※この作品はR-18です。

凶禍刻みし復讐   作:獄華

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意を決し待ち合わせ場へ向かう彩菜だったが……。


凍てつく双牙

当日、目的地へ向かう彩菜の自宅の前で結子と恵美は姿を見送りに来ていた。

死ぬと決まったわけじゃないが……過去の確執と自身の感情的にも戦闘は避けられそうにない。

 

……恐らくあの4人も一緒ね。

 

怒りより冷静を心懸けたくはあるが。

 

「あっ……ふふっ」

 

「どしたの彩菜急に笑って!」

 

恵美がちょっとびっくりしながら聞いてきた。

 

「いや、やっぱりなんやかんや……あの子も私のこと心配してくれてるんだって、うふふ!」

 

カーテンが閉まった音が聞こえた。

「誰なのあの子って?」

 

「裏で必死に頑張ってる私達のクラスメイトよ。私も頑張らなきゃ、じゃあ行って来るね」

 

「うん!気を付けてね!」

 

「どんな罠があるか分からないわ。ピンチになったら直ぐ様私達を呼んで」

 

ありがとう。と親友に感謝を述べ自分のいじめの決定的な原因を作った結衣達との待場へ向かう。

 

 

 

=====

 

 

結衣達が待ち合わせの場に選んだのは白咲町でもっとも規模が大きなデパートの2階の本屋だ。

このデパートはゲームセンターやプリクラなどもあるので学生達がたむろしてることが多い。

待ち合わせは午前10時と決めており、まだ約束の時間まで30分近くある。

この時結衣達は……デパートからかけ離れた白咲山の麓で仲間同士で激しい殺し合いを繰り広げていた。

 

 

「……ガァァァァァァァァ!」

 

 

「どうした哲也、それで終わりか?。黒き力を受けとったのにこんな弱いんじゃ話になんねぇな!」

 

笑いながら哲也を蹴飛ばし激しく木に激突させ数十本の木が倒木する。

「あっちゃー。あれ相当痛いんじゃない?ま、しょうがないかカップル揃ってまだ彩菜に謝ろうなんて寝言抜かしてんだからさ!」

 

手を動かし、真っ白な雪氷の塊を結衣に放った。

迅竜ナルガクルガの超スピードで真横に交わす、先ほど結衣がいた場所は高さが20数mにも及ぶ雪塊の竜巻を数秒巻き起こし、氷がびっしり張り巡らされた。

 

「技の威力だけじゃなく、効果も大幅にパワーアップしてんのね!」

「当然。これも全部あの方のおかげなのよ。ほら死にたくないなら反撃してきなさいよ」

 

身を屈め林の中へ飛び込んだ。

「小細工に転じないとまともに戦えないわけ?」

 

大方隠れながらあの長くしなる尾の刺でも放ってくるきだろう。

 

陽光を反射し黒みを帯びた鋭利な刺が数十本こっちに迫りくる、

 

「やっぱり」

 

予想通り過ぎて笑った。雪塊を手に発生させ結衣に放たず自分の身体に放った。

白い竜巻が起き杏奈の姿を数秒覆う。

やったか?。

 

手応えはあった。

しかし竜巻が晴れたあと結衣が見た物は白く染まる絶望だった。

 

杏奈の身体は全身に薄い氷が張り巡らされ棘は氷に刺さったまま凍結している。

右手に刀身とベリオロスを模倣したような手の甲から延びる氷の剣とスパイクが装飾されていた。

 

「自分の氷で鎧とか武器とか作れるようになったのよ」

 

跳躍し、林を氷刀が凍てつく音を立て振られる。

先ほどのようにこれも容易にかわした。

「ちょこまかと動くわね」

 

冷気を含む白い吐息を漏らし、周りの木々や草叢が徐々に凍りつく。

それだけではなかった。

 

「痛っ……。身体が凍ってきて……る!」

 

 

杏奈の冷気は草木ばかりか、周りの人間も凍らせてきたのだ。

寒さと氷で動きが緩んだのをベリオロスの力を纏った彼女は見逃さない。

 

「やっと出てきてくれたわね。大きな猫ちゃん」

 

「…ぜぇ…はぁ……」

 

寒くて喋れない。

寒くて動けない……故に防御の構えも出来ない。

白く棘々しい右手が結衣の顔に突き刺さった。

 

ナルガクルガの鳴き声と結衣の悲鳴が混じったような絶叫が響く。

 

「結衣!」

 

「テメェの相手は俺だ!」

 

杏奈のベリオロスと同じく政敏の氷を操るモンスターデュラガウアが身体を捻り生み出した氷の竜巻にぶつかり哲也は気を失った。

 

「終わった?まーくん」

 

「まぁな。そっちも完全に凍っちまったってか」

 

 

適合者の再生力より早く完全に凍ったからか、杏奈の氷の剣で顔を貫いた穴は開いたままであった。

哲也も冷気で完全に凍りつく。

 

……弱いからこうなるのよ結衣。

黒き力を手にしたと言うのに彩菜とは戦いたくないですって?。

中学時代から結衣とはつるんでたが昔から結衣は半端だった。

自身がクラスの中で権力を持つ為に努力するはいいが、最後まで上手くいったことは一回もない。

杏奈はだんだんそんな結衣に見切りをつけていた。

こんな女と一緒じゃ自分も半端になると。

 

そして彩菜が強くなったことにより結衣のその脆さは露呈され、哲也が真央にコテンパンにされたのも拍車をかけた。

今が結衣と手を切るチャンスだと示してるんだと思った。

 

「自分の限界を越えるような悲劇にあったらセックスに逃げて現実逃避するバカ女には相応しい姿よ。暫くそこで頭と身体を冷やすがいいわ」

「おい、君達!……今街では不審な出来事が相次いでいるんだ。人気のいないこんな森の中にいたら危ないぞ」

 

パトロール中の警官だ顔の若さからして20代前半だろう。

 

「馬鹿な……森が凍ってる。あの凍り付いた物質は……まさか人間!君達なにをしていたんだ!答えなさい!」

 

政敏のうるせぇよの返事と共に警官の首が吹っ飛んだ。

 

「なにも殺さなくてもよくない」

 

「お前今こいつの顔イケてると思ったろ?そんな俺の女の目を奪う男生かしておけるかよ」

 

妬いちゃったんだねまーくん。

だが今はそんな政敏を宥める時間はない。

彩菜との待ち合わせまで20分切ってたので二人は手を翼に変えデパートに飛んだ。

デパートの屋上に立ち、階段で待ち合わせの場所へ向かう、そこにはすでに彩菜の姿があった。

4人と言われていたためか二人しかいない様子に難色を示す。

 

「杏奈と政敏だけ?」

 

「あぁ」

 

「急に来れなくなってね。でも3人でも問題なく遊べるし、取り敢えずゲーセン行こうよ」

そうね。と相槌を打ち杏奈達との遊びが始まる。

ゲーセンでは様々なゲームをし、内心撮りたくもないがプリクラも撮った。

時間が経つのも忘れ昼になった3人はクレープ片手にベンチに座り、休憩した。

 

「化粧とか興味ないの彩菜は?」

 

「あるよー。卒業したらこの赤い髪に似合うようなメイクしたい」

 

 

「いいんじゃね?。格好いいしクールな感じでさ」

 

普通に誉める政敏。

特に嫌味を言われたりもしない、彩菜がラ・ロの勾玉を手に入れるまでは散々悪口を言ってたのに。

「…ふーん。まーくん彩菜のこと誉めるんだ」

 

少しトーンを下げた調子で話す杏奈。

女だからか彩菜は、杏奈が自分の彼氏が他の女子を誉めたから妬いてるのがすぐわかった。

対して政敏はさっきの仕返しとばかりににやにやと笑う。

 

よりによってこいつを誉めるとか、ヤキモチ妬かせるにしても相手選んで欲しいんだけど。

まぁ……いいわ。

結衣達と一緒にあんたも完全に凍らせて……息の根止めてあげるから。

目で政敏に合図を送ると政敏は意図を察知したのか笑った。

 

あの氷漬けの役立たず共二人と一緒に葬るんだな。

俺のデュラとお前のベリオで……。

 

戦闘衝動が身に走る。

今度は2頭の飛竜の氷属性の力を合わせて何重にも氷漬けにして高所から落としてバラバラにして海で魚の餌にでもしてやりたい。

 

デパート出ましょう、の発言に彩菜は二人の後を着いていく。

道なりは明らかに高校生が遊ぶような風景ではなくどんどん町から遠ざかり住宅が消え森や鋪装されてない砂利道などの殺風景に変わる。

「随分寂しい場所で遊ぶのね」

 

ははっと杏奈は笑う。

 

 

「寧ろ感謝してもらいたいわ。あんたをさも私達の友達のように扱ってあげたんだからさ」

フゥーと冷気を両腕にかけ、音をたてながら凍てつきスパイクや剣が形成されていった。

「ここでやりあうってわけか……」

 

試練の時間だ。

 

「御明察!」

 

 

氷の竜巻が背後から迫りくる。

高速で空にかわした。

 

「あの馬鹿二人よりよっぽどやりがいありそうじゃない!」

 

ベリオロスの瞬発力を発揮し彩菜が空に逃げた直後に拳を用いた殴り付けを食らわした、その際氷剣が心臓を貫き吐血して激痛が走る。

「ぅぁぁぁぁああああああ……!」

 

絶叫し落下した。

 

「……かはっ……」

 

落下の衝撃が身体を貫かれるほどの激痛によるものか更に吐血した。

 

「たいしたことないわね。あんたの最近のクラスでの振舞いから相当強くなったと踏んでたけど……到底あの方の力を受けた私達の足元には及ばないわね」

 

 

あの方……?。

力って……なんで飛竜種がここまで強くなってるのよ……。

 

 

今攻撃の動作と技から杏奈と政敏のモンスターは氷牙竜ベリオロスと氷狐竜デュラガウアだと見抜けた。

だから余計違和感がある今の彩菜のオーラの壁を破って攻撃してきたこの二人の強さは古龍に匹敵している。

少なくとも風翔の錆びたクシャルダオラより上だ。

誰が飛竜種をこんな化け物染みた強さに変えたんだ。

 

「疼くまってんなら引き倒すぞ!」

 

顔と腕に冷気を滾らせ突進してくる政敏。

このままでは轢かれてしまう、傷が完全に回復しないまま彩菜はバックジャンプで第6形態の技爆嵐炎を発生させた。

 

「へぇ……意外とやるじゃん」

 

思わず目を見開いた。

彼はただ足を止め一切の傷も負わず立ってただけなのだ。

 

「なに驚いてる?、まさか今のが全力だったとか言わねぇよなぁ?」

 

今のがラ・ロの現状最高形態である第6形態の技なのに全く効かないなんて……。

 

「これなら……!」

 

暴風を巻き起こし、超滑空を繰り出す。

政敏にぶつかり氷が砕ける音がした。

しかしそんな超滑空中の彩菜を政敏は手で押さえ付け無理矢理止めようとした。

そして。

 

「捕まえたぜ、今のはちょっとやばかったかな」

 

超滑空は止められ、政敏の拳で地面に沈められた。

全く歯が立たない現実にいじめを受けてた時の記憶が流れるように頭に入る。

自分が全く無抵抗にいたぶられてた時期。

次第に身体に震えが起きた。

自身をいじめ笑うクラスメイトの姿が次々浮かびあがる。

 

 

 

……トラウマが甦った。

 

 

「あ……ぁぁ、いやだ……いやだぁぁぁぁぁ!」

 

 

「おいおい俺のマジな攻撃受ける前から壊れても困るんだけど、まっいっか。ピーピーうるせぇしお前も暫く凍っとけや」

 

最後に彩菜は、政敏が両腕を地面に叩きつけ氷の隆起を発生させるのを見て気を失った。

慢心でも油断でもなくこちらの攻撃は通らずして……負けたのだ。

 

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