こんにちは、鬼村五十冬です。今私、ホームルームの途中なんですが…その、教室のみんなと一緒に唖然とした表情でした。
まぁ、簡単な理由説明……というよりこの状況をすぐに山田先生が説明してくれるだろう。
「……え、えーっと…本日からこのクラスに転入生が入ります…」
「シャルロット・デュノアです、皆さん改めてこれからもよろしくお願いします」
私はこの瞬間、『やられた』と判断した。というのもシャルル・デュノア……いや、シャルロット・デュノアが今まで男だと言うことを嘘にして、本当の性別である『女性』をさらけ出したのだ。
こちらの持っている情報の『偽った性別』は、既に使い物にならなくなった。恐らく、あの日の晩に織斑一夏がなにか提案したか…それともなにか思いついたかしたのだろうが……しかし、随分と思い切った作戦に出たものだ。
「なーんかおかしいと思ってたのよねぇ」
「あれ…?でもちょっと待って?」
「昨日、確か男子は大浴場に入ってたわよね!?」
そして、教室は荒れ始める。当たり前だろう、先程他の生徒が言った通り昨日は男子の大浴場がオープンした日なのだ。そして、昨日までの時点で男子は2人、そして相部屋……分かれて入るはずがない。
そして、同じ部屋だった織斑一夏が彼女のことを女だと知らなかったという可能性も低い。つまり━━━
「一夏ァ!!」
「鈴!?」
壁を壊して、凰鈴音が1組に入ってきた。いや、壁ではなくて律儀に教室のドアを壁ごと破壊していた。無論、ISで。
理由は明白、織斑一夏がシャルロット・デュノアと大浴場に入ったからだろう。
「死ねッッッッ!!」
「待て待て待て!本当に死ぬ!!」
暴れることも、織斑一夏を殺すのも別に構わないのだが、ここでISを使うのは辞めて欲しい。瓦礫の破片が辛い。かわすのが面倒。
凰鈴音は、織斑一夏に向けて龍砲を放つ。不可視の一撃だが、その攻撃は織斑一夏には届かなかった。
「……あれ?死んでない?」
「……」
おや、ラウラが守っていたようだ。珍しい……どうやら、AICを使って龍砲の慣性を止めたようだ。ほかの物理兵器とは違って、落ちることも無い攻撃なので問題がなかったようだった。
「助かったぜラウラ、危うく死ぬところだっんむっ…」
「えっ」
つい変な声が出てしまった。というのも、今目の前でラウラが織斑一夏に対してキスをしたのだ。何だ、なんなんだ今日は……あまりにも情報量が多すぎる。シャルロット・デュノアについて考えたかったのに、ラウラのキスシーンのせいで新しい問題が浮かび上がってしまったように思えたぞ。
「ぷはっ……お、お前は今から私の嫁だ!異論は認めない!!」
「えっ?」
「「「ええーっ!?!!!」」」
クラスの私を除いたほぼ全員の女生徒の叫び声が響き渡る。まぁ、うん…いくらなんでも変わりすぎだろ。なぜつい昨日まで嫌っていた相手に対して、『嫁』だと言えたのか。
そもそも嫁なのはお前だろうとか、じゃあお前はなんなんだとか…色々言いたいことはあるが…心の中ではこう呟いておこう。『調子乗んな』と。
いや、別に織斑一夏にキスをしたから怒っているのではない。なぜ、今更青春をしようとしてるのかという話である。前に脅していた私が馬鹿みたいじゃないか。
「……嫁って…」
「……おい」
「ひっ…」
私がラウラに対して呆れていると、後ろから修羅の声がした。当たり前だが、織斑千冬の声である。何故今私は修羅と例えたのか?つまりはそれだけ怒っているということなのだが、その理由としては主な理由が3つほど私はあげることが出来る。
1つは、教室の破壊。当たり前だ、そんなことをして怒らない教師は恐らく怒りの感情をどこかに捨ててきてしまっているだろう。
