目の前で黒龍ミラボレアスの力を見せつけられ試練に加え禁忌の適合者の存在が浮き彫りになる。
2つの懸念と戦いながら彩菜が次の試練に選ぶ相手は……。
「お帰りなさいませ黒邪様」
「ただいま」
主人の帰宅に深々と愛華は頭を下げた。
今日の主人の様子は特にいつもとかわりないが何処か退屈してる様子だ。
「あまり楽しめなかったのですか?黒邪様」
「…拍子抜けだね。彼は強いのにあの優しい心のせいで本領を発揮出来ていない。他人が死んだぐらいで躊躇してるようじゃ神をも恐れる古龍の名が泣くよ」
「煌輝様のアルバトリオンの纏い文句ですね。ですが私はあなた様の黒龍ミラボレアスこそが最強だと信じております。来る禁忌同士の決戦必ず勝ってください」
「そうだね、その為にはまず禁忌以下の適合者達を殺してかなきゃ」
あのunknownの子と早く戦いたいな。
愛華が淹れてくれたコーヒーに口をつけ微笑んだ。
=====
「はぁ……」
陽が明けてから帰宅した彩菜は落ち込みながら机に突っ伏し昨日の出来事を思い浮かべていた。
悲劇と言うべきか、喜劇と言うべきか……。
自分があの二人を恨んでいたのは事実だ、数々の嫌がらせをされいい感情がわくわけない。
だが試練も終わり、あの二人は謝った。
その後での黒龍ミラボレアスの力を持った黒邪の粛清だ。
黒邪とか言ったわね……あんた自身があの二人に力を与え問題を更にややこしくして、使えなくなれば簡単に処刑すんのね。
「禁忌か……」
6匹しかいない生態系を逸脱した古龍の最上位の存在たる者達。
彩菜が知る禁忌の適合者は煌黒龍アルバトリオンの煌輝と黒龍ミラボレアスの黒邪だけ。
まだ4人もいる。
正直あとの4人全員が黒邪のような性格だったらもっと死者が増えそうだ。
対策は練っておくのは必須だろう。
夜が明け黒邪の恐怖から解放された時場に居た全員に禁忌への対策の話し合いをしましょうと呼び掛けた。
皆賛成してくれた。
日時は後日伝えることとなり、出来るだけ知人等も呼ぶようにと付け加えた。
「禁忌の適合者と試練の板挟みね」
あとの試練の相手は……。
真央、詩織、真莉、蓮、裕也の5人である。
裕也を除き後の4人は強敵と言ってもいいし禍根も深い。
率先してクラスでのいじめを進めたリーダー格の女子3人。
不良のリーダーで騙して人を犯すよう仕向け自分はその様子を撮影する蓮。
裕也は頭がよく学級委員長というだけ。
セオリーならあまり強くなさそうな裕也から狩るべきだろうが……怒りで考えれば先ずは真莉達が第一優先だ。
今の私ならば3vs1でも奴等にひけをとらず張り合える気がする……。
驕りではなく現実で見てそう自負した。
禁忌との戦いはまだ始まったばかりだが試練の終焉は確実に近づいている。
作ってやるんだ、理想の世界を。
=====
明江と別れ真莉は一人ず帰宅していた。
『真莉……結城真莉だな』
頭に自分を呼ぶものの声が響く。
「だれ!」
『驚くな。俺はお前が追い求める力を持っている。つまるところ現実を思うがままに変える力だ』
馬鹿馬鹿しいと真莉は笑う。
「下手な嘘ね。そんな幻は存在しない。この世界は自分の力でしか切り開けない!」
『それがあるんだよ。そうだな今から天候が変わる』
快晴だった空からバケツをひっくり返したような雨が降りたまらず店の中に飛び込んだ。
『信じるか?』
「古龍の中に天候を操作出来るのがいるはずよ!」
『ほう。では、その店の人間はお前を除き全員白骨化する』
カコンカコンと続けざまに骨が落ちた。
僅か3秒前まで人だったのに……全員髑髏になり床に落ちていた。
「……なっ!」
『こんなこと出来る古龍いたかなぁ。どうする信じるか?』
「分かったわ……信じる」
『怖がらなくて大丈夫だ。実はお前に力を与えてやりたくてな……茶店で話は聞いてた。藤沢彩菜とやらに勝つ為にも俺の紅き焔を受け取りな』
「ぐっぅぅぅぅうううう!」
身体を紅焔が覆い同時に異常な熱さが走る。
『その焔に耐え暫くすればお前は絶対に理想の力が身に付く筈だ。だから耐えろ耐えて焔を使いこなせ』
声の主はそう言い放ち真莉の脳内から消え去った……。
白咲町……某所……。
「くくくく!あっははははははは!」
「緋絃どうしたの?大笑いして」
「よお祖雷、馬鹿な女が現実を変える力を求めたいなんて言ってたから変わりに俺のミラバルカンの紅焔の力を渡してやったのさ。楽しみだな!あの女がどんな拒絶反応を起こし苦痛に苛まれながら町や人を殺すのを考えるとよ!」
「私や黒邪の真似?まぁいいや私は人形遊びを頑張らないと、ほら来なさい透子」
「はい、祖雷様……」
力なく返事をした赤眼の少女透子は祖雷によって頭には紫の華飾りを、白のドレスを着せられ、ガーターベルトが装着されていた。
太股に走るその線はいやでも視線を釘付けにする。
「私のミラルーツに負けじとこの子も肌が白いのよ。本当お人形さんみたいで可愛いわよ透子」
「……ありがとうございます祖雷様」
「確かに可愛い人形だな。可愛い過ぎてぶっ壊したくなっちまうがこいつはお前の玩具だもんな。俺には火遊びが似合ってる」
じゃあなと紅焔と共に緋絃は消えた。
「祖雷様……あの人怖いです」
祖龍ミラルーツの洗脳能力の影響により赤眼に染まった透子は祖雷の服を掴んだ。
あやすように透子の頭を撫でる。
「心配しなくていいのよ。あなたは私の大切なものなんだから。それより今日もカップルを殺しましょう。私のおめかしを施されたあなたの美貌に勝てる女なんて誰も存在しないわ」
「……素でお美しい祖雷様には負けます」
駅の方面に二人は足を進めていく……。