町の中は赤雷と白光の影響か町では大多数が停電になり、電車や信号が機能しないことによる交通混乱でパニックに陥っていた。
一人の少年は自身が宿泊するホテルから山の現象を見て不適に笑った。
政敏と杏奈は祖龍の力も受けとっちゃったんだね。凄く悩んでた様子だったから力を与えて楽しい殺し合いが見たかったけど、やっと見れそうかな。
「命が続く限り君達の力を出し尽くしてね。祖雷にお礼言わなきゃ」
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哲也と結衣も瑠奈と煌輝と紹介を交えた。
小走りで移動してるのであと少しで件の麓へと尽きそうだ。
「しかし…禁忌の古龍だったとはなぁ。だから俺達の身体の強さや硬度や技が変異したのか」
「…でも、それにしたってあの二人は変わり過ぎな気がする。冷気を吐いて周りの木々ごと凍てつかせたりしたし」
「本当ですか?。まるで古龍ですね」
禁忌の力を渡されて、通常のモンスターが並の古龍を上回る力を手にする……。
だがその分、強大な力で暴走する可能性もはらむ。
「煌輝君、哲也と結衣もあの二人のように暴走する可能性があるの?」
「0ではないな。でもこの二人は今のところ黒龍のエネルギーも安定してる。奴等があぁなったのは強いダメージを与えられて勾玉と禁忌の力を持ってしても再生が間に合わなくなって暴走したんだ。当然身体はついていけなくなる」
一種の拒絶反応だ、と付け加えた。
あの爆嵐炎と超滑空が原因か?と彩菜は考える。
全く食らってなかったように見えて内部にはダメージが蓄積されたんだ。
「その状態に達してしまったらもう禁忌の力を消し去るしかない…なのにあいつは祖龍の力を与え更に悪化させたんだ。早く奴等の身体から禁忌の力を消さないとな」
被害と二人の肉体の限界を考慮しても時間は残されてない。
「あんた達は?。あいつらが元に戻ってほしいと思ってる?」
「うん……。戻って一緒に彩菜に謝りたいから、だから絶対に倒す」
「何だかんだあいつら俺達の仲間だからさ。改心させてやりたいよ」
「そう…」
本当に変だ。
自分は変わってしまった、結衣達のこの会話を聞いて頑張ってと心の仲で思って笑みを浮かべている。
憎たらしい相手なのに。
「危ない!」
地面が真っ白に染まり、祖龍の赤雷が彩菜達目掛け落ちてきた。
完全に煌輝の声に反応出来ず当たったと思ったが全員無事だ。
「近づいて来た俺達を敵と認識し狙ってきたか」
手を上に翳して煌輝が落雷を防いでくれた。
まだ手の平で流れる赤雷を手をおろしながら握り潰す。
「この赤雷、防御能力を持たない者や雷属性に弱い者は黒ずみになりかねないな。結衣、哲也、瑠奈。これを身体に纏いながら戦うといい」
言うと同時に煌輝は瑠璃色に輝くなにかが凝縮されたバレーボール程の玉を3人に放つ、3人の身体に当たると同時に身体を覆いすぐに普段の外見になった。
彩菜にはオーラの防御がある。
「なんだ…今の」
「煌輝さんこれは?」
「俺のアルバの属性エネルギーで作った属性壁だ。属性によるダメージを無効化する。物理攻撃には何の意味も持たないがな。これで近づけるだろう」
「禁忌凄過ぎ…古龍の枠すら普通に飛び出てるわ」
それが禁忌だろ。と哲也は結衣に突っ込む。
「とにかくありがとう煌輝。奴等止めるためにも近づいてく!」
「そのことなんだが、俺は政敏って奴の方を相手する。見たところ奴の方が杏奈って女より強さも能力も上だからな。彩菜達四人は杏奈の相手を頼めるか?」
「分かったわ。二頭もの禁忌の古龍の力を手にしたその強さは確かに不安だけどこっちには人もいるし私も新たな強さを身に付けた……絶対勝って謝らせるわ」
笑いながら言う彩菜に、お前達なら大丈夫さと煌輝も笑顔で答える。
結衣と哲也も力強く頷いた。
「じゃあ行くわね」
4人はそれぞれのモンスターの力を身体に纏わせ2つの光が発せられている光が弱い方へ向かった。
「さて、よーく見ておけよ。ミラボレアスとミラルーツの適合者…この街はお前達の思い通りにはならないってことをな」
黒身が少し焦げた翼を生やすと、大きな光の方へ煌輝は飛翔した。
………………
「あぁぁァァァ…痛いのぉ……身体が熱くなったり電気が駆けめぐって痛いよぉぉぉぉ!」
政敏から力を注がれた杏奈の身体にも背中に翼が生え、身体を赤雷が走り抜けていた。
目と口からは出血が止まらない。
苦しみの叫びと共に周りに赤雷が落とされ数十本の木は一瞬で消失した。
「な……んで、私が……こんな……目に……あうの?」
痛みがとれない。
勾玉による再生が行われない。
またも絶叫し地面に拳を叩きつけた。
その変わり果てた姿を彩菜達は見つけてしまう。
「あれが……杏奈?」
今日の昼の姿と全く違う。
身体は白く染まり、目と口のまわりは出血で真っ赤。
そしてなんだあの翼は……。
結衣は目を見開き、口を手で覆って涙を流していた。
「なによ……あんたら。私の無様な姿でも拝みにきたわけ……?」
痙攣を起こしながら喋るその姿は恐怖しか感じられない。
「杏奈!聞いて!このままじゃあなたは死んでしまうの!もうその力を手放して彩菜に謝ろうよ……!」
「……は…ぁ…、なんでその女に……そもそもその女が強くなんなきゃ……こんなことになんなかったのよ!……そいつが全部悪いんだ!」
手から雷球が放たれた。
彩菜に直撃しあたりに余波の赤雷が拡散され走る。
「……無事か」
「えぇ……」
「私達はね…だけど彩菜が今直に食らって……!」
「あんた達から仕掛けてきて私のせいか……呆れるわね」
「なっ……生きてるですって……!」
舞った砂煙の中から彩菜は姿を表した。
目は赤く光り腕や身体の一部も赤く浮かび上がってるのが服の下からでも分かった。
「杏奈一つ言っておくわ……結衣はまだ救いようがある馬鹿だけど、あなたは救いようがない大馬鹿ね。倒して正気に戻してあげる」
彩菜の背中から赤く輝く翼が生え、煙りのように黒いもやを発生させた。
周囲が真っ暗闇になる。
「目眩ましのつもり……どこよ。あのクソ女は……?」
フラフラと頭を支えるような状態で必死に彩菜を探すが見つからない……と言うか暗すぎてみえない。
……しかしなにかが高速で動く気配はする。
「出てきなさいよ!」
「私は既にあなたの近くにいるわよ」
目の前を声と共に2つの赤い残像が線を引いて移動した。
杏奈が戸惑うこの隙に彩菜は身を細め回転しながらレイギエナが放つような飛びながら旋回する攻撃を繰り出した。
回転音が聞こえ赤雷を放とうとするが……既に遅く彩菜の攻撃を受け杏奈は倒れた。
黒いもやが彩菜の身体に吸収されていく。
これが第7形態……至天の力。
充分なほど感覚は味わえた。
杏奈の名を叫び結衣は駆けよった。
「杏奈、杏奈ぁぁぁ……!まだ身体が白い……早く煌輝の所に連れてかなきゃ!」
「おー、終わったか流石だな」
夜の闇から急に現れた煌輝にびっくりした結衣の悲鳴がナルガクルガの咆哮と混じり発せられた。
彼は政敏を担いでいた。
「勝ったの煌輝君?」
「あぁ。ちょこまか動くから少し鬱陶しかったけど30本近い木を放って来たから全部空中で燃やしたりしたよ」
彩菜に聞かれた質問にまるでちょっと怪我したかのような気楽さで語るあたり相当な強さの壁があるのを思い知らされる。
二人を地面に寝かせてくれないかと言われたので地面に寝かした。
「んじゃま、禁忌の力を消し去るか」
横並びで仰向けに寝る二人の額に手を添えた。
次第に手に赤黒い稲妻が走り二人の身体に注ぎこまれていく。
電気が流れるような音から祖龍の雷を連想するが、煌輝が操るのは煌黒龍のアルバトリオンである。
「瑠奈ちゃん私さ禁忌の適合者でも煌輝君みたいな人がいてくれて良かったと思う。他の禁忌の適合者は普通の適合者を暴走させることを考えてるのかな?」
「……怖いですね。大きな力を持つ者の気紛れで壊滅や破壊が隣にあると言うのは……」
瑠奈の台詞に彩菜は何も言えなかった。
「よし終わり二人とも目を覚ましたぞ」
傷や白色化した外見も治癒され二人は全て元通りだ。
今度こそ結衣は杏奈に抱き着く。
「杏奈ぁ、杏奈ぁ!」
「ちょ……うるさ」
「お目覚めはどうだ?」
「うるせぇ」
哲也は笑いながら嫌味を言っていた。
「ねぇ彩菜に謝ろ?」
「分かったわよ……負けたしね。今までごめんなさい彩菜」
「お前もだ政敏」
「あぁ……。デッチ上げでお前をいじめてごめんな彩菜。反省してる」
二人とも頭を下げた。
とにかく試練は達成だ。
「確かにあなた達の謝罪は聞いたわ。特に私はもうあなた達を吊るしあげたりネチネチいじめ返したりしない。これから卒業まで宜しく」
この台詞は本心ではない。
でもこれ以上憎悪の対立になるのを彩菜は望まなかった。
最後の高校生活なのだ……なるべく楽しく過ごしたい。
4人は呆気に取られたようだが……ごめんなさい、ありがとう。と口にした。
瑠奈や煌輝も顔を見合わせて優しく頬笑む。
「楽しい話をしてるんだね。僕も混ざっていいかな?」
全員声のした方を振り向くと、見知らぬ少年が笑みを浮かべながら立っていた。
その笑みが自分達と同じ感情から作られたか定かではない。
「「黒邪さん!」」
政敏と杏奈の声が重なる。
「黒邪……お前……!」
「顔を見合わせるのは初めてだね煌輝。流石アルバトリオンだね、楽しい戦いを見せてもらったよ」
あの人だれ……それに煌輝君と今にもドンパチ始まりそうな雰囲気だけど……。
「お前があの二人にミラボレアスの力を与えたんだな、何故そんなことをしたんだ?」
「人が苦しんだり、死んでく様子が僕を笑顔にするからだよ。今回は街へ直接攻撃しなかったのは残念だったよ」
見たかったなぁ~、と呟く。
「相当なゲスだな」
龍属性の雷を纏い迫る煌輝。
「まだ禁忌同士で戦うのはやめようよ。もっと街が悲惨な状態になってからじゃなきゃ、つまらないよ?」
「させるわけないだろ!」
龍属性を纏った腕の振りを跳躍し容易にかわした。
「それに僕が用があるのは、そこの二人だ」
黒邪の身体から龍と炎のエネルギーが噴出し……政敏と杏奈の方へと向かう。
「ひぃ!」
「こ、黒邪さん!これは一体!?」
煌輝に反応させる隙もない速さですぐさま二人は黒邪に捕らわれた。
「がっかりだよ。数日前君達が自分の無力さに困ってたから力を与えて他の適合者や人を屠ると思ったのに祖雷も悲しんでるだろうな」
「抜かせ!貴様らがミラボレアスとミラルーツの力を与えてこいつら二人をぶっ壊そうとしたんだろうが!」
「煌輝って面白いね、禁忌なのに非力な他の適合者の心配するんだから……でも」
黒邪は視線を剃らす。
「そこのunknownの勾玉を持つ子は相当強くなれそうだ。僕と血みどろの殺し合いが出来るまで強くなれたら嬉しいな」
笑顔の違和感の正体が分かった。
この、禁忌のモンスター黒龍ミラボレアスの適合者の黒邪は人が苦しんだり、戦闘で楽しくなる残虐無道な面を持ち合わせているんだ……。
それも恐らく純粋な感情で、他人に嫉妬するとか怒りがわいて攻撃するのではなく……生れつき人が苦しむ姿がこの男に喜びを与えるんだ……。
見られただけなのに冷や汗をかいた。
得体の知れない恐怖も自分の身体にまとわりつく。
「まぁ今はこの二人の処刑か、最後くらい僕を楽しくさせてから死んでね」
「ギッ……!」
「ゲェッ……!」
変な声を挙げ……エネルギーが二人を締めつけ身体が半分に折れた。
やめてぇ!と悲痛な声を挙げる結衣など眼中にないようだ。
吐血しながらボトンと胴体が地に落ちる。
更に彼はその別れた身体を大規模な炎で焼き尽くす。
煌輝が止めようと技を放つが、黒邪も普通に反撃してくる。
「二人程度焼きながら戦闘するのになんの支障もないよ?」
「クソッ……!」
炎が止まった。
炎の後に残ったのは焼け焦げた土とデュラガウアとベリオロスの2つの勾玉だけだ。
それを見て全員、塵すら残らず燃やされたと悟った。
「この程度でみんな放心状態になっちゃうんだね。…殺す価値もないよ」
他人が死んだぐらいで放心状態になる君と戦かってもつまらないと言い残し黒邪は帰る。
……圧倒的な黒龍ミラボレアスの力を見せつけた黒邪への恐怖からか……日が明けるまで彩菜達は動けず立ち尽くした。