2つ目、今がホームルームだということ。既に前にもホームルームギリギリの時間までいた事を怒られているため、これもまた当たり前の話である。
3つ目、弟である織斑一夏に手を出したこと。彼女は恐らくブラコンである。そうでなくとも、たった一人の身内に手を出されることは怒り心頭である。
「全部凰さんがやりました」
「よし、覚悟しろ」
「ま、待って織斑先━━━」
直後、凡そ生徒名簿から鳴るはずのないような轟音が響き渡ってきた。今凰鈴音を売ったのは私だが、今売らなければ面倒臭いことに時間を取られるのはわかり切っていることである。
私は、本当に無駄だと思うことに時間をかけるほど……バカではない。
「山田先生、今からこのバカを連れていくのですみませんがホームルームをお願いします。
それと鬼村、少しついてこい」
「え、今ですか?」
「あぁ、何用事はすぐ終わる……渡したいものがあってな」
セシリアが言っていたことだろうか?渡したいもの……何だろうか?私の専用機!なわけないか……しかし、前に壊した打鉄の件が関わっているような気がしなくもないが……さて、どうなるやら。
「これだ」
「……IS、ですよねこれ。白いけど…打鉄…ですよね、これ」
私はとある格納庫に連れていかれた。そして、目の前にあるのは白い打鉄…のような機体。白式ほど装備が充実しているようには思えないが、しかし確かに少し装備が増えた打鉄といった印象を抱くものだった。
「あぁ、実はな…少し説明するには色々な事情があるんだ」
「色々な事情、ですか?」
「トーナメント1回戦、ボーデヴィッヒが暴走した時にお前は遠慮なくあの時のボーデヴィッヒのISの腕を切っていたな。
その時の移動速度と、小回り…遠慮なくそして正確に切ったその腕が見込まれて、壊れた打鉄を元にカスタム機を作ろうという話になった」
「それで、この機体が?」
まぁたしかに、あの時の私はかなり遠慮なく切り飛ばしていた。自分に絶対の自信があった訳じゃなくて、ただ腕が切れてもよかっただけなのだが。
「あぁ…そして、その動きの対象として白式をモチーフにする事になった。それがこの機体が白い理由だ」
「色塗っただけで白式モチーフ……なわけないですよね」
「あぁ、流石に零落白夜を再現するのは難しという判断になってな。代わりに速度を増して、無理矢理攻撃力を上げるという選択肢になったらしい」
作ったやつの頭の中が見てみたい。確かに慣性的な話をするんだったら、豆腐で人が殺せるように速度を上げて攻撃力を上げるのは間違いではない。ただ搭乗者の事を考えろよ、どんだけGがかかると思ってんだ。
「……えぇっと、おこがましいようですけど…つまりこの機体は私の専用機…って事ですか?」
「大まかに言えばな」
「……大まか?」
「腹が立つ話だが、このISは並の人間に使いこなせる代物じゃない。操作が難しいと言うより、ただただ安定していないんだ」
話を聞いている限りそうだろう。なぜ速度に振れて攻撃力には触れなかったのか?しかも直線的な移動しか出来ないのではないだろうか、その理論だと。
「専用機、と言えば聞こえはいい……だが…これは『実験機』だ。白式や他の専用機のテストをするために生み出された、と言えばわかりやすいか」
なるほど、それは確かに実験機だ。私は公式的にモルモットにされたということになる。だが、それを断る権利は私にも…ましてや本人でもない織斑千冬にはないだろう。
「…因みに、乗らなかったらどうなります?」
「弁償、だそうだ」
あー、どうしよう。今私ものすごくイラッときた。誰だよこれを勝手に作ったやつ。Sに頼んで亡国企業でそいつ潰してやろうか?
まぁ、今更言ったところで仕方ないだろう。私に渡されたのだというのならば、私はこれを使っていくとしよう……あくまでも表向きは、だが。
「…それと、この機体に関してまだ注意事項が残っている」
「注意事項…?」
「……これに乗る、鬼村五十冬。彼女本人が使いこなせるように調節された『ものでは無い』という事だ」
「……そりゃまた、随分と…」
打鉄1つおしゃかにされたのが、そんなに腹が立ったのだろうか?いや、さすがに自分の作ったものを破壊されたら怒るか…にしてもまさか、代償が動く棺桶だとは思いもよらなかった。
「……別に、これに乗らなくてもいいんだぞ?」
「…いえ、乗りますよ」
「………いいのか?」
「心配してくれてありがとうございます、けど渡されたものですし…破壊しちゃったのは私ですから、私がケジメをつけないといけないんです」
まぁこの機体があって、役に立つことが何かあるのかもしれない…他のISを進化させる実験機だとしても、自動的に私本来のISの武装が増えていく可能性があるのなら、乗っても損は少ないだろう。そう思いたい、そう思わなければキレそう。
「因みに、名前はあるんですか?」
「……聞きたいのか?」
「聞かないと駄目じゃないですか」
「……サクリファイス、だそうだ」
凄い。何がすごいかって、和訳で生贄って直訳にも程があるだろう。本気で私を人柱に捧げる気らしいな、これを作った人物は。
「まぁ、いいんじゃないですか?長い名前よりもわかりやすい」
「……そうか、お前がそう言うなら…」
「私は大丈夫ですよ〜」
「……それと、この機体を持った以上IS学園としては、専用機持ちと変わらない扱いをすることになる。1つの国に属していない以上、あちらほどの強制力はないが出来る限り、こちらから出された指示に従ってもらう必要性がある」
「なるほど……わかりました」
これを持ってしまった以上、私は劣化専用機持ちと言うことになる。その分、IS学園に縛られてしまうが……仕方ないだろう。借金は別に怖くはないが、無駄にスパイとか差し向けられても困る。
「…あぁそうだ、後で専用機持ちの奴らに言ってほしいことがある。凰からは、私が伝えておくが……」
「なんですか?」
「臨海合宿だ、水着を買っておけ……文不相応な奴をな」
文不相応とはなんだろうか、まるで私の胸が小さいとでも言いたいのだろうな。馬鹿にするな、これでも凰鈴音以上のものは持っているのだ。篠ノ之箒?あれは規格外だ、関係ない。山田先生?そんなおっぱいおばけは知らない。
「わかりました、伝えておきます」
「それと、織斑にもう一つ伝えておいてくれ」
「へ?」
「荒れるような真似はするな、とな」
なるほど、恐らく1人で出歩くな…などと言ったことだろう。彼は世界で唯一のIS乗りの男性である。他の企業や、その他の男性から疎まれている事も多いだろう。
ましてや、あの性格だ。絶対に殺られる。と、私は世界で唯一の織斑一夏を関連でふと思い出したことがあった。
「そう言えば、これを聞くのってマナー違反だと思うんですけど…」
「何だ?」
「デュノアさんが女性だということ、世間にバレてるんですか?」
「……そうだな、あれが本格的にバレてしまうとデュノア社の信用問題となるだろう……」
「……幾らIS学園があらゆる国の法に縛られないといっても、デュノア社から何か言われると思うんですが…」
「そういった事を、大人は汚く解決するもんだ」
「…汚く?」
これ以上聞くのは、恐らくダメな事なのだろう。デュノア社の一切の不利益にならない方法が、あったのだろう。
私はこれ以上聞くのをやめて、織斑千冬に挨拶をしてから教室に帰っていく。
シャルロット・デュノアが、自分のことを女だとばらした事によって、私が彼女を脅すことは出来なくなってしまった。そこをなんとかするために思考をしながら、私は考えを張りめぐらせるのであった。
五十冬ちゃん、カウンターを食らう
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい