side織斑一夏
「━━━━あれ、俺は…」
「一夏!!何をしている!!早く行かねば織斑先生が怒るぞ!!」
「げっ!?千冬姉が!?」
ふと気がつけば俺はクラスの席に座っていた。どうやらぼーっとしていたらしい。箒が呼んでくれたからよかったけど…早く行かないと千冬姉からのきっつい1発が…!
……そうだ、段々思い出してきた。俺は最後の戦いで大怪我をした。それで暫くは入院してたけど、退院…何とか学校に復帰できたんだった。
それで、鬼村…じゃなかった。高村は今は獄中だ。何とか更生して欲しいところだけど…死ぬよりはマシだと思う。それで、その後みんなの足取りを探して…何とか全員復帰出来たのだった。
「あ!一夏さん!今日はお弁当私が作りましたのよ!」
「あー…!鬼村にでも食べさせてあげてくれ!!」
「え!?私巻き込まれるの!?」
走ってる途中で鬼村とセシリアの2人と出会う。そう、あの戦いの時に元々の鬼村はISの力で…自分と、俺たちと仲良くしていた鬼村を分離させた。そっちは鬼村五十冬として過ごすこととなったが……戸籍がないも同然なので、将来はセシリアの家に住み込むこととなるらしい。
「あ!一夏!後でちょっといい!?」
「おう!また後でな鈴!!」
「一夏!今度の休みラウラと……ううん!皆で勉強会しようよ!授業の復習とかも兼ねて!」
「私からもいいか?」
「おう!じゃあ後で誘える人誘ってみるよ!」
「ありがと!」
みんなと喋りながら、俺は廊下を駆けていく。前を箒が走っている。あれ、みんなと話しながら喋ってるとは言っても…ちょっと走るのが早いんじゃないだろうか?
「一夏!妾との約束は忘れておらぬだろうな!?」
「忘れてるわけないだろ!ちゃんと守るから待っとけって!」
「本当にきちんと守るのだぞ!?」
アリス達とも話し、俺はさらに廊下を駆ける。ちょっと早く走り始めると…T字路となっていた曲がり角から、女子が歩いてくる。ぶつかりそうになり、急遽止まる。で、改めて見ると鬼村がそこにいた。あれ、さっき通り過ぎたような…?
「━━━やっ、結構いい夢見てそうじゃん」
「お前……」
高村文音、鬼村五十冬の本名。俺と最後に戦った女子。何故今ここにいるのか、それを考えようとした瞬間に
「俺は、お前に負けたのか?」
「うんにゃ?多分試合に勝って勝負に負けてる状態だと思うよ?」
「多分…?」
「あぁ、私も無理やりあんたの脳みそに繋いでる状態だからさ…まぁ同じ夢を見てる状態とでも思ってくれたらいいよ……で、話戻すんだけど…まぁ私はどう足掻いても死ぬと思ってくれたらいいよ、死ななくても他の女達同様…首輪繋げられて飼い殺し、男尊女卑通り越した
気づけば高村は裸で、首輪をつけられた状態だった。学校の廊下でなるべき格好では無い事に、異様な恐怖を感じる。そして、ふとその恐怖の合間に感じた『ほかの皆』のことも気になってしまい、後ろを見る。
「ぁ…!?」
「今私の夢…というかイメージ図?世界はこうなってる…控えめに言っても、こうなっていく運命なんだよ」
皆、多種多様に犯されていた。箒は縛られ、玩具のような物で弄ばれ…セシリアは高村と同じように首輪をつけられ四つん這いに。鈴はいつの間にか出現していたベッドルームのベッドで…大きくなったお腹を虚ろな目で撫でており、同じ部屋でラウラとシャルルがカメラの前で交わりあっていた。
「ほら、向こうも見てよ……楯無会長は妹のペットだし、お姫様と騎士様は2人とも足置きと椅子になってる。滑稽だねぇ…IS持ちってだけで、滑稽になってたのが何人いるのやら」
「お前が…お前がこの光景を作ったんだろ…!?」
「そうだね、けど鬱憤が溜まってる男も多かったって訳だ…社会なんていつでもそう、人類平等男女平等…そんな事謳ってるけどそんなのは人類が進化する度に起こるんだ…差別なんてのは、絶対に起こるものなんだ」
「みんなは、そんなのじゃない…!」
「………ほんとに?」
怒りも、恨みも、笑みも…なんの感情も無い瞳が俺を見る。どういう答えを期待しているのか、という風でもない。ほんとにそう思ってたんだ?という驚きでもない。ほんとに、ただ俺に尋ねてるだけの瞳だった。
「少なくとも…ISというものがなかったら今の立場がない子が殆どだと思うよ。あぁ、学園の生徒としては別ね?学校だけで考えたらただ女子高ってだけだし……でも、少なくともラウラ・ボーデヴィッヒは生まれてないし、生まれてたとしても人権のない奴隷扱い。
シャルロット・デュノアは…確か妾の子だっけ?そんな子、実子が生まれたら即バイバイだよ。篠ノ之箒はただの一般学生、凰鈴音は中華料理屋の娘、セシリアは…ISが無かったら…多分いいお人形さんだったんじゃないかな?
…ま、つまるところ今の彼女達があるのはISって存在のおかげなんだよ」
「…立場が変わるから、今の皆は無かったって言いたいのか?」
「そうだけど?なんでISって流行ったと思う?」
今更なんの話だろうか。白騎士事件、そして千冬姉のモンド・グロッソ優勝の2つが主な理由だと思うが…それが一体、なんだというのか。
「織斑千冬と、篠ノ之束の2人で行ったマッチポンプ…これで流行ったんだよ。知ってる?流行りの作り方…ニュースで大々的に流して、以下にも『今これが熱い!』ってやるだけでいいんだよ、アホがつられてやり始めるし善性のあるアホがアホじゃないやつに進めて、アホじゃないやつもやり始める……あぁ、別に流行りが悪いって言いたいわけじゃないよ?ものには誰かしら何かしら良いと思われるものがあるからね」
「…」
「けどさ、白騎士事件…うん、これが一番のマッチポンプだ。その後、白々しい顔をしてモンド・グロッソの優勝。馬鹿な女達は騒いだだろうね、何せ『自分でも偉い顔出来るんだ!』ってなったんだから……本当は、誰も織斑千冬に叶うわけないのに」
「………」
「あの女は人を超えた生物、篠ノ之束は天然の人を超えた生物。その2人が手を組んで白騎士事件を起こした訳だ、そんなのされたら兵器としてのISは当然流行る。兵器として流行ったものはスポーツとして取り入れられる場合もある…サバゲーみたいにさ…それでモンド・グロッソがある訳で…で、だ。結果として白騎士事件の犯人がモンド・グロッソ優勝したんでしょ?無理じゃん、人類やめてる女が起こした事件でできた競技に、犯人が参加して優勝だぜ?」
「━━━で?」
「……は?」
俺には、どうでもいいと思えた。つらつらと言い訳を並べてるようで、申し訳ないが…滑稽に思えてくる。本音で喋っているように見えないのだ。
「何が言いたいんだ」
「…………………女尊男卑社会、この2人が結果的に起こした事で社会は変わった」
「そうだな」
「………………女性は優遇されるようになり、男性は差別されるようになった」
「あぁ…お前は男性差別を無くすために動いたのか?」
「……………違う、お兄ちゃんを殺した社会が憎い。篠ノ之束が起こした社会が憎い」
「束さんに復讐を果たして、満足したのか?」
「…………してないね、だからISを使ってる女を狙ってた。セシリアのメイドのチェルシーとかね…復讐したところで、誰も救われないって?」
「実際、お前は救われてないだろう」
「スカッとはしたね…満足してないだけで…あぁ、こんなあっさり終わるのかとは思ってたかも?まぁ今となってはどうでもいいけど…お前は、私が憎い?」
「…どうだろうな、みんなを傷つけたお前にすごく怒りはする。けど、復讐したって何も無いとも思ってる」
「
「俺はそうは思わない…運が良かったことは、あったかもしれないけど全部俺に都合のいい世界とかは思ったことがない」
「へぇ、謙虚だねぇ…まぁいいけど………」
「……俺は死ぬのか?」
一言、尋ねる。目の前の彼女は、目を逸らし少し考えるような素振りをした後にゆっくりと口を開いていく。
「わかんない」
「……は?」
「無理やり脳みそ繋ぐってのはね、負担がでかいんだよ。だからこの夢が終わったらお前は死ぬかもしれないし、そもそも今海で溺れてるかもしれない。
少なくとも私は簡単には死なないけど、多分後遺症でまともに動けるかも怪しい。その点お前は多分生きると思う……あ、でも社会は多分お前を逃がさないよ」
「どういう事だ?」
「お前は社会を男上位に戻した英雄になる、結果的にね。そして私はそれを阻止するために動いた女になって、多分篠ノ之束とセットにでもなってると思う…男達は、英雄になったお前を残そうとするんじゃない?そのためなら…お前自身を殺す」
「英雄を殺すってのか?」
「意に反する英雄なら、ね」
言っていることを、何となく理解できた。俺という存在は、他の男達にとって都合のいい存在なのだろう。そんな存在が自分達に反旗を翻す可能性がある。そうなる前に殺してしまえば……英雄は英雄のまま、非業の死を遂げてしまうというわけだ。
「……俺は、簡単に死ぬつもりは無い」
「死ぬんだよ、簡単に…人間は」
「死ぬ気は無い……お前に勝って、皆を助けて……!」
「勝って…って、勝負はもう着いてんだけど?お前との一騎打ちは私の負け……何、私を殺したいの?」
「違う、俺は━━━━」
.
side高村
「━━━━お前も助けて、終わらせる!!」
まさか本当に突破されるとは思ってなかった。終わってやがる。おかげで私にもちょっと脳みそにダメージが出てやがる。けど、現実での決着がお望みならそうしてやる!!
「っあ゙ぁ゙…!!い゙、る……訳……ないだろう、が…!私に、救いが!!!」
エネルギー不足で満足に動かないナノマシンで傷を治す。痛みは引かない。沸騰した血液も戻らない。それでも無理やり戦う。つーか…まじでうざい……うざいうざい…うざいうざいうざい、うざいうざいうざいうざい!!!!
「篠ノ之束への復讐は終わった!!」
「けど世界は無茶苦茶にした!!」
落ちながらぶつかり合う。水に入れば取り込んでエネルギー回復だ。けど、私もこいつもIS以上に精神的にも肉体的にも色々疲労が溜まってきている。多分、決着自体は……かなり近い。
「復讐だけじゃ終われなかったからね!!」
「構って欲しかったのか!?」
ぶつかり合う私達。一撃、二撃…ぶつかり合う事に勢いが増していく。けど、疲弊によって肉体がその速度に追いつけなくなってくる。
「悪い事をして!親に叱られる様に仕向ける子供みたいだ!!」
「違うね!!その例えなら私が親だ!!調子に乗った子供たちを矯正する、親そのものだ!!」
攻撃のぶつかり合いがだんだんと雑になっていく。きちんと構えを取り、そして奮っていたのが…最早目の前に武器を置くような構えでそのままぶつかり、ぶつかったピンボールの様にお互いが弾かれる。
「驕るんじゃない!!」
「驕っていたのは社会の方だ!そしてその驕りは後戻りができないところまで直せた!!」
「そんな事をしなくても!!」
「もう遅い!!!」
無理だ、徹底的に合わない。個人的には否定させてもらうが、織斑一夏の思考回路はわかる。性善説と言うやつだ。実際問題、ISによって地位が向上しただけで性格が変動することはほぼないだろう。せいぜいがセシリアくらいだ。それも、結局男性差別とかはある程度ましになってる。けど、それがなんだ。私の兄は社会に殺されたんだ。それだけって言われたら、そうかもしれない。私はその点だけで世界を掻き回した。篠ノ之束を終わらせて、世界最強も下した。
「罪を償え!!」
「あぁ、償ってあげるとも!!私の体で!!けどそれが叶う社会になればいいな!!さっきの夢で終わらせておけばよかったものを!!そうすればまだ次があったものを!!」
「いいや、きちんとした法で…裁かせる!!」
「またそれか!!もういいや、今度こそ!次で!!」
「あぁ!!終わらせてやる!!」
最早ビットを動かす思考もできない。お互いの得物を構えて……飛び込む。やることはさっきと一緒、あいつは零落白夜で絶対防御を切ってエネルギーの全ロス狙いだろう。じゃあ私もそれを狙わせてもらおう。
殺せればそれでよし、ダメならダメで世界がもっと今より終わるように祈っとかないといけない。
「はぁぁぁぁああああ!!」
「死ねえぇぇぇぇぇええええええ!!!」
雪片のエネルギーが展開される。私もそれに合わせて同じ戦法を取る。結局これが一番手っ取り早い。私が織斑一夏を殺そうとし、織斑一夏が私を倒そうと動く。お互いが相手に向かい合う中で…武器がぶつかりあうその瞬間………
「…は?」
「なっ…!?」
「━━━━!!カリオストロ!!よくやった!!」
「白式…!?」
互いのAIが恐らくコアにダメージを受けるほどの相打ちに持ち込まれた。それだけで大金星だ。海面から高いところからの落下。互いがかなり近いところだったので、腕がお互いに届く範囲内だ。ここなら私がこいつを殺せる。
「━━━━このまま叩きつけられて分からなくなるより、首をへし折って殺━━━」
「殺されるのは貴様の方もだ!!」
「は…!?」
M……織斑マドカがこちらに向かって飛んでくる。終わってやがるこいつ……だが、一介の奴がさっきまでの私達以上強力なISを渡してるとは考えられない。ならば…!
「しゃしゃり出てくんな負け犬が!!」
「今は貴様の方が…何っ!?」
生身だと舐めていたのだろう。上から振り下ろされた一撃は私が生身の腕で掴む。衝撃はもちろんある。だが、こいつは私が篠ノ之束や織斑千冬クラスに強くなっているなんて知らない。だから、負ける!!
「もうてめぇ如きが追いつける環境じゃねぇんだよ!!」
「がはっ…!」
そのまま引き寄せ、腹に1発。武器を奪い滅多やたらにたたきつけていく。いきなり武器を奪われたこと、ISを展開しているにも関わらず殴られたことが効いている様だ。
「弱った私にすら負けるてめぇの必要価値はなんなんだろうな!?」
「っ!!黙っ…!!がっ!?」
無理矢理喉に手をかける。丁度いい、殺す気は無いがこのままこいつも道連れにしてやろう。
「お前!何を!!」
「3人仲良く地獄に落ちようや!!あの世の地獄かこの世の地獄かはわかんねぇけどな!!」
「くっ…!」
織斑一夏が落ちながら私に声をかける。だが、もうそろそろ落下速度がえらくなってきている。最早無傷での着水は不可能。水に叩きつけられるとやっぱり痛いんだぜ。
「じゃあな2人共!特に織斑一夏!もし無事なら…また私が殺してやるから━━━」
そうして、私達は落下して…落下した衝撃で全員仲良く意識を失うのであった。起きた時…織斑一夏は兎も角私と織斑マドカがどうなっているかは……分からないのである。
書いてたら思ってたより伸びたのでまだちょっとだけ続くんじゃ状態です
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい