共依存、金銀カップル
「ちょっとした修学旅行になりそうね」
土曜日朝8時に白咲駅に男女16人が集った。
「過半数がカップルって……どういうことやねん!!」
「違うよ健太郎君、正確にはカップルは3組残り2組は……準カップル的な?」
桜花の台詞に大して変わらんわ!と健太郎は突っ込んだ。
彩菜の予想通り桜花の格好は凄かった、髪の毛はピンク色で胸元は空け、スカートも裾がギリギリである。
本人曰く、これでも抑え目だとか。
彼氏の蒼王も桜花に負けじと髪の毛が青く染めるのを初め……まぁチャラい。
瑠奈は頭を抑えていた……。
「あなたが燈極氷華さん?。恵美がお世話になったみたいで、私はこの子の友達で結子って言うの。宜しくね」
唯一白咲高校以外のメンバーの氷華に恵美のことを感謝しながら自己紹介も兼ね話しかけた。
「いいえ、何も大したことはしてないわ。寧ろ私が元気をもらえたというか、恵美ちゃんに出会わなければあなた達にも会えなかったし、こちらこそ宜しくね結子さん」
恵美が堅い堅いと言いながら二人の間に入った。
「もーう、旅行何だから楽しまないと!、氷華ちゃんも結子もさん付け禁止、ちゃんで呼び会うこと!いい?」
「それは流石に失礼なんじゃ……」
「あらあら、恵美ちゃんに怒られちゃったね。結子ちゃんって呼んでもいい?」
「氷華っ……さんまで」
「今ちゃんって言い掛けたでしょ結子?」
にひひと嫌らしい笑みを浮かべる恵美。
「分かったわよ。氷華ちゃん……これでいいかしらカメラマン志望者」
「その呼び名は酷いよっ!?」
「事実でしょうが」
お返しとばかりに笑う3組学級委員長。
そのやり取りを見て氷華も思わず笑った。
「あははははっ、結子ちゃんも恵美ちゃんもいつもこんな感じなの?」
「まあね。この子の天然具合いとおふざけ具合いには毎回手を焼くわ」
「ひっどいな~」
「はいはい、みんなー電車が来たから乗るわよ」
学級委員長のリーダー性はこの場でも遺憾なく発揮され、全員彼女に続き行動した。
席はがらがらだ。
皆、其々席につく乗り換えなしの一直線だ。
「彩菜、窓側と通路側どっちに座りたい?」
「窓側でいいわ」
それを見てた桜花はあれいただきね。と言った。
「そーくん。今亮君があーちゃんにしたみたいな質問してみて」
「いいぜ。桜花窓側と通路側どちらに座りたい?」
「ダーリンの隣なら……ど・こ・で・も♪」
「うぉぉぉぉぉ!桜花ぁ!」
「きゃあああああそーくん!」
通路で二人は抱き合う。
「このバカップルが!!!邪魔だから早く退きなさい!」
「おー!、ええぞ伊里愛長女もっと言ったれやぁ!」
「健太郎……お前……」
瑠奈を応援する健太郎に祐樹は涙を流す。
「なぁ~にぃ~?、姉貴ったら悔しいの~?。悔しかったら……あ、ごめんなさい。頭に乗りました謝ります。だから……螺旋サマーソルト10回はやめて!」
途中でリオレイア希少種と同じ金色になった瑠奈の髪の色を見て桜花は謝った。
「こんな狭いとこでやったら天井を壊してしまいますわ。早く座りなさい……亜種バカップル」
「「はい……」」
しょんぼりしながら二人は席についた。
「全く……本当に困った妹ですこと……お騒がせしました。健太郎さん達がお先に座ってください」
「分かったで。大変やな姉も」
「まぁ、元気出して瑠奈さん」
皆、通過時に瑠奈に労いの言葉をかけた。
「俺達以外全員座ったな……俺らも腰かけよう」
「えぇ」
銀陽と瑠奈は皆から少し離れた席に座った。
アナウンスと共に電車が動く。
乗り換えなしの一直線だ。
「お前の妹はユニークなやつだ。お堅いお前も少し見習うべきかもな」
「馬鹿言わないでください……。私は私、あの子はあの子です」
「ほう、そうか」
どこか退屈そうに彼は相槌をうつ。
「しかし電車で一時間か、眠ってしまうかもしれん」
「その時は起こしますよ」
「面白い暇潰しさえあれば眠らずにすむがな。例えばこんなこととか」
「あっ……」
ギリギリ瑠奈の声は皆に届いていない……銀陽はカッターナイフ片手に瑠奈の右手の動脈を切った。
手首がジワジワと熱くなり彼女の右手からドクドクと血が綺麗な指を赤くそめ床に落ちていく……常人であれば苦痛に顔を歪めそうなものだが、瑠奈は……気持ちよさそうに笑っていた。
「お前にとって……痛みは快楽だもの……な?」
「……はい、でもこうなったのは……中学の時のあなたが原因ですよ……銀陽さん」
「しょうがないだろ。俺はあの時お前を壊したくなったのだ。俺を上に見ないで俺の顔がいいからって理由で近づいて来た下心丸出しの女共とお前は違った……瑠奈、お前が対等に俺と話してくれた初めての女だった……」
「そこから私はあなたの歪んだ愛を受け入れました。学校でセックスしたり、私を監禁して至るところに傷を付けたり……今じゃもうすっかりあなたなしでは生きられない……私に快楽(痛み)を与えてくれる銀陽さんがいなくなったら私は駄目なの……」
「……ならば運命も何も俺と一蓮托生するがいい。俺はお前に運命を感じ全てを懸けたいと思った。結果痛みはお前の快楽と化した。願わくばお前と共に死にたいものだ」
「嫌ですわ。道連れ自殺だなんて……でもあなたとなら仕方がありませんよね……」
列車は無数の思惑を乗せ終点へと向かっていった。