直人の件から一週間が過ぎた日結子が大人数で旅行にいかないかと彩菜に持ちかけた。
「どうかしら彩菜……」
「旅行かぁ。いいかも!……瑠奈ちゃん達や亮とかにも当たってみるね」
「えぇ、私も陽太を呼ぶわ」
気分転換してあの子を元気にするために。
直人への試練から1週間その間彩菜は3人の人物と力に頼らずして和解した。
亮と同じバスケ部所属男子二人組の阿部祐樹と辻村健太朗。
そのマネージャーの若槻梨乃。
彩菜が直接事情を説明する、と亮に言ったところ。
「俺が説明する」
彼は速答した。
あの件以来、彩菜の姿を見るだけでイラついてた彼等は最初亮が彩菜と俺についてお前らに伝えたいことがあると言われても聞く耳持たずだった。
それでも何度も亮は話しを聞いてほしいと言ってくる。
くどいで!と言っても亮は引き下がらない。
亮に折れ、二人は真実を聞き彩菜に謝った。
「ホンマすまん!……まさか裏で操られてたとは知らんくて……」
「悪かったよ……俺ら余りにも自己解釈し過ぎてた……ごめん!」
「こいつらは謝った……彩菜の返事は?」
決まってる。
「私の方こそごめんなさい。あの時ちゃんとあなた達に救いを求めるべきだったね……本当にごめんなさい」
「よし、どっちも謝った!この話は終わりだ。これから卒業までの短い間仲良く過ごそうぜ」
それぞれ頷いた。
梨乃との和解はこの一日後……彼女の方から彩菜に申し出た。
「彩菜ちゃん……」
「梨乃……」
元々彩菜と梨乃は仲が良かったが梨乃が真莉達に、私達とあの女どちらにつくか?迫られ彩菜を嵌めた過去を持つ。
梨乃の目にその時の彩菜が……裏切りに生気が抜けた表情を見て悲しさと罪悪感を抱いた。
今さら許してほしいとは言えないけど、この彩菜が一部のクラスメイト達と元の関係に戻りつつある今、この機会が自分の謝罪の言葉を言える時なんだと感じた。
ごめんなさい。
都合がいいわね。と捉えられても許されなくても構わない。
……ただあなたに謝りたい。
攻撃されてもいいむしろ喜んで受けよう。
梨乃に触れたのは彼女の柔らかい手だった。
「なんで……」
「なんでだろう……。理由づけするとすれば、梨乃が一人であんな行動を取る真似はしないと信じてるからかな……私達さ、クラス替えする前から3年間一緒だったじゃない」
「彩菜ちゃん……」
「許すわ貴女のこと、これから友達として頼ってもいい?」
「……うん!」
クラスの勢力図は変わりつつある。
そんななかで結子の提案。
まずは1組へ向かった。
「お邪魔しま~す」
「やっほー、あーちゃん」
可愛らしい呼び方だ。
読んだのは当然桜花である。
「あだなかぁ。私も桜花ちゃんのことあだなで呼びたいな」
「えへへ、ウチら仲良くなったからね。私のこともあーちゃんの好きに呼んでいいよ?」
「……じゃあ、おうちゃん!。どうかな……?」
「いいよいいよ!。あだ名で呼び会うの最高だね」
「全くうるさい……愚妹ですこと……おはようございます彩菜さん」
「おはよう彩菜ちゃん」
「瑠奈ちゃんも玲里ちゃんもおはよう。今日はあなた達を旅行のお誘いに来たんだけど、一緒に行かない?」
「旅行ですか……。私達は特に構わないですわ。あなた達も大丈夫よね桜花、玲里」
「もち」 「うん」
「良かった。他にもメンバーが来るからみんなよろしくね」
「ちょおっと待ったぁ!」
男子の大きな声に4人は振り向く。
「俺も行っていいかいその旅行に?」
「逆人君!……。構わないけど……」
「よっしゃ決まりだな!。ハハハ旅行先でライゼクスと舞ってやるぜ」
逆人が変なポーズをとってるのを横目に3姉妹は何か話しだした。
玲里が手で覆いながら顔を赤めて、瑠奈は顔が無表情になってるがなにを話してるんだろう。
「あーちゃん。あと3人男子誘っていい?」
「大丈夫だよ」
「分かった。こっちから誰が来るかあとで3組に伝えに行くね」
3人……数的に彼女らの彼氏……?。
おうちゃんあたりが凄く騒がしくなりそう……。
そんなことを考え彩菜は1組を出た。
「もう桜花ったら勝手なことを……貴女は蒼王(そうき)さんと言う立派な彼氏が居ますが、私と玲里は……」
「だからあーちゃんが言いに来た今の旅行に気になる人を連れてって二人っきりで話したりして仲を深めるチャンスだって言ってるの!」
「仲を……深める……」
チラリと玲里はある男子を見つめた。
見られた男子は恥ずかしそうに目を剃らす。
「理雄君と……」
少女の顔は赤い。
「分かりやすいね理雄君と玲里は~、姉貴はどうなのさ?」
「私は……別に……」
「銀陽君がいるじゃない。彼が笑顔を見せるのって姉貴と話してる時だけだよ、他に見たこと無いもの。それに銀陽君って成績も3組の山瀬君と同じぐらいいいし運動神経も抜群おまけに顔もいい……玉の輿だね!」
「全く貴女は……」
苦笑いしながら瑠奈は席に着いた。
本当に愚かな妹だこと。
桜花……貴女は勘違いしてるわ。
私と銀陽さんの関係は恋人とかそんな下らない存在じゃないの……互いが互いを求め依存しあってるのよ。
貴女が蒼王さんと付き合うずっと前から……ね。
…………
「旅行か!!、行くよ!」
「俺らも俺らも!、めっちゃ楽しそうやん」
「クラスに居ると息がつまりそうだし、ちょうどいい気分転換だね……それに誰かさんは彼女と二人っきりになれるし」
「なっ!、なんてこと言うんだ祐樹……」
「ええやん。こないな場所じゃ彩菜ともゆっくりイチャつくことも出来んやろ。旅行先で羽伸ばしてデートでもすればええねん」
彩菜と亮の顔は赤くなる。
このあと翔太と藍と梨乃に声を掛けたが梨乃だけ応じ二人は断った。
斯くして、彩菜の誘致は終わった。
=====
……勾玉研究所。
パソコンに向かい仕事していた氷崋の携帯が鳴った。
「はい、燈極です」
『もしもし氷華ちゃん?』
「恵美ちゃん!。あのあと大丈夫?」
『うん特に何ともない。ねぇ氷華ちゃん。私の友達がね旅行を計画してるんだけど』
「あらいいじゃない」
『氷華ちゃんも来ない?来週3連休の休み初日の土曜日から行く予定なんだけど大丈夫かな?』
「ちょっと待って……今週の休日は……空いてた。でも本当にいいの?恵美ちゃんの友達に水を差さないかしら?」
『大丈夫!大丈夫!、命の恩人として氷華ちゃんのこと皆に紹介したいし!時間や経費とかは追って連絡するからね!』
「分かった。楽しみにしてるね」
『うん。それじゃ!』
電話が切れた。
旅行……研究所詰めでろくに高校生生活も出来なかった自分にとって初めて同年代と行動をともにする。
「どんな感じなのかな、友達と旅行って」
ふと、口にした。
暫く旅行編。