「あぁぁ楽しい楽しい。すっかり楽しめたぜお嬢さん。」
「……最低だよっ、あなた達……。」
はだけた服を手で抑えながら恵美は飛高と大輔を睨んだ。
「んなでかい胸曝け出しながら言われてもな、誘ってるようにしか見えねぇよ。」
「あんた達がやったんでしょ……!。」
二人の男が獣のように自分の身体を貪り尽くした。
……許せない……こいつら本当に許せない……。
でも自分のパオウルムーじゃ圧倒的に力不足過ぎる。
悔しい……。
いつの間にか泣いていた、自分の無力さと目の前の男達への憎悪から……一人の少女の心を折るには充分過ぎる仕打ちだ。
「どれだけ温情な人生歩んで来やがったんだか、ムカつくぜお前みたいな奴。行くぞ大輔。お前が世話になる場所に電話する。」
異常な憎悪が恵美に向けられる。
廃墟の一室を離れ、飛高はスマホで電話した。
「もしもし全国勾玉研究所白咲支部だな?。」
勾玉研究所?。
始めて聞く名称だ。
『その声は飛高君ね。どうしたの?。私が恋しくなった?。うふふふ。』
「氷華かよ。所長に言ってくれ白咲在住の勾玉使い一人を保護してくれってな。名は川本大輔。勾玉のモンスターは獣竜種のアビオルグだ。」
『まぁ、この地区で獣竜種の勾玉使いがいたなんて研究所の調査による統計では私の弟含め2体目よ。すぐに連れてきてもらえるかしら?。』
「助かるぜ。土産にわけありのパオウルムーの適合者もつけようか?。」
受話器の向こうで氷華の笑い声が聞こえた。
『いいわよ。研究材料が増えるにこしたことはないもの……それじゃ待ってるわ。』
「あぁ。」
「だ、大丈夫なのか?。」
心配そうに飛高に聞いた。
「なんとかな。」
それを聞き、ホッとひと息吐いた……勾玉研究所どんなところなんだ……。
=====
一人の白衣を着た40代ぐらいの男性を中心に、組織……勾玉研究所の面々はパソコンに向かい仕事に励んでいた。
「燈極……。今火落から電話があったようだが用件はなんと……。」
西ヶ原高校の制服の上に白衣を着た女子に男性は話しかける。
「獰竜アビオルグの適合者を保護してくれと。あと、わけありのパオウルムーの適合者も訪ねてくるそうです。」
会話を聞いてた、男女がわけあり……?。と声を漏らした。
「氷華姉、火落さんは災いを連れてこようとしてるんじゃない?。」
「あぁ、なんか怪しいぜ姉さん。」
二人の名は、灼豪刃と、水泡舞、高校1年生だ。ある事情により氷華を実の姉のように慕い互いのことも本当の兄妹のように仲良く恋仲である。
「来れば分かるよ。それより私達の調査統計では刃、貴方に続いて2匹目の獣竜の適合者よ。これは喜ばないとね。」
笑顔で二人につげる。
「……統計上ではな、実際には調査の届かぬ裏にかなり存在するというのが国の見方だ……。」
「なかなか打ち明けようとする子が居ませんからね。強大な力を持てば……『幼少』の頃から周りの子供との違いに親などが気付いて、その能力から忌まれ隔離されたりするんですけどね……。」
悲しそうに語った。
「「姉さん……」」
「君は……。孤児となったのだったな。生れつき多大な力を持ち実の親には化け物扱いされる……言葉に表せぬ悲惨な境遇だ。もっとも地球の悠久の生命エネルギー勾玉を易々と世間に公表するわけにはいかないという思惑もある。適合者がどう思おうがその力は兵器や特効薬に使えるか日々研究されてるのだからな。」
適合者の細胞には特有の細胞が発見されたと報告がある。
これを普通の人間に移植出来ればどんな難病も治せる薬が開発出来るのではないかと噂されており、マウスで移植実験が行われているが成功例は1つもない。
その強さにすぐ死んでしまうのだまだまだ試行錯誤が多い。
「はい。適合者の私がこの仕事につけたのも何か運命を感じることもあります。不安もあるし大変な仕事だと思いますが私は精一杯やってくだけです。」
「「姉さん……!」」
「よく言った。君のこれからに期待しとるよ。」
舞と刃が氷華に駆け寄るのを見ながら、所長は場をあとにした。
所長室へと向かう途中ピーと服についた無線が響く。
「なんだね?。」
『所長、巌徹です……。例の実験の研究成果が出たのでご報告致します。高校各学年男女計6名に燈極氷華から採取した熾凍龍の細胞を接種したところ18歳の少年を残し皆死にました。』
「……初の生き残りが出たというのだな……。」
思わず口元が上がる。
「少年の容態、また知能の低下などは?。」
『現時点で見られません。ただ攻撃性があがり身体能力も本家には敵いませんが普通の勾玉使いに比類するほど上昇しています。また本の少しですが属性も扱えるようです。』
「素晴らしい。今回の成功によって研究はかなり進む。予防接種と称して高校生を騙す必要もなくなったわけだ。巌徹……その男の血液採取及びクローンの精製を急げ。」
『はい。』
…………
「着たぜ。」
「お邪魔します……。」
「貴方がアビオルグの適合者だね。その背負ってる子が……」
「パオウルムーの適合者だ。わけありだ、暫くここに居させてくれよ。」
「所長の許可が必要だけどあの様子だと大丈夫だと思う。じゃあ川本君。案内するからついてきて。」
「頼むよ。」
再び気絶させた恵美を入り口のソファに寝かせ大輔は案内されるがまま部屋を紹介された。
「彩菜と結子が気になるが……ここならそう簡単には見つからねぇだろう。」
ベットに横になり眠りについた。