一行はある館へ向かう……。
宴会場での夕食時すでに風呂を済ましたものや、これから外出すると言うものもいた。
他愛ない話に花を咲かせてると健太郎が面白い話をし始める。
「あの女将さん、いたやろ?実はあの人から興味深い話を聞いてな……火山の麓にえらい大きな屋敷があるらしいんや」
あの森林地帯に?。
山の上の方ははだけた岩地だが下は森に覆われた場所だ。
家を建てるには申し分ない。
「何故そんな場所に……空き家なの?」
彩菜は気になり聞いた。
「らしいで、15年ぐらい前まである夫婦と子供が過ごしてて、今もいたら俺らぐらいいっとった。なぁなんかワクワクせえへんか?こういうの」
目を小さな子供のように輝かせる健太郎。
その姿に不安を覚えた亮は、お前まさか……と口にする。
「そのまさかや!。明日探検しようと思っとる!既に逆人と祐樹は了解済みや、なぁ!」
「あぁ。楽しそうだ」
「まぁ……特に目的もないしね」
「マジかよ……」
「当然、亮も来るやろ?。他に行きたい奴おるか?」
亮の返事を聞かず他のメンバーの顔を見回す健太郎。
「空き家……つまり幽霊屋敷だな。行ってみようぜ!桜花!」
「えぇ、普通に怖いんだけど……」
「なんかあったら俺が守るから安心しろって!」
「そーくん……。分かった!信じるね!」
桜花のテンションがいつもより低い。
もしや……と健太郎は桜花に質問した。
「なんや、もしかして桜花は幽霊が苦手なんか?」
ドキッと彼女の身体が震える。
「……そ、そんなことないよ」
分かりやすい反応だ。
「ぷっ……あはははは!マジか桜花ちゃん、幽霊苦手なんだ!」
反応につられ祐樹が笑う。
ギャルで怖いもの知らずのように見える桜花にも弱点は存在した。
「だ!、誰だって苦手でしょう!」
やっぱり姉妹ね。今のおうちゃんの言い方瑠奈ちゃんにそっくり。
友達の新たな面を柿間見れた瞬間である。
「まぁ、ええわ。桜花と蒼王は来ると……他にはいるか?」
「結子行かないか?」
「ちょっと待って……」
行くのは別に構わない、だが恵美のことが心配だ。
氷崋や梨乃だって行きたいかも知れないし。
「私は……パス」
「分かったぜ、健太郎悪いが俺も行かないわ」
「了解。他はおるか」
「……俺と玲里ちゃんもパス」
「私達もパス……怖いし」
3人を代表して恵美が言った。
「俺は行く。面白そうだ」
「誰かさんが心配なので私も行きますわ」
「姉貴……」
瑠奈が来ることでホッとしたようだ。
「私も行く」
最後に彩菜が言った。
「決まりやな。明日の8時に旅館の入り口の前集合!探検の始まりや!」
賑やかな宴会はお開きだ。
屋敷か……。どんな感じなのかな。
ふと、思案しながらシャワーなどを済まし彩菜も亮も眠りについた。疲労に負け2回目は行われなかった。
翌日……午前8時……。
メンバー全員が集まったのを確認しいよいよ屋敷へと足を進める。
旅館から見ると麓は緑に覆われてるだけに見えたが実際は雨天時に山の地表に蓄積された水が流れ酷くドロドロしていた。
「うわっ……結構ぬかるんでるぞ……」
「ホンマや。まさか長靴なんて大層なもん持って来るわけないしな」
「でもここまで来たら引き返すわけにもいかねぇよ。絶対見てやろうぜ」
一人の女子を除いてみな、行く気まんまんだ。
「よく進めるな。男子達……」
「ふふ、冒険心ってものですね。さぁ私達も行きましょう」
「そうね」
先頭をきってた健太郎は、泥と緑地ばかりだった道に塗装されたコンクリートが現れたのを確認した。
コンクリートが続いてる先に黒い建物が見えた。
「あれか……!。見えたでぇお前ら!。もうちょいや!」
疲労が蓄積してたメンバーに希望が宿る。
「おぉ、屋敷を囲むように塀が。しかし特に門とかはないみたいや」
「デカイ屋敷だな」
「何があるか楽しみだぜ」
蒼王と銀陽は彼女達に付き添いな為にまだ目視で姿が確認出来ないが女子に無理をさせようとは健太郎も思わないのでゆっくり身の安全を確認しながら来てもらいたい火竜リオレウスの亜種とその希少種の適合者がついてるから大丈夫だとは思うが。
