※この作品はR-18です。

復讐の機装少女   作:長之助

106 / 128
敵機撃墜

 sideマライア

 

「━━━っぁぁあ!!!」

 

 叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ。喉が張り裂けて、血が吹き出そうとも関係ない。私はお姉さまのために、ここの部隊を削れるだけ削る。もちろんそれが大部分に影響するだなんて、全く思っていない。

 けれど、『1人でこれだけ削れた』という実績だけあればいい。1万で1万を削るよりも、1人で1万を削れればそれだけ驚異となる。

 私がここで生きようとも死のうとも、お姉さまと簪の2人に『それだけ削れるポテンシャルがあるかもしれない』と思わせるだけでいい。

 

「次、は……どいつ、だぁ……!」

 

 喉が枯れ果てた。それでも叫ぶ。『私はできる』『私は頑張れる』『私はまだ生きている』

 自分を鼓舞する、相手に畏怖させる。2つの目的を同時に達成させるための叫び。

 

「━━━━やれやれ、と言ったところかの」

 

「……!」

 

 そうして、私の目の前に現れたのは小柄な女の子。そういえばこんなのいたな……と私は疲れた頭で思い返す。

 第4世代型を持つ王女、名前は知る気もない。思い返す気もない。従者がいたという情報は覚えているが、見当たらない。

 

「……そこまでして、守りたいものがあるというのは……」

 

「理解、しないで欲しい……私の、気持ち……考え……目標……目的…………全、部……理解……さ……ごほっげぼっ……!」

 

 血が出てくる。いつの間にここまで無茶をしていたのか。ISの絶対防御とやらも、あまり過信しない方がいいらしい。

 

「無茶をするでない……お主は、既にボロボロの体となっている」

 

「っ……!」

 

 分かっている、と言葉で言うよりも先に血が登ってくる。ここまでボロボロだとは夢にも思っていなかった。けれど、私はやる。やらないといけない。

 

「……戦うというのか?」

 

 喋れない、喋らない。代わりに私は目で訴える。戦える、まだやれる。今すぐに殺す、と。

 

「ならば━━━」

 

 瞬間、私の体が横に吹っ飛ぶ。そういえば、彼女のISは重力を操るものだと聞いている。第4世代型というのだから、それくらいは当たり前というわけか。

 けど、私もただ受け入れるわけじゃない……せめて、そのISを落とさせてもらう……! 

 

「━━━!!」

 

 炎の翼をはためかせて、私はその炎を王女の方へと放つ。重力が操られている以上、中途半端な火力はむしろ自分の身を焼きかねない。無論、最大火力での焼き払いだ。

 

「っ……!」

 

 私たちとそう変わらないと言っても、それは単なる経験値の差。どれだけ麻痺が思考を鈍らせているか、になる。

 赤月事件の際で、ある程度覚悟を決めることが出来たようだが……それでも迫り来る炎にはやはり驚くものらしい。

 

「そ……こ……!」

 

 その隙を付いて、重力圏からの脱出。そしてそのまま突進をかます。たかが体当たり、されど体当たり。ISが相手と言っても、同じISの体当たり……それも炎を纏ってるに近い体当たりは、威力もそれなりにあるだろう。燃え盛る空飛ぶ鉄の塊と考えたら、私のやっていることも中々強い筈。

 

「うぐっ……!?」

 

「引きずり、落とす……! 海の、藻屑に……!」

 

 そのまま掴みかかり、私は更に羽の火力をあげる。これ以上上げれば、暴走して爆発するかもしれない。安全リミッター? そんなもの、とっくの昔に解除してある。

 

「待て、これ以上出力を上げれば……!」

 

「絶対、防御……潰す……!」

 

 このまま落ちればどうなるだろう? 私はともかく、体の小さな王女も助かる可能性は低い。運良く助かったとしても、ISどころか船も何も頼れるものさえない中……ISが回復するまで冷たい海の上で待たないといけない。まぁ、戦艦やらISの残骸やら人の死体やらで色々浮いてるし……案外持つのかもしれない。どうでもいい話だが。

 

「死━━━」

 

『ね』と続けようとした瞬間、私の体に雷が落ちる。限界だった四象も、その一撃で完全にエネルギーが尽きる……どころか武装も大破。辛うじて、私の心臓は止まっていなかったが……

 

「……ふぅ、遅いぞ」

 

「申し訳ありません、作戦通り……隙を狙ってやるというのは私の武装では中々難しく」

 

「まぁ、よい。残りは……頼むぞ、一夏」

 

 ━━━織斑一夏が、ここに? 嘘でしょ? 今使えるIS学園の専用機持ち……殆どが今ここにいるってこと? セシリア・オルコットの守りを任せているもんだと思ってたのに……最前線に、生徒をぶち込んでくるなんて……夢にも思わなかったよ。

 

「……悪いな……」

 

 私の目の前に降り立つ織斑一夏。そして、彼は大破したために待機モードへと移行した私のISに触れて、ただ一言つぶやく。

 

「━━━夕凪燈夜」

 

 瞬間、私のISは完全に使い物にならなくなる。そして、同時に私の意識も保つのが限界になったのか……その時点でブラックアウトするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 .

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 side一夏

 

「……これでよかったのか」

 

「うむ」

 

「……本来考えられる作戦としては……はっきり言えば、余りにも酷い……けれど相手を不意を着くには最適の作戦だろう」

 

 そう、俺達が取った作戦……正確には指示された作戦。それは、セシリアを除いた専用機持ち達が、時間をかけて海を渡ることだった。その間のセシリアの守りは、誰一人としていない。

 本来、作戦の要であるはずのセシリアに守りをつけない理由。それは、この作戦が主に2つの目的を主軸としているからだった。

 

「……全精力とも言える武力を使い、相手を疲弊させていく。そして、疲弊して言ったところを……」

 

「白式の夕凪燈夜で無力化していく……」

 

 これが第1作戦。その為にはいかなる兵力もセシリアの守りに割かず、全てを攻撃に回す……それが理由だった。そして、もう1つの目的。

 

「仮にセシリアが落ちた場合の副作戦も、用意していかないといけない。その為には、狙撃のセシリアと攻撃に向けてる全勢力……そのふたつを囮に使う」

 

「そして、我ら3人が本命……という訳じゃな」

 

 いい言い方をすればそうなる、というのをひしひしと感じていた。この作戦、仮に失敗したとしたら軍部は全滅……けれど実質少数部隊を大群で叩いてる様なものだから、向こうも大打撃……

 

「……あわよくば、俺たち双方の脱落を狙ってたりなんて……」

 

「……あるだろうな」

 

「ま、そもそも現状の社会をよく思わん奴らからしてみれば……IS同士が潰しあってくれるのは実にありがたい……という事か」

 

 ISが生まれた社会になってから、男嫌いの女性が増えて……逆に女性嫌いの男も増えた。俺も、IS学園の皆も……基本的にそういうのは少なかった。

 けど、今また世界が変わろうとしてる……俺が動いて、世界がどう変わるのかは分からない。分からないけど……今俺は、やれるだけのことをやるしかない。

 

「……その為にも、止めないといけない」

 

「あぁ」

 

「じゃな」

 

 2人と1緒に、再び俺は飛び始める。セシリアが攻撃をしてくれている間に、囮をしてくれている間に……俺は鬼村を……『あの』鬼村を止めないといけないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 .

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 .

 

 

 side■■■■■

 

「━━━変だなぁ」

 

 妙に、違和感がある。ちょーっと状況整理をした方がいいかなこれ……まぁセシリアからの攻撃防ぎつつ、例のファンネルだかビットだかを壊しながらになるけど。

 

「1つ、今攻撃してきているのはセシリア・オルコット。ブルーティアーズのスナイプを最大限活かせる兵装を使ってるのか、かなぁり遠い所からめっちゃ狙撃されてる。

 今は私の攻撃範囲にあるその兵装を砕いている……って状況」

 

 言葉通り、イタチごっことも言えるべき攻防。私や簪ちゃんを狙撃させないようにひたすらに守りながら、同時に破壊してる。ここに特に違和感はない。

 

「2つ目、今はここ以外の全世界の全兵力を持って潰しにかかってる」

 

 ここも当たり前。相手の数が少ないのなら、例え劣っている兵器であっても使い潰すつもりで使い倒す。消耗戦になればきついのは、少数の方なんだから。マライア1人でしか向かわせられなかったけど、多分マライアは殺されるだろう。

 

「3つ目、セシリアを守るため……尚且つ戦場には連れて来れないという予想をして……IS学園の生徒はセシリアの守りに徹させている」

 

 ……ここかな、生徒に殺しをさせない。尚且つ残っている専用機持ちはろくな戦場……特に人間相手の戦い、殺し合いになれてない。それが足を引っ張るだろうと考えて、私はIS学園は戦いに来ないだろうと除外した。

 特に、織斑一夏の力は対ISに特化させてるもの……下手に戦場に連れ出して無くすよりも、温存しておくだろうと高を括ってたわけだけど……

 

「たしかに守ること、戦場に連れてこないことにメリットはある……けど、連れてくることにデメリットがある訳じゃない」

 

 メリットがある≠デメリットがない訳じゃない。デメリットとメリットは必ずしも両立されない訳じゃない。

 

「セシリアの攻撃と、世界中の軍隊からの攻撃……はっきり言えば私たちはそっちに付きっきりになってしまう……」

 

 ならその間、学園の生徒は? ISに対して無類の強さを発揮する織斑一夏は? 戦場に連れてくる訳じゃないが、進んでいく前線に対して織斑一夏……白式を進ませておけば? 

 

「━━━物量そのものが囮、って訳なんだろうけど……」

 

 例え織斑一夏が失敗しても、セシリアの攻撃と軍隊の物量がある。セシリアが使えなくなっても織斑一夏と軍隊の物量が……そして軍隊が全滅してもセシリアと織斑一夏が。

 なるほど、3つのうち1つを潰されたところで問題がないわけだ。それ以前に……多分、3つが全滅しても構わないって考えてる気もする。

 

「そもそも今のIS学園は、実質亡国機業が乗っ取ってるようなもの……裏切り者の私たちは容赦なく殺されるだろうしね」

 

 上手い具合に全部潰しあってくれれば、亡国機業が世界を収める。ろくな兵力が残ってない世界で、自分たちだけが兵力を残してる状態……ん? あぁいや、違うか。

 

「━━━そもそも、女尊男卑の社会を面白くないと思ってる男達からしてみたら、今の状況は好機な訳か」

 

 3つの作戦と同じように、今この戦いには色んな思惑が入り交じってる。亡国機業は、裏切り者の私達と織斑一夏を何とか相打ちに持っていこうとしてる。だから織斑一夏と私が一騎打ちできるように仕向けてる……筈。

 んで、今の状況を好転させて男女平等……あるいは男尊女卑の世界まで戻そうと思ってるのが、世界政府の上層部……というか歳食った男共。

 

「ま、どれだけ考えても……予想の範疇なわけだけど」

 

 とりあえず……最悪のルートは織斑一夏達、私達、連合軍……3つが全滅すること。織斑一夏からしても私からしても、面白くない状況になる。

 かと言って、織斑一夏に負けるつもりは無い……そもそも私はいつまでこの体に納まってたらいいんだ。

 

「……ま、どう考えたところでやることは変わらないんだけど」

 

 そもそもこっちは人手が足りないどころか存在していない。だから、どうやっても後手後手に回るから……もう勢いでやっていくしかない。だから、やることは変わらない。

 

「……もうしばらく、遊びに付き合ってあげるよセシリア」

 

 あと何機落としたらここまで攻撃が届かなくなるのから分からないけど……ま、やれるだけやるとしようか。

五十冬の見た目

  • 黒髪ロング、胸はない
  • 黒髪で肩までの長さ、胸はない
  • 茶髪ロング、胸はない
  • 茶髪で肩までの長さ、胸はない
  • なんでもいいけど眼鏡が欲しい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。