※この作品はR-18です。

凶禍刻みし復讐   作:獄華

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東ヶ原高校の天音とその母は天音がいじめを受けたことによるストレスを治すためある場所を訪れた。


少女に贈られし熾凍龍

「本当にこの子はまた元気になれるのでしょうか?」

 

40代ぐらいの気苦労が顔に出ている女性が必死の形相で白衣を身に付けた男性に問い掛けた。

 

「えぇ。天音ちゃんは忽ち元気になることでしょう。このワクチンが貴女の娘さんを救いますよ」

 

注射器の中に入った液体は白と赤が混ざらず半々に別れている。

白が氷、赤が炎と女性は勝手に連想していた。

これが娘を救ってくれるんだ。

 

天音は小さい頃から愛情をかけ健やかに育った。

元気で、人に挨拶をし小中と休むことなく成績も体育も満遍なく出来た自慢の娘……だけど東ヶ原高校に進んで

3年生に進級した時笑顔が絶えなかったこの子が辛い表情をすることが増えた。

母が「何かあったの?」と話しかけても首を振り……「なんでもないよ!」と笑顔で返していたが、思えばあの時すぐ学校に連絡してれば良かったんだと今では深く後悔している。

そこから一週間して天音が靴をボロボロにして帰ってきた、母が切羽詰まり「どうしたのこれ……誰かにいじめられてるの!?」と核心めいた質問をしても「ちょっと転んだだけ」と決して母には心配させない理由を述べた。

天音はこの日以降どんどん笑顔を失い、制服がボロボロになったり、膝に足で踏まれたような跡を残し帰ってくることが多くなった。

いじめを受けているのは明らかだったが、天音が卒業するまで1年を切っているし、何より彼女が毎日休まず頑張って高校に……部屋で涙を流しても毎日自分に「行ってきます!」と言って弱音を吐かず通う姿を見て母は娘を裏切るようで言うに言えないでいた。

だが5ヵ月後、彼女はストレスにより声を失う。

怒った母はいじめが原因でこうなった。破けた制服など証拠はある。と学校に殴り込むも……担任始め、校長含めいじめとの因果は認められないと声明を出され母の申し出は却下された。

終いには……「家庭のストレスじゃないのですか?」と言われたり、「声が出ないのも本当ですか?」と見下された態度で言われ母を不当な言葉が傷つけた。

その日天音を乗せて帰る車の中、彼女が泣きながら必死に口をごめんなさい、ごめんなさいと動かしてた姿を見て悔しさを覚え、母子共に泣きながら一緒に頑張ろうねと天音を慰めた。

 

「本当に言葉に表せません。このストレスや絶望感、鬱を吹き飛ばすワクチンの存在を知った時は……しかも無料で射ってもらえるなんて」

 

「現代社会には様々なストレスが存在しそのストレスの解消を目指すべく我々はこの薬の開発に着手致しました。美原さんあなた方は本当に運が良かったですな。ではこれより娘さんにワクチンを射ちます……」

 

「座って天音」

 

コクりと頷き、自分で腕を捲った。

 

「それでは……」

 

注射針が皮膚に刺さり痛みに堪えながら天音は針が抜かれるのを待つ。

「はい、終わりです」

 

通常のインフルエンザの予防接種のように呆気なく終わった……これで本当に自分のストレスが消えるのだろうか。

 

最後に白衣の男が「効果は早ければ今日中に出ます娘さんは心身共に強靭になった筈です」と帰り際に二人に説明した。

帰宅後特に変わった感じはない。

「あ~あ、結局嘘なのかな……えっ!」

 

声が戻っている。

今の声は正真正銘自分が口に出してきた音だ。

 

「まさかあの薬本当に効くの……?くぁっ……!!」

 

今度は頭を斧で真っ二つに割られたような激痛が走る。

痛みで気を失いそうだ激しい痛みの中ある声が天音の脳内で響く。

 

『おめでとう。お前はオリジナルに比べれば劣化してるとは言え私の力に見事適合を果たした。祝っていいぞお前は真に強き意志を持つ人間なのだと』

 

「私が強い意志を持つ人間……なら……私は……」

 

声を聞いた後痛みが徐々にひくのを感じた。

『劣化したとは言え熾凍龍の力は強力だ。お前の苦難を救う力になろう』

 

「熾凍龍……あなたは人間じゃあないの?」

 

誰なんだ自分の中にいて語ってくる『者』の正体は?。

 

『我が名はディスフィロア。悠久な地球が産み出した生命エネルギーの産物。お前はもう私の扱い方を分かるはずだ適合とはそういうことなのだから』

 

ディスフィロア……地球の生命エネルギー。

俄には信じられない出来事が今自分の身体で起きている。

「ははは。夢だと思っちゃったけどこの痛みは現実……だね。この龍が言うように熾凍の力も私は今現に理解している。ディスフィロア確かにこの力があれば私はいじめに屈することは無さそうよ」

 

天音はベッドに横になった。

 

「お母さん見てて。明後日の月曜からは楽しく学校生活を卒業まで笑顔で送れそうだから」

 

数ヶ月振りに笑顔が浮かぶ。

そしてそのまま眠った。

 

天音の身体にディスフィロアの力が宿ったこの日ある女性の研究員は変な感覚が身体に走った。

 

 

 

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