燦燦と照りつける太陽の下、わーわーきゃーきゃーと叫びながらプールで遊ぶ子供達をプールサイドから見守る。
男子はビート板の上に立とうと馬鹿したり、水中に沈むゴム玉を何個多く集められるかなどアクティブに遊んでいる。
女子は水を掛け合ったり水面にプカプカと浮いたりと静かにプールを楽しみ、男子の馬鹿を笑っている。
俺は男子がやり過ぎて危ないことをしないか監視しつつ、プールを楽しむ女子一人一人に目を向ける。
(……うん、大丈夫だ。息子がピクリともしない。)
二、三週間分の精液が出たと言っても過言じゃない量だったので、激しく興奮しない限りは勃起しないだろうと確信する。
そして今、スクール水着姿の女子を見ているが特に何も疚しい気持ちにもならなかった。賢者タイムを経験した事が原因かもしれないが、全く興奮しなかったのだ。
クラスの男子の中で人気の女子は水瀬沙耶香以外に
肩口よりも短いショートヘアで、男子とよく一緒にサッカーなどをして遊んでおり、時折男子と見間違われる。しかし、大体の人は胸の大きさを見てすぐに女子と気づく程には大きい胸がある。
そこが思春期に入った男子達の目を惹き寄せているだろう。
加えて、クリクリとした大きな目にながい睫毛、ぷるぷるとした唇、すべすべで柔らかそうなほっぺ…などなど、ともかく顔が可愛く整った美少女なのである。
性格も男子と遊ぶだけあって快活な性格で、嫌な顔せずそれでいて男子と一緒に色々なスポーツを楽しむ七海はクラスだけでなく学校内の男子の憧れだ。
高校生と言っても通じるであろう魅力的なプロポーションは多くの男子生徒を精通に導いている。
その七海を見ても息子は物言わぬ棒と化している。
俺はホッと一息つきプールサイドに腰を下ろした。
(俺は正常なんだ…教え子に興奮するなんておかしい事なんだ…)
先程の
だがそれでも脳裏から沙耶香の影が消える事はなく、龍司の教師としての心を蝕んで行く。
「ーー龍司先生?具合、悪いんですか?」
気がつくと、七海が目の前のプールの淵から身を乗り出すようにして顔を覗き込んでいた。スクール水着を押し上げる胸がプールの縁に載せられてむにゅりと形を形を変えて深くなった谷間が露わになる。
暫く俯いていたのが心配を誘ったようだ。
「いや、大丈夫だ。ちょっと疲れててな」
その疲れが射精後の虚脱感とは死んでも言えないため、当たり障りのない回答をする。
「先生って夏休み中も宿直室?偶には家に帰ってゆっくりした方がいいんじゃないですか?」
俺が宿直室に泊まり込みで働いているのは周知の事実だ。
ちゃんと心配してくれる七海に誤魔化した自分に罪悪感が湧く。しかし、こればっかりは正直に言うことが出来ないので適当に誤魔化し続けるしかない。
「んー、こうして毎日プール解放するつもりだし、課外講習もあるからなぁ。家は学校から地味に遠いから宿直室の方が都合が良いんだ。それに宿直室は何でもあるしリラックス出来るぞ」
「へーそうなんですねぇ…って、あれ?課外講習やるんですか?何人くらい受けるんですか?」
誰も話聞いてないし手を挙げなかったから誰もいないかと思ってたと、七海が少し驚いた様子で尋ねる。
「…沙耶香1人だけだ」
実際、七海の予想は正しく受講者は誰1人として居なかった。昨日の放課後までは。
「えっ…沙耶香が…?」
俺は特におかしな事を言ってないはずなのに、七海は何故か急に大きく取り乱した様子で何か深く考えていた。
「あの…先生、今からでも課外講習って参加できますか!?」
「え?七海は成績悪くないから受けなくても…」
「あ、えっと…それは…」
言葉が詰まったように七海は“あー、うー”などと呻いている。参加したいと言う思いはひしひしと感じるが、成績が良い七海が何故課外講習に出たがるのだろう。
それに課外講習に参加したいのなら昨日の帰りの会で何故言わなかったのだろうか。
「いや、まぁ…理由はどうであれ学ぶ姿勢が良いってのは素晴らしい事だ。参加して全然構わないぞ?」
疑問はあるが、理由がなくても生徒の要望を拒んだりはしない。
生徒ファーストが俺の信条。生徒のために苦労や時間を費やすことは大変で疲れはするが生徒のためを思えば苦ではない。
「えっ!本当ですか!?」
七海は抱えていた頭を振り上げパァっと太陽のような笑顔を咲かせる。あぁ、この笑顔が俺の活力の源だ。
「あぁ、参加人数が少ないどころか1人だったからな。そこに1人増えるくらいどうってことないさ。」
それどころか俺にとっては有り難い話で、沙耶香と2人っきりで過ごしたらマズイ気がするのだ。何か取り返しのつかない事になりそうで。俺の第六感が危険だと告げているのだ、水瀬沙耶香に気をつけろと。
生徒を疑ったり敵対しする訳ではないが、少し距離を置かないとおけない。
「ありがとうございます!」
「一応、課外講習は16:00〜18:00の予定だが…今日は参加出来そうか?」
「あ…今日は午後から遊ぶ約束が…」
七海は申し訳なさそうに答える。まぁ今日いきなり決めた事だし、仕方ない事だ。俺は特に咎める事もなく笑う。
「うん、それなら目一杯遊んでこい。小学生の内は友達と遊ぶ事も大事だからな。」
「はい…あの先生!」
意を決したように尋ねる七海の顔には不安という文字が書いてある。一体何に不安を感じているのだろうか。
「なんだ?」
口をパクパクとさせた逡巡の後、七海は少し赤くなった顔を伏せて呟くように言った。
「…上手く言えないんですけど、沙耶香と2人きりだからって仲良くし過ぎちゃ嫌です…先生が取られちゃう気がして」
どんな悩み事かと思って蓋を開けてみれば、なんて事はない可愛らしい嫉妬の類のようだった。
だが今の俺にとってそれは核心を突く話で平静を保っていた心臓がドキリと大きな音を立てて脈拍が加速する。
「大丈夫だ、安心しろって。俺は皆んなの先生だからな!」
俺は生徒の可愛らしい嫉妬を笑う教師として笑えているだろうか…。顔がピクピクと引きつってはいないだろうか?
(そうだ、俺は皆んなの先生。特定の誰か1人に夢中になったりなんて…しない…はずだ…。)
口では幾らでも言えるが、心の中では常に揺らぎ続けている。七海はまだ何か言いたそうな顔をしていたが自分を納得させるように息を深く吐くと“信じてますから”と一言残してプールの縁から離れて友達の所へ泳いで行った。
そしてその後は何事もなく午前のプール解放が終わり、七海は後ろ髪引かれるように帰り際に此方をチラチラと振り返りながら友達に手を引かれて学校を出て行った。
俺は昼飯をガツガツと胃の中に掻き込み、午後のプール解放に向かう。これからが本番だと言わんばかりに気合を入れてプールサイドに立ち、プールに入りに来た生徒達に挨拶をしていく。
そして……
「こーんにちわ!センセ♡」
松田龍司と水瀬沙耶香との水際の攻防が今始まる…!
スクール水着で誘惑するメスガキvs準ロリコン教師、松田龍司の水際の攻防が始まる。あの手この手で誘惑するメスガキに準ロリコン教師は欲情せずにいられるのか!?
次回、『松田龍司、死す(社会的に)』