side?
相も変わらず、どこか分からないところでどこか分からない空間に閉じ込められている少女、凰鈴音はそこにいた。そして彼女もまた同様に代わり映えしない全裸と首輪で、男達を出迎えていた。
「……」
言葉は通じない。服装を見ると、それなりの都会に来ているようだがそれ以上の事は彼女には分からなかった。まだ頭は冷静に働いていた。彼女も、今IS学園にいる少女達と同じように……好意を寄せている男性、織斑一夏の事を考えればまだ理性を保てているのだ。
だが、そんな代わり映えのない非日常が……
「っ…何、眩しい……」
「おーい、生きてっかー?」
「あんた、誰よ……」
「誰かなんてどうでもいいだろ?おら、さっさと立ちやがれ…
「飼い、主……?」
突如ドアを開けて現れた女性、言動は粗暴だが格好はそれほどでもなかったという印象を受けていた。だが、それでも目線の下賎さはどうしても誤魔化せていなかった。誤魔化す事もしないのだろうが。
「あぁそうだ、前々から出資はしてくれんだけどよ…随分と変態的思考の『男』でな。前に捕まえたドイツの女共もそいつに売ったんだよ」
「ドイツ……」
鈴が捕まってはや数ヶ月。記憶を辿って思い出されたのは、謎のISによって全滅していたドイツ軍の姿である。無論、自分とシャルロットも同じなのだが。
「にしても…変態だと、好きな女の好みなんてのはねぇのかね?お前みたいな貧相な体にすら、発情するとかマジでよく分からん」
「うるさいわね……」
精一杯の抵抗の言葉。だが、目の前の女性はそれを聞いてもニヤニヤと笑みを浮かべるだけだった。
「とりあえず、さっさとてめぇを連れていかねぇと、待ち合わせに遅れるんだよ。早く来な」
首輪に繋がれていたリードの鎖は、壁から外される。これで一応動くことが可能になったが、今の鈴の生身の力ではろくに抵抗もできやしなかった。
「おら、ISねぇとなんも出来ねぇんだから無駄な抵抗はやめておけよ」
「くっ……」
鈴は何としてでも戻ると決めたのだ。絶対に、恋心を抱いている彼の元に戻ると……そう決めているのであった。
「連れてきたぜ」
「いやぁ、助かるよ」
鈴が連れ去られてきた先は、富豪とも言えるべき大きさの家を持った男の前であった。服装も、気品のある物だったのでこのような状況でなければ、先程の…女性が言っていた言葉である事は信用していなかっただろう。
「…前のドイツ軍の女共は?」
「飽きた子達から、適当に生活させているよ。無論、私から離れ過ぎた場合い生きられない事を分かってるのか、誰一人脱走していないようだけどね」
「ほー、そりゃあいいな。調教の成果が出てて何よりだ」
「それが新しい子かい?随分とまた可愛らしい……」
「あー、じゃあこっちは帰らせてもらうわ」
「あぁ、お金は既に払ってあるからね。問題ないだろう」
鈴を放っておいて、勝手に会話が進められていく。割り込みたい気持ちがあったが、本人も気付かない間に折られていた心が『やっても無駄だ』と鈴を諭していた。
「……さて、君には私の家の案内をしてあげよう」
「……通じるような言葉を喋れるのね」
「これでも一応グローバル関係の業務をしていてね、色々な言葉を喋れるのさ」
今まで会話すらまともに通じていなかった状況から一変、鈴は明るい場所に豪華な部屋。そして会話のできる『飼い主』が現れていた。
「……それが、奴隷売買をしてるなんてね…」
「恨むなら、身寄りのない自分を恨むんだね」
「私にはちゃんと家族が━━━」
「無駄だよ。君は世間一般では殺された扱い…になっているらしいからね。二度と祖国にも家族の元にも返さないつもりさ。それに関しては、あの子たちも一緒なんだけどね」
一緒に歩きながら、会話を続ける男と鈴。ふと鈴が目をずらすと、今の鈴と同じような裸首輪の少女がいたり、彼の屋敷に住んでいる男性の使用人が別の女性を犯していたり……はっきり言うと、退廃的なものを見せられている気分になった。
「……絶対に、私は帰るから」
「治安レベルが高いとは言えないこの街でかい?随分とまぁ、挑戦的だね。五体満足でいたいなら脱走するのは辞めておいた方がいいと思うけど」
ここを見せられて、街よりもここが安全と言われても鈴はどうも信用できなかった。しかし、別に脱走しようと思えばいつでも脱走できるのに、かなりの人数の女性がいることを考えると本当に脱走しない方がいいということなのかもしれない。
「……あぁ、そう言えば君と入れ替わるようにして、数日前に何人か出ていったんだよね」
「…何人か?」
「名前はなんて言ったかな……そうそう、クラリッサだ。そして彼女の部下の子達が2人か3人…クラリッサについて行ってそのまま姿をくらませたよ」
「はっ…脱走されてたんじゃ世話ないわね」
「まぁ、今日の朝に結果が分かったんだけどね」
「……結果?」
何の結果か、鈴は少し恐怖を覚えていた。ドイツ軍の兵である少女達は、一体どうなったのかと。この街に出て、一体どんなことをされたのかと。
「1人は男達に捕まえられて今でも街のスラムで慰み者、もう1人はこの街の警察に捕らえられて行方不明…こっちでも一応探したんだけどね、そこで情報が途切れたよ」
「…最後の1人は…クラリッサとかいう、人は…?」
「……聞きたい?」
勿体ぶる男。訪れた沈黙が、鈴の心臓の鼓動を更に早めていく。血の気がなくなり、顔が冷たくなっていくような感覚を味わいながら、鈴は顔を青くしていた。
「何人かに暴力を振るって拘束、その内手を出しちゃあいけない奴に手を出して国外に連れ出されたよ」
「……何、よ…まだマシじゃ━━━」
「写真が届いたけど、文字通り五体満足じゃあ無かったよ」
五体満足ではない、文字通りということはつまり体が言葉通りの意味で壊されているということである。それを考えるのは、鈴であっても少しきついものがある。
「君はそうなりたいかな?」
「う、ぁ……」
元代表候補生と言っても、未だ15~16の少女である。怖いものは怖いで当たり前であり、下手なことをすれば体を壊されると聞かされては、恐怖を感じてもしょうがないだろう。
「さ……君はどんな声で鳴いてくれるかな?なぁに、安心してよ…下手なことをしない限り、怪我はさせないし怖い思いもさせない。あくまでも、君が理性的な判断をくだせるなら…どうすればいいか分かるよね?」
「っ…」
『逆らうな』と色々言っているが、この一言に尽きるだろう。だが、これを直接言われるよりも、色々な会話や視覚聴覚による刺激等を用いた優しい言い方の方が、人によっては突き刺さるということである。
理性的であればあるほど、人の意見を聞こうとすればするほど…この術中にハマりやすい。
「けど、君もそれなりに大変な目に合わされてきたようだし…まぁしばらくは甘めに見てあげるよ」
「くっ……」
「さて、まずはどのような事をさせようかな……あぁ、そうそう…君を捕まえた人からの注文でね。君と致したのを録画して送ることになってるんだ」
「ろ、録画…!?」
「幸い、こちらにばらまく意思はないしこれを注文した人もそんなつもりは毛頭ないらしい」
どこまで信用していいのかわからない。鈴は、それを理由に録画を拒否したかった。しかし、既に先程の説明で恐怖を植え付けられた鈴は否定することも難しくなっていた。
「……ふふふ」
「な、何…?」
「君は、自分が思っている以上に弱っていることに気づいているかな?」
「わ、私が弱ってる…?何を、根拠に…」
「本来の君は、代表候補生になるほどの実力と意志を持っていたはずだ。けれど、今の君はか弱い少女そのものだと思ってね」
その言葉に、鈴は反論できなかった。この男と出会う前から、男に散々陵辱される日々。その日々が、鈴の心の奥底に男に対する恐怖感を知らず知らずのうちに植え付けていたのだ。
その事に、彼女は未だ気づいていない。気づいていないから、反論できなかった理由が、自分でもわからない。分からないから、未知への恐怖に更に脅えてしまっていく。
負の循環が、彼女の心を気づかない間に圧をかけて壊していく。
「わ、私は……」
「無理をしなくていい……私が君を飼ってあげることで…その恐怖から、解放してあげよう…」
「っ…!?」
甘いとは程遠い言葉を、耳元で吐かれる。そんなことを言われた暁には、普段の鈴ならば突き飛ばすなりなんなりしていただろう。しかし、今の鈴はその言葉ですら少しの安心感を感じていた。
「解放…って、締め付けてるあんたが言うことじゃ……」
「どう判断するかは君次第だ…敵と思うか、味方と思うかはね。まぁ敵だと思っていても……冷静に物事を考えれるなら、どっちがいいかなんてわかりきっていることだと思うけどね?」
「っ…」
何度も言われていることを、反復するかのように何度も言う男。出れば社会的にも、下手をすれば文字通りでも死ぬ事になる。そうなるのだけは、絶対にIS学園に戻りたい彼女としては避けたい事態であった。
「さて……まずはどうしてもらおうかな━━━」
こうして、鈴の生活はISからまたもや離れた生活になってしまっていた。ここから戻ることは……まず、不可能だろう。
side五十冬
「……って訳で、彼女は少しマシな生活を送ることになった訳ですよシャルロットさん」
「……何がマシだよ、こんなの動物と何ら変わらないじゃないか!!」
人気がいないところで、私は動画を見せていた。ひとまず、学園内では無いのでそこだけは理解してほしい。一々説明するのも面倒なので、学園外としか言わないが。
「動物と変わりないも何も、この動画は凰鈴音が畜生からペットに駆け上がった瞬間な訳だけど」
「こんなのを見せて、僕が納得するとでも!?」
「納得するしないは別だよ。私はただ『1度だけ』動画を見せるだけだし、貴方がこれでやるのは『場所の確認』だ」
場所が理解出来なければ、どこにいても変わらない。分からないのだから、迎えに行くことすら出来ない。
それをたった一度のチャンスで怠ってしまえば、誰だって分からないものである。シャルロットは無駄にしたくないのか、私に反論することすら出来ない。
「くっ……」
「まぁ分からないシャルロットの為に、地名だけ抜いた地図を渡してあげるよ。街の形だけでどこか分かればいいね……2度目3度目から段々地図の範囲が大きくなるから、どこの国にあるかくらいはわかるかもね」
「……分かった、下手な事は言わないから……情報が、欲しい…」
「なら地図をあげる、まずは今鈴がいるところの家だけが写った地図だ……ま、要するに引き伸ばしただけなんだけどね」
地図とは呼べないものだけど、それでも情報は情報である。下手なことを言ってしまえば、情報を渡されるのがこれっきりになる……という可能性もあるのだ。
「さて…シャルロットが堕ちる前に場所を見つけて、鈴が堕ちる前に鈴を見つけることが出来るかな?」
恐らく、鈴が堕ちる方が早いかもしれない。それでも、シャルロットは意地でも鈴を見つけようとしていた。
けれど、そのおかげというかそのせいと言うか……私が別の作戦を既に実行していることは、彼女にはバレずに済んでいたのであった。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい