「ねぇ、さすがに怒りたいわ」
「え、何が」
「腕爆破とか」
「しょうがないじゃん、片腕だともしかしたら足りなかったのかもしれないし。足りなくなるくらいなら腕全部使い切るよ」
「こっちだってタダで腕作れてるわけじゃないんだから……」
亡国機業関係のとある場所、私はちゃっかりと新しい腕をもらいに立ち寄っていた。
しばらく学校は休まないといけなくなるだろうが……いや、もしかしたら戻ることは不可能になるかもしれない。けど、それでも別に構わない。それならそれで、外堀を壊すやり方を変えるだけである。
「……とりあえず、新しい腕作るのにはそれなりに時間と人員と費用がかかることを覚えておいてよ?」
「はいはい、了解了解……あの、アイアン〇ンみたいな腕作って? 腕からビーム飛ばせたら楽じゃん」
「はいはい……とりあえず、本物の腕と同じような動きができるものはなるべく作っておくから」
どうやら冗談は今回に限り、あまりして欲しくないようだ。適当な返事を返されてるせいで、そう思えてきてしまう。まぁ、さすがに両腕が戻ってきたら無くなってたなんて、血の気が引く思いだろう。
「……ねぇ、本当に両腕は無くならせる必要あった?」
「それを、私に何度も聞いてどうするの? 私の腕が戻ってくるわけじゃないし、私が今こうしている事実が貴方の思い通りに変わるわけじゃない」
私がそう言うと、彼女は黙った。黙ったまま作業に戻っていく。いや、私も分かっているのだ。『何か別の方法があったのではないか?』『もっといい方法があったんじゃないか?』と。
だが、そんな方法はない。今の私に思いつかないのなら、過去の私では思いつかない。どれだけ冷静に振り返っても、せいぜい腕が足になるか腕も足もキャストオフするか……という変化くらいしかない。置換か、悪化か。要するにそういう事なのである。
「……なら、もっと生徒会長に対する対策を立てておいた方がいいよ」
「とは言っても、水分を自由自在に操れるとかチートじゃん?」
『水』ならば燃やして水蒸気にするなどと言えたかもしれないが、それを目立ちにくい霧に変化させたりすることも可能となると、どうにも回避手段がないように思えるのだ。
「私には、ゴリ押ししか手がないと思ってるよ」
「ゴリ押しするためのパーツも腕も今は無いけどね」
一本取られてしまった。しかし、実際その通りだからしょうがないのだ。あの生徒会長に勝つための1手がまるで思いつかない。逃げるだけでこれなのだ、対策なんて立てようがない。
「……あのね、人間は完璧超人じゃないの。絶対、何かしらの弱点がどこかにあるはずだってば」
「本当にそう思ってるなら、1度彼女のと会ってくることをおすすめするよ。本当に彼女は私より強いし━━━」
ふと、何かを私は思いついた。いや、思いついたと言うには思考が形になってないので、気持ちだけ先行してしまったような状態だ。確かに、私でも生徒会長を倒せる足がかりになりそうなものがあれば、彼女をギャフンと言わせることができるかもひれない。まだ、調べきってないのだ。
だが、試せる限りいろんな方法を試すべきだろうと思うが、それら全てを叶えることは不可能だ。だから情報収集衛はしないといけないのだ。
「仮に、仮にさ……成績は上から数えるくらいの文武両道さ。ISは専用機だし、それを確実に動かせる使い方も熟知している。そんな人に弱点があるとしたら……」
「要するに、完璧超人だと思ってたやつに弱点があったら? だっていうとんちみたいなものでしょう? 答えは簡単、『本人にない』で終了」
「本人にない……」
それは諦めのように聞こえて、実は違う。本人には弱点らしき弱点はないだろうが、本人の心に不安がある場合、どれだけ最強で最優秀だったとしても……その不安が本人に牙を向く可能性があるのだ。
「何があると思う?」
「1番簡単なのは、家族を人質に取る事だけ……」
「けど、それだと一から住所とか調べないといけなくなるし……いるなら、IS学園に妹とかいたりしないかなぁ……」
「いやいや、姉妹揃ってIS学園に通ってるなんて……そんな都合のいいことある訳が無い。その妹が仮にいたとしても、どうせその生徒会長とやらと同じような強さかもしれないし」
まぁ、もしもの話なんて今していてもしょうがない。妹がいるならそれでよし、双子の姉でもいたらそれでもよし。無い時はないで……まぁ、きっとどうにかなるだろうさ。
「……腕、前のと同じ長さのがいいよね」
「長さが変わってたら、流石に驚いちゃうよ……皆が……って、ん……?」
突如私のポケットから、着信音が鳴り響く。そう言えば音声最大にしてたけど……
「ちょっ!? あんた電源切らなかったの!?」
「切れると思ってんの?」
「電波で逆探してバレたらどうすんの!?」
「いやいや、私今両腕ないんだから電源すら消せんよ」
まぁ、だから出られないという話なのだが。両腕がない以上ポケットを触ることさえ出来やしない。このもどかしさ、他の人にも味わって欲しいんもんだ。
「そう言えばそうだった……い、いや! でもこの着信をずっと残してる訳には……」
「うん、だから出て?」
「は!?」
「いやいや、ここってカモフラージュの為にそれなりの街中の地下に出来ている施設じゃん? 拾った設定でいったら案外いけるって」
IS学園からどんだけ離れてると思ってんだ!!
そりゃそうだ。怪しまれないかつ、IS学園からはかなり離れた位置にある。そんな所で『すいませんこの電話は拾ったものなんです』なんて言ったところで、絶対に信用されないだろう。私なら、絶対にそいつに対しての敵意とかなんやかんやを相手に向けてしまうだろう。
「あ、留守電に切り替わった」
ブツっと、音が一瞬切れて留守番が再生されていく。最初は小さい声で遠慮しがちだったので聞こえづらかったが、どうやら声の主はセシリアだったようだ。
「五十冬さん、セシリアです。突然学校を休みになると聞きましたので、私自身かなり驚いておりますわ。けど、五十冬さんは確か体の中に鉄をいるんでしたのよね? それのせいなのか、と言うのは私にはわかりませんが……ちゃんと、元気になってから学校に戻ってきてくださいね」
そう言って、留守番が切れてプープーと音が鳴っていた。逆探知されたのかどうかは、私には分からない。けど、今の感じとしては恐らく逆探知はされていない……ように思えるのだ。
「何、今の……友達?」
「向こうは私のことをどう思ってるか知らないけど……私は、彼女の事は嫌いだよ」
「なのに、電話番号交換とかしてるんだ?」
「都合がいいから……それに、一応学校だと猫被ってるつもりだし」
「随分心配されてたけど? バレないの?」
「イギリスの代表候補生らしいけど、お嬢様なせいで存外簡単だったよ……それに、今の彼女がそこまで余裕あるとも思えないしね」
「余裕……?」
学園ではいつも通りだが、しかし順調に彼女は精神的に参ってきている。さて、問題はセシリアがなぜ落ちないかの理由として、私の為にやっているという理由があるからだが……まぁ、今はその辺はいいだろう。
「私が知っている限り、主に織斑一夏の周りにいる子達は皆専用機持ちなんだけど……1人は私に心酔してる、1人は私に怯えるようになった、1人は……まぁまだ対抗してるみたいだけど……もう1人は手を出せてないけど、もう1人は……今頃どこかの国で飼われてるよ」
「……んで? 今電話かけてきた子は?」
「心酔してる子、まぁ……その内男に媚びれるようになっていくと思うよ? 男嫌いらしいし……」
セシリアのそれは、織斑一夏の存在でだいぶ緩和されてきているだろう。反対に、彼女を犯している男達のことはまだ受け入れていないだろう。
「……とりあえず、腕出来るまでは動かない事ね」
「ねぇ、今思ったこと言っていい?」
「何」
「トイレどうしよう……」
「…………」
side?
IS学園の学園祭は終わった。突然の敵の襲来などでドタバタしていたが、それでも一応の終結はみせた。そして、織斑一夏との同室権を獲得したのは生徒会長である更識楯無。発表した本人がそれを行った、というのは彼女に少なからずの不信感を与えた。が、彼女のカリスマと強さが不信感による行動を許さない。
「……ねぇ、本当に偶然だと思う?」
「何が……」
「織斑君の事よ、生徒会長……仕組んでたんじゃないの?」
「冗談でも、そういうこと言わない方がいいって……」
「でも、おかしくない……? あんな劇をするのに、参加してない自分が……フリー枠で参加してたとか……」
しかし行動はしなくとも、言葉では不信感は口を出る。出てしまえば、その不満は同調されていく。同調された不満は、生徒会長の強さによって抑えられて……余計に悪化していく。悪化していけば、また不満が口から出ていく……悪循環である。
「━━━ねぇ、その不満……解決してあげよっか……?」
だが、唐突に現れる姿がその不満を打ち消していた。代わりに、少しの恐怖と困惑が現れていたが。
「……えっと、貴方誰……というか……今の聞いて……」
「私が誰か、って言うのはすぐにわかるよ……ねぇ、どうなの?」
「……そりゃあ、不満は解決して欲しいわよ。でも、相手があの生徒会長じゃあ……」
「諦めるなんてダメ、私が……叶えてあげる」
「……貴方、本当に何者なの……?」
「すぐに分かる、って言ったのは私だけど……まぁいいや……私の名前は━━」
後ろで縛られた2つの黒い髪が、なびくように動いていた。まるでそれは、既にこの学園から姿を消した専用機持ちの様に。そして、首からは青い待機状態のISが飾られていた。
少女たちは思い知る。この少女が何者なのか、この少女が何をしたいのか、この少女が……一体なんの目的でここにいるのか。そして、交わるのだ……全てが交差する。
「━━だよ」
「聞いたことない名前……また新しい転校生?」
「そうだね……でも、私これでも専用機持ちなんだよ?」
「専用機持ち……どこの国の代表候補生なの?」
「私は……中国の代表候補生だよ。ほら、いなくなった凰鈴音の代わりとしてこの学園に来たんだ」
「でも、名前は日本名……ってこの学園で言うことじゃなかったか……」
「そうそう、その通り……ふふ」
少女は笑みを浮かべていた。その笑みは誰からも好かれそうで、誰からも愛されそうな純朴なものだった。しかし、その中は真っ黒も真っ黒……全てを見下しているかのようなその隠れた視線は、誰にも悟られることなく消化されていく。
「さ、あの生徒会長を落ちぶれさせてみましょうか」
「落ちぶれさせる……? どうやって……」
「知ってる? 更識楯無には妹がいるの……しかも、専用機が来る予定……なんだって」
彼女がなんのためにこの学園のために来たのか、それは彼女以外わからない。しかし、彼女はこう断言する。
「
新キャラです。
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい