裏路地も裏路地、真昼間だと言うのに薄暗く…明かりを好まないような人がいそうな場所。まともな人ならばここを通るような真似はしないし、例えまともじゃない人がいても本格的にまともじゃない限りはそこの店を使おうとも思わない。
入れば最後、蛇に睨まれたカエルが如く動けなくなってまるで餌のように食べられてしまうことだろう。
そんな所を、警察が見逃すわけないって?それが見逃す……いや、見逃されているのだ。女尊男卑のこの世界において、そういった場所は見逃されるようになってきた。何故か?例えこの世界であっても、弱い立場の女性はただ弱いのだ。そして、男性の鬱憤が貯まりやすいこの世界では、そういった女性は酷い捌け口にされる。それを、警察は黙認しているのだ。何せ、このご時世において警察は男所帯が多いことこの上ない。女性は、IS関係の仕事に着くことが多い。そうするだけで世界の勝ち組なのだから当たり前である。
さて、本題に戻ろう。そんな男所帯になった警察が敢えて見逃してくれるような場所に、私はラウラと共にやってきていた。本来、うら若き女子高生がこんな所に来ていたら、速攻で慰み者にされてしまうが…なんと、私は顔パスなのである。凄いね私…絶対羨ましくなれないけど。
「やぁ久しぶり……その子が例の?」
「うん、私が紹介する子だよ…本名じゃなくて、ここでは品名で呼んであげてね」
「そうだったね…黒兎ちゃん、君は今日からここで働くんだ」
「っ…こんな、ところで…?」
「別にいいよ?逃げ出したりこの店を通報したりしても。けどね、世の中には国や司法なんて怖くない……なんて人達もいるんだ。抵抗するのはよくないと思うけどね?」
「まぁ男の真実より女の嘘を尊重する国だからね……ま、そんな事になったらネットに写真を上げるだけだよ」
店長は、逮捕されることを恐れてはいない。面倒だと思っているし、自分が国に反しているなんて事も考えているが、それでも止めない。彼は女という性別の人間は、道具だとしか思っていないのだから。
例外としては、私くらいのもんだ。いや、正確には『自分のことを女だと言うだけで自尊心がある女』が主な対象なだけだろうか。
「やるねぇ…えっと、五十冬ちゃん。」
「呼びづらかったら本名か…品名の時でもいいよ?」
「いやいや、もう品名で呼ぶ必要も無いでしょ?それに、今君が名乗ってる名前でいいんだよ……だって君を応援してる1人だしね俺は」
この店長、まるで小学生に世界の命運を左右させるホビー漫画の大人のようなことを言っているが、これでも私の応援を本気でしてくれている人である。
この人はこの店があるので、別に文句はない。
「じゃあまずはこの子の『研修』だね」
「薬なるべくやらないでくださいね、跡残ると面倒なんでやるとしても粉か液体の方で」
「はいはい、わかったよ。身長胸ともに小さいから……そっちの趣味の方に回そうか」
「あ、そう言えば私いた頃の人って何人残ってます?」
「殆ど売られちゃったよ〜ま、このご時世で足がつかないようにしてくれる人多いからね、よかったよかった」
なるほど、どうやら私が働いていた頃の人達は皆どこかに売られてしまったようだ。ある意味、売られなかった私は余程運が良かったらしい。まぁ、そのおかげで亡国企業に入れたのだから良しとしよう。
「…私働いていた頃のお得意さんってどうなりました?」
「あー…1人亡くなったよ。よく来てくれた組のお頭さんが1人ね…」
「あー…私も葬儀行ってあげれたらなぁ…」
「可愛がってもらえたもんねぇ…よし、着いたよ」
他愛もない話をしながら、私達はとある部屋にたどり着いた。ここが研修場所なのだが、傍から見たら拷問部屋に見えるだろう。
赤く点った怪しいライト、赤い蝋燭に鞭、縄や三角木馬にその他調教道具達である。
「な、何だこの部屋は…」
「ん?さっさとこの店に馴染んでもらわないといけないからね。俺が調教してやることに来てたんだ」
「うわぁ、これは壊されるねぇ……でも頑張ってねぇ、黒兎ちゃん」
私はそれだけ言って、一旦部屋から出る。邪魔になってはいけないからである。ま、1時間もしたら完全に心を折られるだろうから……それまで店の中を見て回っても良いだろう。
時間が経ってから、再び私は店長の部屋を訪れていた。しかし、そこからは一切の物音がしなくなっており首をかしげている状態になっていた。
「あれぇ?そんな所でどうしたの」
「店長知りません?」
「店長?さっき入った新人ちゃんを連れて、外に出たのを見たよ?」
「えぇ…?外?私の時そんなことしなかったのに……?」
「なんかあの子めっちゃ気に入られてたよ?『徹底的に壊したい』とか言ってたし」
あ、そっち方面で気に入られてたのね……となると、そこら辺のホームレスとかに輪姦させてるとかかな?店長、テンションあがると優しさに振り切れるか、サディストに振り切れるかの2択だしなぁ……あの人二重人格な気がしてきた。
「ありがとうございます、じゃあ見に行ってきます」
伝えてくれた人にお礼だけを伝えて、私は外に出る。裏路地と言っても、1周することにそこまで時間はかからないだろうし……行ってみよう。
そう思ってドアを開けたら……直ぐに声が聞こえてきた。どうやら、すぐ近くでパーティは行われているようだった。
「あれ、どしたの?こんなところなんかに来て」
「いや、店長探してたら声聞こえてきたんで」
「あ、探してたんだ…どしたの?」
「いやいや、この子の話ですよ」
私達は、傍らでラウラが輪姦されているのを尻目にしながら話し合っていた。こうやっている以上、なにか匂い消しのようなものは無償でしてくれるだろう。まぁ、私としては周りに怯えて1人で暮らすラウラも見てみたいところだが。
「にしても…晩までには解放してくださいよ?こっち寮ぐらしなんでバレると、この子連れて来にくくなります」
「分かってるって、それを条件でこの人らに犯させてんだし」
ケラケラと笑う店長。まぁ、夏休みとかにでもなれば彼女をしばらくここに通わせることも出来るのかもしれない。そうなったら、行方不明を簡単に偽装できたり…なんて。さすがにそこまで上手くいったら後が怖いしね、やる事は慎重に慎重に。
「う、ぶぅぇ……」
「あれ、潰れかけてません?」
「えー、体力に自信あるんじゃなかったの?」
「うーん、私はあると思ってたんですけどねぇ…精神ダメージそこまででかかったのかな」
「好きな人に処女を捧げられなかったからとか?」
「そんな殊勝な性格してないと思いますけどね」
意外に乙女な性格…なんて、まぁ無いこともないだろうが。この女が自分の処女を気にしているとは、あまり考えつかない。
そんなことを気にするくらいなら、如何に自分が織斑千冬に貢献できるかとかを考えるはずだ。まぁ、仮に異性に惚れているとするなら……それはそれで面白いことになっているので良しとしよう。
「おい、そっちの嬢ちゃんも混ざってくれよォ」
「あー、ごめんなさい私硬い方なんで」
「こんな所にいる時点で、軽い方だろうよォ」
私の身持ちは特に固くないのは事実である。ただ体が鉄のように硬いと言うだけなので、あまりオススメしない肉体とも言える。できない訳では無い、鉄のせいでかなり重いのだ私は。
「まぁまぁ、この子にも事情があるんで我慢してください」
「ちっ、まぁいいけどよォ……代わりに別の子用意してくれよォ」
「別の子……」
店長、そこで私をちらっと見るのやめて欲しいんですけど?あぁいや、しょうがないか……まぁ私のせいでこうなってんだから、そりゃあ私に期待するよねぇ……それも、IS学園にいるんだからとびきり可愛かったり美人だったり……要求されているのだろう。
「はいはい、今度それらしい子連れてきますよ」
「うん、ありがとう〜」
とは言ったものの、どうやって連れてくるべきか…他に連れて来れそうな奴がいたかどうか、よく覚えていない。最悪専用機持ち以外にも手を出して行く必要があるのだろう。
まぁ、なるべく1組以外の方がいいかな……じゃないと、1組ばかり標的にされてたら犯人ということがバレる可能性だってあるし。それに、ラウラが奇跡的だっただけで、基本的に別室の人を堕とすのは容易ではないのだ。
まぁ、コネを失わない為にも頑張るしかないのだろう……ひたすらに面倒な話ではあるが…
「どんな子欲しいですかー?」
「美人なら、誰でもいいんだけどね」
なら適当なのを数人見繕うとしよう。はっきり言って、とんでもなく難しい話なのだが…1人ずつなら、長期間かければなんとか連れてこれるだろう。それに、何人もいきなり持ってこられても困る…と思いたい。
となると━━━
「━━━なぁに、デュノアさん?いきなり私を屋上に呼び出すなんて」
「ねぇ……君、2人に何してるの?」
「…2人?なんの事?」
「とぼけないで、セシリアとラウラの事だよ」
「セシリア…?それに、ボーデヴィッヒさん……?なんですかいきなり」
ラウラをあのお店に落としてから、初めての学校。翌日すぐに、シャルロット・デュノアから呼び出しをくらった。わざわざ、二人きりに自らがなってくれた。
「……あくまでもとぼける気?」
「そもそも、貴方が何を言っているのか私には理解ができない。正確に、きちんと情報は伝えるべきでしょ?」
「…なら、率直に言わせてもらう。あの二人に、いかがわしい事させているでしょ」
ここで『いかがわしい事ってなんですかぁ?』なんて言えば、私の頭が彼女のISの武装によってザクロと化すだろう。
ここは、おどけない程度に話を続けていこう。
「……えっと、だから?それが今ここに私を呼ぶ理由になるの?」
「なるよ、少なくとも…対抗戦で見た限り君は僕…いや、僕達IS乗りの敵だ。そうなったら、国すらも敵に回してることになる。個人がやっていい範疇を既に超えてるんだよ?分かってるの?」
「……」
「このことが公になれば、日本は孤立する。イギリスとドイツの代表に、いかがわしい事を強制させてたなんて言われた暁には…」
「━━━で?」
「…え?」
何故か向こうが心底驚いたような顔をしていた。まぁ、普通なら自国が世界から孤立するなんて事を望むのは、有り得ない話ではある。しかし私はそんな事どうでもいいし、知ったこっちゃない。
親が巻き込まれるのは……まぁ、思うところはあるけど。そう考えられるのは、怖れてるからなのだろうか。
「に、日本が攻撃されるかもしれないんだよ…!?」
「私には関係ないよ…って言ったら貴方はどう思う?」
「……少なくとも、君は日本人に見える。まさかと思うけど…国家レベルでのテロリスト、だなんて答えには辿り着かないよね?」
「さて……どうでしょう?」
「…いいよ、そこまで誤魔化すなら…実力行使をするだけ」
「ふふ、IS学園の中でぶっぱなす気?」
「必要とあればね……僕が何の証拠もなしにこんな事するとでも?」
なるほど、確かに彼女はそこら辺のアホとは違う。用意周到準備万端、そして何より他人を欺けるほどには彼女は嘘が得意だ。そんな彼女を、周りは問答無用で信じていた。
「録音、してるんでしょう?」
「……」
「だったら、それをそのまま先生に提出すればいいよ」
「え…?」
「私、無実で終わるって分かってるしね」
「……」
彼女の顔が懸念の表情となっていた。それに染まるのは、彼女自身が私が自信満々なことに不安を感じたからだ。『自分の証拠をくつがえせる何かがあるのではないか?』と。
「……何を知ってるの?言っておくけど、僕が女の子って事を世間にバラす程度じゃ━━━」
「白式」
「っ!?」
「大方、男装していたのはあれが目的なんでしょ?男でも動かせるIS、もしくは男のIS乗りの専用機…どちらにしても前例のないものだから、それの情報を奪って来いって」
「そんな、どこで…」
大方の予想だったけど、肝心の部分はカマをかけさせてもらいました。けどこの感じだと当たってたみたい。
なら、ここからの揺さぶりも出来そうだ。言葉を慎重にしていこう。
「要するにさ…スパイだよね?」
「それは…」
「如何なる国家にも属さない…なるほど、この校則なら実家からの催促とかも無視できる。けど…スパイなら話は別だよね?如何なる国家にも属さない、そう入っても国家機密である白式の情報を盗もうとしてる」
「僕はそんな事!!」
「織斑君にはそういったんだろうね。彼なら、簡単に信じたのも理解できる……けど私はそうは思わない、貴方がスパイの可能性だってある」
「だったら、君がそういうことを言う前に僕がバラせば…!」
「私はバラされてもいいよ?だって、何ら痛くないしね…」
実際、バレたらそのまま亡国機業にとんずらである。私にデメリットはあるのだろうか?いや、恐らく無いだろう。
「っ……」
「けどね、私は心優しいから許してあげる……その代わり、ひとつ賭けをしない?」
「…君がこの場で有利なのに?」
「うん…単純明快…デュノアさんが私と戦えばいいんだよ。私が指定した時間にね…勝てば私は全部吐いてあげる……けど負けたら、織斑君の大事な人が…いなくなっちゃうかもね?」
「っ!?そんな勝負、乗るわけ…」
「乗らなかったら乗らないでいいよ…別に私はあの二人を盾にしてるわけじゃないし」
冷酷かつ真面目な顔で伝える。下唇を噛んでいたが、早く答えを決めて欲しい。
「…その間、僕は黙っておけばいいの?」
「ううん?セシリアとラウラ……2人が何をしてるか、見てきて欲しいんだ。あ、言われたら混ざってもいいよ?勿論黙っててもらうのが前提だけどね?どうする?」
セシリアとラウラを捨て、残り全員の安全を取るか…リスクを取って私の賭けにのって博打に出るか。
後者は、一切の確信がない。しかし彼女が取るのは━━━
「賭けに、乗るよ…」
前者である。心優しいデュノアちゃんは、セシリアとラウラも救うと決めたのだろう。
「うん!なら、最初の戦いは…林間合宿のどこかで、しようと思ってるよ。実に楽しい戦いにしようね」
ニッコリと微笑む私。さて…ラウラとセシリアはそれまで理性を保っていられるだろうか?どっちでもいいが、もしかしたらかなりスピードが貢献できるかも…しれないね。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい