私達が紅椿でてんやわんやする約2時間ほど前、ハワイ沖で実験稼働中だった第三世代型IS、
私達は、銀の福音の対策会議を開くことになった。が、既に答えは決まっている。
「そんな速度を出すISが、その上硬いときた。織斑君の零落白夜と、私のサクリファイスの速度があればいいと思うよ」
「それが一番手っ取り早いかもね」
私のサクリファイスなら、速度にしかまともなことが出来ないこの、クソみたいなISなら織斑一夏を乗せたままでもとんでもない速度で動くことが出来る。直線的な動きしか出来ないのが難点だが、しかしそれもある程度のところで織斑一夏を投げ、その勢いのまま零落白夜で切り裂けば一瞬で終わる。
「私が織斑君を打ち出した後と、織斑君が零落白夜打った後……私達は海に投げ飛ばされる形になるかもしれないから、回収よろしく」
宜しくなんて言ったが、ぶっちゃけ下手をすれば死ぬ案件だ。世界には慣性というものが働いている。それが働いている限りは、ISが解けた瞬間に私達は凄まじい速度で打たれなければならない。生身になった瞬間、体がバラバラになりそうなものだが。
「では、それで行こう。サポートに、ボーデヴィッヒとデュノアの二人が着いてくれ」
「わかりました」
「了解」
そして、私たちの中でも安定した速度かつ速さが両立されている2人が、私たちの回収や軌道修正などを行うようだった。残念ながら、凰鈴音とセシリアは今回相手としては全くと言っていいほど向いていないので今回はお休みである。
「待ってよちーちゃん!」
…話し合いも決まっていたというのに、突然天井から篠ノ之束が顔を出した。この女、あそこに放置してきたというのにどうやってここまで来たのだろうか?暇なのか?帰れ。
「なんだ騒々しい…」
「いいから聞いてよー!紅椿なら、いっくんを危険な目に遭わせずに済むよ!」
「何?」
ちっ、こいつ織斑一夏の安全を出してきやがった。唯一の身内である織斑一夏には激甘の織斑千冬、当然弟が怪我をしなくていいと言われたのであれば、その話を聞くだろう。
私は聞きたくないし、さっさと作戦始めたいし……で、色々と複雑なのだ。
「どういうことだ束」
「どうもこうもないよ、こういう時こそ断然紅椿の出番なんだよ!」
「……説明しろ」
えぇ……数少ない私の出番取るのやめてくれませんかね……まぁ今回は、紅椿の対IS性能を把握出来るチャンスと考えたらまた別なのかな……
何故か外に出ていた。まぁ、紅椿の本領を発揮できるという話なのだから、ISを展開しても問題ないように外に出るのは、何ら間違ったことではないのだが……
「それじゃあ箒ちゃん、展開装甲オープン!」
篠ノ之束の声とともに、篠ノ之箒は紅椿の展開装甲とやらを開いていた。開いた部分から、エネルギーが出てきて全身刺々しくなった…気がする。
「展開装甲は第4世代型ISの装備で〜、一言で言っちゃうと紅椿は雪片弐型が進化したものなんだよね〜」
「「「えっ!?」」」
「進化……」
なるほど…何かテスト中に紅椿は白式と並ぶ云々言ってたような気がするけど、それが理由なわけか。装備が刀とか、雪片弐型が進化したものだとか、まるで初めから篠ノ之箒のために作られたかのようなISだ。
「なんと!全身のアーマーを展開装甲にしちゃいましたー!ぶいぶい!」
全員反応しなかった。この女のテンションについていけないのは元々だが、紅椿の性能にやはり驚いているのだ。無論、それは私も例外ではない訳で……
「いやぁ、それにしても海でISなんて10年前の白騎士事件を思い出すねぇ」
「むっ…」
白騎士事件、すっごい簡単に言うと『世界中から誰かの手によって発射されたミサイルが、たった一機のISに全て落とされ
た』という話。その時の白騎士とやらは真っ白なISなので、白騎士と言われていたとかそんな話。
にしても……世界中のミサイルをハッキングできる女なんて、この女しかいないだろうに。そんでもって、それを落としたとなると…明らかに織斑千冬だ。篠ノ之束にも良心はあるみたいなことを考えている人が多いせいか、ハッキングしたのが誰かというのは永遠の謎扱いだよ。
「白騎士って誰だったんだろうねぇちーちゃん!」
「知らん」
「私の予想だとバスト88センチ━━」
篠ノ之束がいいきる前に、織斑千冬の名簿アタックが炸裂していた。あれは本気で痛いと思うのだが、篠ノ之束は痛いと言葉と態度でしか伝えていなかった。いや、態度で伝えていたら充分だろという話なのだが、痛すぎで言葉が出ることこそが驚きという話。
というか織斑千冬ってバスト88センチあったのか…しかも10年前の時点で。
「うぅ…!酷いよちーちゃん!束さんの脳みそが2つに割れちゃったよー!」
「よかったな、これで別々で思考することが出来るぞ」
「あ、そっか!流石ちーちゃん!あったまいー!」
本気で効いていないようだ。流石に化け物こと織斑千冬と腐れ縁をしていただけある。少なくとも体の丈夫さや、運動量とかも並の人間のそれを超えているのかもしれない。
「話を戻すぞ…束、紅椿の調整にはどれくらい時間がかかる?」
「……先生」
「なんだ」
ふと、突然セシリアが名乗りをあげる。あのプライドの塊たるセシリアが、この作戦に異を唱えるというのだろうか?はっきり言えば、セシリアはあまり高速戦闘に長けている戦い方を今までしていなかったはずだ。
この作戦で、彼女が参加して成功させられる確率は限りなく低いと言えるだろう。
「私とブルー・ティアーズならば確実に成功してみせますわ」
「駄目だ、認められない」
「どうして!」
「セシリア、気持ちはわかるけど今回は私達は直接戦うことは無いよ……『あの』篠ノ之束博士が作った第4世代型IS、紅椿。私はもとい、第三世代型ですら参加権は与えられてない」
「くっ……」
「そういう事だ。無駄に危険に晒して、負担をかける訳には行かない」
私の説明でセシリアは納得してくれたようだ。だが…もしかしたら、セシリアにも仕事が来るかもしれない。銀の福音相手ではなく、近づいているらしいドイツ軍の相手だが。
「紅椿の調整には7分かかるよー」
まだ使われていない機能を使えるようにするために7分、本来もっと時間と人数がかかる代物だと思うのだが、私の偏見なのだろうか。行っているのが、超天才とはいえ比較対象がよくわからない。
「では、作戦開始は7分後。それまで各自持ち場について待機しておくこと!」
そして、その命令と共に織斑千冬の手が鳴る。この作戦、できれば私も参加したかったところだけど……銀の福音のデータはせめて欲しかったのだが……ま、出来ればでいいか……
時間が来た。織斑一夏と篠ノ之箒だけが外に出て、ISを展開…銀の福音の元へと向かう。
しかし、篠ノ之箒は専用機を貰った嬉しさからか浮かれていた。はっきり言って、作戦の失敗を招くと思う。
「……にしてもほんと早いね」
「イグニッションブーストの比ではない……」
紅椿の速度、とんでもないものだった。私のサクリファイスも同じくらいだけど、直線的な移動しかできない…というか一直線にしか移動できない。
しかも、さらにそこから加速まで行えるというのだから、開いた口が塞がらないというものである。
「10秒後だ!!」
通信から聞こえてくる篠ノ之箒の声、いつでも通信できるように、回線は常に開いている状態である。
そして、10秒後……激突した2組。しかし、銀の福音は織斑一夏の攻撃を簡単に避けてさらに反撃まで行ってきた……のだが。
「……先生、よろしいでしょうか」
「なんだ、作戦中だ」
「織斑君の今見た視界の範囲に、船らしき影が見えました」
「……何だと?」
ありえるはずのない影。ここは作戦中の場所、つまり封鎖されている場所である。まともな船ならば、ここに近づくことは無いだろう。しかし、まともでない奴らならば近づかないわけがない。つまり…私が見た、性格には織斑一夏がみた船の影は密漁船か何かということになるだろう。
「このタイミングで、密漁船……」
「織斑君達も気づいたみたいです」
最も、最初に気づいたのは織斑一夏だし守ったのも織斑一夏だ。犯罪者を庇える余裕があるのか?と問いただしたいところだが、それは言ってしまったら不味いことなので口を閉じておく。
にしても、織斑一夏も不幸なタイミングで見つけてしまったものだ。密漁船ははっきり言って自業自得だが、このタイミングで見つけてしまったら、彼は助けなければならない。見殺しにするのは彼の性格では難しいだろうし、彼の性格を抜きにするとしても見殺しにした場合色々な所から文句を言われかねない。主に、犯罪者なら見殺しにするような教育をしている、などという輩もいるだろう。
「ちっ…篠ノ之は浮かれているし密漁船…面倒だな」
「お、織斑先生……」
「何ですか、山田先生」
と、ここで何やら山田先生が顔を真っ青にしているのが確認できた。もしかして、もしかしてなのだが……また別の問題が起こったとでも言うのだろうか?
「あ、新たなIS反応…しかも、複数体です!」
「何…?日本の部隊では無いのですか?」
「いえ…でも、正規の軍のものであることは間違いがありません」
「……福音とは全く別の位置からのアプローチ…狙っている…?」
……あぁ、これドイツ軍か。となると、私が行くべきか?先生達は向かう気がないようだし…
「先生、私のISなら1番にたどり着けます」
「……そうだな、頼む」
おや、案外すんなり受け入れてくれた。正規の軍だから安全だと踏んだのだろうか?まぁ、仮にテロリストだったりしたら私が即座に通信を飛ばすと考えているのだろうか?
ま、どちらにしても私がいかないと色々と面倒な事になりかねない。アイツらを落とすためにも…色々としてやらないと。
「ぐぐぐぐっ……!」
サクリファイスの超高速初めて使ったけど、これは酷い。ろくに風が防げていないじゃないか。おかげで頭が潰れそうな思いをしているよ。
しかし、その分早いことは確実だ。実際、直ぐにつくのだから……とりあえず、速度が落とせるだけマシと思った方が良さそうだ…
「……ぷはっ…」
「……随分と急いできたのだな、IS学園の生徒」
「そりゃあ…大急ぎで終わらせたい案件ですし?」
「我々の要求はただ一つだ。我らの上官であるラウラ・ボーデヴィッヒの解放だ」
わかりやすいドイツ軍。しかし、これくらい解りやすいほうがいいのかもしれない 。勘違いで倒す訳にはいかないし。
「解放と言われましても━━━」
サクリファイスのエネルギーシールドが、不意に光る。何かの攻撃を受けた合図だ。というか、正面からの攻撃…ドイツ軍黒兎ちゃんの部下達からの攻撃だった。
「私達は『Yes』の一言しか認めていない」
「……」
多分、笑顔で固まるとはこういうことだろう。私は今多分、内心すごく目の前のヤツらを軽蔑してる。理性では、別のものとわかっているが、心が目の前に居る女達は兄を殺したヤツらと同じと罵っていた。
「因みに、通信は封じさせてもらった。急に信号が消えたから、恐く応援が来るかもしれないが……その前に貴様を捉えるくらいの実力は━━━」
「うるさいよ」
「……何?」
あ、やべ。本音でちゃった。けど仕方ないよね…私の理性と本能は別だもの。言っちゃあいけないことはあるかもしれないけど、それを言っていい相手と言ってはいけない相手くらい私に決めさせろ。
「そうやって人を初めから見下しているから負けるんだよ……この機体は外させてもらうよ…」
ちょうどいい、私のIS…本来のIS……その力を存分に試させてやるよ。さて、確か名前は━━━
「
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい