side五十冬
「……」
私は目を覚ましました。IS学園の保健室……なんだけど、頭が重い。もうひとつ言うなら体も重いんですが……長い長い夢を見ていたような気がするし、そんなことは無かった気もする。
「……私、どれだけ寝てたんだろ……」
最後の記憶は、自分の部屋で寝たこと。でもいつの間にか保健室にいた。どうしてだろうか。誰か近くに居ないのか……と探してみましたが、ぱっと見た感じ、誰もいない。
「……何かがあった?」
この感じ、何かが起こったように思ってならない。私は無理やり体を起こそうとして……体に力が入らないことに気がついた。感覚が無いわけじゃないけど、まるで鉄の塊そのものを持ち上げるんじゃないかってくらい……体に重みがのしかかってる。
「……けど、それでも……いかなきゃ……!」
それでも無理して立ち上がって、無理やり動かす。歩くなんてことすら出来ない、這いずって私は動く。今動かないと……ダメだと感じとったから。
「織斑君……!」
彼の名を呟いて、私は動く。彼の名前を言葉にするだけで……気力と勇気が、湧いてくるような感じがしたから。
しばらく這いずってて気づいたことがいくつか出来ました。まず1つが、私の体からISが離れてること。多分自分の部屋か……誰かが持っていったかだと思います。知らない誰かよりも、織斑君達に持っててもらってるって信じたいけど……
2つ目が、誰とも会ってないということ。幾らなんでも、静かすぎます。授業がどこかで行われているはずなので、いくらなんでもこんな静まり返っているわけがありません。
そして3つ目……
「……どうして、誰も反応しないんですか?」
IS学園は、監視カメラが多い。プライバシーの問題もあるので、更衣室、御手洗、寮の部屋などには設置されていませんが、学園全体を見渡せるように所々にカメラが設置されています。
私はしばらく這いずっていますが、誰一人として私のところに現れようとすらしません。手を差し伸べる人がいない、というよりは連れ戻すなり連れ去るなりの反応があってもおかしくありません。
「誰も来ないんなら……テロリストに乗っ取られた、って説はありませんね……何かしらの薬品を撒かれた……にしては這いずってる私が無事なのもおかしいですし……」
ガスであれ液体であれ……床に1番近い私が全く体調に問題を起こさない、というのはおかしな話です。いや、体が既にまともに動いていないので体調に問題がないって言うのはアレですけど……
「……ほんとに、皆さん何をしているんでしょう」
必死に頭を巡らせようとしますが、一切答えは出てこない……こんな以上な状況、当たり前ですがわかる訳ありません。だからこそ、慎重に、いかないといけないんだけど……
「……はぁ、はぁ……」
体が重い、息が荒くなり這いずるだけでも体力が根こそぎ奪われていくのでは無いかと思うくらいには、体が動かない。
遂には、私は体を休めようと壁に背中を預けていました。無論、寝っ転がった状態なのは変わらないので預けても大して意味は無いんですが。
「っ……」
拳を握りしめて、そして離す。たったそれだけの事をするのに10秒以上の時間を要している。それくらい私の体は鈍くなってきていました。
「なん、で……」
『こんなにも体が動かないのか』という疑問が、思考がおぼつかない私の頭の中でぐるぐるしていた。今までこんなことは無かった、急に来たのだ。何故こんなにも重いのか、全くもって分からない。
「はぁ、はぁ……ふぅ……」
深呼吸をして、息を落ち着かせる。体力が持っていかれてはいるが、まだ動かせる。何とか、何とかすれば……動かせる。
落ち着いて、考えろ。無駄な動きをしないために、体力を回復させながら頭をゆっくりと回せ……そう心に思いながら私は頭を回し始める。
「━━━」
そして出た結論、私が今向かうべき場所。授業をしていない理由は、分からない。これに関しては、予測しても仕方が無いと私は頭の中で切り捨てる。
「こういう異常事態の時……集まるのは……」
専用機持ちは、こういう時例の地下の部屋に行く……との事なので。他に思い当たる場所もないので、仕方ないからさっさと向かうしかない。さっさと……と言っても……何時間かかるか分かったもんじゃないけど……せめてISがあれば、また別なのかもしれないけど……
しばらく這いずって、ようやく件の部屋まで来れた。一息ついていると、中から声が聞こえてくる。誰かが話している、程度のことしか分からないがここにいるのは確定です。
「う、くっ……! あべっ!!」
壁にもたれ掛かり、無理やり上半身を起こす。近くの手すりに手をかけて、そこから無理やり立ち上がる。そして、そのまま倒れ込むようにドアにも誰かかろうとして……センサー式だったようでそのまま開いて、部屋の中に飛び込むように私は倒れ込んでいた。
「鬼村!?」
「い、いたた……お、織斑君……」
「鬼村……どうしてこんな所に……」
織斑君が心配して駆け寄ってくる。こんな所に、というのはちょっと酷い気もするけど……まぁ、いいや。勝手に来た私が悪いし。
「鬼村さん……目が覚めてたのなら呼べばよろしかったのに……ISのプライベート通信を使うなどしてくれたら……」
「……え?」
セシリアはさも当然と言わんばかりに言い放つ。他の皆も、呆れる……って表情ではないけど、その言葉に対しての否定を言わない。まるで、私が今ISをつけていないのを知らないかのような口ぶりだ。……もしかして、本当に知らない?
「……鬼村、ISは? 付けてたんじゃなかったのか?」
そこで気づいてくれたのか、織斑君に問いかける。その質問に対して、篠ノ之さんとジブリルさんが今私がISをつけていないことに気づいて、目を開いていた。
「……サクリファイス、あれをどこにやったんだ?」
「彼女のISは、没収しています」
「……え?」
『没収』聞き間違いでなければ、私たちの命令する教師はそう言っていました。なぜ? どうして? 色んな疑問が浮かんでは消えていったが、向こうは淡々と言葉を紡ぐだけでした。
「彼女のISは、危険だと私たちが判断したためです。それ以上の理由が必要ですか?」
「けど、鬼村のISは……!」
「確かに、性能だけでいえば高性能でしょう。けれど、ただ高性能なだけならば、問題ないです。しかし、あまりにも強すぎる……彼女のISは、その強さ故に没収して禁止せざるを得ない状態になっているのです」
要するに、自分たちに牙を向けられるのが厄介という事なのだろう。そうでなければ、わざわざこちらの戦力を下げるようなことをする場がないでしょうし。
「さて、続きを話しますよ」
「ちょ……!?」
そのまま話を終えて、元々話していた内容を語ろうとする先生。しかし、織斑君はその行動に対して異議を唱えようとしましたが……私が織斑君の足を持って、首を左右に振りました。
「鬼村……」
「今大事なのは、私のことより元々話していたことでしょ? 私もここにいて話は聞けるから……織斑君は今話してる話を聞いて?」
「……分かった、ごめんな鬼村」
織斑君はせめてもの償いのつもりなのか、話を聞きながら私のそばに立っていました。ちゃんと話は聞いているようで、私の側に立っていても本当に立っているだけでした。
私も……途中からとはいえ、先生の話をちゃんと聞いておかないといけないですね。
「さて……ほとんど話の方はし終わっていましたので、鬼村さんは聞く気があるのなら……詳しい話は誰かにまた後で教えて貰ってください」
「は、はい……」
「簡単に言えば……乗っ取りが行われました、それも国に対して」
「……それって、侵略ってことですか?」
「どちらかと言えばテロリズムですね……そして、行われた国はルクーゼンブルク……アイリス王じょ━━」
「既にこちらは、国と何ら関係の無い一般生徒の身……敬称を使う必要は無い」
王女殿下……と言おうとしたのだろうが、その言葉を制されて先生は一旦言葉を詰まらせた。しかし、今この場で余計なことをするのも面倒だと判断したのか、軽く咳払いをしてから言い直し始めていきました。
「……アイリスさんの故郷、そこでテロリズムが行われました。犯人は分かっているだけでも3名……そのうち1名は、髪の色などが変わってしまってますが……篠ノ之束だということが判明しました」
篠ノ之束……けれど今の彼女は、彼女自身ではない別のものに乗っ取られている……それが、前の私。酷いことを散々仕出かした、鬼村五十鈴本人です。
けれど、それは今言うべきことではありません。大事なことは……アイリスちゃんの故郷を、取り戻す事だけです。
「現在、王族を人質に取ってテロリスト達は立て籠っています。現状、下手に近づけば気付かれて人質に手を出される恐れがあります」
「その為の作戦が……」
「セシリアさんを使うという結論になりました」
セシリアは、この中でも特にロングレンジの射撃が得意です。それを考えれば、作戦としては全く異論を唱える隙はありません。けれど、いくらセシリアと言っても気づかれないほど遠くからの狙撃は……ISの感知範囲外という恐ろしく広い範囲から離れて射撃をするというのは、難しいのでは? と私は少し不安を感じながら考えていました。
「……鬼村さんが考えていることはわかります、よって新しい装置を使うことになりました」
「新しい……装置?」
「……エクスカリバー、ダイブトゥブルー……この2機を元にブルーティアーズに新たな武装を追加するのです」
「……今から、ですか?」
「既に設計図はあり、作成中です……大量のビットを配置し、その内の一つにセシリアさんが射撃を行うことで、ビットがビームを反射……反射されたものを反射と繰り返していくことで、遠くの相手にも問題なく当てれる装備です。
その命中精度は、現時点では仮とはいえ何十キロも離れている相手にも当たる確率が90%以上と高い数値を出しています 」
何十キロも離れている相手に……10発中9発も当てれる装備……そんなに凄いものがあるなんて……私はそう感心しながら、話を聞いていました。
「よって、装備が完成次第セシリアさんはブルーティアーズに搭乗……そしてその装備を付けて作戦に挑んでください」
「かしこまりました」
「……では、作戦を始めます。作戦コード『DISASTER EXTERMINATION』開始です」
『災害退治』と名付けられたその作戦が、元の私を討伐対象へと向けた作戦が……今始まろうとしていた。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい