「おかえりなさいませ、殿。いかがでしたか、校尉になられての初仕事は」
「ふん……。西園八校尉などと周囲の者は呼ぶが、所詮俺たちは宦官の下で兵をつけられているにすぎないのだぞ。あの本初などは、それでも喜び勇んでいたがな。これならば、賊討伐の命でも受けて、地方にやってもらえた方がせいせいするくらいかもしれん」
不機嫌そうに、曹操は鼻を鳴らした。都を守護する役職につき兵力を得たのはいいが、結局なにをするにおいても宦官の影響を受けてしまう。そのことが、腹立たしかった。夏侯淵は、僅かに表情を崩して微笑んでいる。
洛陽には、与えられた屋敷があった。金をかける気にもならないから、ほとんどが手つかずである。それでも、夏侯淵らが世話をしてくれる分不便は感じなかった。
「あまり辛抱をされる方ではありませんからね、殿は。どういたしましょう、夕餉の準備はしてありますが」
「わかっているくせに、意地の悪いやつだ。付き合え、秋蘭。お前の閨房の術でも味わわなければ、都暮らしなどやっていられるか」
「ふふっ……、承知いたしました。殿の御身体は、わたしが存分に癒やしてさしあげましょう」
切れ長の目が、妖しげな光を放っている。夏侯淵のしなやかな指が、首筋を撫でた。
袍の帯が、弛められていっている。その間も、油断なく奉仕は行われていた。隙間なく身体は押し当てられ、柔らかな乳房が胸の間で潰れている。
「興奮されていますか、殿。いまだけは、全てのことをお忘れください」
「ああ、勿論だ。外は、少し寒かった。秋蘭、お前の口で温めてもらうとしよう」
「はい、ではそのように。殿のモノを味わえると思うと、わたしもいくらか興奮してしまいます」
脳内で、欲望が渦を巻いて大きくなっていく。剥き出しになった男根に視線を落とし、夏侯淵は小さく笑みを浮かべていた。
手で扱いて完全に勃起させてから、口淫に移るのが普段のやり方だった。その行程を飛ばして、夏侯淵は先の部分から丁寧に飲み込んでいっている。それほどに、今日の自分は苛ついて見えたのか。
「ン、ちゅぷっ、じゅる……ッ。かぷ……、んむっ、ちゅるぅ……」
「いいぞ、秋蘭……。ああ……、もっと、丹念に頼めるか」
「ふぁい……、との……。んじゅっ、ちゅぱっ、ずるる……っ」
流石に、どうすればいいのか夏侯淵はよく心得ている。
口内に貯められた唾液。わざとらしいくらいに鳴る水音が、行為をしているということを一層実感させてくれる。絡みついてくる舌。意思を持った触腕のように、敏感な粘膜のうえを這いずり回っていた。
「んっ……、ふふっ……。すっかり、大きくなってしまわれましたね。わたしがお慰めいたしますから、たっぷりと疲れのもとを吐き出されてください」
床に膝をついて、夏侯淵は男根に頬ずりをしている。キメの細かい美しい肌。そこに、粘っこい先走りの汁が付着していく。そんなことを気にもせぬまま、夏侯淵は再び亀頭の先から口内に迎え入れていった。
目を引くような青い髪が、一際綺麗に映えている。頭を撫でてやると、嬉しそうに夏侯淵は表情を綻ばせた。至福の時間といえるだろう。愛しい女に包まれていることに、自分も悦びを感じている。
「先の部分が、見事なほどに赤く色づいておりますよ。それに割れ目から、姉者の好物がこのように滲み出て……」
尿道口から、滾々と湧き出す先走り汁。淫靡な匂いを放つ、透明な液体だ。それを吸い上げる夏侯淵は、いかにも楽しげである。姉の好物だとはいっていたが、自身も同じだという自覚はあまりないのかもしれない。
敏感な先割れを、舌によって執拗に愛撫されている。甘い痺れ。下腹部の一点に、じんわりと集まっている。
「この味が、我らを虜にしてしまうのです。舌の上で粘ついて、いつまでも離れない。殿の濃い匂いを、ずっと感じることができるようで……っ」
「ははっ。いい顔をしているぞ、秋蘭。そのように蕩けた顔、春蘭が見たら妬いてしまうかもな」
奉仕は大胆であっても、羞恥の心までは失っていない。少しばかり背けた顔が、さらに愛おしくなる。夏侯惇が嫉妬するというのは、あながち的外れではないのかもしれない。
「お戯れを……。あむっ、んっ、んくっ……」
からかいすぎたのか、夏侯淵は口淫に没頭することを選んだようだ。
柔らかな頬の内側で、パンパンに膨らんだ亀頭が擦られている。従順な奉仕。お返しに耳の裏をくすぐってやると、夏侯淵は小さく肩を震わせた。
ちゅぽっ、ちゅぽっ、という粘ついた音が連続して鳴っている。喉奥までもを余さずに使い、男根全体を愛そうとしているようだった。時折、頭の前後に合わせて奥の方を突いてやる。多少乱雑にされるくらいが、好きだといっていた。
これまで幾度となく抱いてきた身体だから、加減は理解しているつもりだった。動きが単調になってきたところで、後頭部に手を回す。舌を押しのけて最奥にまで突きこんでやると、股間にあたる鼻息がちょっとばかり荒くなる。
「ん……っ、んぐっ……。むちゅ……、んむっ、んん……っ」
強引に押し付けられた男根。太く張った幹の部分を、苦しみながらも愛撫してくれている。
「可愛いぞ、秋蘭。ほら、もう少し頑張れるか」
「ふぐっ、あむっ、れろ……っ。ン、んくっ、ぺちょ……」
こうしていると、特に気が昂ぶってしまうようだった。閉じることのできない口から、だらしなく涎が垂れ落ちていく。夏侯淵のような気高く美しい女がそのような醜態をさらしていると思うと、興奮がかき立てられていくのだ。
自分でも、止めることのできない衝動というものがある。それを存分にぶつけることができるのは、夏侯姉妹くらいだった。なんとなく、従妹たちにはあまり見せたくない姿だと、自分でも思っているのかもしれない。
「んっ……、こほっ、けほっ……。ああっ、殿……」
荒い息。抜け出た男根は、べっとりと唾液で覆われてしまっている。恍惚に歪んだ夏侯淵の表情は、男心を強くくすぐった。
「この雄々しいモノが、たまらなく欲しくなってしまうのです。ああ、じゅぷっ、んふふっ……」
「休むのは、もういいのか。無理はしなくていいんだぞ、秋蘭」
「無理など、しておりませぬ……っ。それに、殿がこんなにまで張り詰めておいでだというのに、誰が見て見ぬ振りをできましょうや……」
「うん、それならいいが」
男根の芯が、熱く疼いている。弾力のある唇でエラを何度も扱かれていると、出したいという気持ちが否が応でも湧いてくる。
奉仕を続ける夏侯淵に、視線を落とす。自然になってしまう上目遣いが、言い表すことのできない感情を生んだ。
「射精……、んぶっ、されたいのですね……。わたしは……、じゅぷっ、いつでも構いませんよ。殿が出されたいと思ったときに、どこにでもお出しくだされば」
意思を汲み取ってか、男根を支えているだけだった手にも動きが加わっていく。精液を、搾り取るような動きだ。先程以上に大胆になった頭の動きと連動して、強く快感を引き出されていく。
「んっ、くちゅ、ちゅるるっ、じゅぱぱ……っ。はぁむっ、んっ、との、くだひゃい……。あむっ、わたひに……、じゅぷ……、あついものを……っ」
「ああ、くれてやる。お前の口に出すぞ、秋蘭……ッ」
口に出すという言葉を聞き、夏侯淵は小さく唇を窄めて亀頭を責め始めた。ちゅぽっ、ちゅぽっ。小気味の良い音が、部屋に響いている。尿管を満たした精液が、外に出たいと暴れまわっているようだった。
「んっ……!? じゅるう、ちゅうううぅううう……っ。んんっ、んくっ、ちゅるっ」
宣言もなにもなしに、喉奥に向けて濃厚な精を解き放っていく。一瞬だけ顔を歪めた夏侯淵は、それでも零さずに出された液体を飲み下していった。
「あむっ、んむっ、んく、こくっ……。ちゅるっ、じゅぷっ、ン、ふう……っ」
口内で、舌がせわしなく躍っている。ばら撒かれた精液を集め、全てを体内に送っていく。無論、尿道に残った分まで余すことなく吸い取られ、あまりの気持ちよさから腰が抜けてしまいそうになるくらいだった。
「ふふっ……。美味しゅうございました、殿。また、いつでも仰せになってください。わたしや姉者であれば、どこであろうとご奉仕いたしましょう」
妖艶な笑み。口の端に残った白濁が、美しくさえ見えた。
「だったら、もう一度頼めるか。秋蘭にされたせいか、身体が昂ぶって仕方がなくてな」
「ええ、いくらでも。殿を昂ぶらせてしまった責任は、取らせていただくつもりですから」
右目を隠す前髪を撫でつけてやると、夏侯淵は柔和に微笑んだ。
天女というのはこういうものかと思いながら、曹操はその身体に一晩中溺れたのだった。