原作にいけねぇ!読まなくても大丈夫な部分だよ!
色々適当だから頭空っぽにしてね!
――衝撃的な出会いから早数年、セシリア・オルコット15歳。
場所は団体が秘密裏に所持する研究所、その地下施設。
其処は冷たいコンクリートに覆われ、牢屋が無数に存在する空間。
一言で表すなら、まるで重罪人を閉じ込めておく為の刑務所。
セキュリティーも万全であり、数百機近い監視カメラが絶えず赤いランプ点滅させ周辺を監視していた。
パァッン!!パァッン!!ぐっ……パチィッッッッン!!!
ぎゃぁぁぁあぁあぁッッ!?
その監獄のような場所で定期的に冷たいコンクリートに反響し、炸裂音と恐らく男性のものであろう断末魔が施設全体に鳴り響いてくる。
よくよく見てみると牢の一つ一つに詰め込まれているのは全て男性であり、人種、体格、年齢と違いはあるもののその全てが男。
そして、その全てが聞こえてくる反響音に対して、耳を塞ぎ怯え縮こまっていた。
明らかに普通ではないこの場所は、団体が秘密裏に人体実験などを行う為に作られた通称モルモットゲージ呼ばれる施設。
察しの良い人間であればわかる通り、モルモットとは人間の男性のことであり、この場所では人権などなく、ただの消耗品としての扱いがいいところである。
当然ながらこんな違法研究、死んだ後も務所から出れないほどの重罪のオンパレード、本来なら即刻各所から調査の手が入っても可笑しくはない場所……しかし未だに一度も検挙どころか調査もされずにいた。
というのも密接にISが関係してくる……ISの登場により国家問わず世間の男性の失業率は大幅に増加、男性と女性が入れ替わるようにして居場所が奪われていった。
結果男性は少数を除いて碌な職にもありつけず、社会問題にまで発展……そんな風になってしまう頃には女尊男卑の風潮は完全に世界に染み渡っており、国を維持する働き手である女性達に薄汚い男共を養う気など無くなっていた。
風潮が広まりすぎた影響か、少数の風潮に影響されなかった人間たちも少しずつ心境に変化が起こしていった、元来人間とは集団心理に左右される生き物である、周りが黒だ黒だと言う中で自分だけが白だと言い続けるのは周囲からの同調圧力も加わり耐え難いストレスとして精神を蝕む。
そうして女尊男卑の主張を唱える人間が加速度的に増え、並行して増える職につきたくてもつけない放浪者同然の男達に国も扱いに困り果てていた。
職についても女性から疎まれ職場から追い出す様にリストラ同然に退職を強いられ、増え続ける男性、死んでいる様に生きて、消えても誰も気づくこともない人間、そんな人間の行き着く先がこの施設。
要するに国が容認し協力しているのだ、多くの男性が過去の栄光を再び手に入れようと国から紹介されたこの施設にやってくる、其処が男にとって耐え難い地獄とも知らずに。
コッ…コッ…コッ…
もう何度悲鳴が聞こえてきたかわからなくなる頃、音の発生源であろう牢に硬い靴音が少しずつ近づいていく。
ギィィ……
「またこちらで運動ですか?流石は現イギリス代表候補生、日々の鍛錬にも余念がありませんね」
電子ロックの扉を解除し、軋む金属音と共に聞こえてきたのは、数年前セシリア・オルコットと衝撃的な出会いを果たしたイスラ・エヴァンズの声である。
「ふふ、貴女方にとっても喜ばしいことなのでしょう?」
そしてそれに答えるのはイスラ達に女神として崇めら、更に美しく成長したセシリア・オルコット、青いISスーツを身に纏い汗ばんだ額をタオルで拭いながらイスラの方へと振り返る。
「それは勿論でございます、オルコット様の成長は組織全体の喜びでございますから!」
ぱぁぁぁ!と花の咲くような笑顔を浮かべるイスラ。
「ふん!当然ですわ!貴女方は女神であるこのセシリア・オルコットの為だけに存在しているのです!精々捨てられない様にそうやって媚びを売っておくことですわね」
ここ数年で女神様、女神様と周りからもてはやされた影響か、以前のセシリアからは考えられないほど傲慢な態度で返事を返すセシリア。
組織と関わり始めてから変わり始めたこの性格はすっかりとセシリアの素の性格として定着していた。
イスラの女神様呼びも当然と言った様子で、小生意気な鼻をフンと鳴らし、ご機嫌に一笑。
どれ程高慢ちきになろうと周りは嬉しそうにセシリアを持ち上げ褒め称える、セシリアもそれに気分をよくし威張り散らす悪循環。
少しでも気に入らない事や人物がいれば軽く命令してやればどんな手を使ってでも排除してくれるのだ、そして決まって貴方様は特別なお方、と言い甘やかす、それが二年も続いたのだ、自信過剰で自分が一番でないと気が収まらない、自身が気に入らない奴は泣いて許しを乞うべき、という、両親の遺産を守ろうとしていた頃に比べると精神年齢がガタ下がりの酷い有様になっていた。
「あぁ……本日も威厳に満ち溢れております♥それにしても随分励まれたようですね?」
何処にそんな要素があったのか、イスラは感激した様子で顔を赤らめる。
そしてイスラは興奮冷めやらぬ様子でセシリアから視線をづらし、無造作に横たわるモノを見下ろした。
其処には様々な年代の、体格に恵まれ筋肉が逞しく発達した男達が這いつくばっており、皆一応に股間を押さえ痛みを堪えるようなうめき声を上げていた。
中には反抗的な目つきでセシリアを睨みつける者もいたが、首や手足に繋がれた特殊な拘束具で壁に繋がれ立ち上がることも出来ずにいた。
セシリアはこの場所に来て以来イスラが最初に教えた効率的な男の処刑方法をひたすら実績していた。
イスラがセシリアに協力を取り付けてからまず初めに行ったのはセシリアの男に対する評価を徹底的に下げること。
元々これ以上下がらない程底辺のソレを更にその底の底までをドリルでぶち抜くかのように最底辺へと落とし込んだのだ。
セシリアが男に対して一片の情も抱かなくなるように、どんなことをしても良心が傷まず同じ人間だとは思えなくなるほどに、男のもがき苦しむ姿に喜びを感じられる人間に仕立て上げた。
しかし飽くまで誰から与えられた価値観ではなく、セシリア自身が本心からそう思える様に徹底的に、自分勝手な欲望を勝手気ままに実現し、堪能出来る環境を惜しまず提供した。
そしてその目論見は驚く程上手くいった。
セシリアは男をいたぶることに対し快感を感じ始め、男がどれ程悲鳴を上げようが眉一つ動かさなくなった、それどころから口を歪め、支配者として抵抗出来ない相手をいたぶることに抑えれれない愉悦感を滲ませるまでになっていた。
今では、暇な時間を見つけては施設に囚われた男をストレス発散替わりのサンドバックとして扱うのが習慣と言えるほどまでに成長してしまった。
男をいたぶる上でセシリアが最も気に入っているのが金蹴り去勢である。
どれ程屈強な男でも足先、片手一つで粉砕可能という事実をイスラが実績とともに目の前で証明しセシリアに大きな衝撃をもたらした方法である。
少しの蹴り加減の違いで容易く潰れてしまう睾丸、その絶妙な感覚を掴むのに数百で効かない数の睾丸を蹴り潰した。
セシリアは金蹴りのその優雅とまで言っていいスマートさが気に入っていた、剥き出しの急所を的確に狙い撃ち抵抗一つ許さず地に這わせられるのだ、これ以上効率的なことなど無い。
それにあの脆弱な玉を潰す感覚は楽しくて仕方がない、子孫を残すという生まれながらに持った雄の宿命、生きる意味である生殖能力を一瞬の内に奪い、男としての意味を完全に終わらせる、女の脚先一つで遺伝子を踏み躙られ、のたうち回る姿は余りに滑稽で笑いを堪えることが出来ない程楽しかった。
”弱点丸出しの馬鹿な欠陥生物に、上位種であるわたくしが生物としての格の違いを教え込んで差し上げているのです、感謝なさい”とセシリアはのたうち回る男という生き物に対してそう考える。
「問題でもありまして?」
「いえいえ、もう戸籍上死んだことになっている人間です、ましてや男、モルモットかストレス発散ぐらいにしか使い道はありません、この研究所も私達も含め全てセシリア様の私物です、使い潰して頂いて何も問題もありません…しかし……」
再利用できるのならしない手はないですね――そう続けたイスラは懐から毒々しい液体の入った注射器を取り出すと、無表情で横たわる男達の首筋に刺していく。
暫くすると男たちは眼の瞳孔が開ききった状態で首筋を掻き毟る、体中に野太い血管が浮き上がり、明らかに正常な状態で無いとわかる。
掻き毟る首から皮膚が抉れ出血する、しかしそれを上回る速度で傷口が再生していく。
「……ちょっと、そういうのは他所でやって下さいませんこと?」
その様子を見てうげっ、と顔を歪めるセシリア。
セシリアの性格は間違いなくサディストと言っていい程変貌していたが、別に猟奇的な趣味があるわけではない。
常に美しく優雅、と少しナルシストの様な理想抱いているセシリアにとって、男が流血するような血なまぐさい光景など、汚らしくて到底見れたものではないのだ。
ちなみに蹴りで男が精液を漏らすなどの粗相があった際、その男の目の前で喜々として靴裏で踏みつけるなど平然と行うので、何がアウトか若干線引きが難しい所でもある……。
「ふ、不快な汚物でオルコット様の眼を汚してしまい申し訳ありません……どうやら調整を誤ったようです」
この光景にはイスラも予想外だったのか、慌てた様子でセシリアに対して何度も頭を下げる。
イスラの注入した液体は国際法で到底認可されることのないようなモノであり、この研究所で開発された試作の薬液、瞬間的に驚異的な再生能力を得る代わりに寿命の半分異常を失い障害も残る劇物である。
「はぁ……構いませんから、早く掃除してくれませんこと」
セシリアがそう言うと、牢の入口からゾロゾロと白衣の女性が現れ男性を回収していく、暴れるような者には首筋に警棒やスタンガンを叩きつけ意識を奪ってから引きずっていく、容赦のかけらも無い。
「申し訳ございませんでした、お詫びと言ってはなんですが、丁度活きのいいモルモットが手に入ったので……いかがですか?」
「あら、初耳ですわ?」
「今日手に入ったばかりなんですよ、数十件に渡る強姦に殺人、盗みと清々しいまでのゴミクズでして、裁判では当然処刑判決、今は隣の牢に全身拘束の後、地面に転がしております」
この施設地下に収容された男達は皆、収容後戸籍、経歴も抹消され死亡扱いで処理される。
一般の国に売られた人間も大勢いるが、一番多いのは世の法律で死罪判決がくだされた重罪人だ。
先ほどセシリアが痛めつけていた男達も例に漏れず罪を重ねた犯罪者達のの末路であり、仮に死なせてしまっても誰の良心も傷まない。
人種問わず数百人規模集められたこの研究所、いかに組織の権力が凄まじいかがう伺い知れる。
ちなみにセシリアはまだ一人も直接手を下したことはない、セシリアにとって此処の男達はオモチャのようなものであり、自身が楽しめる玩具を無闇に壊したりはしない、壊れそうになっても直してまた遊ぶのだ。
セシリアはモノを大事に扱ういい子なのである。
「これだから男は……野蛮さにしか取り柄がないのかしら」
「それで……どういたしましょう?」
「いいですわ、連れてきなさい、私直々に正義の鉄槌を下して差し上げます」
ビシッ、とイスカを指差し命令するセシリア。
まだまだ蹴り足りないのか、シュッ、シュッと蹴りの練習をし始める。
格闘の心得など無いセシリアであったが垂直に蹴り上げる姿だけは妙に堂に入っていた。
イスカはセシリアからの命令が下ると、懐から通信機を取り出し何かを話し始める。
そして一分にも満たない通話後、通信機をしまい、いつの間にかシャドーボクシングまで開始しヤル気満々のセシリアをニコニコと眺め始めた。
腰の入っていない、情けないテレフォンパンチとも言えないジャブを自信満々に決めるセシリア、それに対してイスカは特大の賞賛を浴びせまくる。
組織内の人物からすれでは見慣れた何時もどおりの光景である。
――
――――
そして待つこと数分。
ジャラ…ジャラ……と鉄の擦れる金属音が少しずつ近づくようにセシリアの耳に聞こえてきた。
「届きましたね……オルコット様、少しお下がり下さい」
「フン、フン!問題ありませんわ、このセシリア・オルコットが華麗に成敗してくれます!さぁ、さっさとお連れなさい!」
未だにパンチ、キックを繰り返すセシリア。
鼻をふんふん鳴らし興奮気味に命令する。
「出過ぎた口を利きました……連れてきなさいっ!!」
セシリアに話しかける時とは違う温度を感じさせない声色で牢の外で待機しているであろう部下に話しかける。
すると計四人の黒服に囲まれた身長二メートルゆうにあるであろう、筋肉質な巨漢の男がセシリア達のいるであろう牢の中に入って来る。
手足は手錠と鎖で拘束され、目には布が巻けれており視界が塞がれている、おまけに口にはボールギャグが噛ませてある徹底ぶりである。
イスラは無言で男に近づくと膝裏を蹴り付け、地面に膝をつかせると目隠しとボールギャグを外した。
「ぶっはぁ!おいおいなんだぁッ!随分乱暴なご挨拶じゃねーかッ!?」
「女神の御前です、その薄汚い口を今すぐ閉じないとコレで、胴体とお別れすることになりますよ?」
品のない笑みを浮かべる男に対し、イスラは男の首に嵌っている金属輪っかをコンコンッと叩き、無表情で男を威圧する。
首に嵌められた金属のコレとは首輪の内側に並々詰められた爆薬のことである。
大人しくさせる為のものであるが、イスラは少しでもこちらの命令に従わない場合、セシリアの答えを待たず即刻爆破するつもりでいる。
「チッ……クソ女が」
悪態を一つつくと男は渋々といった感じで黙り始める。
”やってみろ”と煽り文句の一つでも飛ばしてやろうか、と考える男だったが流石に冗談と判断するにはイスラの目が余りにもガチ過ぎた。
そんな不貞腐れている男の前に腕を胸元で組んだセシリアが現れる。
「ふん……貴方ですか、男の分際で女性を無理やり犯したというお馬鹿さんは」
「……」
「感謝なさい!貴方のその愚かしいまでの罪!この女神である私セシリア・オルコットが裁いて差し上げますわ!!」
「……」
「怖くて声もでないのかしら?……ふん、まぁ当然ですわね!この私の威光を目にして恐れない者など存在するはずがありませんもの!」
「……」
意気揚々と現れたセシリアは流暢に考えていたセリフを謳い上げる。
しかし男は無言、初めは自身の存在に恐れ戦いている、と考えていたセシリアであったが、次第に無視されていると思ったのか、顔を赤くしながら怒り始める。
「ちょっと、聞いておりますの!?」
「……」
相変わらずの無言、男はセシリアを何だコイツとでも言いたげに見つめるばかり。
「おい!何を黙っている!どうやら命が欲しくないようだなぁ!?」
そんな男の態度にイスラを含めた黒服が鬼の形相で問いただす。
口調も荒くなりまるでチンピラのようだ。
起爆ボタン片手に胸ぐらを掴んむイスラの姿に男も急いで口を開く。
「はぁっ!?しゃべんなっつったのはテメーラじゃねぇか!?巫山戯んの大概にしろやッ!!」
そんな周りの反応に今度は男が怒声を上げ喚き散らす。
正論だがイスラは呆れた様子で怒鳴り返す。
「私如きの命令と神のお言葉、どちらが優先されるかなどバクテリアでも分かるぞ!そんなことも理解の出来ないのか!?」
理不尽極まりない。
「神だぁ?んなもん何処にいんだよ?」
男は本気で何を言っているのか分からないのか、キョロキョロ周りを見渡す。
「目の前におわすお方が見えないのか?あの神々しく美しい黄金の髪を靡かせるお方が!!どうやら頭だけではなく目まで腐っているようだなぁ」
「あん?金髪?……このキーキー煩いガk――!?
ガキと男が口にしようとした瞬間イスラは凄まじい速度で男の顎に掌底を放つ。
強制的に閉じる口に舌を思いっきり挟んだ男は激痛に目を見開くき呻く。
「っィっっってぇッ!?」
その様子を眺めていたセシリアは、イスラに下がれとジェスチャーし再度男に問いかける。
「茶番はもうよろしいですわ、貴女方この男の拘束を今すぐ解除なさい」
一瞬ためらいを見せるイスラだが首輪を残す条件で男の拘束を黒服と共に解除していく。
手錠と鎖を外された男はイスラを憤怒の表情で睨みつける。
頭に血管が数本浮き出ている程だが流石に首輪がかかた状態ではイスラに襲いかかることはなく、セシリアの方へと向き直る。
「ふぅ……助かったぜガk……チッ、カミサマよぉ、礼にたっぷりと抱いてやろうかぁ?ガキだろうと初物の女だろうが俺様のチンポ入れられただけでひぃひぃ泣いて喜ぶんだぜぇ?」
男はセシリアの事をもう一度ガキと言いかけるも、イスラが起爆ボタンをチラつかせた瞬間、舌打ちし言葉を訂正する。
「……は?」
セシリアは男が発した言葉に本気で何を言っているのか分からない、と言った様子で首を傾げる。
「よく見りゃ肉付きも良いし、ぶっ叩きがいのあるいいケツしてんじゃねぇか……おまけにそんなエロいもの着やがって、誘ってんのか?」
セシリアの全身を舐めまわすかの様に見つめる男の視線。
舌舐めずりしながら向けられるその視線にセシリアは、全身が毛立つ寒気に身を震わせる。
恐怖からなどでは無く、余りの生理的嫌悪から来る震え、本来生物として並び立つことも許されない圧倒的弱小生物から性の対象として見られた事に対する屈辱と、ただただ目の前の存在の気色悪さにである。
「面白くない冗談ですわね……頭に海綿体でも詰まっているんかしら?男如きのゴミが本気でISの代表候補生にまで上り詰めたこの私に触れられる等と思っていまして?」
「くっくっ……いいぜぇ!いいぜぇ~ッ!!その位糞生意気で無いと犯しがいがないってもんだぜ!小生意気は鼻へし折ってピーピー泣いている所を滅茶苦茶に犯しまくってやる!俺ら雄より偉いとか勘違いしている雌豚はたっぷり躾て肉穴としての自覚をじっくりとしてもらわねぇとなぁッ!」
男は自身の置かれている状況を忘れているのか、興奮した様子でセシリアの剥き出しの太ももや顔見つめ視姦する。
拘束するものが無くなり、今すぐにでもセシリアに襲い掛かりそうな男に対しイスラは静かにテーザー銃の様な物を取り出し威嚇。
しかしセシリアは問題無いとばかりにイスラに自身満々のアイコンタクトを決める。
「そう……本気でそのような愚かな考えが実現可能であるとお考えですのね、いいですわ、でしたら簡単なゲームでも致しませんこと?」
「あん?ゲームだァ?」
「えぇ、内容は至ってシンプル、私と肉弾戦をして頂きます。そしてどちらかが敗北を認めさせ、屈服させた方が勝利ですわ」
このセシリアの提案に男は大爆笑。
「ギャッハハハ!おい!おめぇらのカミサマ頭可笑しいんじゃね~の?」
セシリアを馬鹿にする挑発的な言葉にイスラは何も答えない。
「勿論私はISを使いませんし、貴女が勝った暁には貴方をこの場から開放、そして先程言っていた妄言も、私の身体で試して頂いても構いませんわよ」
とは言いつつもセシリアの表情は勝ちを確信した、男の神経を逆なでする小生意気な顔でそう言い切る。
最後の方では笑いを堪えるように"ふふっ"と嘲笑が混じっていた。
その余りにも舐めきった態度にバカ笑いしていた男も、黙り込むと額に青筋を浮かべてピクピクと痙攣させ始める。
「ッこの、クソガキが……ッ!んじゃ、さっそくヤろうじゃねぇかっ!その糞みてぇ整った顔面を無茶苦茶に整形して、俺様専用の肉便器になるまで犯し抜いてやるからよぉッ!!」
相変わらず根拠無く余裕綽々な態度を取っているセシリアとは対照的に、男は"我慢の限界だ"といった様子で拘束具をガシャガシャ鳴らし、イスラに対して外せと催促する。
イスラはセシリアを一瞥した後、黒服達に指示を出し男の拘束具を外させ始める。
全ての拘束を外し終えると、男はイスラに目も合わせず、セシリアに対して指の骨をポキポキと鳴らし威圧する。
「むさくるしいですわね……ゴリラかなにかですの?まぁいいですわ、さぁ……どこからでも掛かってきなさい、このセシリア・オルコットの華麗なる技の数々をその身に刻んで差し上げますわ!」
”決まった”と武術の欠片も感じさせない構えをとると同時に腹立たしい程オーバーなキメ顔で言い切るセシリア、一方男の方はセシリアを殴り倒して犯すことしか頭にないのか無言で拳を握り締めていた、勿論狙いは顔面。
「貴女達は外に出ていなさい、この男には私という存在がどれほど偉大で恐ろしい存在なのかということを骨の髄まで教育して差し上げますので……」
その言葉を聞いた黒服が”正気かっ!?”とでも言いたげに騒ぎ始める、しかしそんな黒服をよそにイスラは黒服を引き連れ牢の外へと出て行く。
「それではオルコット様……じっくりと、お楽しみ下さいませ♥」
そうして、セシリアと男のいる牢の扉が完全に閉める切られる。
イスラは外側から電子ロックをかけ直すと黒服達に向けて”いきますよ”とだけ声をかけ歩き始める。
「ちょ、ちょっとッ主任!?いいんですか!オルコット様とあんな野蛮なゴミを一緒にして!?」
「そ、そうですよ……身動き出来ない状態ならともかく、自由にさせるだなんてッ!?」
牢から少し離れた所で黒服達が一斉にイスラに対して詰め寄る。
セシリアを崇拝する彼女達にとってセシリアの身の安全は自分達の命よりも優先される、先程は上司であるイスラの指示に従ったが、もしもセシリアの身に何かあれば男共々イスラを八つ裂きにする腹積もりである。
「はぁ……安心しなさい、そろそろ「ぐッッぎゃぁぁぁぁぁああッッ!!?」……効いてきましたね」
囲むように詰め寄る黒服を宥めようとした瞬間――普段施設内に響いているものとは比べ物にならない苦痛に塗れた悲鳴が聞こえてきた。
”何事!?”と周辺キョロキョロ見渡す黒服にイスラは黙って先程の牢内を撮したタブレットを見せつける。
するとそこには――
『ほらほらぁッ!先程までの大口はどうしましたの?私の攻撃が入るたびに情けない悲鳴を上げてるだなんて、やはり男など口先ばかりの劣等生物ですわッねッ!!』
『ぐぅぎぃッ!?ひ、ひぃッ!や、やめ!ぎゃぁぁぁぁッ!!?』
映像内のセシリアが蹴りやパンチを男に見舞う度に、巨漢の男が激痛に耐えるように逃げ惑う。しかし当然ながらセシリアが武術の達人だったとかでは断じて無い。
種は簡単、イスラが男に対してあらかじめセシリアが絶対に勝てるように遅効性の薬物を盛っていただけの話である、それもエゲツナイ神経に作用する劇物をである。
今の男の身体は例えるのなら神経がむき出しの状態といってもいい、少し動くだけ、空気が肌に触れるだけでも激痛が走り録な身動きすら取れない状態なのである。
そんな状態であるなど知る由もないセシリアは、ひたすら弱弱しいパンチやキックで男に対して追い打ちをかけていく……まるでナイフで身体中を抉られていると錯覚する程の激痛を与えられながら男は抵抗も録に出来ないまま嬲られ続けていく。
『少し手加減して差し上げますわ……はぁっ!』
『ぐぅぎゃぃぃッッ!?』
『まったく、こんなものにも耐えられないだなんて男は軟弱ですわね!』
今までの動けない相手を一方的に虐げていた状況とは違い、初めて男にも抵抗という手段が用意されている万全での状態、それも自身の年齢も体格も倍以上に違う男とである。以前のセシリアであれば怯え立ちすくむことしかできなかったであろう、そんな相手。
しかし今、肉弾戦という男にとって圧倒的に有利な状況で、自分こそが相手を嬲る位置に立っている。そのことを実感する度、男への評価は更にマイナス方面へと振り切れていき、同時にセシリア・オルコットという存在は本当に選ばれし特別な存在なのだということを改めて自分自身で再認識し始めていく。
「さて、これでオルコット様の安全は確実なものとして認識できたでしょう……お楽しみを邪魔するわけにもいきません、オルコット様から呼び出しがあるまで、各自持ち場にもどりなさい」
そう言い残しイスラはセシリアの映ったタブレットをしまいその場を後にした。
「うわぁ……主任のことだから何かしら対策とっていると思ってたけどアレ使ったのかぁ」
「あのゴミ死にましたね……」
「まぁ、あの様子ならオルコット様に危害が及ぶ心配もないでしょう……あらかじめ説明しておいて欲しかったですが……」
タブレット越しにセシリアの無事を確認出来た黒服たちはホッと胸を撫で下ろす。
イスラが去った後二三言葉を交わした後、安心した様子で各自の持ち場へと戻っていった。
――
――――
時は少し進み一時間後。
セシリアから呼び出しの合図が届くと、イスラは先程の焼き回しの様に規則正しい足取りでコンクリートに靴底を打ち鳴らしながら牢へと近づいていく。
「おまたせしましたオルコット様……おや♥お楽しみ頂けたようで何よりでございます♥」
牢へ到着し、扉を開けると同時に頭を下げる。
セシリアにとって自身が格下だと認識した相手がへりくだった態度で自身に挨拶をするのは当然のことであり、イスラもそのことを理解しているのか、本日二度目の対面であるにも関わらず深々と二三秒続けて礼の姿勢を維持する。
ちなみに鼻が極限まで高まりきったセシリアに格上だと認識させること自体奇跡的なことではあるが、もしも少しでも自身よりも格上と思わせる相手が現れれば陰湿極まりない手で追い詰め、人間としての格を最下層まで叩き落とすことだろう。
深い礼の後、頭を上げるとそこには……失神する様に白目を向いている男と無遠慮に横顔をグリグリと踏みつけ髪をなびかせるセシリアの姿があった。
イスラの予想では息絶えていても可笑しくないと考えていたが、想像以上に頑丈だったのか男はまだ生きていた。
イスラの頭の中では"単純にセシリアが貧弱すぎた"という考えは思い浮かびすらしないらしい。
それでもISスーツのシューズで顔面を踏みにじられるのは激しい激痛であるはずなのに苦痛に呻くことしか出来ない所を見ると、男は既に虫の息と見て間違いない。
「えぇ、私の磨き上げた格闘術を十全に発揮する為の練習台……と考えておりましたが、実力差がありずぎましたわね!私の流れるような連撃に為すすべも無いまま呆気なく地に沈めてしまいましたわ!経歴からそこそこ腕が立つと見込んでおりましたのに……やはり男など能無しのクズばかりですわッねぇぇ!!」
グッッリリィィィッ!!
「ッぐっっぎぃ!?」
ペラペラ饒舌に語るセシリア、そもそも磨くための格闘技の基礎もないというのに一流の武闘家気取りである。
薬物を投与されていたなど知る由もないセシリアにとっては筋骨隆々の大男を自身の実力で叩きのめしたと錯覚しており、文句を言いながらもその表情は大層満足そうである。
その証拠に男の睾丸も未だに去勢されていない、男を殴り蹴りつけるのが余程楽しかったと見える。
パチパチパチッ!!
「あぁ……ッ♥なんと素晴らしい!数々人間を殺め女を喰いものにしてきた凶悪犯……熟練の警官達が度重なる負傷の末捉えた男を、傷一つ負うことなく叩き伏せるだなんて、流石は我らが女神様♥天才という言葉はオルコット様の為にあるような言葉ですね♥」
わっしょい!わっしょい!
待ってましたとでも言いたげに、セシリアを褒めちぎり担ぎ上げるイスラ。
言葉巧みに”女を喰いものに”や”凶悪犯”などの言葉を使い、セシリアの行動が正義、正しいことをしたのだと達成感を感じさせる物言いをし、更にその道のプロと比較しセシリアが、どれだけ優れた存在なのかをアピールし心地よい優越感を抱かせる。
その後もセシリアの増長ポイントを見事なまでに刺激しまくるイスラ。
「フンッ!このセシリア・オルコットをその辺の凡人と比べられては困りますわ!」
そんなことをすれば当然調子に乗るセシリア。
偉そうに腕を組みドヤ顔で足元の男を踏みにじる。
「はい♥私共凡人を導いて下さる女神、それがオルコット様です♥」
はぁはぁ、危ない表情でセシリアの言葉を肯定する。
「きちんと理解出来ているのならよろしいですわ、これからも凡人らしく、この国家代表候補生であるセシリア・オルコットの為に身を粉にして尽くしなさい!……ところでそろそろ昨晩貴女が言っていた重大なお話のお時間ではないかしら」
「~~~ッ♥……お、覚えてくださっていましたか……いえ、まだお楽しい頂きたいのであれば、明日でも構いませんが……」
「構いません、この男にこれ以上私の相手を務めさせるのは役不足もいいところ、このような弱者にこれ以上胸を貸すきはありませんわ」
「かしこまりました……では部屋は部下に綺麗にさせておきますので、私の研究室に参りましょう」
ピクピクと呻く男にイスラとセシリアは役立たずなゴミでも見るかのような冷たい眼差しを向け、牢屋を後にした。
「オルコット様……具体的な説明は研究所でさせていただきますが、どうか怒らず聞いてください、私共は誓って貴女様の利益にならないことは致しません」
研究室に向かう廊下を歩いている最中、イスラは妙に神妙な、いつもより数段畏まった口調でセシリアに対して話始める。
「?構いませんわ、言ってごらんなさい」
セシリアはとしては、今更そんな風に念押しされなくても、この組織の人間が自身に対して命を捧げてもおかしくない程盲目的な信者の集まりだということを理解している。
仮に誰か一人でもセシリアに対して陰口を叩こうものなら異端者を裁くかのような壮絶な極刑が待っているような場所である。
そんな場所の狂信者筆頭であるイスラがセシリアにとって利にならないことを口にするはずがない、そのことを確信できるくらいにはセシリアはイスラのことをある程度信頼していた。
「は、はい、オルコット様……貴女様はこれからIS学園に入学されます、その前にある施術を受けていただきたいのです……」
施術とは穏やかではない響きである、しかしセシリアは口を挟まず内容を黙って聞く。
「とはいえ、モルモット連中にやるような刃物を使ったものではありませんのでご安心を……安全が120%確立されたとあるナノマシンを投与させて頂くだけです、数分にも満たない内に終了致します」
更に説明を続けるイスラに対し、セシリアは何か文句言いたげな表情をするも、ぐっと堪えそのナノマシンの説明を促した。
「はい、詳しい説明がないなか不安に思われるかもしれませんが安全性は十分です、そしてそのナノマシンの効果ですが……オルコット様、貴女様にはこの施術を受け――――
そうしてイスラはセシリアに対する施術の大まかな概要を語り終える。
歩きながら話していたのもあり、後ろを付いてくるセシリアの表情は伺い知れない、というよりも見たく無い、ここで反感を買ってセシリアから見捨てられるのが怖くて仕方がなかった。
しかしそうも言っていられない、もしも不機嫌そうな表情でもしていたのなら急いで弁解しなくてはならない。
なんとか覚悟を決めイスラはセシリアの方へと振り向く。
すると其処には――
「は?」
怒りでも、喜びでもない心底"何言ってんだコイツ"とでも言いたげな呆けた表情で、間抜けな声を上げるセシリアの姿であった。
高評価が多すぎて怯じゃうわ!
オリキャラをそろそろ消滅させたい……