……金獅子ラージャンの適合者、郷渡は悲観に打ちひしがれていると、ある人物に声を掛けられる。
大規模停電から2日。
白咲町の警察署では会議室で発生事案への対処、情報交換が行われていた。
「それじゃあ救急隊員が、謎の発光現象に気を取られていたら二人は消えていたのだな」
署長が一人の若手の刑事に訪ねる。
「はい。どの隊員も突然居なくなったと証言していました。氷で覆われていたので姿を確認できず照合にはいたっていません」
「おかしな点はまだある。氷漬けにされた人間を何故生きてると隊員達は判断したのだね?。素人目で見ても死んでると考えるのが常識だ」
「その点は私が」
中年の刑事が手を挙げた。
「福島君か、言いたまえ」
「は、この隊員達も署長のように死んだものと判断していたようです。更にこの人が閉ざされた氷塊は上空から落下してきたとの情報もありネットにもそれを暗示する画像や書き込みがありました」
「その情報も聞いている。自発的な落下か、何者かの手により氷漬けにされたかはまた別の事案だ。では生存だと隊員達が判断した理由を述べてくれたまえ」
「はい。隊員達が通報を受け駆け付けた際に、ある白衣の男が接触したそうです。その場で近場の病院と直接交渉し受入れを頼んだと……」
署長は腕を組み宙を睨んだ。
「随分と容易に引き入れるのだな。白衣の男の素姓も受入れを許可した病院も調べる必要がありそうだ、病院は何処だね?」
「白咲病院です」
「分かった。諸君!白咲病院に事情聴取を行いこの不可解な交渉の裏を解明するよう取り組んでくれ。解明した先に二人が何処へ消えたかも分かるかもしれない」
署員はそれぞれはい!と返事し慌ただしく行動を始めた。
彼らは希望だ。
街が大変な状態でも人々の為に行動する立派な者達だ。
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「……クソッ」
忌々しく言葉を吐き、少年は空を見上げた。
「なんで俺が1位じゃなかったんだ……勉強だって部活だって頑張ったじゃねぇか。なのになんで……」
あの女が急に成績をあげたのがやはり一番の原因か?。
少年の中で苦難が渦を巻いた。
代々少年の家系は医者だった。
昔から厳しい家でそぐわない態度や成績を取ると毎回叩かれた。
しかしその悲酸な境遇は何も絶望だけを感じさせたわけじゃない。
薄々小さい頃から気づいてた自分の身体に眠る力……始めて父と母から折檻された時、その予測は真実に変わった……傷が5分も経たず癒えたのだ。
これが、俺の勾玉…金獅子ラージャンの力か。
少年はその力を両親には隠して育った。
同じような者に会えたのは高校に入ってからである。
親に怒られる点数ではない。
全教科満点の点数にあと6点足りないだけだ。
たった6点……たった6点足りないだけで北ヶ原高校3年生の2学期中間テストの1位と2位の差は決まってしまったのだ。
「なんでだよ…1学期まで俺の方が上だったのに……」
激しく地べたを殴った。
「あらあら偏差値が高いとこの生徒は大変ね」
白いドレスを着た少女が声をかけた。
「なんだお前は?俺はイラついてるんだ構わないでくれ」
「祖雷様の話を聞かないなんて頭はいいみたいだけど教養はないのね……なんだ北ヶ原の生徒もこんななんだ意外と大したことないのかも」
付き添いの頭に華飾りをした少女が挑発じみた言い方をした。
「…貴様!、北校を侮辱するな!」
思わず手に力が入るが、こんな関係ない奴等に時間を使う暇はないと二人に背を向けた。
「この子もだけど、あなたは成績がコンプレックスなのね」
「悪いのか…」
「いえ、逆よそんなちっぽけな物に気を取られるその浅い心が私もほしいわ」
電気が流れる音を経て少年の髪は金髪に変わり稲妻が発生した。
「ちっぽけだと……俺にとっては大事なものだ!」
怒りにまかせ、気功を放出した。
7、8秒放ち少年は息を荒くし膝をつく。
俺は挑発に負け人を殺めてしまったのか……それにしちゃなんで一緒にいるあの女は笑っているんだ。
「あー、痛かった。いきなり攻撃するかしら普通」
包み込むように固定された白い翼がゆっくり開かれ残虐な笑みを浮かべ少女はこちらを見つめた。
「傷1つ負ってないだと……!」
ラージャンは古龍級の強さを持つ牙獣種なのにその攻撃を受けてなんともないとは……。
俺は何にも勝てないのか。
絶望にのまれ少年は気を失った。
「……うぅ」
「お目覚めかしら?。郷渡君」
「……!さっきの女!、俺の学生証を見たのか」
「正解。学校休みなのにこんなもの持って真面目ね」
塾に必要なんだと取り上げた。
「祖雷様のお気遣いをありがたく身に染み込ませなさい!この馬鹿男!」
「イッテェ!」
祖雷とか言う女の付き添いに頭を拳で殴られた。
「く……お前らはなんなんだ?。ただ者じゃないのは嫌ってほど分かったが」
「私は深天祖雷、こっちは私の大切な生きたお人形の鹿音透子よ彼女はヴァルハザクの使い手なの」
「屍套龍ヴァルハザク……古龍か。あんたも?」
「えぇ、禁忌の祖龍ミラルーツの適合者。宜しくね渡君」
「禁忌だとっ!?実在したのか……」
「初対面の相手は誰しもがそう言うわ……。私はこの子に祖龍の力を分け与えてあげた彼女の目標を達成しやすくするために、あなたも私の力を受け取りなさい。そうすれば成績のストレスも自分が求めるべき強さも全てが見えてくる」
禁忌の祖龍の力を受け取れ?。
「それがいいわ渡君。あなたの不安なんて嘘になるよ適合者としても強くなれるし」
「崇拝してるんだな。この女を」
死んでた私の心を救ってくれたんだものと笑った。
しかしどうにもその笑みが善からきてるとは思えない。
「いいから成績や劣等感で苦しいんでしょう。怖がることは無いわ。ミラルーツの力……それに伴うサイコキネシスやモーフィングパワーを受け取りなさい」
禁忌の力を渡す場合、普通に渡すと並の適合者は大ダメージを受けるなどすれば力が暴走してしまうが、安定してゆっくり送ればそのリスクはない。
白く赤い雷を放出するエネルギーが渡の心臓に当てられた。
「おおおおおおおおっ!」
力がみなぎってくる。
凄いエネルギーだ……肉体も強化された上に物を変質させるモーフィングパワーやサイコキネシスも使えるようになった。
……頭もスッキリだ。
今ならどんなことでも覚えられそうだ。
「ありがたい。活気が溢れ絶望が消え去った」
サイコキネシスをもちい周辺の草木を全部枯らした。
「精々楽しむのね。この受け渡しはあなたと私の身体を繋いだことにもなる。あなたを呼ぶことがあるかもしれないから」
「この強さを試せるのだったらいつでも応じてやる。だが深天祖雷。能力を渡したとは言えお前の方が俺より能力が強いんだろう?」
「まぁね。くれぐれも私に歯向かうなんて考えないことよ」
「承知した。俺は勉強が出来ればそれでいい」
翼を生やし渡は飛行していった。
「牙獣種が翼を、あれも祖雷様のお力……」
「翼の獲得に成功ってわけね。ま、私を超える力を身に付けることは有り得ないけど」
楽しみはいっぱいね。
念写で見た藤沢彩菜さんのunknownとかもいるし。
彩菜さんが強くなる前に戦闘狂の焔紅なんかに襲われて死ななければいいけど。