※この作品はR-18です。

凶禍刻みし復讐   作:獄華

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試練8人目、9人目


凶禍に差し伸べられる救い

時はきた。

今日彩菜は森谷直人への試練を行う。

 

いったい直人にどんな仕打ちを受けたの?

 

 

昨日、結子から言われた台詞だ。

膓が煮えたぎる怒りを抑えながら彩菜は説明した……。

 

 

4ヵ月前……7月下旬……。

 

悲劇はある男子生徒が彩菜に好きだと数日前に告白し、後でいいから返事を聞かせてくれと言われたことから始まった。

 

男子生徒の名前は北浦 亮。

クラスの正義漢でバスケ部に所属しており、優人ほどじゃあないが同部所属の女子マネージャーから好意を寄せられるぐらいモテる。

しかし彼は一人思いを寄せる者がいた……同じクラスの彩菜というクラスからいじめられてる女子に。

 

彩菜がクラスの連中からイジメを受ける度に心が傷つき腹が立ったそして微弱ながらもクラスメイトに注意するなどして救いの手を差し伸べしたりもした。

 

 

俺は……一人の異性として彩菜が好きなんだ……。

 

 

熱くこもったこの思いを彩菜に告げた。

そしたら彼女はいきなりの告白で戸惑ったため後日で構わないと亮は言う。

告白したその日亮は興奮で寝れなかった。

 

後日……彩菜は告白の返事を聞かせると亮を高校のプールの近くへ呼んだ。

同じバスケ部所属でクラスメイトの健太郎と祐樹もついてきた。

 

亮なら行けるって!。まず間違いないと二人は亮を励ます。

 

だが返事は非情なものだった。

 

「迷惑なのよ」

 

「……え?」

 

これが……彩菜。

 

恐ろしく冷めきった表情で睨みつけられていた。

 

「あんたが私に告ったせいで他の女子から嫉妬される……なんて考えたこともないでしょ……それに私にはもう……」

 

彩菜にとっても……亮のとっても……最悪となる瞬間だ。

 

「好きな人がいるの」

 

プール施設の影から出てきた直人と彩菜は口づけした。

彩菜が不本意だと亮に見抜けるわけもなく目の前が真っ白になった。

 

「彩菜ぁぁぁぁぁ!お前なに考えてるんやぁ!告った男の前でお前こんなっ……!」

 

「本当だよ!……今まで亮はお前を守っていたんだぞ!……その仕返しがこれか!!」

 

 

二人の親友がいっせいに彩菜に攻撃した。

 

「森谷もなに考えてんだ!……いつも亮に助けてもらってるくせ――

 

「ケン!祐樹!……大丈夫だ。……彩菜、本当に直人と……?」

 

「……本当に決まってるでしょ。もう私行くから……」

 

「ざけんなや!そんな言葉通るかいボケェ!」

 

俺の為に文句を言ってくれる二人を今は必死で抑えた。

見間違いだろうか彼女の目に涙が溢れていたのは……どうも俺は彩菜の本心の言葉と思えない……。

 

……ごめんなさい亮……本当にごめんなさい……。

 

この悲劇は仕組まれたものだった。

当時彩菜を犯していた一真や大輔達不良グループのリーダー蓮が亮が彩菜に告白したのを察知し亮に精神的ダメージを与えるため、振った挙げ句直人とキスをしろと言ったのだ。

亮はまだこの事実を知らない……。

 

直人はそれ以降、自分は彩菜の彼氏だと妄信的になり誰も居ない時彩菜にキスを迫ったり、snsで大々的に発信したりもした。

ラ・ロの現実改変により勾玉の適合者となってからはさらに行動が悪化している。

 

 

………………

 

「策略により擦れ違いがうまれてしまったのね……」

 

「亮も嫌ってるよ私のことなんて……演じたとは言え……最低な女」

 

「そうかしら」

 

「え?」

 

「私はそうは思わないわよ。亮は誰とでも打ち解けるタイプだし何より……好きな子のためならどんなことがあっても命を張って守ると思う。……例えその人に嫌いって突き放されても」

 

学級委員長である結子の人間解析は信憑性がある。

 

「それにさ……彩菜だって亮のこと満更でも無いんでしょ?」

 

「ちが……!私はっ!」

 

「林檎みたいに顔赤くして言っても無駄よ、ふふ」

 

これでは弁解したら更に怪しまれるだけだ。

亮が裏で自分を守ってくれてたのは痛感してる。

彼がいなければ私はもっとクラスメイト達にイジメられてたに違いない。

心に、亮の場合実力行使の試練じゃなく和解出来れば……との感情が生まれる。

 

「明日の直人へは試練は私達がついて行かなくて大丈夫?」

「うん。恵美と一緒にいてあげて……直人には私一人の力で決着着けたいから……」

 

「分かったわ」

 

 

今回の復讐は敵の力も利用してやり遂げる。

 

翌日、放課後彩菜は直人に伝えたいことがあるの……と話しかけた。

 

「……嬉しいな。君の方から僕に持ちかけてくれるとは……」

 

「ここじゃ人目が多い……旧校舎の図書室前に移動しましょ」

 

その場所には……奴がいるから……。

移動中、私は昨日直人が何をしてたかふと気になり質問した。

 

「何故昨日休んだの?」

 

「ごめんちょっと野暮用が出来て……寂しかった?」

 

んなわけあるか。

 

「野暮用ね……。昨日はあなたが休んで今日は風翔が休んだ……嫌だわ私……なんか関連性があるんじゃないかって勘ぐっちゃってる……大輔も死んだと言うし」

 

あの後大輔が死んだのは予想外過ぎる。

私と対峙した時にはまだ適合者としての能力があった。

誰かが大輔の獰竜アビオルグの勾玉を抜いて……歩道橋から突き落とした……?。

 

「……中々面白い作文だ。だけど昨日の休みは本当になんてことないものさ……誰だってあんなことがあったら次の日サボりたくなるよ」

 

「そうかもね……いやね、昨日午前中に風翔の家が燃えたって担任が彼に伝えて血相変えて風翔は帰ってね……結果風翔の家は全焼……彼の怒りからか昨日の午後は天気が急変した」

 

「痛ましい出来事だな。だけど僕にはなにも関係はないよ。それに僕の勾玉はギギネブラだ。火は大敵さ」

 

「そうよね。ごめん疑ってしまって」

「気にしてない」

 

直人の性格上、力を手にすれば歪な報復を取ると予想したが違ったようだ。

 

「推理話しに花を咲かせてたらいつの間にか着いたわね」

「あぁ……。伝えたいこととはいったい?」

 

ここからだ。

どんどんこの男に私の本音をぶつける。

 

「あんたさぁ、私のこと彼女だって言いふらし回ってるけど……あの蓮との芝居を除きいつ私があんたに好きなんて言ったの?」

 

私の台詞に直人は凍りついた。

 

「まさか、あの芝居の好きを本音で受けとったなんて馬鹿言わないわよね?」

 

蓮から事前に直人にも亮を裏切るためと伝えてあった。

それを本気で捉えてるとすれば……御目出度い頭どころの話しではない。

 

「や……でも……キス……した……し」

 

これが彼の中身だ。

偽りの私への愛情とキスされたことにより思い上がってた彼の鎧は外れた。

 

「裸の王様ね。もう私に近付かないで」

 

「……待ってくれ!」

 

「きゃっ!!」

 

行こうとした彩菜を引っ張った。

「それは謝る……だが、だが僕は本当に君を愛して……」

 

「私はあなたを愛せない、都合よく解釈し強要してくるなんて……信じられないわ。手を放してくれる?」

 

「し、しかし……」

 

「ほぉ……。そういうことだったんだな、直人……」

 

その男は図書室からゆっくりと上着を肩に掛け出てきた……常盤蓮……不良グループのリーダーで彩菜を犯すことを一真の大輔に命じた元凶。

 

「ひっ……!れ、蓮君……」

 

「んな緊張すんなや……ツイッターやラインやインスタの件が嘘だっては確認した―――

 

 

なんで嘘をついた?」

 

 

 

「ガハッ……」

 

頭を掴み床に叩きつけた。

 

「お前何様なんだよ。いつから俺の玩具自在に操れるようになったんだぁ?あぁ!?」

 

蓮が持つモンスターの力なのだろう。

腕と首に青い血筋が浮かんだ。

 

「ぐあっ……も…うや……め……」

 

「甘いこと言うなよ。自分が適合者だって忘れち待ったか?」

 

直人の顔はパンパンだ。

 

 

「やめろ!」

 

 

1つの声が蓮の動きを止めた。

 

「なんだお前かよ猿いや……狼か、なんにしてもてめぇには似合わねぇ。大方てめぇが好きな女つけて来たんだろ」

 

馬鹿にした物言いに亮は激怒する。

 

「お前の言う通り彩菜が心配で後を追ったのは事実だ。話しを聞いてたがこれはなんだ……彩菜と直人を唆したお前に一番非があるんじゃないのか蓮!」

「うるせぇ!」

 

蓮の拳で校舎が揺れた。

 

「正義面しやがって、昔からてめぇはそうだ……自分の正しさを他人にも押し付ける偽善者……吐き気がするぜ!!」

怒りを吐き出すと蓮は背を向け廊下を歩いた。

 

「おい蓮!……クソあいつ、直人大丈夫か?」

 

「ゴホっ……蓮の言う通り適合者だから心配いらないさ……それより僕はお邪魔のようだ。じゃあな二人とも……」

 

「直人!、……確かに再生するが、あんなフラフラで……」

 

「亮は優しいね。自分を騙した人間にも等しく接することが出来て……私自身が望んだから変えるつもりはないけど憎悪にしか使えない私は馬鹿みたい」

 

「彩菜……さっきの話本当……なのか?」

 

「うん……ごめんねあんな酷いこと言って。もう私はあなたに好きと言われても付き合う価値もない惨めな女……私なんて忘れて」

 

「なに言ってんだよ……忘れられるわけないだろ!……俺の方が謝りたいくらいだ。蓮が裏で二人を操ってたことを知り得なかった!そうすれば直人もあんなことには……」

 

「亮……」

 

「駄目だ。彩菜への思いを諦められない……どうか俺が愛してるお前を守らせてくれないか?もう俺は彩菜を悲しませたくないんだ……」

 

あの亮が泣きながら自分のことを抱きしめている。

 

「……あなたの進む正義に影がかかり少なからず後悔する運命にあっても……?」

 

 

「勿論だ……一緒に闇を歩く覚悟はある。俺は藤沢彩菜が一人の男として好きだ!」

 

 

「そこまで言われて振ったら私は大馬鹿ね。いいよ亮。私も頼りがいがあるあなたが好き。これから一緒に歩いて行こうね」

 

 

「あぁ……!」

 

 

二人は蟠りがとけ晴れて恋人となった。

 

 

 

=====

 

 

同時刻……。

帰宅途中結子は恵美から行方不明中何があったか聞いていた。

 

 

「大輔と他校の奴らに暴力を振るわれ犯されたですって!?」

 

 

「うん……」

 

 

「なんとも胸糞が悪い話しね……それであなたは気を失って目が覚めたら極秘の施設でケアを受け昨日解放された、と」

 

「そうだね。凄く可愛い子と話してきたの。その点は良かった!」

「ポジティブね…。でも本当に戻ってこれて良かったわよ恵美」

 

「うん。私も色々話したいんだけど極秘でそこに在籍してる人の名前も言えないの」

 

どれだけ情報統制がとれてるんだか。

恵美はどんな施設に行ったんだろう。

 

「ふ~ん、なんか興味が湧くなぁ」

 

「あ、じゃあ今度友達連れてきていいか訊ねてみるね」

 

「ありがとう……どうしたの?」

 

急に恵美が泣き出した。

 

「大輔が死んだって聞いてさ……私安心しちゃったの……もうあいつに無理矢理セックスさせられたり暴力を振るわれないんだって……どうしよう?私変になってるのかなぁ……」

 

泣く恵美の肩を結子は擦る。

 

「誰だってそんな怖い思いを自分にしてきた相手が死んだらそう感じるものよ……私達は人間、喜びもあれば悲しみもある……変じゃないよ恵美は……」

 

 

「……うん」

 

大丈夫、大丈夫と小さい子を諭すようにゆっくりと背中を擦りながら共に歩いた。

 

今度みんなで気分転換に遊びにでも行きたいな……。伊里愛さん達や陽太も一緒で楽しめて落ち着けるような場所で。

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