試練25人目。
古龍の幻影が導いたのは、帝征龍グァンゾルムが住み処とする雲見砦だった……暴帝の力を扱う真莉とその従者エギュラスに彩菜は苦しい戦いを強いられる。
愚かな者達の戦いが始まってしまったようですね。
グラン・ミラオスの適合者、深海朱煉は海中に身を委ねながら、念写で見た彩菜と真莉の戦いを愚かな行いと非難していた。
朱煉は小さい頃から人はなんたるかを考え生きてきた、彼が3歳の時、自分の中に眠るもう1つの命を自覚した際彼はこのことを両親に話した。
3歳の彼に、この力と言うものはよく分からなかった。
グラン・ミラオスの存在も、モンスターと言うより友達が居るというイメージだ。
そのグラン・ミラオスの話をした際、父と母は満面の笑みを浮かべ、お前は選ばれたのだ。と言ったり、この子はやはり神に愛されてるのだわ。と運命や神に関づけ朱煉をほめた。
元々二人は朱煉が生まれる前から宗教にハマっていたので無理もない。
勿論、朱煉も宗教の影響を受けて育った……それは彼の中に歪な価値観をうむこととなる。
『人間は愚かだが私以外の適合者も愚かだ』
『私は神にも等しい力を持った者として愚かな人間も適合者も裁かなくてはならない』
『私と価値観を共にするものは私の大切な仲間である』
『私と仲間だけが力を持ち他者はその中で細々と暮らせばいい』
自身の身体にほとぼしるマグマの赤いラインが走る。
「海人、白永、冥沙……貴方達なら分かりますね。私のミラオスも貴方達ラギアクルス種もこの母なる海を活動とする種……私達の邪魔となるもの達は倒したあとこの聖域に流し浄めてあの世に送ってあげましょう」
「「「はっ……」」」
少年二人と少女は絶対の忠誠を示すように3人は胸に手をあて深く頭を下げた。
「しばらく貴方達は陸の戦いをしてもらうかもしれません。原種と亜種の海人と白永は陸でも問題なく動けましたね。冥沙、貴方にも陸の戦いが苦にならぬよう私の施しをお受け取りなさい」
「ありがたき幸せにございます。この身ただ朱煉様に尽くすだけです」
「その忠誠……信じていますよ」
手を翳すと、赤いエネルギーが冥沙の身体に流れ込み、燃ゆるようなほとぼしるエネルギーが身体の内部からジーンと彼女の身体を暖めていった。
ただ破壊を楽しむだけの黒邪に、紅き終焉などと破滅をもたらす焔紅……いずれ、この危険な者達を排除しなければなりませんね。
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幻影が彩菜を導いた場所は、古代文明で出来たような石垣で作られた……空が見える大きな場所だった。
「この場所は、雲見砦と言われる場所よ。そして私の帝征龍グァンゾルムはここを住み処とする古龍……手下の小型飛竜と共にあんたを潰す。あの力もあるしね」
小型飛竜とあの力と言うワードがどうも引っ掛かる。
……小型飛竜ってあの回りを飛んでるモンスター達かしら。
こちらを見つめ、翼を羽ばたかせる小さな飛竜達……手を出してくる様子は今のところ見られない。
地面を粉砕しながら進む炎を放ってきた。
難なくラ・ロの力で真横へ避ける。
真莉の身体には先程までなかった赤と白が混じった翼を展開して、空中を飛び回りながら炎を吐いてくる。
彩菜も飛んで応戦した。
……かなり強いモンスターね、グァンゾルム。
炎を吐いて周りの岩盤を砕いたり、飛びながら叩きつけを繰り出したり。
まだ彩菜は第6形態だ。
赤い炎と青い炎が互いにぶつかり消失する。
「ちょこまかと……!いい加減ぶん殴られなさい!」
「嫌よ、あんたを倒した上で聞きたいことがいっぱいあんのよ」
なんでイジメの標的として真莉達は私に目をつけたのか、それが聞きたい。
あの3人のリーダー格の真莉なら絶対何か知ってる筈だ。
「どこみてんのよ!」
「え、ぁ……!」
身体が後ろから突然持ち上がる。
何が起きたか分からず、地面を見ると、自分の影の後ろに飛竜の影が見えた。
「まさか、さっきの小型飛竜!、本当にグァンゾルムの手下なのね!」
「そのまま、エギュラスに放り投げられてバラバラになると良いわ」
小型飛竜の名前はエギュラスと言うのか。
雲見砦の下には雲海が見える……つまり超高度にこの場所は存在するのだ。
落ちれば死にはしなくても、相当痛いだろう。
「されるがまま落ちるわけにも行かないわ!」
かなりの速度で飛ぶ、エギュラスに爆嵐炎を食らわし焼き殺しその拘束から脱出する。
砦から離れ雲海を下に空中に立つ彩菜目掛け他にもエギュラスが向かってきた。
今度は超滑空を繰り出し正面のエギュラスを一方的に葬った。
超滑空はそのまま勢いを止めず真莉に激突する。
爆音をたて、瓦礫が散開した。
……土煙が辺りを包む。
「……やっと大きいの一発お見舞い出来たわね」
だが、これで倒したとは技を放った彩菜が一番思っていなかった。
真莉はまだ生きてる。
グァンゾルムの雄叫びが聞こえた。
エギュラス達が呼び寄せられたように真莉の周りに集まる……そしてそれを真莉は叩き殺し、真っ赤に染まった
目で天を見上げ龍属性の雷と共に大きく咆哮した。
髪も身体も黒く染まり、龍属性のエネルギーが身を走る。
空も暗くなった。
「彩菜ぁ……あんたごときが私に第二形態の力を使わせるなんて、上等よ!」
身体を旋回させ、龍属性の竜巻を数本放った。
「ぐぅっ……!」
避けようと試みるもあまりの大きさで当たってしまう。
隙が生まれた彩菜を真莉は見逃さない。
メテオブレスを当てるチャンスだわ。
飛び上がり、両手からエネルギーを放ち、球状の龍属性が濃縮されたものを地面に激突させ、直ぐ様真莉も岩盤砕きを繰り出し、フィールド全体に亀裂と赤黒い稲妻が走る……。
またも彩菜は避ける術もなく大技が直撃してしまった。
身体が契れそうだ、あまりの痛みに血も吐いた。
「……ハァ、ハッ……ハァハァハァ……」
「あんたの負けよ彩菜。今楽にしてあげるわ、お父さんやっと終わるよ……」
真莉の手から攻撃が放たれる前に彩菜は……第7形態へ黒い靄と共に移行した。
「まだ形態があったのか!?どこへ行ったの!!出てきなさい彩菜!」
「……私はここよ」
真莉の背中に手を当て、熱線を撃った。
直に身体に触れて撃たれた熱線は絶大な威力で真莉は大きく身を焼かれ気絶した。
……幻影がとけていって、自宅の前に戻った。
「試練達成……かな……うぅ……」
彩菜のダメージもまだ完全に回復してない。
膝をつき、ゼイゼイと肩をあげ荒く呼吸した。
この場所で倒れていたら、目立つので彩菜は真莉を取り敢えず自宅まで運びベッドに入れた。
……真莉が目を覚ますまで私も少し身体を休めよう。
いよいよ、聞ける時が来たのだ。
何故自分がいじめを受けるようになったのかを。
……白咲町に戻った、紅龍の適合者緋絃は、暴走を案じて真莉へ自分が与えたエネルギーを彼女の体内から念じて打ち消した。