織斑一夏を追跡していて、いくつか分かったことがある。
1つ目は、彼が学園に呼んだのは男友達だという事。もう1つは、その男友達はまだマシな方の健全な男子と言った感じだった。IS学園が花園だなんて思ってる男は、可愛げがある。後、妙に男友達の方が、織斑一夏を励まそうとしている風にも見えるが……何故だろうか?話しかけれるところがあったら、話しかけてみるか。
そして、3つ目はこの学園やっぱりどこかおかしいのでは?という所である。
「さぁさぁ爆弾解体ゲームをレッツ・スタート!」
これを行っているのは、美術部である。もう一度言おう、美術部である。『芸術は爆発だ!』って言ったかと思えば、これを勧められてるのだが…意味合いがまるで違ってきている。本物の爆弾ではないが、よくできているとも思うが……普通、こういうのって部活で描いた絵を展示するとかでは無いだろうか?
運動部だから、部活動に関連付けるってことが出来ない……ってもんでもないでしょうに。
とまぁ、何だかんだで織斑一夏が失敗したのを確認してから、追尾を開始する。何をするでもなく、2人はブラブラしていたが……ふと織斑一夏が店に戻らないといけないことを告げる連絡が届いていた。
私は戻らなくていい、当たり前だ。織斑一夏は商品にされてしまっているので、戻らなければならないのだろうが……ん?そうなるとあの男友達は一人にさせられる感じかな…ちょっと声掛けよっと。
「あのー……」
「ん…ん…!?も、もしかして俺に声掛けました!?」
「は、はい……えっと、織斑君の友達ですか?」
「はい!そうです俺が織斑一夏の友達の
女子に話しかけられたのがそんなに嬉しかったのか、めっちゃテンションを上げて話しかけてくる五反田弾。ごめん、ちょっと引いちゃった。でも悪い人ではないのがよく分かる、それこそ本当の意味で『悪い人』ではない。
「ふふ、織斑君の同級生なら敬語使わなくていいですよ?」
「じゃ、じゃあお名前教えて貰ってもいい!?」
「おにむ━━━」
ふと、私は思った。ここで鬼村の名前を使うべきなのかどうか、を。仮に織斑一夏がこの男に私の事を伝えていたとしたら、せっかくの情報源が離れてしまうのではないか…と。
最近はこちらの名前を多用しすぎて忘れていたが、この名前偽名だった。となると、使う名前は考慮しなければならない。しかし新しいのを今すぐに思いつけるほど━━━
「高村文音です、よろしくお願いします」
二度と使わないと思っていたけど……意外なところで私の小さな誓いが破られてしまった。本名だが、誰も知らない名前なのでちょうどいいだろう。
「いいお名前だね!」
「うん、お父さんとお母さんがつけてくれた名前なんだ」
あれ、今私当たり前の事口走っちゃったかな?まぁいいでしょ、祖父祖母に影響されないでつけた名前…だとでも思ってくれたら、都合がいいし。
「へ、へー……」
少し会話が途切れる。この男、緊張して話のタネを出せないタイプだろうか?いや、だったら私が話を提供してやるとしよう。ちょっと、からかってあげるのも面白そうだし。
「五反田君は、織斑君の事どのくらい知ってるの?」
「え…あ、い、一夏の方か…」
しまった選択肢間違えた。今の発言は、織斑一夏のことを好いていると思われかねない。ちょっとだけ言い方を変えて訂正してやらねばいかん…
「織斑君のことも聞きたいけど…でも、五反田君の口から聞く織斑君ってのを聞いてみたいかなって思って」
「……?」
「別に、変な意味で織斑君のこと聞こうとしてるわけじゃないよ?ただ、織斑一夏の友達っていう視点から見た織斑君を聞いてみたいなって」
「……あ、新聞部とか?」
「まぁ、そんなところだよ」
何とか勘違いしてくれた。正直、自分でも何言ってるのかよくわかってなかったし。
「じゃあ、ちょっとお茶しながら聞いてもいい?」
「お、おう!」
それから小一時間程五反田弾という男が、どう言った男なのかを観察した。どれだけ行っても、『織斑一夏のいい友達』という認識は崩れなかった。
そうだろう、織斑一夏は傍から見たら好青年…いや好少年?まぁどっちでもいいが…人当たりはいいのだ。だから、こうやって私みたいに敵対する珍しい奴もいる。織斑一夏は、私を敵だと認識しつつも何だかんだ見逃している。そういう所が……彼を彼たらしめる『甘さ』なのだろう。
「ぁ…もうこんな時間」
「あれ、なんか用事でも?」
「ううん、ちょっと劇があるみたいだからさ……あ、五反田君もどうかな?」
「高村ちゃんが行くなら、俺も行こうかな?」
「なら、一緒に行こっか」
五反田弾を誘う意味はほとんどない。必要性も全くない。なんだったら、いざと言う時に足を引っ張る役目にもなるかもしれない。だが、私は誘った。ただ、私が五反田弾と一緒にいることが織斑一夏の反応をどう変えるのかと思っただけである。つまり、嫌がらせしかないのだ。
「ところで…劇って?」
「んー……シンデレラなんだけど……」
一体いつの間に持っていたのかわからないパンフレットを開きながら、私は劇についての記入された部分を指でトントンと叩く。そこには、こう書いてあるのだ。『観客参加型演劇』と。
シンデレラという一般的な劇であるのに、全く聞いた覚えのない観客参加型演劇の見慣れない7文字。一体何が起こるのかわからないままに……私達は劇に突入していた。
のだが……どうやら、これは生徒だけがメリットのあるもののようで外部客の五反田弾は弾かれてしまっていた。
「……えっと、王子様の被ってる王冠を取る」
「はい」
「取ったら王子様…織斑君と同室になれる」
「はい!」
満面の笑みで、受付の人に言われてしまった。織斑一夏と同室になるなど、生徒会長権限の行使だろう。しかも、王冠を奪うだけ…なわけがあるまいとは思う。
とまぁ色々ありまして……劇の始まりである。
「昔昔ある所にシンデレラという少女がいました」
おや、出だしは普通の様だ。参加型演劇…シンデレラと言えば、ガラスの靴がある。もしかしたら、ガラスの靴に初めにすっぽりとハマりなおかつ同じサイズの女子が同じ部屋になれるとかそういう可愛い━━━
「否、それはもはや名前ではない。幾多の舞踏会を抜け、群がる敵兵をなぎ倒し、灰燼を纏うことさえいとわぬ地上最強の兵士達。彼女らを呼ぶにふさわしい称号…それが『
ごめんなさい、前言撤回しますこれ全く普通でもなんでも無かったわ……というか、なんだそのナレーション。そんな無茶苦茶なシンデレラがあってたまるのだろうか。
「今宵もまた、血に飢えたシンデレラ達の夜が始まる。王子の冠に隠された隣国の軍事機密を狙い、舞踏会という名の死地に少女達が舞い踊る!」
そこから始まる、専用機持ち達の織斑一夏争奪戦。観客参加型と言う割には、序盤が専用機持ちだけが動き回っていたことで一体何なのかよくわかんなくなっていた頃、ふとアナウンスが流れていく。
「さぁ!只今からフリーエントリー組の参加です!皆さん、王子様の王冠目指して頑張ってください!」
そして、それと共に他の女生徒たちも動き始める……のだが、私は見逃さなかった。セットの下、正確には織斑一夏の下から生えた手が、織斑一夏をセットの下に引きずり落としたことを確認した。
「……あのセットの下って…」
どこに繋がっているのかはわからないが、調べてみる価値はあるだろう。
私はそう思いながら、織斑一夏が落ちたであろう場所にこっそりと忍び込むのであった。
「━━━━!!」
通路の奥の部屋から、怒号が聞こえてきていた。Oの声だ。しかも、私のいつも聞いている荒っぽい喋り方の。それに、声があと二つ届いて来る。
……更識楯無と、織斑一夏の声だろう。となると、更識楯無は完全初見のOでは厳しいかもしれない。
「…カメラは、ないか」
監視カメラ、隠しカメラ、とりあえずそれらがないことを確認してから、私は『本当の私自身の機体』であるカリオストロを取り出す。
「仕事だよ、カリオストロ」
私の体がアーマーに包まれる。フルフェイスフルメット、体型すら誤魔化すようなごつい装甲までご丁寧に纏っていた。前にこんなんあったかな……まぁ、前より神経への接続が多くなっているので、問題は無いだろう。
「なんなんだよてめぇは!?」
「2回も自己紹介しないわよ、面倒だから」
「うるせぇ!!」
……やっぱり、翻弄されてた。けれど、収穫自体はどうやらあったようだ……白式のコアらしきものが、取り出されているのを私は確認した。
しかし、恐らくそれは取り返される。他ならない織斑一夏の手によって……白式は特別だ。そもそも、何故織斑千冬が使っていた武装と全く同じものがあるのか。そこから疑問は派生する……が、今はそんなことを言っている場合ではない。
「O!」
「なっ!?てめぇ何でここに…!?」
「貴方まで来たのね…いえ、来るはずよね…けど、なら好都合!」
更識楯無が何かを確信していた。だが、その確信は私に『確信』をもたらした。即座に私は、超電磁砲を呼び出して更識楯無に向けて撃ち放つ。何、別に当たらなくてもいい。目的は
「くっ…!」
2人とも当然避ける、避ければ当然壁に穴が空く。私はそれを狙ったのだ。この部屋、密室空間における更識楯無のISの強さを確信していたからだ。
「てめぇ何のつもりだ!!」
当たり前だがOは切れていた。当然だ、味方だと思っていたやつに撃たれたら困惑するだろう。しかし、今の攻撃で私の目的は達成されていた。
「…更識楯無、IS学園生徒会長。そのISは水を操る性質を持つもの、水…いや水分を操る為にナノマシンを使ってる…合ってるでしょ?」
「…えぇ、その通りよ」
「おいてめぇ聞いて━━」
「水分を操るのだったら、水蒸気も操れる。なら湿度が高い部屋はどうなるか…そこまで言ったら、分かるでしょさすがに」
「あ…」
Oも今理解したのか、驚きの表情を見せる。そう、最初に警告を出されるかの如く出会っていた事が、鍵となった。先程までこの部屋は湿度が高くなっていた。特に、Oの周りが。
私が壁と共にその水蒸気をある程度ぶっ飛ばしたおかげか、Oの周りに溜まっていた水蒸気…霧も、結構減っていた。今攻撃されても、Oにダメージは行かないだろう。
「……ま、今の説明の間にやられたけどね」
「━━━来い!白式!!」
私がいの一番に狙いに行った所で、更識楯無に邪魔をされていただろう。それ以上に、逆上したOにも邪魔をされていたかもしれない。
奪った白式のコアは粒子となり、織斑一夏の体にまとわりつく。そして、正式に白式が織斑一夏の元へと戻っていくかのように、アーマーが形成されていた。
「クソがっ!!」
「O、逃げよう。更識楯無は強いし、織斑一夏も雑魚じゃない」
恐らく、今戦っても私達は勝てない。勝てないからこそ逃げたいのだが……向こうが逃がすわけなかった。
「逃がすか!!」
刀1本での特攻。普通なら、そんな行動はアホがする事だろう。だが、白式なら話は別だ……私は
「くっ!」
「織斑一夏、君の相手はまた今度だよ。今は私の仲間を助けたいからね」
「あら…逃がすとでも思ってるのかしら?」
更識楯無が、槍を構えて水の塊をまといながら私に殺気を向ける。織斑一夏も同様だ。だが、切り札は常に取っておくものだからこそ切り札だと言えるのである。
「逃げられるし、逃がしてくれると思ってるよ……こんな感じにね!!」
「させるか!!」
イグニッションブーストによる超加速を加えながら、織斑一夏が蹴りを行う。私はギリギリでそれを回避しつつ、刀を受け止めている手ともう片方の手を
「ファンネル!!」
切り離した腕は、勿論生身の部分も残っているがカリオストロの腕も混じっている。切り離す寸前、更識楯無は『やられた』という表情をしているのを確認した。織斑一夏は、顔を真っ青にしていた。まぁ、こんなグロ現場見せられたらそうなるかな?
私の両腕は、ファンネルから放たれるビームによって大破、そして機械部分がそれにより大爆発、そして爆煙とともに腕に残っていた血液が辺り一面に降り注ぐ。
「ほら行くよ!」
「ちっ…!」
爆煙により視界は封じられ、何が、とは言わないが焦げた匂いによって嗅覚も機能させない。恐らく爆風は更識楯無が纏っている水のヴェールに封じられるだろうが、奴のヴェールに血がまじればその水はもう使い物にならなくなるだろう。つまりは、逃げるだけなら確実に逃げれる手である。
「てめぇ、なんで腕失ってまで助けた」
「機械の腕にしようと思ってたし、丁度いいよ」
逃げ切った先でOは私に対して、愚痴るように喋りかけていた。私も適当に返事を返し、それで会話が終わっていた。
「……学園、どうすんだ」
「腕くっつけてから出ようかな」
「そうじゃなくて……いや、いい。つかなんで両腕使ったんだ」
「足りないよりマシでしょ」
「……」
Oは恐らく、私に対して恐怖を抱いているだろう。私が強いとか、そういう恐れではなく、躊躇なく自分の体を犠牲にできるその精神を。
「とりあえず、ISが無くなることがなかったから良かったじゃん。失うより、はるかにマシだったよ……」
その言葉に返事はない。私もそれ以上喋らない。そして、そのまま私は新しい腕を作るために……Oは報告をするために、それぞれ目的地へと進んでいくのであった。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい