【BL】魔王と大災厄の魔 作:腐エロのひと。
「お
「……デミウルゴス。パンドラズ・アクターはこんなキャラクターなのか?」
ウルベルトがモモンガに装備を注意された翌日。パンドラズ・アクターがクルクルと回りながらやって来た。比喩ではなく、本当に回りながらやって来たのだ。その言動に、ウルベルトは頭を抱える。
「はい、概ねこんな感じかと。何せ、アクターですので、彼は」
「……あぁ、アクターだからか……うん、慣れないな、コレは。てか、パンドラズ・アクター。何で私をお義母様なんて言うんだ?見ての通り、私は男なんだが?」
困惑しながらウルベルトがそう尋ねると、パンドラズ・アクターはピシィッ!と気合いの入った敬礼をして答える。
「はいっ!わが敬愛する父上の恋人という事は、ゆくゆくは正妃になられる方だと思いましたので!!あ、まだ気が早いと言うことでしょうか?」
「……あのな、私は男だって言っただろ?男は妃とか言わないから、正妃とかそもそも間違ってるだろう?お前、モモンガさんに知恵者として創られた癖に、変な所ズレてるな?」
「そうでしょうか?モモンガ様もそのおつもりのようなのですが……」
サラッと爆弾発言をするパンドラズ・アクターに、ウルベルトは大きく溜息を吐いた。
「あー……うん、その辺は後で私からモモンガさんに言っておく。てか、お義母様って言い方は止めろ。わかったな?パンドラズ・アクター」
「……はい、ウルベルト様。で、本日は私をお呼びとのことだったのですが……」
ウルベルトの言葉に、パンドラズ・アクターは一瞬ちょっと残念そうな顔をしたが、すぐに話を元に戻す。
「あぁ、そうだ。昨日モモンガさんにお前から素材とデータクリスタルを貰うようにって言われてな。好きなだけ使って良いって言われてるから、とりあえずドッサリ持って来て欲しいんだが。……そうだな、30着くらいは装備品を作れる量が欲しい」
「畏まりました。では、クローゼットを拝見しても?それに合わせて装備を作られるかと思うのですが、元々の装備を拝見すれば大体の必要量は算出出来ますので」
恭しく一礼するパンドラズ・アクターにウルベルトは軽く頷くと、椅子から立ち上がり奥にあるクローゼットに向かう。その後にはデミウルゴスとパンドラズ・アクターが付き従う。デミウルゴスの尻尾は、楽しげにゆらゆらと揺れていた。
「……と、まぁ、こんな感じなんだが。どれくらい必要か、算出出来たか?」
衣装持ちのウルベルトのクローゼットの中にはかなりの装備品が入っていて。全てを見るのには結構な時間が掛かっていた。だが、デミウルゴスもパンドラズ・アクターも幸せそうだ。
「はいっ、勿論です!流石はモモンガ様の正妃になられる御方!どの装備も素晴らしいデザインに品質です!!
……ただ、大変申し訳ないのですが現在の宝物殿では
ウルベルトの高品質な装備の数々に、パンドラズ・アクターは上機嫌だ。きっと、無意識のうちにその価値を算出していたのであろう。自分の父であるモモンガの隣に並ぶ相手の装備が良いのは、やはり彼にとってはかなり重要らしい。
「……だから、正妃も止めろ。あー……だよなぁ、
小さく溜息を吐いていたウルベルトだったが、改めてパンドラズ・アクターを見るとそう命令する。素直にその場に立ち上がるパンドラズ・アクターを見て、ウルベルトもパンドラズ・アクターの目の前に立った。
「うん、やっぱりお前格好いいな。流石はモモンガさんの息子だ。前から思ってたんだけど、軍服にはトレンチだよなー。モモンガさん、わかってるよ」
そう言うと、ウルベルトは満足げに頷いてパンドラズ・アクターの肩を叩く。後ろに回って、後ろからの角度も確認すると、ウルベルトは小さく呟く。
「……その装備、俺も創ろうかな。軍服イメージはあったけど、ガチの軍服装備持ってないし」
独り言のつもりだったのか、素が出ていたが誰もそれには突っ込まない。それどころか、内心デミウルゴスは大喜びだ。パンドラズ・アクターをウルベルトが褒めた事による微かな嫉妬心など、あっという間に消えてしまう。
「なぁ、パンドラズ・アクター。お前の装備とお揃いの色違いを創りたいんだが、その場合でも素材足りるか?あ、あとこの肩の装備と同じ色の薔薇眼帯」
「勿論です!余裕ですよ、ウルベルト様。では早速創りましょう!一着分なら、私の手持ちの素材で創れますし。後の分は、創り終わってからお持ちします」
ウルベルトに褒められたことが余程嬉しかったのか、パンドラズ・アクターはいつも以上にテンションが高い。
「……その、ウルベルト様。よろしいでしょうか?」
やたらと盛り上がっている二人を見て、怖ず怖ずとデミウルゴスが口を開く。その表情はほんの少し淋しげだ。
「ん?あぁ、何だデミウルゴス?どうした?」
「はい。……その、パンドラズ・アクターだけウルベルト様とお揃いというのは、ズルイと……」
「……!」
想像もしていなかったその発言に、ウルベルトは思わずデミウルゴスを凝視する。すると、途端にデミウルゴスは真っ赤になって俯いてしまう。その尻尾は落ち着き無く左右に振れている。
「も、申し訳ありません!
ウルベルトの視線に我に返ったデミウルゴスはそう言うとその場に跪いてしまった。
「いや、いい。私が考え無しだったな。デミウルゴス、お前も私とお揃いの装備にしようか。……そうだな、お前は肌が褐色だから……今回は白い軍服にするか。軍部の知的な幹部みたいで似合うぞ、きっと。パンドラズ・アクター、手持ち大丈夫か?」
ウルベルトはまるで小さな子供を見るかのような優しい顔をしてデミウルゴスを見ると、その頭を撫でてやる。そして、パンドラズ・アクターに素材のストックを確認する。
「はい、大丈夫です。では、ココの全員でお揃いの装備になるのですね!きっとモモンガ様もお喜びになる事でしょう!何せ、御自身で格好いいと仰っていた装備を最愛の人が身に着けるのですから!」
「……最愛、なのか……そうか……」
パンドラズ・アクターの言葉に、何処か遠い目をしているウルベルトだったが、すぐに意識を切り替える。
「じゃあ、早速創ってモモンガさんに見せに行こうか。なぁ二人とも?」
ウルベルトの言葉に、二人は満面の笑みで頷いたのだった。
side パンドラズ・アクター
父上が幸せそうに話してくれていた最愛の恋人、ウルベルト・アレイン・オードル様。そのお姿を、ようやく直接目にすることが叶うのだ。そう思うと、胸が高鳴る。ずっと孤独だった父上が、心底惚れ込んで永遠を誓う相手。……つまりは、私のお
私は宝物殿の中の自室で改めて装備をチェックする。父上の創られた装備だ、問題などあるはずは無いのだが……念の為、乱れやだらしない点が無いかチェックする。
「……やはり、完璧ですね。父上のセンスは素晴らしいですし、その父上に創られた私も完璧なのですから!」
鏡の前でくるり、と一回転してトレンチコートの広がり具合も確認する。……うん、我ながら完璧な角度で広げることに成功していると自画自賛したくなるレベルの、完璧な広がり具合だ。バサッと靡かせたときにこの角度がやはり一番格好いい。お義母様との初めての対面。父上の自慢の息子としては、失敗は許されないのだ。
「さて。行きますか。<
デミウルゴス様は実に優雅に扉を開けて下さったので、私もソレに負けないように、と精一杯格好良くお義母様の前に立てるよう、研究し尽くした角度でトレンチコートを靡かせて彼の方の前に立つ。やはり、一回転するのが一番良いようだ。お義母様は、私の前で目を丸くしていらっしゃる。どうかなさったのだろうか?
ウルベルト様は、本当に美しい方だった。深い知性を感じさせる黄金の瞳に、黒曜石の角。そして、その漆黒の毛並みに、
直接ウルベルト様とお会いして、私はどちらかというと凜々しい方といったイメージを持ったのだが、父上は世界で一番可愛らしいと仰っていた。きっと、父上の前でだけは可愛らしい方なのだろう。
ウルベルト様はお義母様と呼ばれることを恥ずかしがっているご様子だったので、残念だけれどウルベルト様、と御名前でお呼びすることにした。……いつか、お義母様、もしくは母上と呼ぶことを許されるのだろうか。そうすると、私とデミウルゴス様は義理の兄弟、ということになるのだろうか?その場合、どちらが兄でどちらが弟になるのだろうか?
ウルベルト様は、父上に創っていただいたこの装備を殊の外褒めて下さった。しかも、褒めて下さっただけでなく、御自ら纏いたいと、そう仰って下さったのだ。このように美的センスに優れ、お優しい方が私のお義母様になるなんて……!私は、なんと幸せ者なのだろうか。その喜びを噛みしめていたら、デミウルゴス様が可愛らしい焼き餅をやいていた。そのお気持ちは、私も良く分かる。私だって父上が私の目の前でデミウルゴス様を褒め、その装備とお揃いの物を自分も纏いたい、などと仰ったら妬かずにはいられないからだ。
勿論、お優しいウルベルト様はそんなデミウルゴス様の発言を諫めたりせず、御自身と同じようにお揃いで装備を創ると仰って下さったのだ。あぁ、何と慈悲深く愛情溢れる御方なのでしょう……!!まさに、父上の正妻として相応しい御方……!!そんな素晴らしい御方と同じ装備を身に着けることが出来るなんて、私は本当に果報者です。
私は幸せな気持ちのまま、ウルベルト様の装備作成をお手伝いさせていただきました。父上に三人で晴れ姿をお見せする事を想像し、胸を高鳴らせて。
END
作る、と創るが混在してますが、直してません。
基本的に一から創造する場合を創る、ってしてました。