【BL】魔王と大災厄の魔 作:腐エロのひと。
※デミウルゴスもウルベルトさんも孕みません。
「……デミウルゴス。その、色々あって私とモモンガさんは恋人として付き合う事になった」
あの後。自室に戻ってそう言うと、デミウルゴスは歓喜に満ちた顔で俺を見た。
「おめでとうございます、ウルベルト様!では、ウルベルト様がモモンガ様の御子を成すのですね?」
「……は?え、ちょっと待て、デミウルゴス。お前、何を言っている?」
最愛の
俺が、モモンガさんの子を産む!?何でそうなる!!てか、ナチュラルに俺が産む方って思われてるのが大問題だと思うんだが!?え、デミウルゴス的にモモンガさんと俺だとそうなのか!?いや、確かに実際そうだけどな?でも納得いかねぇよっ!!
……と、内心焦りまくりなんだが、顔にはソレを出さない。俺、
「違うのですか?モモンガ様はウルベルト様を深く愛していらっしゃいますし、当然そうなるのかと……」
「……。デミウルゴス、私は男なんだが?」
「えぇ、ですがウルベルト様は両性体であらせられますよね?」
心底不思議そうにそう言われて。俺は頭を抱えた。
「…………」
(ちょっと待てーーーー!!え、何か?やっぱり俺そうなのか!?デミウルゴスの認識だとマジでソレっぽいんだが!!)
正直、現実から目を逸らしていたんだが、ソレを改めて目の前に突きつけられたような感じだ。俺のこの躯のベースがバフォメットだというのなら、俺は間違いなく両性体なんだろうが……信じたくなくて、俺はずっとその事を考えないようにしていたのだ。……両性体、という事はつまり、受精が出来る可能性が高いって事だ。
「ウルベルト様?どうなさったのですか?」
「……デミウルゴス。私が両性体である事は、お前以外に誰が知っている?」
他に誰に口止めをすべきか。その判断のためにそう訊く。
「恐らく……上位の悪魔であれば、全員かと。ヘロヘロ様やペロロンチーノ様がご存じかどうかは分かりかねます」
「……そうか。なら、命令だ。絶対に私が両性体である事は内密にさせろ。私は子を成すつもりなんてないんだからな。私の意志に関係なく孕まされるなんて真っ平ごめんだ」
大きく溜息を吐きながらそう言うと、デミウルゴスは俺に恭しく一礼する。
「畏まりました、御命令を承ります。……ただ、ウルベルト様のご意向無しに、ということはあり得ませんからその点だけはご安心いただけたら、と」
デミウルゴスのその言葉に、かなり驚く。悪魔って訳がわからん生態なんだな、マジで。
「……つまり、私が同意しないと子は出来ない、と?」
「はい、ウルベルト様は基本体が男性の両性体ですので。……その、私もそうですし」
サラッと、デミウルゴスは爆弾発言をした。は!?俺、デミウルゴスにそんな設定を付けた覚えは無いんだが!?
「……職業レベルのシェイプシフターのせいか?」
そう問うと、小さく頷かれた。
「恐らくは。……ですが、私は嬉しいのです。ウルベルト様と同じである事が」
デミウルゴスは頬を紅潮させ、幸せそうに自分の下肢を撫でている。……その辺りに、子宮でも存在するんだろうか。デミウルゴスは俺と一緒だと言っていたが……俺にもそんなモンがあったりするんだろうか。……考えたくも無い。
「そうか……。お前は、私の子が欲しいとは思わないのか?私と同じならば、お前の意志で子を成せるのだろう?」
俺と一緒、と無邪気に喜ぶデミウルゴスに僅かな心の痛みを感じつつそう訊く。デミウルゴスは俺が好きなのだから、その理屈で言えば疾っくの昔に子供が産まれてそうなモンだ。
「欲しいです。……ですが、私はウルベルト様の
「私の許可があれば、孕むのか?」
「はい、勿論です」
キッパリ、とそう言われて。目眩がした。デミウルゴスの重すぎる愛に。正直、俺は男だし子供を産みたい、というデミウルゴスの心理はサッパリ理解出来ない。寿命がある人間なら、子孫を増やす事には意味があるし、理解も出来る。だが、俺たち悪魔には寿命なんてモンは無い。それは、アンデッドのモモンガさんもスライムのヘロヘロさんも一緒だ。バードマンのペロロンチーノさんはどうだっただろうか。そんな俺たちが、生殖活動をする意味なんて無い。快楽としてのセックスなら、悪魔として理解出来るんだが……。
「悪いな、デミウルゴス。私は自分の子など欲しくない。だから、お前が望もうと子を与えてやる事は出来ない。……もし、それが嫌だと言うのなら、もうお前は抱かないから安心しろ。適当に、他で見繕って来る」
俺がそう言うと、デミウルゴスは宝石の瞳を開いて、はらはらと透明な涙を流す。突然の事に、俺は動揺してしまう。てか、何で泣く!?
「デ、デミウルゴス!?どうしたのだ、一体?」
「申し訳ありませんでした……
「は?ちょっと待て、どうしてそうなる?私はお前が嫌がる事はしたくないだけだぞ?」
その場に跪いて泣き続けるデミウルゴスを必死に慰める。肩を震わせて泣くデミウルゴスを抱き寄せ、その涙を嘗め取ってやるとデミウルゴスはようやく泣き止んでくれた。
「すみません、ウルベルト様……取り乱しました。その、私の言葉は、ウルベルト様を不快にさせたのでは無かったのですか?」
小さく首を傾けてそう訊いてくるデミウルゴスはやっぱり可愛らしい。
「違う。ただ、子を与えてやるつもりもないのに、お前に精を与えるのは残酷な事かと思っただけなのだが……。お前は子を成せなくても、私に抱かれたいと思っているのか?」
濡れた宝石の瞳をジッと見つめながらそう訊くと、デミウルゴスは微笑む。
「勿論です。誰よりも愛しい貴方様に抱いていただけるのは、私にとって何よりも素晴らしい褒美であり、至福の時間でもあるのですから」
「そうか。なら、今まで通り……という事で問題無いか?」
「はい、ウルベルト様!!」
尻尾をブンブンと振りながら、嬉しそうに笑うデミウルゴスに俺は内心で頭を抱える。だが、さっきの話の念押しだけは忘れない。
「……デミウルゴス。さっきの件だがな、ちゃんと配下全員に徹底させろよ?私は誰にも縛られるつもりはないのだからな」
「畏まりました。至急確認し、御命令通りに致します」
デミウルゴスはそう言って俺の腕からスルリと抜け出すと、命令を実行するために部屋から出て行った。
「……俺、何かとんでもないミスをしちまったんじゃねーのかな……」
怖いくらい愛が重いモモンガさんに、デミウルゴス。この二人にはちょっとした好奇心なんかで手を出してはいけなかったんじゃないだろうか?
(二人とも、可愛いんだけどなぁ……)
あっちに居た時から、愛なんて物語の上だけのモノだと思っていた。だから、余計に慣れないんだろう。こうも強い愛情を、見返り無しに与えられる事に。
(俺がソレに慣れるのが先か、モモンガさんやデミウルゴスの気持ちが変わるのが先か。……どっちなんだろうな)
俺は大きく溜息を吐くと、ソファに躯を預けて目を閉じた。愛とは何と厄介なモノか、と思いつつ。