【BL】魔王と大災厄の魔 作:腐エロのひと。
「ウルベルトさん。ナザリックに居る時は、そのマスク外してて下さい」
唐突にそう言われて。ウルベルトは小首を傾げる。ウルベルトが今身に着けているのは、最終装備でも身に着けていた物で、ペストマスクを模したハーフマスクだ。ウルベルトのお気に入りのソレは、ウルベルトの顔の右半分を覆っている。その先端はウルベルトの顔よりも五センチくらい長く、前に突き出ている。
「……えーと、モモンガさん?理由を訊いても?」
ウルベルトはいつものように優雅な午後のお茶の時間の最中で。その
「顔近付けると当たって痛いです!」
キッパリ!とそう言われて。ウルベルトは一瞬固まった後、大きく溜息を吐くと、ゆっくりと紅茶を口にする。上質の茶葉の華やかな風味が、ウルベルトを落ち着かせてくれる。
「……顔近付ける必要、あるんですか?近付けなきゃ当たらないじゃないですか?」
「酷いです、ウルベルトさん!!ウルベルトさんがそのマスクしてたら、俺キス出来ないじゃないですか!?」
ウルベルトの言葉でそう絶叫するモモンガに、ウルベルトは大きく肩を落とす。そして、また溜息。
「……モモンガさん。一体
ニッコリ、と綺麗な笑顔でそう言われて。モモンガは一瞬たじろぐが、すぐにまた口を開く。
「ウルベルトさんに会った時ですよ。俺、ウルベルトさんにいっぱいキスしたいんですから。だから、マスクが邪魔です!」
「あの……俺、人前でキスする趣味は無いんですけどね?それに、ペロロンチーノさんやヘロヘロさんも俺たちが目の前でキスしてるの見たらダメージ受けると思うんで、止めた方が良いと思うんですけど。……まぁ、デミウルゴスの前ならセーフですかね。俺の
モモンガの言葉から、マスクを外すのは危険、と判断したウルベルトがゆっくりとそう答える。背後に控えているデミウルゴスにチラリ、と視線を向けながら。
(モモンガさんも大分隠さなくなったよなぁ……てか、デミウルゴス居るのに魔王モードにはならないんだな。……まぁ、ソレは俺もだけどな)
ウルベルトは内心そんな事を考えていたが、勿論表情には出さない。表面上はにこやかな笑みを浮かべたままだ。
「俺も別に、人前でキスする趣味なんて無いですけど……ウルベルトさんと会ったら、すぐにでもキスしたいんです!」
そう力説する骸骨に、黒山羊頭の悪魔は
「……モモンガさん、どんだけキスにハマってるんですか?そんなに頻繁にしてたら飽きると思うんですけど……」
「飽きる訳無いじゃないですか!!大好きなウルベルトさんとのキスですよ?俺、永遠に飽きないって断言出来ますから!!」
これまたキッパリ!と断言されてしまって。ウルベルトは脱力せざるを得ない。モモンガと恋人になって、早一ヶ月。毎朝毎夕いってらっしゃい、のキスにお帰りなさい、のキスをして。ほぼ毎晩、と言っていいくらい頻繁にセックスをして。それでも、モモンガは相変わらずラブラブオーラを出しまくっているのだ。本当に永遠にこのままなんじゃ……と、ウルベルトは最近少しモモンガの愛を怖く思い始めている。この重さが、比喩でも何でもなくガチで永遠に続くのか、と思ってしまって。
「……そうですか。それはさて置き。モモンガさん、俺のこと格好いいって言ってくれるじゃないですか?このマスクも含めて、トータルコーディネートなんですよ?マスクを取ったら、結構間抜けだと思うんですけど……」
そう言うとウルベルトは椅子から立ち上がり、モモンガの前でくるり、と一回転してみせる。本日は珍しく白がベースのコーディネートで、シルクのミニハットに真紅の薔薇を纏わせた物に同じく白のマントだ。裏地はミニハットの薔薇と同じ真紅。ジャケットやマントのボタンや縁飾りは、上品な輝きのアンティークゴールドだ。ジャケットも同じ白で統一されているため、ウルベルトの漆黒の毛皮がより美しく見える。
「!そうだっ!!コレも前から言おうと思ってたんですけど……何でウルベルトさんの装備ってズボン無いんです!?俺からしたら、その格好アウトなんですけど!!」
一瞬ウルベルトに見とれていたモモンガだが、その漆黒の毛皮に覆われた下半身を見た途端そう叫んだ。
「え?でも、黒山羊の悪魔って一般的にこんなモンじゃないですか?悪魔らしい蹄に下半身ですよね?何かおかしいです?」
モモンガの気を惹くよう、あえて可愛らしく首を傾げ……黒目がちにした瞳で見つめるが、今回はモモンガも誤魔化されない。
「おかしい、って言うかえっちだからダメです!!後ろはマントで隠れてますけど、ジャケットの丈が微妙だからいつウルベルトさんの可愛いお尻が見えちゃうか、こっちは気が気がじゃないんですから!!ウルベルトさん、パンツ履いてないじゃないですか!!」
「えー?俺の下半身、黒山羊ですよ?全然性的じゃないのに……。俺のことそういう目で見るのってモモンガさんくらいだと思うんですけど……。それに、モモンガさんなんか全裸ローブじゃないですか?俺、モモンガさんがパンツ履いてないのも知ってるんですけど。胸元だってガッと開いてて、俺よりヤバくないですか?」
納得いかない、というような顔でそう不満げに漏らすウルベルトに、モモンガは一気に近付くとその細い腰を押さえ込んでジャケットのすぐ下を撫でた。
「ひゃっ!?モモンガさん何考えてるんです、いきなりっ!!」
「ほら。ズボン履いてないと、すぐにえっちな事出来ちゃいますよ?ウルベルトさんが俺に襲われたい、って言うなら何も言いませんけど……身の危険を感じるのなら、ちゃんとズボンの装備作って身に着けてて下さいね?じゃなきゃ……このままココでしますよ?」
怖いくらいに穏やかなトーンでそう言われて。ウルベルトは即座に<
「わかりましたっ!!作りますっ、作りますから人前で変なことしないで下さいよ!?俺、そういう趣味ありませんからっ!!」
デミウルゴスの背後に転移したウルベルトがデミウルゴスを盾にするようにしてからそう言うと、モモンガは満足げに笑う。
「良かった。ウルベルトさんの事、ココでしちゃうのも愉しそうだとは思いましたけど……やっぱり、恋人の体を俺以外の人が簡単に見られちゃうのは嫌ですからね」
笑顔で言われたその言葉の内容に、ウルベルトは小さく体を震わせた。
(この天然ドSめッ……!!)
と、内心そう毒づきながら。
「……その分、素材とデータクリスタル下さいね?俺結構衣装持ちなんで、沢山素材必要なんですから」
モモンガを警戒しながらそう言うウルベルトに、モモンガは上機嫌のまま頷く。
「勿論ですよ。明日パンドラズ・アクターをよこしますんで、必要な物を宝物殿から持って来させて下さい。あ、マスクも取って下さいね?」
サラッと自分の要求を増やすモモンガに、ウルベルトは何度目かの溜息を吐く。
「……俺の右目、一応魔眼だから隠すのも兼ねてのマスクなんですけどね……。わかりましたよ、じゃあナザリックに居る時は眼帯にしときます」
もう何を言ってもモモンガの意志は変わらないと思ったのか、ウルベルトは結局はそう妥協することにしたのだった。
後日。パンドラズ・アクターとお揃いの、色違い軍服に身を包み、緋色の薔薇眼帯を装備してナザリック内を闊歩するウルベルトを見て、モモンガが頭を抱えることになるのだが……それはまた、別の話だ。