「へうっ!? ご主人様!?」
「しーっ。ごめん月、ちょっとだけ隠れさせて」
そう言って俺が隠れたのは、ふんわりと広がる月のスカートの中。丁度部屋の中に、掃除中の彼女がいてくれて本当に助かった。
今日の貂蝉はいつにも増してしつこいんだ。こうなったら、月のほんわかオーラで追い払ってもらうほかないだろう。
そうしていい香りのする閉鎖空間で息を潜めていると、廊下からどすどすと化け物じみた足音が聞こえてくる。来た、奴だ……ッ。
俺は貂蝉が到着してしまう前に月に上手く追い返すように伝えると、再度中へと潜り込む。
「あっ……。ち、貂蝉さん、こんにち……は」
「あらぁん……月ちゃんじゃないの。愛しのご主人様を、このあたりで見かけなかったかしらん!?」
俺は月から伝わる香りに若干の興奮を覚えながらも、気配を隠すことに集中する。鼻息が足に触れる度に彼女は微妙に反応してしまうものの、幸運なことに貂蝉は俺の存在に気がついていないようだった。
「さっきからぴくぴくしちゃってどうしたの? 気分でも悪いのかしらん」
「いえその……。貂蝉さんなら……おわかりになりますよね?」
「これはわたしとしたことが、失礼しちゃったようね」
スカートと床の隙間からやり取りを覗いていると、月の言葉から何かを察した貂蝉は腰をくねらせながらどこかへ行ってしまったようだ。
もういい頃合いかと思い、俺は抜け出す機会を伺う。だが……。
「へうっ……、もうだめ……」
「えっ、月?」
俺の気の抜けた声に返事をすることもなく、月の内股がぶるっと震える。その瞬間、彼女の美しい純白の下着とタイツにじわりと染みが広がっていった。
(これって、もしかして)
ずっと我慢していたのだろう。あの清楚な月が、掃除したばかりの床を自身の粗相で汚そうとしている。
なんだか俺はいても立ってもいられず、気がつけば液体のしたたりはじめた布地に口をつけてしまっていた。
「ごっ、ご主人様っ!? いけません……ひゃううううう……!?」
それがさらなる切欠となり、月の股間からは小水が堰を切って流れ出す。
俺は口を離すどころか逆に吸い付き、彼女の失態をなかったことにするべくごくごくと嚥下していく。
月のものだと思ってしまうと、なんの嫌悪感もなくなってしまう。止まらないそれを次々に胃に流し込んでいき、俺はおかしな興奮を得ていた。
(詠に見つかったら、とんでもないことになるだろうな……)
そうならないことを祈りながらちゅるちゅると吸い続けていると、月の「へうぅ」という呟きが聞こえる。
最後まで出し切ったのだろうか。その声には少し気持ちよさそうな響きも混じっていて、俺は勝手にどきどきしてしまっていた。
「申し訳ありませんでした……。ご主様のお顔に……、その……」
俺は口もとを拭いて立ち上がると、罪悪感たっぷりの月の頭をぽんぽんと撫でる。おかしな性癖に目覚めてしまった気もするが、彼女のためならまあいいだろう。
「あっ……」
驚いたような月の視線が、俺の後方にある入口の方に向いている。まさか、そんなことって……。
――そのあとのことはなにも覚えていない。きっとそれは、脳が自己防衛のために辛い記憶を消去してしまったからなのだろう。