sideシャルロット
鬼村五十冬が学園から居なくなった。しばらく休む、と連絡自体は入っているものの、僕はそれが単なる休みだとは思わなかった。何故なら、いなくなったのは学園祭の日だったからだ。その日、一夏は敵に襲われた。昔一夏をさらった組織の人間が襲って来たらしいけど、敵は自分の腕を犠牲にして逃げたという話がある。生徒会長が、『水が汚されたせいなのか、ナノマシンがまともに機能しなくなった』と言っていたので、それも込みなのだろうか。
汚されたせいなのか、ナノマシンがまともに機能しなくなった』と言っていたので、それも込なのだろうか。
兎も角、腕を二本とも使えなくしてしまったのだったら、本当にしばらく学園は休まないといけない。そう、休まないといけないのだ。だからこそ、休んでいるその間に…行われることがある。
「今日集まってもらったのは他でもないわ、鬼村さんの事よ」
一夏本人と、一夏に関わりのある専用機持ち。そして姉であり担当教師でもある織斑先生が、生徒会長である更識楯無さんに呼ばれて集まっていた。
「……今日、彼女は休みですが…」
「うん、だから話しておこうと思って。多分、知らないのはセシリアちゃんだけだから」
「……何が、ですか?」
薄々気づいているのだろうけど、セシリアは認めたくないのか更識さんから目を離していた。そして、とぼけたフリ……セシリアからしてみたら、初めてできた学園での友人なのだから認めたくないのもわかるけれど。
「彼女は、一夏君に取って……いいえ、この世界においての敵よ。正確には、その組織に入っている…と言うべきかしら」
「そんな…五十冬さんが、そんな…!」
「残念だけど、もうほとんど事実よ。いいえ、この私が確信している以上は……確定事項よ」
きっと、確たる証拠があるのだろう。僕達はすんなりと受け入れたけど、セシリアと……意外にも一夏が渋い顔をしていた。襲われた本人なのに、どうしてそんなに認めたくないような表情を…一夏はしているのか。
「一夏君、貴方彼女がなんでその組織に入ってるのか……分かってるのよね?聞かされているんじゃないかしら?」
「どうなんだ織斑……一夏」
生徒から、1人の肉親へと。白式が狙われていること、そして一夏本人が狙われていることは、織斑先生にはやはり結構なショックだったようだ。
「……束さんが原因だって、俺は聞いた」
「束か……」
「束さんって……」
「篠ノ之束さん、ですの?」
僕とセシリアが、一夏に聞き返す。一夏は、言葉では肯定こそしなかったが、首を縦に振って頷いていた。
「束か……」
「……姉さんが、原因…」
箒は、何か思い当たるような節があるらしい。そう言えば、彼女も自分の姉に振り回された1人だった…そこから、なにか思い当たるようなことがあるのだろうか。
side箒
鬼村が敵組織に入った理由は、姉さんが原因…そう聞いて私が思ったことは『ISが発明されたから』というものだった。ISが出来て、世界は良くも悪くも変化した。ISが生まれたことで、兵器が一新されたこと。いい面としても、悪い面としても受け取れる理由。
けど、完全に悪い面がでてきてしまっていた。それは、世界が女尊男卑に傾いたこと。それが原因で、様々な事件が起こったにも関わらず女性と言うだけで刑が軽くなったり、果てには加害者と被害者が入れ替わるなどと言ったこともあるのだそう。
「……私は姉さんに振り回されていた。鬼村も、姉さんが原因で何かがあったのかもしれない」
「箒、束さんが原因って…」
「ISの開発……それの悪い面が作用したのが、鬼村と言うだけだ」
「……」
「悪い面、と言いますと…?」
オルコットが、少し不安げに首を傾げていた。軟化したとはいえ、彼女は女尊男卑が完全に蔓延った世界で生きていたのだ。あまり、思いつきづらいのかもしれない。
「多分、身内の…特に男性に、何かがあったんだろう…女尊男卑となったこの世界だ。加害者の女性が被害者になっていてもおかしくない」
「そうね、多分…そういった動機があるのかもしれない……それでも、世界を敵に回すのは愚策よ」
生徒会長はそういうが、私はそうは思わない。もし姉さんがISを開発しなかったら……と考えてしまう時もある。凰とは、もしかしたら一夏を取り合う中になっていたかもしれない。それ以前に、一夏と離れることもなかったのかもしれない。
ISが無かったら、オルコットやデュノア…ボーデヴィッヒと出会うことは無かったかもしれないが、少なくとも私達は平穏で生きていられたのだ。
「…俺も、そう思う」
「一夏……」
「俺だって、ISがもし無かったら……って考えたことはあるよ。もし生まれてなかったらっていうのは悪い面もあるし、いい面もある。鬼村は、ISが生まれなかった場合の『いい面』を欲しているんだと思う」
「なら……」
「けど、楯無さんが言うように……間違っているんだ。例えどんな事があっても……同情出来るようなことでも、犯罪は…駄目だ」
「…オルコット、1ついいか」
「な、何でしょう織斑先生」
ふと、思い出したかのように織斑先生がセシリアに質問をしていた。その目はとても遠く、悲しそうな目をしていた。鬼村の事を考えているのだろうか。
「お前は…本当に知らなかったんだな?」
「はい……五十冬さんが、そのような事をしていたなんて……」
「篠ノ之、お前はどうだ」
「私は…デュノアから教えてもらっただけで……」
「…僕がある程度なら知ってます」
「どこで知った?」
「……おかしな所だった、というか━━━」
デュノアが、事の全容を語っていく。まだ男子として変装していた頃に女子だとバレていたこと、そして臨海学校の時のこと……それら全てを話した。
だが話しているところを見る限りでは、何らおかしいところも抜けているところもないはずなのだが……妙に違和感を覚えた。
「……という訳です」
「はぁー…確定的だな」
「そうね、彼女はIS学園からの除籍…それと、御家族の方と連絡を取らないといけないわね」
「御家族……」
オルコットが、ポツリと呟いていた。けれど、その言葉はただの独り言として流されることとなった。そもそも、こうなってしまった以上…その家族とやらも本当の家族かどうかは疑わしいからだ。
「…」
鬼村……お前は一体、何をしたかったんだ……?私のその考えは、誰にも…下手をすれば本人にすら分からないだろう。
sideセシリア
「…そう言えば、今日は2組に転校生が入ってきたのよ」
突然、生徒会長が脈絡のない話を始めました。しかし、その顔は至極真面目な顔つきだったので誰も話は遮ろうとはしません。
「2組……入ってきたのはどんな人なんですか?」
シャルロットさんが、生徒会長に至極当然の質問を投げかけます。一瞬渋った後に、彼女は改めてその口を開いて語り始めました。
「新たな中国代表候補生、凰鈴音がいなくなったことにより新しく配属された子よ。その意味が……分かるわよね?」
「…まさか、本国が捜査を切った…!?」
「ふざ━━」
「一夏!!」
織斑先生が、一夏さんに一喝しました。けれど私も…恐らく他の人たちも同じ気持ちです。故郷から、探すのを辞められた…それは捨てられたも同義なのですから。
「……専用機は戻ってきた、そして他に損害もない…候補生は、常に1人という訳では無い。いなくなれば…新しいのが送られてくる」
「鈴は、道具じゃねぇぞ……!」
一夏さんは、拳を握りしめていました。しかし、この対応に何ら間違いはないのです。確かに、鈴さんは道具でもなければ変わりもいません。けれど、国家代表候補生という立場だけで見れば…実力さえあればいくらでも替えがきくものなのです。私だって…私より実力が上の人がいたら…今の立場はありませんもの。
「…楯無さん、なんで今そんな話をしたんですか」
「おかしいと思わない?」
「……更識、疑っているのか?その転校生が……鬼村の所属している組織のメンバーだと」
「ありえない話でもないわ。国ぐるみ…とまでは言わないけど、本人の素性なんて、本気で誤魔化そうと思えばいくらでも誤魔化せちゃうもの」
確かに、言っていることは理解できますわ。けれど私は、いくらなんでも過敏に反応しすぎではないか?とさえ思えるのです。先程言っていた理由でこちらに来たと言うだけなら、よく分かるのですが。
「……だったら、よく見張っておく必要があるな」
「えぇ、お願いします……そろそろ『キャノンボールファスト』が行われるから……」
「そうだな、面倒事は…早めに終わらせておきたいところだ」
その言葉は、全員の心に突き刺さるようでした。私も…五十冬さんのことは…忘れないといけないのでしょうか。
side?
「えー…本日より、このクラスに配属になった代表候補生です。みなさん仲良くしてあげてくださいね」
「初めまして、中国代表候補生…マライア・香取です。父親がイギリス生まれ、母親が日本生まれで香取は母の姓です。これから、よろしくお願いします」
まばらな拍手が、2組に広がる。当たり前だが、2組の生徒達からしてみれば、あまり歓迎したくないのだ。凰鈴音という少女の事は誰も忘れたくはないし、代わりと言わんばかりに来たこの少女も笑みを浮かべるばかりであまり信用ができたものでは無い。
「香取さんの席は…あそこね」
そうして指された場所は、凰鈴音がかつて座っていた場所。少しだけ心にささるような感覚だけしたが、クラスの者達は誰一人として何も言うことは無かった。
「……香取さん?」
だが、彼女はその場所には行かずにただ教卓の前に立ったままクラス全体を見渡していた。そして、今日1番とも言えるほどの本当に嬉しそうな笑みを浮かべていた。
「まず最初に、私はこの学園に下克上の風を吹かせたいと思ってます」
「な、何を言っているんですか?」
教師は止めようとするが、彼女はそれを無視して語り続けていく。政治家が民に語るかのような、そんなイメージがつきそうな程に力強く。
「生徒会長更識楯無、私は彼女を今の地位から引きずり落として、IS学園の最下位にさせる……それが1年の間の目標です」
「……そんな事、出来るわけないわ」
クラスメイトのひとりが、そう呟く。待ってましたと言わんばかりに、彼女はそのクラスメイトに指をさして嬉嬉として語り始めていく。
「出来るか出来ないかじゃない、『やれる』と思わないといけない!私は見た、学園祭の時に更識楯無が行った傍若無人の事を!」
「傍若無人……」
「彼女は言った!『王冠を取ったものが織斑一夏と同じ部屋になれる』と!」
「確かに、言ったわ……」
「けど実際はどう!?王冠を取ろうとしたら、織斑一夏が感電している!そんなの取りようがないじゃないか、と!」
「確かに、あの時の織斑君辛そうだったよね……」
「でも、それだけなら『織斑一夏を1人にする』という目的があったと解釈出来る。万が一、間違いなんて起こったら問題なのは明白だし……けど、結果はどうだった?」
「…生徒会長が、取った」
そう、提案した人物が報酬をかっさらって行く。それほどまでに、努力を無に帰す事は無いだろう。ならば、初めから生徒会長権限を使っていてくれた方がいくらかマシになっていたかもしれない。
「そう、彼女は周りを納得させるためにこんな形にしたのかもしれない。『自分ならば織斑一夏とは間違いを起こさない』なんて理由を考えているのかもしれない」
「…でも、校則的には間違いは犯せないよね…」
「そう、間違いを犯す…そう考えたら確かに更識楯無は強い上に理性もある……だからこそ、『間違いは起きない』と自負している。でも……『堪能』はできる」
「堪能…?」
「そう、知ってる?夜な夜な織斑一夏の部屋から暴れる音がするのを。専用機持ち達が言うには…ある時は、生徒会長は織斑一夏の部屋にいる時はシャツ1枚だけ着て、それ以外身にまとっていなかった時もあるらしい」
「つ、つまり……」
「織斑一夏から事を起こすように仕向けてる……って事になるよね?」
「も、もし織斑君が間違いを犯したら……」
「IS学園は退学、下手をすれば白式も没収……奪われるかもね?学園祭のときにきた、テロリストみたいに」
例としてあげる。その例によっては、人はそのイメージがすりつく時もある。そう、『更識楯無はテロリスト』というイメージが何人かには確実にこびりついていた。
「……そうよ、更識楯無は許されちゃあいけないんだわ」
「そう、その通り」
「もしかして……鈴さんがいなくなったのも…」
「私の前の代表候補生の人だよね?たしか居なくなったのは臨海学校の時…夏休みを挟んで、姿を現したというのは…ちょっと怪しいよね」
「織斑君が狙われるのも……」
「前に白式が狙われたことから考えたら、分かりやすいよね」
「やっぱり…!」
「直ぐに生徒会に突っ込むわよ!!」
「まぁまぁ、落ち着いてみんな」
朝のホームルーム、鬱屈としていた雰囲気が騒々しくなっていた。確証めいたことは言わずに、噂を煽るだけ煽って自分では行動しない……典型的な『悪』のタイプである。
「それよりも……もっといい方法があるから…それを、試そうね」
そして、この日…2組はIS学園生徒会長更識楯無を突き落とす為に、クラス全体が一致団結したのであった。
マライアちゃんはおっぱいないけど身長はそれなりに高い子です
五十冬の見た目
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黒髪ロング、胸はない
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黒髪で肩までの長さ、胸はない
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茶髪ロング、胸はない
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茶髪で肩までの長さ、胸はない
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なんでもいいけど眼鏡が欲しい