忍五大国
中心に位置し、最強の里と誉れ高い火の国―木ノ葉隠れの里。
北西に位置し、かつて木ノ葉隠れと激闘を繰り広げた土の国―岩隠れの里。
北東に位置し、六道仙人の宝具を所有する雷の国―雲隠れの里。
南西に位置し、磁遁使いを有する風の国―砂隠れの里。
東に位置する島国、血霧の里とも恐れられた水の国―霧隠れの里。
この巨大な5国家に挟まれる様に、転々と小国家郡が存在していた。
「ぐぅ~・・・ぐがっ、ぐ~」
そして、木ノ葉隠れの里から歩いて1ヶ月程掛かる迷いの森の奥にある秘境・妙木山。
特徴的なドリルのような建物と、人の背丈程もある蓮の葉が青々と茂っている、この幻想的な里にある一際大きな建物から大きなイビキが響いていた。
その建物の中には、まるで小山のような大きさの蝦蟇が寝ていた。
まるで地響きのような音に寝ている蝦蟇の横にいる小さな2つの影が耳を塞いで耐えていた。
「ぐぅぅ・・この大ボケじじい、とうとう頭だけではなくイビキまでおかしくなりよった。」
2つの影の1つが耳を抑えながら、その視線だけで人を殺せるような目を騒動の原因に向ける。
「こりゃ!母ちゃん、大じじ様になんて口のききかたじゃ!!」
「父ちゃんも耳塞いとるじゃろうが!!」
2つの影は耳を塞ぎながらも、言い合いを続けていた。
「ぐがぁ~・・ぐぅ~・・・んぅん?」
そろそろ言い合いがじゃれつきから喧嘩になりそうな時、中央に座り、ずっと寝ていた小山のような蝦蟇の目が開いた。
「大ジジ様、いかがされましたか?」
父ちゃんと呼ばれていた小さな影、二大仙蝦蟇のフカサクが小山のような蝦蟇、大ガマ仙人に話しかける。
「あぁ~、・・・・・・・・・・なんじゃったか?」
大ガマ仙人はとても長い沈黙の後にそう答えた。
「ったく、やっぱりボケとったわ。この大ボケじじいが!」
先程母ちゃんと呼ばれていた影、二大仙蝦蟇のシマが悪態を吐くが、すぐにフカサクが口を開いた。
「母ちゃん!大じじ様に向かって大ボケじじいとはなんじゃ!大ボケじじいとは!!」
またも、言い合いを始めようとする2人に大ガマ仙人が話しかける。
「コラコラ、ケンカはいけん。夫婦は仲よーな。」
「ちっ、ほんで新たな予言を見たから呼んだんやろ。」
シマは、悪態を吐きながらも大ガマ仙人を見やった。
「おお・・そうじゃった!そうじゃった!」
「母ちゃん!大ジジ様の予言じゃ、心して聞かな!!」
フカサクが再度の注意の言葉を飛ばし、シマが口を閉じた。
「では伝える・・・。ワシの夢では、ある1人の男が此処、妙木山に現れる・・」
大ガマ仙人の重く、威圧感を感じる声が、この部屋に響く。
「その男、ある時には災厄をしかしある時には祝福を人々に与えるだろう。」
フカサクとシマは内心で、この予言を重要ではないものだと、感じていた。
所詮人の世、我らには関係がなく、よくある人の世の英雄の到来だと。
「そして、その男は・・・」
大ガマ仙人は予言を続けた、その目に深い感情を込めて。
「この世界に住む、全ての生き物の運命を狂わす冥皇となる。」
――夢ではそう見えた。
◆◇◆
<妙木山・蝦蟇油の滝 近辺>
四部の目の前には巨大なガマの石像が座しており、そして周囲を取り囲むように大小様々な蝦蟇の石像があった。
四部はあまりにも今まで自分が居た場所とは、かけ離れた光景に暫し、思考が停止していた。
「オィ」
「っ!!」
四部は唐突に背後から話しかけられ、体を震わせた。
「おめぇさん・・人間がなんでこんばしょにおるんじゃい。」
慌てて振り返るとそこには、人の2倍はあるだろう大きなカエルがいた。
そのカエルは、信じられない事に2本足で立ち、赤いはっぴを羽織り、背にはカエルと同じ大きさの日本刀を背負っていた。
「なっ、(カエル!?でも今喋らなかったかコイツ!!)」
四部は度重なる状態の変化に頭がついていかず、ただ、じっと目の前の巨大カエルを見つめる。
「・・・フカサク様からも、この妙木山に人間の小僧がくるなんて話しはきいておらん。」
その巨大カエルは、目を細め背に背負った巨大な刀の柄を握った。
四部はようやく目の前の巨大カエルの声に意識を向けられた。
「ぅあ、(や、やっぱり喋っている。)」
しかし四部は未だに混乱したままであり、言葉の意味を理解できないでいた。
「・・・答えるつもりはない、いうことじゃな。」
巨大カエルは、確認するように呟いた。
ヒュッ・・・
「えっ?」
四部は頬に伝う感触を確かめるように、手で触れる
「あっ、血・・?」
触れた手を確かめるとそこには赤い血が付いていた、四部は自分の手と巨大カエルの刀そして遅れて頬に熱い痛みをようやく感じ、理解した。
四部は今このカエルに切られたのだという事が。
「悪く思うなや、小僧・・・。」
そして、このカエルに殺されるという事を・・・
四部は、自分の荒い息と、耳の奥に響く自分の心臓の音を感じながらも目の前の巨大カエルから目を離せないでいた。
目の前のカエルは、四部と同じ程も巨大な刀を正眼に構え油断なく四部を見つめる。
「小僧・・技量の差っちゅうもんを感じたやろ、もう一度聞く何故この妙木山に来た。」
カエルはもう一度四部へと問い直すも、四部には何を言われているのかがわからなかった。
何故、此処にいるのかがわからないのは、四部も同じだからであり、その疑問よりも始めて感じた死の気配に身が震え思考が停止していた。
「・・・・そうかい。」
カエルは1つ呟き、四部に向け踏み出した。
その時・・
「待てっ!セイマ!!」
カエルは聞き覚えのある声に驚き、背後を振り返る。
「フ、フガサク様!?」
背後には、息を荒げながらも静止の声を上げるフガサクの姿があった。
「っっっ!!」
その瞬間、四部は身を翻すと一目散に背後の石像達の立ち並ぶ中へと駆け出した、四部は重い足を引きずりながらも走り続け、先程静止の言葉を投げかけた者の顔を思い出していた。
「はぁ!、はぁ!(またカエルか!一体どういう事なんだ!何処なんだよ此処は!!)はぁ!、はぁ!。」
四部は己の盲目に焼き付いて離れない鈍く光る刃を振り払うように、石像の群れの中を走り続ける。