※この作品はR-18です。

凶禍刻みし復讐   作:獄華

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対禁忌の適合者への対策を取るべく集うことにした適合者達。
しかし、思わぬ訪問者が現れる……。


紅き災厄

白咲町には海が隣接しており、漁業もそれなりに発展してるという……。

その海中で長髪と中性な顔立ちの一人の適合者は海に揺らされることもなく身を置いていた。

翼らしきものを出してるが、外見は溶岩が冷えきったような見た目でとても飛行能力はない。

 

おや、珍しい客だ。

 

彼は目を客人の方に向ける。

 

禁忌(同格)のあなたが私になんのようです煌輝。

 

海を進むアルバトリオンの適合者煌輝に笑いながら、少年は問いかけた……。

 

 

 

=====

 

 

 

黒邪との邂逅から数日たったある日。

 

「禁忌の力か」

歩きながら結子は怪訝そうに呟いた。

現在、彩菜と結子と恵美はある場所を目指している。

 

「でも、彩菜が無事で良かった。言いたくはないけど……あの二人だけが犠牲になっただけだったんだから」

 

「……言い方あれだけど、私も恵美の意見に賛成」

 

目の前で見た煌輝以外の禁忌の力はおぞましいものだった……。

不気味な赤黒い炎と龍が混じったエネルギーが杏奈と政敏の胴を引き裂いた……。

最後に恐怖で立ち尽くす彩菜達に……

 

黒邪は『殺す価値もない』と立ち去った。

 

黒邪の笑顔を浮かべ頭が痛くなる。

 

「ちょっと大丈夫?」

 

「……凄い汗よ彩菜」

 

「大丈夫。少し忘れられないだけよ……奴の笑顔が」

 

アレは今までに味わったことのない種類の恐怖だ。

真莉達とも蓮とも違う。

からかおうとか恨みや怒りで人を傷つけるんじゃなく、自分を楽しくするためにやっている。

残虐な思考な上圧倒的な力を扱う黒邪にどう勝てば良いのだろう……。

 

「彩菜……私達は彩菜がその場で受けた恐怖がどれほどのものか知ることはできない。だけど、私達には仲間がいっぱいいるじゃん!皆で協力すれば乗り越えられないことなんてない!私はそう信じてる」

 

「出た、恵美お得意のポジティブ発言。でも今はその楽観さも必要かもね。行きましょ彩菜」

 

 

二人の親友は優しく接してくれるいつも通りに。

あの恐怖は確かに忘れたくても忘れられない記憶となったけど支えてくれる親友は変わらない。

いつもいてくれるのだ。

 

「うん……!行こ、恵美、結子」

 

笑顔が戻った彩菜に二人も笑顔を浮かべた。

 

 

 

 

 

弱き者が勾玉を持つ必要はない。

どら、少し選別してやろう。

 

「全てを灰塵に帰す終焉の焔でな」

 

 

電柱の真上に立った男はプロミネンスのように紅く染まる翼を広げ、彩菜達を見て笑っていた。

 

俺は終焉の末に…新たな秩序を創世するのだ。

 

 

 

……公園には十人弱の適合者が集っていた。

彩菜が呼掛け禁忌の対策を練ろうと呼んだ者達だ。

知人も呼んで構わないと言った通り初めて見る顔もいるが……大人数で対策を共有するのに越したことはない。

 

「氷崋ちゃん久しぶり~!元気だった?」

 

「久しぶり恵美ちゃん。変わりないよ」

 

久々に会えた氷崋に恵美は嬉しそうだ。

 

「おぉ、来たか結子達」

 

「全く、彼女置いてきぼりにするなんて……私も酷い彼氏を持ったものね」

 

結子は腕を組みあからさまな仕草で顔を膨らませる。

おいおい、と陽太は首を振った。

 

「俺と一緒に行ったら誰が彩菜を支える?。瑠奈や結子から大体のあらましは聞いてるぜ彩菜。2組からも何人か連れてきた。こいつらは戦力になるぜ」

 

そう言って男子二人と女子一人の方に顔を向けた。

3人からはそれぞれ、龍気、磁力、毒のエネルギーが感じられる。

 

「天彗龍バルファルクの適合者の大夜昴です。宜しく!」

 

「俺は霞龍オオナズチの適合者の霧隠幻。宜しくな」

 

「極龍ルコディオラの適合者、餮力黒羽…宜しくね」

 

「藤沢彩菜です。こちらこそ宜しくね」

 

古龍3体か……。

大戦力になるのは間違いない。

しかし相手はあのような化け物だ。

古龍が生態系を逸脱した存在なら彩菜が見たアレはその古龍をも超えたものとなる。

……だからこそ対策を練る話合いをするんじゃない。

 

奴等を倒して街や人を守るために……自分達で守るために。

「すまん。もう皆来てたみたいだな」

 

「すっかり遅れちゃったな、煌輝」

遅れながら、亮と煌輝がやってきた。

「ちょっと遅いんじゃないの亮」

 

「色々あってな。結構あいつとの話がかかっちゃったし」

「あいつって?」

 

「ミラの名を冠しながらも、あの黒龍達とは別の伝説を持つ……煉黒龍グラン・ミラオスの適合者だよ。奴も人を脅かす存在になると心配したが思いの他博愛な奴でさ。少なくとも破壊を楽しむ奴等側に着くことはないだろう」

 

 

これで存在する禁忌の6体中2体は戦わないですむのが確定した。

内、アルバトリオンの煌輝は明確にこちらの仲間だ。

 

「それじゃ皆いるようなので始めるか、各自聞きやすい格好でいいから顔をこちらに向けてくれ」

 

話し出した煌輝に全員顔を傾ける。

 

「まず、この会合を計画して俺達を出会わせてくれた彩菜に礼が言いたい。本当にありがとう」

 

「そんな…礼を言われるほどのことじゃないよ」

 

照れながら言う彩菜に、もっと自信持って!あーちゃんのおかげだよ!と桜花が笑顔で激励し瑠奈にお黙りなさい声のトーンを考えなさいと頭を叩かれていた。

「え~と…続けて良いのかな?」

 

「どうぞ、今度騒いだら分かっていますわね桜花?」

 

「はい……」

 

「皆様この馬鹿が大変御迷惑をおかけしました。どうぞ会合を続けましょう」

 

「分かった……。彩菜から既に言われて全員知ってるかもしれないが…俺は禁忌の煌黒龍……アルバトリオンの適合者だ」

 

響動めきが走る。

伝聞で聞いたのと本人の口から正体を言うのではやはり確信度の差があるようだ。

結子や陽太も事前に彩菜から聞かされてたがそれでも相当驚いている。

「とにかくまず俺の素性から話した方が皆も信用しやすいだろう。俺が力を認識したのは幼少期。そこから親は俺のことを化け物のように忌み俺は国に預けられ施設で中学まで育った」

 

「氷崋ちゃん……?」

 

恵美の隣の氷崋は涙を浮かべていた。

 

「どっか具合悪くした?」

 

「ごめっ……何でもないの……」

 

「そっか……でも無理しなくていいからね。氷崋ちゃんには助けてもらったから今度は私が氷崋ちゃんを助ける番だよ!」

 

温かな手で恵美は握ってくれた。

 

ありがとう。

 

嗚咽で上手く話せない氷崋は口をその形に動かした。

私は幸せだな。

煌輝君と同じく、両親に化け物扱いされ見棄てられてその記憶を自分と重ね泣いてしまったけど……今は同じ仲間が支えあってくれてるんだもの。

……本当にあなたと会えて良かった。恵美ちゃん。

 

そうか、あいつも……と煌輝は目を細める。

 

重い道を歩まされたのは俺だけじゃなかったか。

 

「コホン、すまない。少し話が止まってしまった。それで俺は北ヶ原に通ってる。これが俺の今までの経歴だ。質問はあるか?」

 

手を挙げるものはいないようだ。

 

「よしじゃあ次に他の禁忌の適合者について話をしていく。俺達禁忌は他の適合者と違い特殊能力を兼ね備えているんだ。念写や勾玉の感知、サイコキネシスやモーフィングパワーとかな。他にもあるが今はこれだけにしておく」

 

素の力量の他に特殊能力も持つときている。

聞く限り禁忌に並の適合者が挑むのは自殺に近い行為だ。

案の定、勝ち目あるのか?という意見が上がる。

 

「皆で協力すればな。奴等が徒党を組むのはまずない。一人一人確実にやっていくしかない」

 

「だろうな。禁忌は化け物揃い……倒すなら確実に仕留められるその方法が一番か」

 

「でも禁忌よね……私とあなたのテオとナナの炎も効くかしら」

 

「不安は分かるけど私は煌輝君のその方法が最善だと思うな。協力して倒すしかないよ」

 

しかしもどかしさや自分への不甲斐なさも感じる。

私のラ・ロにもっと力があれば……禁忌すら超越する力がほしい。

バタンと車のドアが開く音がした。

警察のようだ。

 

あぁ、そうか。

公園に未成年がこんなにたむろしていたら、声をかけられるのも当然である。

……ましてや、今は事件の発生率からあまり外出するなと言われてる。

 

「君達、こんなところで何をやっている!物騒なことが続いてるんだ、親が泣くぞ!」

 

さぁ、帰った帰ったと警官は捲し立てる。

 

後でラインとかで連絡するしかないな。

取り敢えず従おうと皆に言った。

 

「邪魔をするな、ただの人間ごときが」

 

音をたてまたドアが開き、首が黒焦げた警察官の死体を投げ捨てた。

開いたドアから10代後半ぐらいの紅髪の男が出てくる。

 

「せっかく雑種共が俺に一矢報いようと努力してると言うのにつまらん真似はよせ」

 

「き、貴様仲間に何をした!動くな!」

 

銃が男に向けられる。

 

「やめろあんた死ぬぞ!奴は……!」

 

煌輝がそう言うが警官は仲間を殺された怒りで聞く耳を持たず、銃は発砲された。

しかしその銃の鉛玉がぶち抜いたのは、警官の心臓だった……呻き声を挙げ警官は死亡した。

 

「適合者でもなんでもない奴の技なんて念動力を用いた反射で防げるわ。弱き者はこの世にいらぬのだ、人間だろうが適合者だろうがな」

 

男の右腕が真っ赤に光り紅き焔のエネルギーが収束されていく。

攻撃が放たれたわけでも無いのに温度が急激に上昇し始めた。

 

「ヤバイ!逃げろ!」

今の状況じゃ絶対に勝てない。

煌輝は全員逃げるよう促した。

しかし、紅髪の男は高速で公園を覆う程の劫火を発生させる。

「あったわ。全員が避難できる手段が!」

 

結子が声を挙げる。

 

 

「古龍の幻影!」

 

淡麗な炎妃龍の蒼炎が場を何者も干渉することの出来ないフィールドへと作り変えた。

「ほう、考えたな」

 

誉めてやりたい。

自分達が死ぬか死なぬかギリギリの中……よく全員を救える手を思いついたものだ。

禁忌と言えど幻影で別の世界に逃げた敵を討つ手段はないのだから。

 

あきらめ帰ろうする少年の周りに耳障りなサイレン音が無数に響く。

これで自分を取り囲んだとでも言うのか。

 

『人間ごときが、身の程を知れ。』

 

適合者達に向ける予定の紅き焔は非力な警察官達に向けられた。

更にサイコパワーで地面を隆起させたり、自身のモンスターミララースの能力で隕石を降らしていく。

逃げるものはモーフィングパワーの原子操作で発火して焼き殺したりサイコキネシスで脳や心臓を潰して抹殺した。

 

 

30秒もせずうるさい音は止んだ。

 

 

 

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