自分達は目の前の屋敷の探検をすることを考えればよい。
「行くか」
3人は未知の屋敷へ踏み出した。
低く重い音をたて扉が開いた……瞬間屋敷内の埃がぶわっと3人の顔にまとわりつく。
「ごほっ!、凄い匂いだな……病気になっちまうよ」
「ゲホッ!ゲホッ!、15年放ったらかしやったからな。ひいてきた行くで」
「……おいおい。玄関口だけでこんな広いのか」
圧巻だ。
テラスのような場所があり、それに通ずる階段や他の部屋へと繋がる扉が色んなところにある。
豪華にシャンデリアまで飾ってあるのを見るによっぽど金を持ってたのだ。
「魅惑の豪邸か……。徹底的に探検したるわ」
「桜花ちゃんじゃ無いけどさ……やっぱり暗いと怖いよな。暗くて不気味だしなんか出そうだ」
弱気に告げる祐樹。
その気持ちは分からなくもないが今は恐怖より冒険心が先行している。
「弱気になんなよ祐樹。人も何も住んじゃあいないのにビビる必要はねぇ」
「逆人の言う通りやな。よっしゃ!見てくで!」
まずはホテルのメインホールにも劣らないこの玄関から、というかこんなデカイのに玄関と比喩してよいのか?3人は隅々まで探索した。
暗い場所は逆人のライゼクスの電撃が照らす。
その光の中一行は棚の上に3人の写真が置いてあるのを見つけた。
20後半から30前半と見られる男女二人と小さな子供が一人……全員微笑んでいる。
「これが……女将さんが言ってた……」
「あぁ、この屋敷の住人やったんやろな…おっと、写真が落ちてもうたわ」
手に取り見ていたら写真を閉じていた額縁が腐食していたため軽々と開いてしまった。
裏側になり床へ落ちる。
白い場所に文字が書かれていた。
「……おい。なんや。この文の内容は?」
『この子は悪魔だ。彼の黒き力は全てを溶かしこの世を地獄に変えるであろう』
「ボールペンでなんつうこと書いてんだよ……」
「厨二にしても笑えないな」
得体の知れぬき不快感が巻き上がる。
この屋敷で住人達は……夫婦と子供に一体何があったのか?。
いつのまにやら手は冷や汗がびっしりだ。
「他のとこ行ってみようや……なんか分かるかもしれん」
「さっきと声のトーンが違うが本気か!?」
「本気や」
近くのドアを開けようとしたが、固く施錠されている……他の扉も確かめたが同様だった。
「もうやめようぜ……健太郎。きっと俺達はタブー(禁忌)に触れようとしてんだ……もう追わない方がいい……」
タブー(禁忌)だと?。
屋敷の住人の過去を探るのが危険だと言うのか?。
……でも祐樹の指摘も間違ってない。
壁や床に黒く変色した染みが幾つもある、最初は泥かと思ったが……土の匂いがしないし色もよく見たら違う。
それに……固まったというよりまるで凝固したと言った表現の方が似合ってる。
これでは……まるで……生物の……血だ。
「……せやな。やめとくわ」
雷鳴が轟いた。
風が吹き荒れ屋敷が軋む。
「なんやゲリラ豪雨か?」
「おかしいな、今日は全国的に快晴なんだけど……山だから一時的なもんかな?」
「にしちゃあ、明らかにおかしいぜだんだん強くなって来てやがる」
健太郎のスマホに亮から着信が入った。
『もしもし健太郎か!ヤバイ!今襲われてる!』
「なんやて!、誰に襲われてるんや!?」
『風翔だ!突然現れて彩菜を殺そうと躍起になってるんだ!ウワァ!』
スマホが地面に叩きつけられた音が聞こえた。
クシャルダオラの風で吹き飛ばされたのだ。
「……原因が分かったわ。風翔に襲われとるらしい。助けにいくで!」
「マジか……錆びたクシャルダオラに……不味いな亮達には古龍級のリオレウス希少種とリオレイア希少種はいても古龍種はいない!助けに行こう!」
「窮地に陥った仲間を助けるってんだな!よし行こうぜ!」
3人は纏身し嵐の中を駆けた。
……彼らを監視していた……人物には気付かずに。
「……無礼な奴等だ……あのお方の屋敷に土足で上がるとは……世界を壊すほどのお力を持つのに……過去を探る者が居ないか張ってたかいがあったものだ」
少女は白みにところどころピンク色の翼を広げ曇天の中を飛行した。
「黒邪様。今帰ります」