※この作品はR-18です。

復讐の機装少女   作:長之助

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誠実没落

side?

 

「━━━う…ここ、は…病院…?」

 

織斑一夏は、日本の病院で目を覚ました。手足は動かせないが、何とか首と頭を動かした結果包帯を巻かれ固定されてることがわかった。

 

「……俺、どのくらい……」

 

元気な状態であれば、慌てていたかもしれない。『ここはどこだ?』『戦いはどうなった?』『あれからどのくらい時間が経った?』と。

 

「……」

 

テレビ、ラジオ、新聞…目の着く範囲に今の情報がわかることは無かった。だが日付だけなら、病室のデジタル時計から判断することが出来た。そして、一部漢字が入っていることから日本だという事も一夏は理解出来た。

 

「…1週、間……それだけ、寝て……」

 

「…おぉ!?織斑さん、起きたんですね!!」

 

声が聞こえてきた。一夏が目を動かすと男性医師が喜んだ様に近寄っていた。一夏はこの人物を知らないが、男性医師が一方的に知っているだけだろうと他人事のように理解していた。

 

「体は動かせないでしょう、しかし安心してください…命に別状はなく…そして体に後遺症も残りません!しかし寝ていた時間が時間ですので、リハビリだけはさせていただきます!!」

 

「……は、い…」

 

一先ず頷く一夏。色々な疑問や聞きたいことはあった、しかしそれは今聞くべきことでは無い。体力を無駄に消耗するよりも、体を万全に動かせる様になってから改めて情報収集しようと考えていた。

皮肉な事に、愚直だった彼は身動きの取れないほどの大怪我によって何が大事かを冷静に考えられるようになっていた。

それは、彼の長所を…ある意味で潰している事になっていると気づかないままに━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……この調子なら3日後には退院出来ますね」

 

「ありがとうございました」

 

目覚めてから四日後、一夏はすぐに回復していた。動けないほどの大ケガだったはずなのにも関わらず動けた事に、彼は疑問を抱いていたが…今はそれに感謝していた。

 

「…あの、色々聞きたいことがあるんですけど」

 

「回復速度の事ですか?」

 

「それもありますけど…俺が寝てる間の事です」

 

「…ふむ、分かる範囲でいいのなら答えさせていただきます。ですが、全てを知ってる訳ではありません」

 

「ありがとうございます、それで構いません。なら━━━」

 

一夏は様々なことを聞き、医師はそれに対して事実と自らの見解を踏まえて回答していた。『あくまでも知ってる範囲』と前置きをし、事実かどうかは明確には不明だと案内をしていたが。

 

①自分をこの病院に運んだのは誰なのか、そして改めてここはどこなのか?

海で流されていたのを、軍が回収した。そして日本の軍が引き取り、軍属の病院に特別措置で入院させた。

②回復が早いのはなぜか?

戦いが終わって翌日、世界中にナノマシンによる回復措置の技術が流された。それは今までの医療を一新する物で、それにより回復した。

 

ここまでが、一夏がここにいて回復した事の経緯。そして次は寝ていた間のことである。

 

「……俺が寝ていた間、何が起こったとかは分かりますか?ここ、情報が出されてないような…」

 

「まぁかなり重要な施設で、入院者に余計な負荷を掛けないよう情報類の類は無いんですよ。本やゲームも、精神的負荷がかかりづらいものばかりです」

 

「あぁ、そういう……」

 

「それで、何が起こったか…でしたね?まず、貴方がここに来た事…貴方が生きていたことで世界中が歓喜しました。『俺たちは勝ったんだ』と」

 

「……………え?」

 

一夏は驚愕した。最後の戦いの前、鬼村五十冬…否高村文音。喋っていたことは一言一句とは言わないまでも大体の内容は覚えている。つまりは、そ(・)れ(・)を(・)信(・)じ(・)て(・)る(・)人(・)が(・)大(・)勢(・)い(・)る(・)と(・)い(・)う(・)事(・)な(・)の(・)だ(・)。

 

「そこからはもう激動でしたね。逆らう者は射殺、従えば命は助かる…一時的とはいえ世紀末に近い世界になっちゃいましたけど…見事にひっくり返ったんですから。おかげで私も復帰できて助かりましたよ、何せ無実の罪で辞めさせられてたんですもの」

 

「そ、それって……」

 

「えぇ!軍は従来の男だけ!女は厳しい生活中の中での発散道具!少なくとも軍はこうですね…まぁ、この病院内では健康のために『設置』されてませんが」

 

「……は……は………」

 

話を合わせるための愛想笑いだったのか、それとも絶望の笑いだったのか、それは分からない。だが…一夏は所謂『試合に勝って勝負に負けた』という状態だった。

 

「他だとそうですね…まずありとあらゆる職場での女の解雇、更に発散道具としての設置…但しその上で人(・)権(・)は(・)よ(・)り(・)確(・)固(・)た(・)る(・)物(・)に(・)な(・)り(・)ま(・)し(・)た(・)ね(・)」

 

「そ…そう、ですか……」

 

「何せ人類共通道具!まぁお金持ちは独占していたり、婚姻関係を結んでいた場合はそれがそのまま奴隷契約に変わったくらいですかね?日本だと出産は義務化される予定みたいですし、それに合わせて健康管理もきちんと維持するようにという法律が組まれましたよ」

 

「………」

 

最早一夏は頭の中に話が入ってきていなかった。ただ一つ、分かっていることは…最早世界はどうにもできない所まで来てしまっている、ということであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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side一夏

 

俺は退院し、家に帰ってきた。久しぶりの家で何も考えず整理整頓と掃除を行った。自分の中でもびっくりするほどに他人事だったのが、少し驚いていた。

世界は変わった。女尊男卑という世界観から、男一強の世界になっていた。それは、男尊女卑なんて言う可愛げのあるものじゃない。人権も、名ばかりの物であり実際はペットと同じくらいの…下手をすればそれ以下かもしれない扱いだった。

 

「━━━宅配でーす」

 

「あぁ、はい……」

 

退院して、1週間…戦いから3週間と言ったところか。大きな荷物が2つ届いた。病院の先生は俺の事を英雄だなんだと言っていたが、宅配業者の人は俺を見ても何も言わなかった。恐らく知ってる人は『都合のいい英雄』としてもてはやしてるだけだろう。『こいつは褒めたら金を出してくれる都合のいい人』くらいの感覚かもしれない。

その荷物は本当に大きかった。2つとも、業者の人が3人がかりで下ろしていた。無気力ながらも、俺は箱を開ける。そこに入っていたのは……

 

「ぁは……一夏ぁ…」

 

「一夏、さん…」

 

━━━既に正気じゃない箒とセシリアだった。幸いにもなのか皮肉にもと言うべきなのかは分からないが、汚れた様子は無い。ただ一つ、首輪が着けられておりそこには『織斑一夏』と書かれたネームプレートが取り付けられていた。

どうやら、新しい法律で個人専用の女性は勝手に使ってはならないというものがあるようだ。そして、それは届けられる際きちんと洗い出荷されるとの事である。

俺は、壊れた2人を一旦家に置いた。ご飯も出した、お風呂は言えば入ってくれた。だが……俺は以前のように彼女達を見れなくなっていた。何も感じるものは、なかった。

 

「……なぁ、英雄さんよ。あんたの家広いし…質のいいの持ってるし、ヤラせてくれよ」

 

「…………」

 

そんな生活が続いたある日、そんなことを言う男が来た。誰かは知らない。だが俺の事を英雄と呼ぶ時点で…そんなことを微塵も考えていないのだけはわかった。

俺は、ふと他人事のように思った。壊れた2人は、俺の名を呼び顔を赤らめているが………きっと、知ってる男と言うだけで迫ってるだけだろう。ならば、俺は壊れた2人の『そういった所』まで管理してやらないといけないのではないか、と。

きっと、この狂った世界に汚染されてるのだろう。出かければ女性の喘ぎ声と男の怒号。精神は摩耗し、すり減った部分に汚れた世界が溶け込んでくる。つまりは、順応してきているのだ。だから……使(・)わ(・)せ(・)て(・)し(・)ま(・)っ(・)た(・)。

 

「あ゙っ!ひぎっ!あぐっ!!」

 

「元お嬢様なんだろォ!?ほれ、親に謝りな!」

 

「あ゙ッ…!!わ゙ら、ひはぁ!!ごん、な…娘…に゙ぃ!なり、まひたぁ!もうし、わけ…ございま、せん…!!けれ、どぉ…!きもひ、いいのが…我慢、できないんれすぅ!!」

 

セシリアは髪を握られ、引っ張られながら犯されていた。舌を突き出し、胸を揺らし、光を失った目で蕩けた笑顔を浮かべていた。清楚で、時折感情を爆発させるような…そんな彼女。最早以前はどんな顔を浮かべていたかも分からない。けれどその表情から俺は…絶望から逃避した様な、そんな表情を見たような気がした。

 

「お前の姉のせいだぞ!姉を、恨むんだな!!」

 

「おらァ!まだ15だってのに、な!!」

 

「お゙ッ!お゙ぉ゙ッ!!ん゙お゙ぉ゙!!」

 

チラリと目線を動かすと、箒が犯されていた。男二人に挟まれ、二穴を犯されていた。最早言語なんて忘れて去っていると言わんばかりに、口から出される声に意味は宿っていない。獣の様な喘ぎ声を出して、ヨダレを垂らしていた。かつての凛々しい表情はどこへやら、もはや正気の宿ってない目のある表情は…全てを忘れたような蕩けた女の顔であった。

 

「………」

 

「んおおっ!はへっ!んひぃっ!!」

 

「あぐっ!あぎっ!んぐおおおおおお!!!」

 

「……散歩、行くか」

 

俺は何も考えず……いや、少しでもこの家にいたくないと思ってしまったのか?何も分からないが、そのまま出かけることとなった。フラフラと、出歩くことになった。社会は致命的な部分こそ変わったが、致命的じゃない部分は変わっていない。だから、出歩く分には何も問題はなかったのだ。

どこへ行こうか…と悩んだ末に…俺は五反田食堂へと向かった。特に何も考えていない、もしかしたら俺は糾弾して欲しかったのかもしれない。もしくは、慰めてもらいたかったのかもしれない。あの食堂は、前と変わらず…蘭が兄である弾をゲンコツしたりして過ごしているのかと……『いつも通り』を望んで、俺は向かった。

 

「…こんな遠かったかな」

 

道程は覚えている。それなのに、妙に時間がかかったような気がした。もしかしたらゆっくり歩いていたかもしれない。それら全てが気のせいなのかもしれない。そうやって歩いていった先に…五反田食堂はあった。

 

「……客は、居ないのか…?」

 

寂れているような、いつも通りのような。男がいっぱい並んでない事に安心感と、妙な違和感を覚えつつも…扉に手をかけて…中から声が聞こえてきて、開ける手を止めていた。

物音を立てないように、聞き耳を立てる。中から聞こえてきたのは…蘭の声だった。

 

「あ゙ッ…!お゙ッ…!うげッ…!」

 

「━━━反応薄くねぇか、このガキ」

 

「あぁ、兄貴目の前でやった時から反応薄いんだよ。だから今薬手配してもらってんだ」

 

「まー、それが手っ取り早いわな」

 

「………」

 

唇が震える。寒さで、では無い。吐き気と、緊張感と、不安で…だった。最早中で行われていることに、意味は無い。見ても何も無いだろう。だが、どこからともなく現れた現実味という名の手が、俺の首を閉めたかのように息ができない。

 

「ッ…!」

 

俺はその場から逃げた。蘭をその場だけで救うことは出来たかもしれない。だが、彼女はもう救われない。箒やセシリアと同じだ、もはや救われる事は無いのだ。俺は、その場で救う事も…いずれ救えたかもしれない心も…何かの理由をつけて放棄した。それが大人になるということなのか、単に諦めが着いてしまったのかは分からない。

だが、この社会が俺を順応させて言ってるのは間違いがない…というのだけは…何となくそう思えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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IS学園には、行く気が起きなかった。何故かは分からない。糾弾されたければ行けばいいのに、何故行かないのか。恐らく、上辺だけの英雄賛辞が…怖いのだろう。もしくは、されたいと言っている糾弾が怖いのだろう。俺は俺が、分からなかった。

だがあそこには残ってるものは何も無い、そう自分に言い聞かせて俺は行くことを拒んでいた。箒やセシリア達を借りに来る男達は、帰ってきた後にそれとなく追い出した。満足していたのもあったのか、何も不満無く帰ってくれた……と思いきやまた荷物が届いた。

 

「宅配でーす、また今回も大きい『荷物』なんでね。今回は3つですよ?後、なんか手紙も三通着いてるんでそれも一緒にどうぞ」

 

「……はぁ」

 

3つとも部屋に入った。俺は箱を開ける前に、手紙を開ける事にした。どうやら届いた荷物一つに付き、1通ずつ着いていたようだ。そして1通目にはこう記載されていた。

 

『元々君の所有物だと聞いたので返します、既に子が孕め無い体だし薄いけど締まりは変わらないし身長も小さいから働き手としては使えるでしょう』

 

「ぁ…一夏、らぁ…」

 

荷物の中身は恍惚とした鈴だった。腕に注射痕、首輪も着いていた。首が座ってない赤ちゃんのように、座り込むと首を拙僧なく動かしているが…『これ』に懐かしさを感じる思考は当に持ち合わせてないだろう。俺はそのまま2通目を開けた。

 

『母親の方は使わせていただきますが、妾の子ならば使い道はもうありませんのでどうぞ』

 

「えへ、えへへ……一夏…一夏ぁ……」

 

中にはシャルがいた。注射痕はなかったが、概ね同じ。最早感じるものも無い。流れは凡そ分かったが、とりあえず三通目を開ける。

 

『最早利用価値が無くなった。小さい体はそういう趣向の男に使わせて金を貰うと良い。英雄の女を使わせる、というのはそれだけで金が手に入る』

 

「ぁ…一夏…?これ、から…よろしくお願い……し、ます……」

 

ラウラ。それだけだ。

だが、一つ疑問が起こった。果たして何故いきなりここまで送られるようになったのか。箒とセシリアの時は限界だったので見ていられなかったが、改めて送り主を見てみると……

 

「……IS、学園?」

 

IS学園という明記。そして、そのまま記入されている送り主の名前を見て…俺は愕然とした。そこに書かれていたのは更識簪という名…つまり、生徒会長自らが送ってきたということになる。

 

「…………」

 

俺は、IS学園へと歩みを進めるのであった。




現在と言いつつ時間経過してしまっている。
一夏視点もまだちょっとだけ続きますし、この作品はそれよりももう少しだけ続きます

五十冬の見た目

  • 黒髪ロング、胸はない
  • 黒髪で肩までの長さ、胸はない
  • 茶髪ロング、胸はない
  • 茶髪で肩までの長さ、胸はない
  • なんでもいいけど眼鏡が欲しい
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