた私たちは、10年ほど前に独立し、会社を立ち上げる。
人材派遣会社と名乗ってはいるが、ただの何でも屋だ。
ヨミハラ一帯を支配する多国籍複合企業のノマドだが、自分たちがすべてのことをやっているわけではない。
特に
時間というのは偉大なもので、5年も10年も仕事の成果を重ねていくと、周りの評価も変わってくる。
今では契約社員や派遣社員も含めると100人超になる中小企業の一つと数えられるまでになった。
シュルツはよくやっていると思う。
規模が大きくなってくると、それだけ目の届かない部分が増えてくる。
まとめるのも一苦労だ。
ましてや、会社の大多数が魔界の住人である。
我の強いやつらをまとめ上げることは、それだけで一大事だ。
小さなオフィスの中で怒号が飛び交うことも少なくない。
しかし不思議と、辞めるやつが出てこないのである。
これも、シュルツのカリスマなのだろうか。
思えば、彼が俺たちの中で一番大きな野心を持っていた。
その日その日を懸命に生きていく雑草。
しかしいつかは、きれいな華を咲かせよう。
歴史に名を残すような、きれいで、大きな華を咲かせること、それが彼の野心である。
そのために、オークが住まう部落を抜け出して、ヨミハラまで来たのである。
ギドーもドラコもミハイも何らかの目的をもってこの街にやってきた。
そこで、シュルツという光を見たのである。
彼の存在は灯台のように、私たちの道を照らしてくれる。
だから、彼を慕ってついていくのだ。
私は、彼のような存在にはなれない。
ここに来た目的も、前世の故郷である日本に訪れることだったのだ。
私の目的は、達している。
彼の元で働いているのは、彼に義理があるからか。
いや、私も彼のことは気にいっている。
そんなことを考えても仕方がないが、ともかく、彼の元で今働いているのが事実である。
さて、ここに来るまでいろいろなことがあったものの、今私が考えていることは一つだ。
すなわち、そろそろ結婚すべきかどうかである。
オークが人と同じように老化していくのかはわからないが、地球に来て10年経った今、少し独り身であることが寂しく思えてきたのである。
シュルツも、ギドーも、ミハイも既婚者で、異種族の奥さんをもらっている。
シュルツとミハイなんかは、子持ちである。それもそれぞれ3人いる。
独身なのはドラコと私だけだ。
いや、ドラコは最近仕事でかち合った時に戦い合った鬼神乙女の一人に結婚を迫られているらしい。あれは時間の問題だと思う。
ドラコも私も、一人の方が気楽でいいと話し合ったこともあったが、最近はどうなのだろう。
既婚者が組織の近くにいると、何となく結婚すべきという気持ちになってしまうのだ。
しかし、どこかにいいヒトはいないものだろうか。
相手が(おそらく)中年オークでもいいと言ってくれる、尽くしてくれるできた女性は…。
私は店を出てふと、そんなことを考えながら歩いていた。
今夜は丸い月が浮かぶ、良い夜だ。
面倒な思考は、飲んで忘れるに限る。
そう考えたオクダは、行きつけの旨い酒と美女がいる店へと足を運んだ。
◇
「ついにこの日が来たか」
そう、シュルツが言った。
オクダが店を出た後、再び4人は集まり、別の店で机を囲んでいる。
5人で集まっていた時とは違い、皆顔に神妙な表情を浮かべている。
「いや、普通に応援するべきことだと思うのだが…」
「俺としても、此度の友の決断は尊重すべきものだと思う」
「めでたいよね……」
シュルツの言葉に、他の3人が各々に意見を出し合う。
オクダに肯定的な意見ばかりのように聞こえるが、皆表情が固い。
「……俺としても、友としてオクダのことは応援したいと思っている。ドラコと一緒に『独身貴族』なんてずっと独り身を貫いていた奴が、結婚を意識しだしたことは喜ばしいことだ。俺にも家族がいるからな、結婚がすばらしいことだとはわかっている」
「僕にもブリちゃんとクーちゃんってお嫁さんがいるからねー。花嫁姿の二人は可愛かったなぁ……」
「俺も最初は結婚なんてって思ってたけど、やっぱり家族っていいよな。子どもができると特に思うわ。そういえば、『独身貴族』のドラコは、あの鬼神乙女とどうなったんだよ?」
「彼女とは、そういう関係ではない」
「とか言って、ちょっと悪くないと思っているんだろ?」
「ついにドラちゃんも結婚かー。鬼ごっこも長かったけど、結局逃げきれなかったな」
「だから、違うと言っている」
「……ドラコのことは、ひとまず置いておこう。問題は、オクダのことだ」
盛り上がってきていた彼らの会話が、途端に静けさを取り戻す。
シュルツはグラスに入っていた酒をあおった。
苦い、苦い味がした。
一息入れたのち、彼は言った。
「戦争になるぞ」
◆
カランと、ベルの音がした。
ステンレス製の取ってを押して店の中に入ると、甘い匂いが鼻の中飛び込んでくる。
女の匂いである。
雄の頭を刺激する、魔性の匂い。
どうして女はあれほど甘い匂いがするのか、いまだにわかっていない。
いらっしゃいませと声をかけてきた淫魔族の女にコートを手渡し、カウンターへと足を運ぶ。
テーブル席ではそれぞれ、酒と女とを楽しんでいた。
オクダがテーブルの端に腰を下ろすと、カウンターからおしぼりが手渡される。
先ほどまで温められていたため、まだ湯気が出ている。
オクダはそれで手を拭き、焼酎湯割りと注文した。
甘い匂いと甘い音楽。男と女の話声が店内に広がっている。
「はい、焼酎湯割り」
しばらくすると、頼んだ酒がカウンターに置かれる。見知った顔だ。
「久しぶり、ベルベット」
「久しぶり、オクダ」
紫色の髪の、有角魔族だ。
彼女がこのガールズバーを営んでいるオーナーである。
昔は格闘家を目指していたらしく、武闘派だ。
細身ながら魔力によって強化された手足から繰り出される一撃は、容易に相手の命を刈りとる。
ちなみに、ここが女100%なのは、彼女の趣味である。
オクダがここに通いだしてもう何年にもなる。
「結構間空いたけど、仕事?」
「そうだ」
「へえ、どんな仕事?要人警護とか?」
「うちみたいな小さな会社に、そんな依頼が来るわけないだろ」
「でも前に、呼び出されたんでしょ?」
「そうだがな……」
以前ノマドから名指しで指名された依頼に、名門魔界貴族の令嬢の護衛というものがあった。
魔界でもいまだ名を残す家柄の放蕩娘が、このヨミハラに来るということでノマドの中でも話題になっていた。
そしていざ来るとなった時、奴さんがうちの会社を名指しで指名したらしい。
ことの経緯を説明していた褐色の魔界騎士さんは、どこか疲れた顔でそう説明していた。
名門魔界貴族の次期党首候補ということで無碍にもできず、うちとイングリッドの部隊の合同で護衛任務にあたることになったのである。
といっても、特に対魔忍や米連という敵対勢力からのアプローチがあったわけではない。
滞在期間中は、平和なもんでお嬢様もたらふく食って、たらふく寝て好きなことして魔界に帰っていった。
結局うちもノマドも、わがままお嬢様に振り回されたってわけだ。
もちろん、見返りもあったろうさ。
噂では、ノマドには多額の寄付金があったとか。
うちにも、素敵な贈り物が何個か届いてたな。
ちなみに俺はノータッチ。
お嬢様からルージュの伝言を一枚、もらったけどな。
「きれいな人だったんでしょ?」
「まあ、顔は悪くなかったな」
あと身体も。
乳も尻もでかい。
腰もきゅっと括れている。
プルプルとみずみずしい唇に、蠱惑的な瞳。
放蕩娘なんて揶揄されてたけれど、いろいろな経験をしてきている。
たぶんあれは、今のうちに見識を深める意味合いもあるんだろう。
党首の座についてしまえば、身動きが取れなくなる。
その前に、自分で世界を知っておこうというわけだ。
なかなか頭のいいお嬢さんだと思った。
なんてことを考えていたら、前からにゅっと伸びてきた指が、オクダの頬を掴んだ。
「いででででででっっ!?」
「鼻の下伸びてるよー」
武闘派ベルベットは指先も鍛えており、その力で頬を引っ張られるともうたまらなかった。
しかし、ベルベットの顔は笑顔である。表情は固定されていたが。
何するという言葉にも、にこにことほほ笑むだけで応えない。
それが逆に恐ろしい。
「……ねえ、夜空いてる?」
少し気まずくなったところで、ベルベットから小声で誘いがきた。
「空いてるぜ」
「わたしもうすぐ上がるから、いつものとこで、ね」
「いいのかい、こんな早くにオーナーが上がっても?」
「オーナー特権です」
「頭が言うことには逆らえないねぇ」
そう言うとベルベットは奥にカウンターの奥へ引っ込んでいった。
手前の席から従業員であろう淫魔族のお姉ちゃんがこちらに視線をよこしてくる。
どこか生温かい視線だ。
急に居心地が悪くなったオクダは、コップに残っていた焼酎を一気に流し入れた。
ぬるい酒だ。
◇
「戦争になるぞ」
シュルツはそう言った。あながち間違えではなかった。
重い空気が4人の間に広がっていく。
「……女ってのは、わかんねえからなぁ」
「男には理解不能だ」
「ハーレムってのは、フィクションではいいけど現実では結構大変なのよね」
4人が4人ともにうなづく。
特に既婚者であり重婚者のシュルツとギドーは実感がこもっていた。
人間だから、オークだからと一夫多妻制やハーレムを肯定・否定しているのではない。
もうその段階はとっくに過ぎたのである。
問題は、家族になってからのことだ。
マジカルチンポが解決するとか、そんな甘い話ではない。現実は非道である。
シュルツもギドーも、結婚して子供ができてからは奥さんに頭が上がらないのだ。
家族ができることで、変わることがある。
特に女性に関しては、男性が思っている以上の動きに出たりする。
「修羅場を仲裁するのが、どれだけ大変か……」
「もうチンコ噛まないで……」
「接待でキャバクラに行くだけで、あとで搾り取られるんだよなあ」
「やはり独身こそ最強」
重婚者二人はあの悪魔のような時間を思い出し、顔を青く染め上げ。
ミハイは、嫁は一人だがちょっと病み気味のアラクネ族が糸を絡ませ、そのまま捕食(意味深)されるのに頭を悩ませ。
独り身で身軽に動けるドラコがやはり自分の考えは間違ってはいなかったと納得する。
しかし、ドラコも最近はちょっと過激な鬼神乙女にハート(意味深)を狙われているのだ。
別名が『生殖猿』と呼ばれるほど性欲が旺盛で、女ならばたとえ異種族間でも交配することが可能なオーク族ではあるものの、10年という時間は彼らの価値観を変えてしまうには十分なものだった。
ましては、ノマドおひざ元のヨミハラである。毎日のように魔族、対魔忍、米連、その他勢力とが入り乱れて殺し合いをしているのだ。
おそらく、彼らが生きる人生の中でもっとも濃い10年間だったであろう。
それゆえに、同じ10年間を過ごしてきた友として、オクダの決意は尊重したい。
4人が4人ともにそう思っている。
「……シュルツが知ってるだけで、何人いる?」
「……ざっと思い浮かぶだけで、20人ほどは」
「OH……」
「たぶんもっといるだろうな」
「社外で女作ってても、俺達にはわからないからね」
「この前の魔界貴族のお嬢様、完全にオクダに夢中だったな」
「向こうも話は聞いていたんだろうが、見事に胃袋をつかまれていたな」
「お礼の品の中にも、オクダのは別に入っていたぞ」
「見た見た。ルージュの伝言って、あれは絶対誘っていたな」
「おそらくお抱えの料理人にならないかという話だろう」
「ぼっきゅぼんでグラマラスなお嬢さんだったなぁ」
「それを断るオクダの勇気」
「……あいついつか刺されるぞ」
「その前に戦争だ」
「取り合いか」
「いくらなんでも、人数が多すぎる。二人三人のレベルではない」
「ノマド内でもあいつを狙っている勢力は、少なくない」
「というか、武闘派が多すぎる」
「ブラック様も動かれるだろう」
「まじかよ、たかが一匹のオークだぞ!?」
「その一匹が、戦況を変えることもある」
「というか、たぶん人生変わっちまうよ」
「『
「気づいた時には料理ができていて、それを食べると各種バフデバフ特盛。しかも食べ続けると身体機能すら向上させるという特級の能力」
「俺たちはオクダの料理を食べ続けたこそ、今まで生き残ってこられたと言っても過言ではない」
「並のオーガ族程度なら文字通り一ひねりだからな」
「まあそのせいで、鬼神乙女に狙われることになった人とかいるし」
「……言うな」
「とにかく、あいつの重要性は、俺たちはもちろんのこと、ノマドの中では広まっていることだ」
「というか、オクダの飯目当ての依頼とかあるし」
「オクダの飯は旨いからな」
「うますぎて、コンビニの飯とか食べられないんだよなあ」
「うむ、オクダの飯こそ至高の一品」
「確かに、外に食べに行っても見劣りしてしまうのもしょうがないことだ」
「それで女の子の胃袋も心も掴んじゃうんだよね」
「しかも本人に自覚がないときた」
「あいつバカ舌だからな」
「何食っても美味いとしか言わないのはどうかと思う」
「そのくせ、腕だけは確かだから不思議だよ」
「……これ以上あいつの話をしていても埒があかない。俺からはこれだけだ」
そう言って、シュルツは他の3人に目を向ける。
「何かあったら逃げろ」
「異議なし」
「異議なし」
「異議なし」
この世で、女の嫉妬ほど恐ろしいものはないのだ。ましてや、それが男の取り合いとなるとなおさらである。
◆
ベルベットと合流し、腕を絡ませながら歩いた先は一件のラブホテル。
割り当てられた部屋の中に入った瞬間、ベルベットが抱き着いてきた。
そして差し出される唇。
それをかがんで受ける。
身長差もあり、中腰のまま口内で舌を絡ませあう。
ぬちゅ、くちゃ、べろり。
二人の唾液が混ざり合う音だ。
官能的な音が、二人の気分を高めていく。
たっぷり3分はお互いの口内で探り合い、そして舌を離す。
距離が近いせいで、ベルベットの吐息を生で感じ取ってしまう。
生暖かい、動物的な吐息。
舌と舌とが、銀色の糸でつながり、やがてそのつながりが切れていく。
女の顔が紅潮しているのがわかる。
女の瞳がうるんでいるのがわかる。
女が雄を感じ取っているのがわかる。
そして俺は、雄を高めていく。
「シャワーはいいのか」
「いいのよ、こっちのほうが、男を感じられるし」
再び、キスをした。
舌を絡ませあいながら、お互いの衣服を一枚ずつ脱がしていく。
素肌が見えてくるにつれて、香りが増している。
ベルベットの、雌の香りだ。
黒のブラジャーをはぎ取ると、そこにはピンク色の突起が二つ、
服の上からでも容易にわかる、豊満な乳房。
ピンと前に突き出たロケット型の乳だ。
俺は彼女をベッドの上に押し倒した。
彼女の爆乳の間に、頭をうずめてみる。
頭の重さで沈んでいくが、一定までいくと押し返してくるような、張りがあった。
顔を上げると、谷間からベルベットの顔が見えた。
苦笑していた。
その顔にムッとした俺は、ピンと張った突起を指でつかんだ。
「……あっ」
突然のことに色声をあげてしまう。
それに気をよくした俺は、そのまま指で乳首を転がしていく。
ゆっくり、ころころと、撫でるように――――、
そして、つまむ。
「んんっ」
優しい愛撫からいきなり強くつままれると、声を我慢できないようであった。
こうして、彼女の乳首の性感を高めていく。
主導権はこちらがにぎっているのだ。
例え彼女がすさまじいドMで、腹パンされるだけで感じる体質であろうが、今は関係ないのである。
どうだ、ベルベット。
俺は彼女の顔を見た。
まだ優しく指で転がしているところだ。
それをベルベットは物足りなそうに見ている。
そして乳首をつまんでやる。
今度は軽くひねりを加えて。
「んああっ」
甘い声が部屋の中に響き渡る。
ベルベットがねだるように、舌を差し出してくる。
俺はそれを受けてやった。
いやらしい音をさせながら、絡み合う欲望。
その間も胸を愛撫することを忘れない。
キスの間も、甘い吐息が漏れ出ていく。
とろんとした眼が、こちらを見つめている。
荒い息、紅潮した顔、涙を含んだ瞳。
もはや何も起きないはずはなく。
俺はベルベットに覆いかぶさった。
◆
「っはぁ、……あッ、……あぃッ、あんッ……あッ――――」
女の嬌声が響き渡る。
男は怒張した自らのものを女の中に突き入れる。
抜くときにも、突き込むときにも、女は反応する。
小柄な彼女の両腕をとり、後ろから勢いよく突く。
後背位でのセックスは、男のほうから女の表情を伺うことはできない。
しかし、俺にはベルベットがどんな顔をしているか容易に想像することができた。
男に尻を突き出し、もうどうにでもしてくれというかのような彼女は、今悦んでいる。
オーク族の巨大なペニスが、膣壁を擦っていく。
その刺激が快感の波となり彼女の頭に伝わっていく。
舌が垂れ下がった口からは、酸素を求める荒い呼吸が。
雄を受け入れている膣は、もっと刺激をとせがむようにペニスを締め上げる。
俺はふっていた腰を止め、ベルベットを抱き上げる。
夢心地な彼女は、俺の為されるがままに股を開く。
ベッドに寝転がり、上から彼女を見下ろした俺は、開いた股にペニスを挿入する。
艶やかな声が響いた。
こちらのほうが、ベルベットの色づいた顔を見ることができる。
艶やかな、雌の顔だ。
俺はたまらなくなって、彼女の口に吸いついた。
そして欲望のまま、腰をふっている。
女の、雌の、匂いが、香りが、味が、感触が、俺の中に入っていく。
すさまじい勢いで、俺の中の雄を高めていく。
眼前の雌も、すさまじい仕上がりだ。
ほとんど叫んでいるような嬌声をあげながら、雄の身体にしがみついている。
目には涙を浮かべ、口からはよだれを垂らし、鼻から鼻水が飛びでて、そして膣から愛液が噴き出す。
いいぞ、最高だ。
雌を犯しているという実感を得る。
女をどうにかしているという実感を得ている。
これはオークだからなのか。
高まってくるといつからか、雌を孕ませたいという気持ちになってしまうのだ。
それは転生して得たチートでもどうにもならない、原初の欲求だ。
その欲望に浸りながら、思うのだ。
――――気持ちがいい、と。
やがて、高まりが最高峰まで上がってくると、射精欲求がむくむくと湧き出てくる。
「―――っもう、出るぞ」
「うん、出してッ、私の中に出してっ」
放さないとでもいうように、ベルベットが足を絡ませてくる。
なんて愛しいやつだ。
そしてそのまま、俺は彼女の中に欲望を解き放った。
◆
こうして、俺ことオーク族のオクダの一日が終わったのである。
となりで眠っているベルベットに視線を向ける。
俺の腕を枕にし、規則正しい寝息を立てている。
安らかな眠りを邪魔しないように、ゆっくりと髪をすいていく。
こうして見ると、ベルベットって美人だよなぁ。
「結婚か……」
前世の時は見合い結婚だった。
それでも妻を愛していたし、子どもも二人も得た。
悪くない人生だったように思う。
だがこうしてオークとなった今、前世と同じように相手を愛せるのだろうか。
性欲猿と疎まれているこの身で、男と女の関係を築くことができるのだろうか。
そんなことを考えながら、眠りに落ちていった。
◇
「――――逃がさない」