「デュノア、実演してやれ」
はいはい、開幕授業が始まっている……という訳では無い。織斑一夏がホームルームに遅れてきたので、今は実はホームルームなのだ。しかし、そこに現れた織斑一夏の遅刻の理由があらビックリ、私が朝であった女と特徴が同じ人物と出会っていたというのだ。
しかし、まぁ当たり前の話だがあからさまな嘘だと認定されていた。いや、表向きはそうなだけで……実際は隠れて自分の知らない女と会っていたという怒りがあるだろう。誰の話かって?ブラコンの織斑千冬の話である。
「鬼村、お前も織斑と共に実演を教えて貰え」
そして考えただけで察せるあの女は妖怪さとりかなにかなのだろうか?因みに、実演というのはラピッドスイッチの話である。あれって、実演して見せてもらってできるような代物では無いはずだが……
「遠慮」
「するとは言わせんぞ」
「あ、あのシャルロットさん?」
「何かな、織斑君」
怒ってますねこれは。そしてそれに巻き込まれる私は、一体何なのだろうか。というか、教室でISの武装なんて使ったらそれこそボロボロになってしまうだろうに。
このあとスグに行われる凄惨な現場に、私はその考えを改めることとなった。めっちゃ硬かったよ、あの床。
「はぁ……」
「……」
後ろで織斑一夏がため息をついていた。五十音順だと、私は織斑一夏よりも前になる。偽名とはいえ、安易に名前を『お』から始まるものにするべきではなかった。込村とかにしておけば…
とかどうでもいいことを考えている私。今現在、1年生まとめて全員が体育館に集められていた。所謂、二学期開始に向けての挨拶なのだが……どうやら、生徒会長も挨拶を行うようだ。
「初めまして、一学期の頃は忙しくて中々会えなかったけど……私がこの学園の生徒会長、更識楯無よ。君たち生徒達の長です。」
生徒達の長、なるほど言葉の意味としてはそこまで間違ったものでは無いのかもしれない。けどそれとこれとは別だ、なんかその言い方腹立つ。
「さて、今回の議題は学園祭について…各クラス出し物を発表するように!」
『締切間近!』と書かれた扇子を広げる更識楯無。いっぱい持ってんな、さっきとはまた違う扇子のようなので服の中に隠し持ってるのだろうか。
つか、こんだけで話終わりですか生徒会長…
「えー……学園祭の案ですけど」
私と織斑一夏が仕切る。何故私まで仕切っているのかと言いますと、クラス代表としては織斑一夏だけど男女の視点から見ていい物を作り上げようというコンセプトである。
因みに案は『織斑一夏のホストゲーム』『織斑一夏とツイスター』『織斑一夏とポッキー遊び』『織斑一夏と王様ゲーム』となっている。
「はい、却下です」
「どうしてなの鬼村さん!!」
「貴方だけは味方だと思ってたのに!!」
いや、クラスの出し物なのにクラスの大半関係ないのはどうなのよ。あと自分たちがやって欲しいことなだけでしょう。
「これ企画として通した場合、クラスの出し物じゃなくていいよねって話。織斑君に全部の負担かかるせいで、回らなくなる可能性があるよ」
「そ、それは……」
考えてなかったようで…織斑一夏は好きじゃない私だが、学園祭くらい真面目にやれと思っている。やる気のないものは意見を出すな。
「……まぁ俺の負担抜きにしても、こういうのはダメですよね山田先生」
「え?あー……ぽ、ポッキーゲームなんかいいと思いますよ?」
頬を染める山田先生。山田先生は織斑一夏に気がないと思っていたが、年下趣味なのだろうか?いや、何か偶に織斑千冬のことを危ない目線で見てる時あるので、既成事実を作ってくっつきたいだけだろう。
「それに、学園祭なんだから採算が取れるようにしていかないと」
「……真面目なこと言うんだな」
「こういう時こそ真面目にならないとね?」
敵意剥き出しの織斑一夏と、それを華麗に無視する私。周りも気づいている者がいたり気づいていない者もいたり。ま、気づいているのは事情を知っている者だけだが。
「採算が取れるって言っても…」
「それこそ喫茶店とかね。予算よりも高い売上を出していかないとまずいから、喫茶店がやりやすいんだよ」
「他の店でお金取れるってこと?」
「だから他は難しいんだってば。やろうと思えばお化け屋敷でお金回収していくからね」
写真展示会とかしても、極論金は取れる。無論、金が取れるほどの腕前を持つカメラマンがこの学園にいるわけがないのだが。
「けど、ただの喫茶店じゃ味気なさすぎない?」
「え、いやただの喫茶店で大丈夫だろ」
織斑一夏が何か言っているが、その意見には賛成だ。ここはIS学園。そしてそこの学園祭となると、ただの喫茶店では味気ないだろう。しかし、ただの喫茶店以上の料理などを出せるとは到底思えないし、外観もそうである。予算が決まっている以上、その予算内でできるだけ決めたいところである。追加もできるが…売上を伸ばしたいところだ。
「メイド喫茶などはどうだ?」
「メイド喫茶?」
突然、ラウラが言葉を放つ。メイド喫茶、なるほどIS学園の学園祭と言うにはふさわしいだろう。だってここ、織斑一夏を除いたら全員女とかいう学校だ。そしてそのクラスである1組もまたその女の園である。
「メイド喫茶、いいかも!」
「一夏には執事か、厨房を任せればいいしね」
「執事の織斑くん…いい!」
何がいいのかはわからないが、料理が得意な織斑一夏は厨房にも回せるし、執事として置いても集客効果はあるだろう。それに加えて、負担もあまり出てこないと考えると、相当である。
「お、おい!別にメイドじゃなくても……まぁ、少し変わった喫茶店だと思えばいいか……」
織斑一夏も織斑一夏で、妙に達観しているところがあると私は思っていたが……とりあえず、1組はメイド喫茶に決まった。となると、私はどうするかも決まってくる。別に売上貰わなくてもいいんで、参加しないという方向でいきます。
無理でも厨房にならいけるんで。
「鬼村さんはどんなメイド服着たい?」
「え」
「そうだねぇ、すらっとしてるしそのスタイルの良さが生かせるメイド服にしようよ」
「待って待って、私は厨房の方が…」
「何言ってるの!?鬼村さんかなり可愛いんだからメイド服着てアピールしていかないと!」
誰に、何を、どんな目的で、いつアピールするのか。私自身一切そんなつもりは無いし、したくない。そう言うんだけど、何故か伝わらない。厨房でいいからやらして欲しいと言っているように聞こえているのだろうか?
「いや、アピールしなくてもいいから」
しかし、私の必死の叫びは彼女達に届いていなかったようだ。残念ながら、私はメイド服を着て学園に来る男達に対して媚を売らねばならないらしい……と思ったが、メイド服…成程ありかもしれない。
いや、私じゃなくて…他の女達の話だが。
つまりは、この学園祭……もしかしたら利用できるかもしれない。というか、この場は利用せねばならない。
「鬼村さん?」
「……え、あ、ごめん何?」
「とりあえず、メイド喫茶に決まったし早速準備していこう!」
「そう、だね」
準備。まずは看板を作成して内装も整えていかなければならない。内装を整えるために、シーツだとかカーペットだとかビニールだとか色々揃えていかなくてはならない。
後、メイド喫茶と言っても多分日本にあるような、オタク向けの奴にはならないような気がする。
だって……このクラスだけでもお嬢様は二人もいるのだ。メイドなんて知っているだろうし、その作法も近場で見てきているからよく知っていることだろう。
その二人にメイド指南でもしてもらえば、結構いい形に収まるかもしれない。
「……」
準備かぁ、メニュー表も作成しないといけないし、メニューをどうするかも考えなければならない。なるべく安い素材を使うことは当たり前だが、粗悪なものは使えないし作ることも出来ない。まぁ、余程の下手じゃない限り、失敗しないようなものとかにしておけば安全だろうね。
「……学園祭は真面目にする気なんだな」
「私は真面目だよ。いつでも、どんな時でも」
「なのに、俺達と戦うのか?」
「篠ノ之束を倒すことに協力してくれるんなら、敵じゃなくなるよ」
「馬鹿げてる…なんで束さんをそこまで敵視するんだ?」
小声で、かつ落ち着きながら私達は静かに会話する。なんで、か。まぁ、理由なんて正直に言ったらアホだと思われるだろう。けれど、それでも……流れを作った根本的な原因は篠ノ之束だということは忘れてはならない。忘れてはいけないのだ。
「こんな世の中を作ったのは、その他ならぬ束さんなんだけど?」
「けど、あの人がいなかったら10年前日本は壊滅していたぞ?」
「……本当にそう思ってる?」
「…何が言いたいんだ?」
「
「本当も何も、ただの事実だろ」
世界各国のシステムハッキングをして、日本に飛ばす。そんでもって、その犯人が未だに捕まっていない…そんなことが出来るのは、篠ノ之束くらいだ。
私は今、そう叫びたくなった。だが、親しい間柄である篠ノ之束を疑うという事すらしないのは、織斑一夏からしてみれば当たり前なのかもしれない。
「事実、ね……確かに事実だけど、そんなもの表面的に見た真実でしかないじゃん」
「そう判断するしかないだろ?まさか、白騎士が束さんだと思ってるのか?」
その考えはなかったが、しかし惜しい。あくまでも予想に過ぎないが、その白騎士はお前の姉だと私は言いたくなった。だが、そんなことは今はどうでもいい。至極、どうでもいいのだ。
「織斑くーん?何話してるのー?」
「鬼村さんごめーん、こっちの意見聞いて欲しいんだけどー」
「……とにかく、今は学園祭だ。お前が動かないんなら、俺も何もしない」
そう言って織斑一夏は私から離れる。私も呼ばれたので、その場から離れる。この日は、これ以降織斑一夏と授業の時の場合を除いて関わることがなかった。
何もしない……それはむしろ、私のセリフだ。だからわざわざ君の周りの女の子を狙うんだよ。
「篠ノ之束を庇わなかったらいいだけなのに…」
私が狂っているのか、世の中が狂っているのか。私は篠ノ之束は悪だと断言出来るが、世の中はISを作った発明者程度の認識しかなかっただろう。
「ほぇ?鬼村さん今何か言った?」
「ううん、別に何も言ってないけど……気のせいじゃない?」
私の言葉に、クラスメイトもそう思ったのかそれ以上の追求をされることは無かった。
こうして、学園祭の準備が始まった。吉と出るか凶と出るか、鬼が出るか蛇が出るか……何が起こるかわからないが、ひとまず手にかけている女の子たちをひたすらにいじめていくとしよう。今の会話で、微妙に腹たったのが原因だ。
ともかく、私はほかのクラスメイトと一緒に学園祭のために動くのであった。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい