シャルル・デュノアに続く新たな転校生、ラウラ・ボーデヴィッヒ。ドイツからの転校生らしい彼女は、何故か織斑一夏に敵対心を向けていた。
織斑千冬の恋心、なんて茶化す言葉を使ってはいるが……些か織斑千冬に対する尊敬がすぎるのが、問題なのだろう。
さて、彼女がやって来ても変わらず授業は改めて続けられる。アリーナでのISの武器振り……とは言っても、ある程度の数さえこなせばノルマ達成の簡単なものである。もしくは時間制での交代…専用機持ち以外はあまり無理はさせられないだろうという判断なのか、チラホラとISから降りている者もいる。
私はとっくに終わらせている。だから、私は専用機持ち達の中で何故か立っていた。
「こうズバーっと!!」
「体を斜めに向けてー」
「角度ですわ!!」
「……3人とも、言ってることバラバラすぎて意味わかんなくなってるよ」
「「「わかりやすいだろう!?/でしょ!?/ですわ!!」」」
私同様にノルマをこなした篠ノ之箒、専用機持ちだからとノルマは課せられていないセシリアと凰鈴音、そしてその3人に教えられている織斑一夏。
しかし、3人とも教え方がバラバラな上に言葉だけのものなので、まったく織斑一夏は理解していなかった。私は教える気がないし、あとなんか織斑一夏とくっついて余計な問題を増やしたくない。
「さっぱりわからん!!」
「どうして!?」
「なんでよ!?」
「何故ですか!?」
「いや客観的に見なよ…」
篠ノ之箒は感覚論で語りすぎである、本人にしか伝わらない喋り方は1番OUTだ。論外。
凰鈴音は体の向きなどを身振り手振りで教えてくれているため、この中では1番理解がしやすい部類だろう。しかし、こういうのは体を動かしながらやるべきものなので言葉では結局伝わりづらいのだ。
セシリアは、角度を数字で表しながら説明していた。斜め45°なんて口で言われてもわかるわけがないと思う、私もわからない。
「一夏ー、ちょっといい?」
「ん?」
「一戦いいかな、白式と戦ってみたいんだ」
「おう、いいぜ……という訳でまた後でな」
織斑一夏に言われて、セシリア以外の2人はむくれていた。まぁ、好意を抱いているという意味では、この2人がむくれるのもわかるだろう。
「あ!見てみて!織斑君とデュノア君がやるみたいよ!!」
おっと、流石にアリーナ内で行われることはバレやすいのかこの中にいる生徒達の殆どが反応していた。
そして、2人の戦いを見守るために全員が緊迫してみていた。
「……それにしても、デュノア君の専用機って…あれってフランスの量産型じゃないの?専用機って、量産型であっても専用機扱いになるの?」
「まぁ、彼の使っているものはオリジナルでカスタムされていますわ。元々第三世代のISも相手にできるものですから、あのISも私達のものと同じくらいの性能と考えてよろしいですわ」
シャルル・デュノアの専用機は、フランスの量産型IS『ラファール・リヴァイブ』のカスタム機である。彼の色に合わせてなのか、機体の色はオレンジとなっており所々違うところもある。
ただ見た目を変えただけではないだろう、未だISに乗りなれていないとはいえ、専用機である白式に乗った織斑一夏を相手にする気なのだ。
「行くよ!」
「おう!」
そして、2人は戦いを始める。まず最初に織斑一夏がけしかける。まぁ、白式の装備は零落白夜しかないので近づかなければならないのだが……しかし、遠距離武装の一つも積んでいないのに織斑千冬はどうやってこれで頂点に登り詰めたのだろうか。
「くっ…!」
「デュノア君は銃をよく使うね」
「けれど、私とは戦い方がまるで違いますわね。まぁ機体が違うのですから、当たり前の話なのですけど」
シャルル・デュノアの戦い方は、装備をガンガン変えていくスタイルである。とは言っても、今使っているのは距離を取るための銃撃がメインだが。
それでも、器用に小回りを利かせていきながら織斑一夏の背後を取っていく。スナイパーライフルまで使いこなせるというのは、あまりにも器用貧乏すぎる機体ではないだろうか?セシリアのブルー・ティアーズと比べると、恐らく装備の使いこなす腕は彼の方が上だと思われる。
「あぁもう、一夏さんは馬鹿正直に相手し過ぎですわ…!」
「そうだねぇ、銃撃を前にエネルギーシールドしか使ってないし」
あんな戦い方は、直ぐにエネルギーが尽きてしまうだろう。そしてまぁ、そんな予想をした直後に織斑一夏は落とされていた。
「にしても、セシリアは随分と熱心に織斑君にISの動かし方を教えるんだね」
「まぁ、専用機持ちとなったからには少なくとも1組の専用機持ちが馬鹿にされないように……もとい、一夏さんが馬鹿にされないようにする為ですわ」
「この学校で、馬鹿にされる……」
「どうしたのですか?」
「ううん、なんでもないよ」
なんてことは無い。今のところ織斑一夏とシャルル・デュノアの二人しかいない男子で、それ以外が女子というこの状況。織斑一夏が馬鹿にされた場合、同じ専用機持ちかつ男子のシャルル・デュノアが比較対象に挙げられるだろう。
そして、比較対象にされた挙句ひたすらにこき下ろされて、卑下されて、馬鹿にされる。1年の頃の高校でそんな失敗をしてみろ、死にたくなる。
そんな悲惨なことになる訳には行かないだろう……織斑一夏がそこまで考えているかどうかは不明だが。
「さて、2人のいるところまで行こっか。篠ノ之さんと凰さんも向かったことだし」
「そうですわね」
私に連れていかれて、セシリアと共に私達はシャルル・デュノアと織斑一夏の2人がいるところに向かうのであった。
「いやぁ、シャルルの教え方はわかりやすいなぁ!」
どうにも、同じ男子だからなのか…それとも単純に教え方がうまいのかはわからないが、織斑一夏は彼の教え方でかなり納得していた。
「そう言えばさ、織斑君ってセシリアやデュノア君みたいに銃火器使えないんだっけ?」
「スロットが空いてないみたいでさ」
「うーん、多分ワンオフアビリティで埋まっちゃってるんだね」
「ワンオフ…?」
「ワンオフアビリティ……確かISに備わってる機能だよね。機体ごとに違うとかなんとか……ISと搭乗者が最高状態になった時に発動する…だっけ」
「そうそう、白式の場合は零落白夜だね」
零落白夜。過去に織斑千冬が使っていたISのワンオフアビリティと同じ性質のもの。その力は、ISのエネルギーを装備に回すことでバリアすらも貫通する力を発揮できる代物である。
しかし、エネルギーの大半を食うために直ぐにエネルギーが切れてしまうのがデメリットなのだが……
「うーん…いくら姉弟といっても同じものが使えるはずないんだけどな…」
「まぁ、それは今考えても仕方がないと思うよ」
「……そうだねぇ、とりあえず一夏は銃にもっと慣れるべきだよ。ちょっと特訓しよっか」
そう言って、一度ISを展開してから再びアリーナのグラウンドに降りる男子二人。
私もその場に降りて、経過を見ていくことにする。
「はい、僕の装備使ってみて」
「え、でもほかのISの装備って使えないんじゃなかったか?」
「普通はね、でも所持者がアンロックしたら登録してる人なら誰だって使うことができるようになるんだよ」
「便利機能だよね、織斑君は凰さんのも登録しておいたらいいんじゃない?」
「まぁ、それはそれだな」
織斑一夏は、シャルル・デュノアのライフルを受け取る。そもそも構えから素人なので、まずはそこから教えることになっていたのだが……どうにも密着度がある。
シャルル・デュノアがカワイイ系の顔をしているためか、どうにも変な妄想をする人もいるだろう。
「ねぇ、あの二人……」
「ちょっと仲が良過ぎないか…!?」
例えば、後ろにいるツインテールとポニーテールの幼なじみーズがいい例である。
しかし、教え方はこれの方がかなりわかりやすいのか……織斑一夏はシャルル・デュノアの助けありとはいえ、次々に出てくる的の真ん中よりやや右上ばかりに命中していく。命中精度はかなり高くなっていた、これを覚えれれば、織斑一夏はかなり成長することが出来るだろう。
「ねぇ!あれ見て!」
「ほぇ?」
突如騒ぎ出す他の生徒達。彼女達の視線の先を辿っていくと、そこには自らの専用機に身を包んでいるラウラ・ボーデヴィッヒがいた。
型は……ドイツの第三世代、まだロールアウトしたばかりという話だが、彼女の分だけは完成させていたようだ。
「にしても真っ黒だなぁ…」
「━━━織斑一夏、貴様も専用機持ちだそうだな?ならば話が早い…私と勝負をしろ」
「…嫌だ、俺にはお前と戦う理由なんてない」
「貴様にはなくとも、私にはある」
そして、これである。織斑一夏という存在が、どうにも彼女にとっては余程憎いものらしい。彼を睨むその目にあるものが、私はどうにも殺意しか感じとれなかった。
「別に今じゃなくていいだろ?もうすぐクラスリーグマッチだ、その時でもいいじゃないか」
「……そうか、なら━━━」
そう言うと、ラウラ・ボーデヴィッヒは自身の機体の砲塔を織斑一夏に向ける。そして、有無を言わさず砲撃を放つ。
「んなっ!?」
そこを、シャルル・デュノアが入り込みガードする…が、かなりでかい薬莢が落ちてきた。下手にあれが当たっていれば、織斑一夏は良くて病院送りが関の山だろう。
「ドイツの人は、随分と沸点が低いんだね」
シャルル・デュノアはそう言いながら、自分の装備を構える。織斑一夏を守るためだろうが、それは悪手である。
「フランスの第2世代型量産機如きで、私の前にたちはだかるとはな」
「未だに量産の目処が立たない、ドイツの第三世代型よりはマシだと思うけどね」
睨み合う黒と朱……しかし、そんな睨み合いも直ぐに終わらせられる。
『そこの生徒!何をやっている!!』
教師からの放送だ。アリーナの様子は常に見られているので、問題が発生すれば直ぐに確認が取れる。
これ以上問題を起こす訳にはいかないと理解出来たのか、ラウラ・ボーデヴィッヒは短く息をついてその殺意をの矛を収めていた。
「ふん…今日はここまでにしておいてやろう」
ISを待機状態にして、ラウラはそのままアリーナから出ていく。授業を受けろ……とは思うが、どうせあとから織斑千冬の強烈なお叱りを受けることになるだろう。同情はしないが。
「……おい、そこの貴様」
「…何かな?ボーデヴィッヒさん」
「何者だ?」
本日の授業も終わり、色々あって夜になってから寮に戻っている私。その道中に何故かラウラ・ボーデヴィッヒと出会ってしまった……というか、多分探されていたっぽい。めっちゃ殺意向けてくるし。
というか、凰鈴音にも同じこと聞かれたけど……私ってわかりやすいのかもしれない。気をつけていたつもりだったが…
「…ちょっと体が鉄に頼らないと生きていけない、一応ただの高校生だけど?」
「そうか…」
「IS、展開したらダメだよ?アリーナならともかく…ここで使うのは、さすがにドイツ軍そのものの品位を下げかねないけど?」
「ふん、貴様の様な者に使って咎められるくらいなら…」
どうやら私を殺すことは躊躇しないらしい。だが、何故織斑一夏にあれだけ執心しておきながら、私を狙おうとするのか。
「貴様も教官に害を成すのなら、私が殺すつもりだ」
「害って……何でそうなったのかな」
「貴様は、外面は取り繕えるが……
「へぇ」
「もう一度聞こう、何が目的だ?」
「……ここで織斑先生に手を出さない、って言って貴方は信じるの?」
「信じる価値があるかどうか、決めるのは私だ」
つまり、私を信じる気はサラサラないということである。ここで正直に言っても、撃たれて私の人生はTheEND…流石に、ISの銃火器の一撃をかわせるほどに私は強くないのだ。
「それさ、仮に私が本当の事言ったとして…私と貴方にメリットはある?それで、あなたが私を襲うことに……メリットはあるの?」
「教官を守れること……それが私の唯一にして無二のメリットだ」
駄目だこいつ、まるっきり話を聞きゃしない。バカでも、もう少しまともな案を出すだろう。
さて、どうしたものか……ここではどう足掻いても殺されかねない。織斑一夏に対しては、織斑千冬の存在もあってか殺す気は無いようだが……私は殺しても問題ないと思われているらしい。
ここで殺されるのは勘弁だが……
夜も更けたIS学園、私はラウラ・ボーデヴィッヒを目の前にして…自分が殺されないためにどんな言い訳をするかを、考えるのであった。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい